【トヨタホンダも震え上がる日産の本気!】全固体電池2024年生産スタートの衝撃 日産が2030年までのEV戦略を発表
電気自動車のパイオニアである日産が、電気自動車に対する投資内容や、新型EVの最新動向、
そして、全固体電池を含めた包括的な電動化戦略長期的なビジョン「Nissan Ambition 2030」を発表しました。
日産の長期電動化戦略がついに発表
まず、今回の日産に関してですが、
この数年間に蹴る経営難を脱却するために、Nissan Nextという2023年度までの中期経営戦略を発表し、
まずは経営状態の改善を図り、ようやく通期における黒字化であったり、
当初の目標値でもあった、営業利益率5%の確保の達成が視界に入ってきた、
つまり、その2023年度までという短中期的な経営戦略は、一定の成功を迎えた、ということになりました。
しかしながら、現在世界で加速している電気自動車の大波、さらには自動運転という超大津波に対応するための、
さらに長期的なビジョンが、これまでほとんど示されていなかったこともあり、
果たして日産は、この電気自動車と自動運転という大津波に対して、
どのようなビジョンを描き、
そしてどのような対応戦略を持ち合わせているのかが、非常に注目されていた、という背景があったのです。
そして、そのような背景において今回新たに明らかになってきたことというのが、
日産が、2030年までの電気自動車や自動運転、さらにはソフトウェア開発などに対する、ビジョンや研究開発中の内容、
および投資計画についてを包括的に示した、Nissan Ambition 2030を発表してきたということで、
特にその中においては、たったの5年間の間に、2兆円もの巨額投資を行いながら、
本メディアが特に重要視している、
全固体電池も含めた、電動化に対する投資概要、
およびその全固体電池を搭載した、新型電気自動車の最新動向についてもアップデートを行ってきていますので、
今回は、そのNissan Ambition 2030の概要を、より詳細に紐解きながら、
競合とどのような戦略の違いが現れているのかも、合わせて解説していきたいと思います。
5年間で2兆円を電動化開発に投資
まずはじめに、今回のNissan Ambition 2030においても、非常にキャッチーな数値でもある、
今後の電動化技術に対する投資の規模感についてですが、
日産に関しては今までの投資額として、のべ1兆円もの投資を電動化技術に対して行ってきたわけですが、
今後5年間、つまり2026年度までに電動化への投資を2兆円も行っていく、
つまり、これまでとは違う新たな規模感でもって、投資を大幅に拡大させていく計画を発表してきた、ということなのです。
そして、そのような巨額の投資を電動化技術に対して行うことによって、
2030年度までに、グローバルで23車種もの電動車を投入しながら、
その中でも特に、15車種もの完全な電気自動車が含まれているというアナウンスがあり、
したがって、今後日産がラインナップしていく電動車の内訳というのは、
8車種ものe-POWERハイブリッド車、
そして15車種もの、日産リーフや日産アリアをはじめとする完全電気自動車ということになるわけですから、
この内訳だけをイメージしてみると、
かなりの数の完全な電気自動車が、日産からラインナップされるということがお分りいただけると思います。
しかしながら、今回の日産の発表において最も懸念すべき数値というのが、
そのすぐ後に発表された、その23車種もの電動車によって引き上げられる、
日産全体が発売する全ての車両のうち、どれほどが電動車であるのかを示す、電動車のモデルミックスについてが、
2030年度までで50%、
つまり、日産が9年後である2030年度において発売している全ての新車車両のうち、
半分は電動車、残りは既存のガソリン車やディーゼル車という内燃機関車となる、というようにイメージしてみると、
流石にそれは低すぎやしないか、
ということなのです。
というのも、世界最大級の自動車メーカーであるトヨタについては、
2030年における電動車の販売台数割合を、1200万台中1000万台と予測している、
つまり、電動車の割合は、グローバルでも80%を超えるわけであり、
トヨタの方が倍以上もの販売規模を達成しているということは、それだけ車種のバラエティもあるわけですから、
その分本来であれば、トヨタの方が電動車のモデルミックスが少なくなっているはず、
要するに、今回の日産が示してきている電動車のモデルミックスであるグローバル50%という数値というのは、
明らかに低い、低すぎる、ということなのです。
日産のEVの普及予測は甘いのか?
