【日産リーフ、今までありがとう】 リーフの後継はクロスオーバーEVとして2025年頃登場へ! 

リーフ

日産が世界初の本格量産電気自動車であるリーフの生産を、完全終了するという衝撃の決断をアナウンスし、

そのリーフの後継モデルとなるクロスオーバータイプの新型EV、およびマーチサイズの新型EVの最新動向について、徹底解説します。

モデル末期感が否めない日産リーフ

まず、今回の日産の電動化に関してですが、

2010年の12月に、世界で初めての本格量産電気自動車であるリーフの発売をスタートさせながら、

そのリーフに搭載される大容量のリチウムイオンバッテリーを生産する工場であるバッテリー生産工場を、日産自らが立ち上げ、

その電気自動車におけるコアテクでもあるバッテリーの内製化にもコミットするなど、

まさに、2021年現時点において、ようやく世界が気付き始めた電動化の基本戦略を、

すでに10年以上前から気づき、そして実際に行動に移していたという点は、

やはり当時のトップであるカルロスゴーンの類いまれなる先見性の賜物であった、ということになります。

しかしながら、そのリーフの後が続かず、

実際に発売をスタートさせてから、確かに2017年の9月にフルモデルチェンジを果たした現行型リーフにおいて、

ようやく史上最高の国内販売台数を達成したものの、

その後は販売台数が低迷してしまっている状況であるのです。

現行型リーフ

航続距離はEVの購入決定要因とはなり得ない

ちなみに、このリーフの販売台数の変遷から見えてくる、一点興味深い電気自動車導入に関する考察なのですが、

先ほどの説明している通り、現行型にフルモデルチェンジが行われた際に歴代最高の販売台数を達成しているという点で、

このフルモデルチェンジにおいては、バッテリー容量を元々の30kWhから40kWhに増量することによって、

電気自動車における基本性能である、満充電あたりの航続距離を、

日本市場で一般的に採用されていたJC08モードにおいて280kmから400km

高速道路を時速100kmでクーラーをつけても達成可能であるというような、実用使いにおいて最も信用に値するEPAサイクルにおいても、

当時243km、2022年モデルであっても240kmへと、大幅に改善してきたのです。

したがって、その販売台数の上昇というのは、

やはりその電気自動車としての質が、

より多くのユーザーにとって、最低限のスペックを達成したことを意味するのではないかと考えられ、

要するに、この時点においては、やはり電気自動車に航続距離というのは、

長ければ長いほど、より多くのユーザーが電気自動車を受容することができるものだと、推測することができていたわけなのです。

よって、そのフルモデルチェンジ後に新たに追加設定された上級グレードであるリーフe+については、

搭載バッテリー容量を62kWhへとさらに増量したことによって、

航続距離に関しても、EPAサイクルにおいて最大364kmと、実に1.5倍もの延長を実現し、

よって、東京名古屋間を、途中充電なしで走破することができるようになったわけですが、

実際の販売台数を見てみると、その販売台数は伸びるどころか、

特に今までの傾向と全く同様に、モデルチェンジ後の販売台数の緩やかな減少トレンドと、全く同じ流れを踏襲している、

つまり本来の予想の全く逆の販売台数の変遷となってしまっていたのです。

したがってこのことからも、電気自動車の販売台数を本質的に向上させていくためには、

ただ航続距離をやみくもに伸ばせばいいというわけではなく、

その航続距離という指標とともに重要な指標である充電性能

特に今回のリーフの決定的な弱点でもある、充電性能を安定的に発揮させるための、バッテリーのアクティブな温度管理機構の搭載

そして、その充電性能を担保する充電インフラの充実度合い

もちろんさらなる付加価値としての、コネクティビティという先進性など、

様々な要素をしっかりとミックスさせていかなければならない、ということなのです。

ただし、この直近の夏に行われた、現行型リーフの2回目のマイナーチェンジによって、

その半導体不足による販売台数の落ち込みからの脱出も相まって、

月間販売台数1500台ペースへと数値が戻ってもきていますので、

すでにフルモデルチェンジが行われてから4年が経過しているという、モデル末期感が否めず、

テスラのミッドサイズセダンであるモデル3の販売台数が月間500台程度にまで伸びてきている中においては、

予想以上の健闘を見せているという点も、興味深いポイントであるとは感じます。

リーフ、今までありがとう、そしてさようなら。。

そして、そのようなモデル末期感の否めない日産リーフについて新たに明らかになってきたことというのが、

イギリスの自動車メディアであるAuto Carにおいて、欧州日産のトップであるGuillaume Cartier(ギョーム・カルティエ)が、

日産が現状ラインナップしている唯一の電気自動車であるリーフの後継モデルの存在を明らかにしてきたということで、

それが、こちらのクロスオーバータイプの電気自動車となっています。

実はこの車種については、すでに日産が公式にアナウンスしていたわけであり、

それが、その欧州日産の発売する多くの車両を生産するイギリスのサンダーランド工場を、

今後の電気自動車時代を見据えて、バッテリー生産工場、および、そこで使用される電気を100%再生可能エネルギーで賄うために、

太陽光発電、さらには、電力の安定供給のためのバッファーとしての大容量の蓄電池を導入するという、

包括的な電動化戦略として、EV36Zeroというプロジェクトを発表し、

その際に同時に発表されたのが、そのサンダーランド工場で生産する新型電気自動車として、

クロスオーバータイプの電気自動車であったのです。

つまりどういうことなのかというと、

すでに発表されていたクロスオーバーセグメントの電気自動車は、実はリーフの後継モデルであった

つまり、2010年12月から発売された世界初の本格量産電気自動車である、ハッチバックタイプのリーフについては、

その生産を完全に終了し、クロスオーバータイプの車種として生まれ変わる

ということなのです。

アリアと同じEV専用プラットフォームによる最適化を実現

そして、そのカルティエに対するインタビューにおいて新たに明らかになってきていることというのが、

まずはそのリーフの後継モデルである新型クロスオーバーEVについては、

日本市場においては2022年初頭、ヨーロッパ市場においては2022年夏以降の発売スタートを予定している、

同じくクロスオーバーEVのアリアと同じ電気自動車専用プラットフォームである、

CMF-EVプラットフォームを採用する方針となっています。

CMF-EV Platform

こちらのCMF-EVプラットフォームに関しては、アライアンスを組んでいるフランスルノーの新型EVであり、

来年である2022年の3月中にも発売をスタートさせる予定の、

ハッチバックタイプのMegane E-TECH Electricにも採用されているわけであり、

特に業界最高水準のバッテリーパックの薄さを実現していたり、

アリアについては、通常車内に位置する空調ユニットをすべてボンネット部分に追いやることによって、

車内スペースの最大化を実現することができています。

Megane E-TECH Electric

よって、そのCMF-EVプラットフォームを採用することによって、

今までのリーフのような、内燃機関車ベースのプラットフォームを採用することによる弊害をなくし、

電気自動車として最適化された車両となっていることを期待することができます。

最新型NMC811採用で、高コスパを目指す

さらに、その新型クロスオーバーEVにおける電気自動車としての質について判明しているのが、その搭載バッテリーの種類であり、

それが、最新型の三元系バッテリーとなっていて、

こちらの三元系バッテリーについては、ニッケル・マンガン・コバルトという3種類の原材料をミックスさせて構成しているバッテリーセルの種類となり、

すでにリーフで採用されているバッテリーセルの種類と全く同じであるわけです。

しかしながら、この新型クロスオーバーEVに搭載される三元系バッテリーというのは、NMC811と呼ばれる最新型であり、

まずコバルトの含有比率が低いことによる、コストの低減を期待できる一方で、

電気自動車における航続距離に直結する、バッテリーのエネルギー密度も極めて高く

そのエネルギー密度というのが、業界最高水準の300Wh/kgと、

現行リーフに採用されている、NMC523のエネルギー密度である224Wh/kgの、

実に1.3倍以上ものエネルギー密度を達成してくる見込みとなります。

よって、単純計算してみると、

リーフe+と同じようなEPA航続距離364kmを達成するためには、そのリーフe+の搭載バッテリー容量の、およそ75%程度ですむ、

つまり47kWh程度

実際は、リーフより背の高いクロスオーバータイプとなり、若干電費性能は悪化するわけですが、

それでも、概ね50kWh程度というバッテリー容量にまで抑えることができる、

したがって、そのコストのかさむバッテリーの搭載容量をそれだけ抑えることができるということは、

今回の新型クロスオーバーEVを、より安価に発売することも可能

故に、そのコストパフォーマンスに関しても、非常に期待することができるのです。

優雅にEV戦争を傍観してる場合ではない!