ただし、こちらの数値に関してをさらに深く推測すると、
決して低い数値でない可能性も残されている、ということで、
先ほども示している通り、日産の2030年度までの電動車23車種のうち、マジョリティである15車種が完全な電気自動車であるわけで、
つまり、今後日産が電動車としてラインナップを拡充していくのは、
日産独自の電動化技術であるe-POWER搭載ハイブリッド車ではなく、
完全電気自動車の方になるビジョンを描いているのではないか、
要するに、確かに電動車比率は、競合と比較しても見劣りすることは間違いないものの、
完全電気自動車の比率のみにフォーカスした場合、
競合よりも完全電気自動車のみの比率では、より高くなる見込みとなるのです。
実際に、先ほどのトヨタを例に見てみると、確かに電動車の割合は80%を超える見込みである一方で、
そのうちの完全電気自動車と水素燃料電池車の割合はというと、たったの17%台、
もちろんこの数値には水素燃料電池車も混じっているわけですから、
純粋な完全電気自動車のみの割合というのは、2030年においても15%程度となる予想をしている、
それに対して今回の日産であれば、
そもそもの発売車種の構成が完全電気自動車とハイブリッド車の比率で15対8、
つまり、少なくともマジョリティは完全電気自動車が占めることになるわけですから、
2030年度において、少なくとも25%から30%以上は、日産のモデルミックスの中で完全電気自動車占めている、
故に、完全電気自動車のみにフォーカスすれば、概ね倍程度の比率を目指していることになりますので、
この点は、悪くない目標設定であるとも言える、ということですね。
ただし、今回の数値目標、ややおかしな部分も目立っているわけで、
確かに2030年度までに電動車23車種を発売すると表明してはいるものの、
その中間目標として
2026年度までに発売する電動車については、なんと20車種を予定しているとも説明し、
さらに、その26年度までに、欧州では75%、日本でも55%、さらに中国でも40%という比率を、電動車とするとも説明、
つまり何が言いたいのかといえば、
仮に今回の説明が正しいと仮定すると、
日産は、2027年度から2030年度までの間で、グローバルでたったの3車種しか、
新型電動車をラインナップしない、ということを意味するわけで、
それはさすがにやる気がなさすぎやしないか、というように捉えられるわけでもありますから、
果たして今回の数値の生合成がどこまで取れているのかは、今後独自に確認を取りたいとは思いますし、
ここまで説明した私の説明の中で、解釈が間違っている箇所があれば、是非とも訂正していただきたいとは思います。
2030年までに日産アリア200万台分のバッテリーを”内製化”
次に、今まで説明してきた、より多くの電動車、特に完全な電気自動車を発売していくために必須となる、
大容量のリチウムイオンバッテリーをどのように調達していくのかについてですが、
大きく2点存在し、
まずは、2026年度までに、バッテリー生産能力を52GWhにまで拡充することを表明してきたということで、
こちらの文言において重要であるのは、生産能力、という点であり、
要するに、外部サプライヤーから購入して調達する量を含めた調達能力ではないわけで、
こちらもトヨタと比較するとわかりやすく、
トヨタは2030年までに、200GWhというバッテリー調達能力を有している、
つまり、トヨタの200GWhというのは、提携関係をアナウンスしている、CATLやパナソニックからの購買分も含んでいる、ということなのです。
そして、2030年度における日産のバッテリー生産能力については、
グローバルを合計して130GWh、
仮に、納車が秒読み段階となってきた、日産アリアの台数に換算してみると、
200万台分ものバッテリーを、独自に内製化することができている、ということと同義ですから、
実はこのバッテリー生産量の数値から考えても、
先ほど疑問が重なっていた電動車、特に完全電気自動車のシェア率が、やはり一定程度高い、
具体的に言えば、おそらく日産のグローバルの販売台数はおおよそ500万台程度でしょうから、
50%の電動車率のうち、おおよそ40%程度もの、完全電気自動車化率を達成しているのではないか、とも推測できそう、
故にこの数値というのは、電気自動車に完全に舵を切ってきたホンダと同等レベルでもある、ということになりそうです。
ちなみに、現状の日産のバッテリーの生産能力については、
グローバルでおおよそ7.5GWhという生産キャパシティであり、
さらに、イギリスのサンダーランドにおいて、2024年から9GWhのバッテリー生産工場の稼働がスタート、
最終的には、2030年までに、38GWh級のバッテリー生産能力を持つ予定、
さらに同じく24年に稼働予定である、茨城県に建設中である6GWhのバッテリー生産工場についても、
最終的には18GWhという生産キャパシティにまで増強する予定であり、
そうなると、26年までの52GWhという数値には、やはり届きませんから、
このことからも、おそらくさらに10GWh以上級のバッテリー生産工場を2つほど建設してくるのではないか、
そしてそれは、現地調達現地消費というローカライゼーションの観点からも、
アメリカと中国にそれぞれ、近々にも建設を表明してくるのではないかと推測できる、ということですね。
全固体電池搭載EVを2028年量産スタートの衝撃
それでは次に、みなさんが最も気になっているであろう、次世代バッテリーのゲームチェンジャー的な技術とも言われている、
全固体電池の開発動向、そしてそれを搭載した新型電気自動車の最新動向に関してですが、
まず、今回の日産に関しては、そのほかの強豪の自動車メーカーと同じく、独自に全固体電池の研究開発を続けているという状況となっており、
さらに、ようやく実際の生産に対する目処が立ったため、
まずは、来年である2022年から、神奈川の工場に、全固体電池生産のパイロットラインの建設をスタートし、
2024年からは、実際にそのパイロットラインにて、テスト生産をスタートするというアナウンスを行ってきたわけで、
その際には、実際に電気自動車に搭載する実寸大の試作品すら生産するとのことですので、
少なくとも2024年ごろまでには、実際に日産の全固体電池の詳細が、一般にもお披露目されることでしょう。
そして、その全固体電池が実際に生産をスタートし、実際に電気自動車に搭載されるのが、
2028年からになるというタイムラインを公表してもきたということですので、
したがって、この段階でもって、
日産は2028年から、全固体電池を搭載した完全な電気自動車を市場に投入する、という朗報となったと思います。
ちなみに、現状までに公表されている日産の全固体電池のスペックに関してですが、
エネルギー密度が、現行の液系リチウムイオンバッテリーと比較しても2倍を達成しながら、
さらに、充電時間に関しても現状の、なんと3分の1程度まで短縮することができると説明されており、
もちろんのことですが、その安全性についても、
すでに日産が11年間にかけて発売し続けている日産リーフ、55万台以上という販売台数のうち、
まだバッテリーからの深刻な発火案件が一回も起きていないという、
ただでさえ安全性の高いバッテリー技術と組み合わせることによって、
さらに安全性の高いバッテリーとなる、ということになるとも主張しています。
そして、その全固体電池によって、
既存の液系リチウムイオンバッテリーの、28年時点における1kWhあたり75ドルという数値よりもさらに低減させて、
1kWhあたり65ドルというコスト削減を実現、
したがってこの段階でもって、ついに同セグメントの内燃機関車と全く同様の値段設定を実現することにつながり、
もちろんのこと、エネルギー密度自体も倍増されますので、
よりエネルギーが必要となる、より大型車セグメントの車種も完全電気自動車化が可能となる、ということですね。
日産リーフの後継モデルの全容が明らかに
また、そのような最新のバッテリーセルを搭載した、新型電気自動車についても、
コンセプトを4種類ほど発表し、
まずは、日産リーフの後継モデルとなるとアナウンスされている、
日産アリアと同じCMF-EVプラットフォームを採用した、
クロスオーバータイプのChill-Outと名付けられた車種であり、
こちらは、イギリスの工場が稼働してからということですので、概ね2025年ごろからの発売スタートを見込んでいます。
そして、次に紹介する3車種は、すべて全固体電池を搭載した、より長期的なコンセプトモデルとなり、
まず、Max-Outという、スポーツカータイプの完全電気自動車については、
おそらくフェアレディZであったり、最終的にはGT-Rの電気自動車バージョンのコンセプトモデルとなると推測することができ、
全固体電池とともに、シャシーとも統合させることによって、
圧倒的軽量化、およびハードの構造をシンプルに最適化させた革新的な構造によって、
軽量、かつ超低重心化された、究極のスポーツEVとなることを期待することができそうです。
また、Surf-Outと名付けられたピックアップトラックの電気自動車についても、
何と言っても、電気自動車にとって最も厳しい、重量級、かつ空力性能が悪いセグメントを電気自動車化するわけであり、
さらに、シンプル化されたプラットフォームによって、さらにユニークな、荷台のスペース活用を可能にしたり、
より悪路においても、簡単に走破できてしまうような、
さらに進化した4輪電子制御技術である、e-4ORCEの新型バージョンも採用予定となっています。
そして、Hang-Outと名付けられた、SUVタイプ、
もしくはミニバンタイプも想定されるようなセグメントの電気自動車も発表され、
やはり全固体電池とシャシー一体型プラットフォームの採用により、車内スペースの最大化に寄与し、
程フラットなフロア、および高い快適性と静粛性を両立することができ、
それでいて、次世代型のe-4ORCEを採用し、どんな悪路でも走破することができたり、
次世代型のプロパイロットによって、ストレスフリーで長距離を走破することができる性能を兼ね備えています。
日産もCell to Chassisを採用へ
何れにしても、これらのコンセプト車両、
特に後半の3車種については、どれも完全電気自動車にリプレイスするためには、極めて高い技術力が必須、
特に、エネルギー密度の抜本的改善が必須となるため、全固体電池の採用が必須、
しかも日産に関しては、ただ全固体電池を搭載するだけでなく、
すでに競合メーカーがコンセプトを提唱してきていた、シャシーと一体にして搭載してしまうという、
いわゆるCell to Chassis技術も組み合わせることによって、
あらゆるセグメントにおいても、全く妥協のない完全電気自動車に仕上げることを目指す、
つまり、すべてのセグメントを完全電気自動車にする用意がある、ということを示唆しているのではないでしょうか?