ただし、発売開始時期についても欧州日産トップのカルティエが公式にアナウンスしてきたということで、

こちらは2025年ごろ、ということで、

まず結論から申し上げて、それはあまりにも遅すぎやしないかということであり、

というのも、もともとアナウンスされていた新型クロスオーバーEVというのは、

特にリーフの後継モデルであることは判明していませんでしたので、

リーフとアリアに追加される、さらなる新型クロスオーバーEVとしてであれば、

もちろん現状の電気自動車戦争のさなかにおいては、極めて遅いながらも、

まあ2025年でも、目を瞑れたわけです。

しかしながら、今回の新型クロスオーバーEVというのは、リーフの後継モデルとして誕生する、

つまり、冒頭リーフの歴史をあえて説明した通り、

すでに2021年現時点においても、モデル末期感が否めない現行型のリーフを、

あと3年間以上も日産が発売する気でいる

ということと同義となり、

さらに、アリアについてはプレミアムセグメントとして位置付けている以上、

リーフのような大衆車セグメントの販売台数を期待することはできないわけですから、

電気自動車戦争が勃発しているヨーロッパ市場において、

流石にこの現状の電動化戦略は、極めてお粗末であると言わざるを得ない、ということなのです。

ちなみにですが、イギリスサンダーランド工場のすぐ横に建設中である、先ほど解説した最新型のバッテリーセルの生産工場が操業するのは、2024年中というアナウンスがありますので、

もし仮にバッテリー生産ラインの新設を待っているからこその、この遅すぎるタイムラインであるのであれば、

せめて、そのEnvision AESCとタッグを組んで建設されるギガファクトリーの操業と同時に、

2024年中の1日でも早く、リーフの後継モデルである新型クロスオーバーEVを発売しなければならない、

いったいこの1年のタイムラグの間に、日産は何をしているのか

優雅に電気自動車戦争を傍観している場合ではない

ということなのです。

Micra(マイクラ)のEVモデルを検討中

ただし、新型クロスオーバーEVの詳細とともに追加でアナウンスしてきたことというのが、

その電気自動車のラインナップとして、小型車セグメントのMicraを、

電気自動車としてモデルチェンジを行う可能性を示唆してもいるということであり、

このMicraに関しては、全長3999ミリに抑えられた、Bセグメント級のコンパクトハッチバックであり、

現行モデルは2017年からヨーロッパ市場向けに発売されているわけですが、

2020年代中旬に導入予定である、ヨーロッパ市場における排ガス規制のEuro7に対応するためには、やはり電動化は必須、

特に今回のMicraのようなエントリーセグメントに関しては、完全電気自動車一択であるとも発言していますので、

アライアンスを組んでいるルノーと三菱と調整の上、

Micraの電気自動車バージョンをラインナップに加える方針であるのです。

Micra

しかしながらそれでも、ただでさえすでにティザー画像を公開している新型クロスオーバーEVの発売時期が2025年頃としているわけですから、

今回のMicraの電気自動車バージョンに関しても、

おそらくどんなに早くても2025年頃までは市場に出てこないということを考えると、やはり、

日産、それはさすがにやばくない?

と感じざるを得ない、ということですね。

EV戦争とは、日産リーフの弔い合戦である

このように、日産が世界で初めての本格量産電気自動車として世に送り出したリーフが、

日産の公式発言によって、ラインナップから消滅することが確定してしまいましたので、

日産リーフオーナーの1人として、確かにノスタルジーに浸りたいところではありますが、

そんなノスタルジーに浸っている余裕がないほどに、現状足元のヨーロッパ市場の電動化率の伸びは異常なわけで、

2025年頃なんて、日産もノスタルジーに浸っている場合ではない、ということなのです。

何れにしても、この日産に関しては、トップの内田社長がすでにアナウンスしている通り、

この秋、つまりおそらく、第二四半期の決算発表が行われる11月中のどこかのタイミングで、

今後の電動化戦略を体系的にまとめたプレゼンテーションを行うともアナウンスしているわけですので、

果たして、今後の電動化戦略を大きく見直し、

例えば同じく日本のホンダのように、完全な電気自動車を中心とする電動化戦略に一気に舵を切ってくるのか、

それとも、今回のインタビューで答えたような、あまりにも遅すぎる電動化のタイムラインを踏襲してくるのか、

リーフの販売終了という、戦友の死に対するノスタルジーに浸るのは、

少なくとも、電気自動車戦争を勝ち抜いてからである

ということですね。

From: Auto Car

Author: EVネイティブ