また、そのミニバンタイプのコンセプト車両においても搭載する予定の、
次世代型のプロパイロットを実現するために、
今後はLiDARをほぼ全ての車両に搭載していく方針を示し、
特に、2030年までには、日産が発売するほとんどすべての車両に、次世代型のLiDARを搭載することによって、
さらに新たな次元での自動運転の達成を目指そうとしてきている、ということになります。
5年間で200億円もの充電インフラ投資
そして、そのほかにも注目すべき発表が数多くあったわけですが、特に本メディアが最後に指摘したい内容というのが、
一貫して主張し続けていた、充電インフラ戦略についても言及があったということで、
それが、これまで日産は初代リーフの発売から一貫して、
独自に充電器の開発、およびその充電器の設置を進めてきていたわけですが、
その投資金額が、合計して250億円であったそうで、
現在グローバルで100万基という台数にまで上っているそうです。
そして日産は、2026年度までの、今後5年間というタイムスパンにおいて、
さらに最大で200億円という規模感で、充電インフラ整備にもコミットしていく方針を示してきていますので、
したがって、
過去十数年間で250億円であった投資規模が、この5年間で200億円という、実質倍程度の規模感で、
充電インフラ整備にもコミットしていく方針を聞くことができたということは、賞賛に値すると思いますが、
残念ながら、その投資規模以上の話を聞くことはできませんでしたので、
今後の続報には注視していく必要がありそうです。
今後5年間で12車種の完全EVを発売へ!
このように、日産に関してはいよいよ経営危機を脱し、中長期的な視野での経営戦略を提示することができ、
中でも特に、電動化戦略の中身を見てみると、本メディアが重要視している完全電気自動車に対しては、
日本メーカーの中でも、かなりアグレッシブな戦略であることが、バッテリーの調達量からも見て取れる一方で、
電動車両全体の比率でいえば、こちらは明らかに世界と比較しても低いと言わざるを得ず、
しかもその数値目標についても、やや不明な点が多かったりもしますので、
さらに情報を精査していく必要がありそうです。
それでも、特に興味深かった、全固体電池の実際のパイロットラインを来年から立ち上げ、
実際に2024年には、EVに搭載される実物大の全固体電池のプロトタイプを生産スタートする、
というタイムラインを示してきたということは、
おそらくですが、日産内部においても、
電気自動車用の全固体電池として、ある一定程度の目処がついてきたのではないか、
と受け取ることができそうですし、
何と言っても、そのEVに搭載される全固体電池の本格量産スタート時期である2028年の段階において、
すでにバッテリーコストが1kWhあたり75ドルを想定しているという、
私の想定をはるかに凌ぐコスト低減をすでに達成すると推測しているという点は、
私個人の、全固体電池に対する唯一の懸念点でもあった、そのコストという観点においても、
ある一定程度の目処がついてきたのではないかという超朗報のようにも受け取ることができる、ということですね。
何れにしても、2026年度までに20車種もの電動車を発売していくとアナウンスしているわけであり、
その中でも完全電気自動車の比率が、少なくとも12車種になる、
つまり日産は、後たったの5年間で、少なくとも12車種もの完全電気自動車を発売してくるということになるわけですから、
その新型電気自動車のスペックなどを中心に、今後も最新情報をアップデートしていきたいと思います。
From: Nissan
Author: EVネイティブ