【ついにホンダが目を覚ます!】 ホンダが新型電気自動車SUVを2車種も同時公開 25年までにEV10車種も展開へ
ホンダが中国市場において、電気自動車専用ブランドとしてe:Nシリーズを立ち上げながら、今後5年間で10車種もの完全な電気自動車をラインナップすることを表明しました。
完全EV化に向けてEV専用シリーズを立ち上げ
まず、今回のホンダに関してですが、すでに今年の4月中にも、今後の電動化戦略を発表していて、
それが、2040年までにグローバルで発売する全ての車両を、
完全な電気自動車、もしくは水素燃料電池車というゼロエミッションカーのみにするという大方針を示してきたということで、
つまり、例えばトヨタや日産というそのほかの日本メーカーとは違い、ホンダはハイブリッド車も作らなくなる、
要するに、あのホンダが内燃エンジンを完全に捨て去るということを意味するわけですので、
この発表において、いよいよホンダが世界の潮流である電気自動車へと本格的に舵を切り始めたことが明らかになったわけなのです。

そして、そのような背景において今回新たに明らかになってきたことというのが、
そのホンダが、中国市場におけるより詳しい今後の電動化戦略を公開してきたということで、
まずは、中国市場専用の電気自動車専用ブランドであるe:Nシリーズを立ち上げてきたということで、
こちらに関しては、ホンダがすでに発表し、
まずは2020年台の後半にも北米市場において投入をスタートしながら、その後にグローバルに展開していく、
ホンダ独自の電気自動車専用プラットフォームである、e:Architectureとはまた異なる種類の電気自動車専用プラットフォームとなる、
e:N Architectureを採用してくるということなのです。

開発コスト度外視で専用PFを開発?
こちらは個人的な推測とはなりますが、
おそらくホンダ独自の電気自動車専用プラットフォームであるe-Architectureの開発終了を待ってから、
本気の電気自動車を投入したところで、時すでに遅しなわけであり、
したがって、特に電気自動車の販売台数が急速に高まっている中国市場において、1日でも早く質の高い電気自動車を発売していくためには、
やはり中国独自で専用プラットフォームを開発してしまい、中国独自でリリースしてしまった方が、
確かにただでさえ開発コストが莫大にかかる専用プラットフォームを、あえて二つ開発してしまうというコストよりも、
その本格的な電気自動車投入の速さを最優先してきた格好とも言えるのではないかと、個人的には推測しています。
したがって、おそらく今回発表された、中国市場で採用されるe:N Architectureについては、
ホンダが全て独自に開発したというよりかは、
中国で合弁会社を設立している、特に電気自動車専門ブランドであるAionを立ち上げて、
積極的にEVを推進しているGACグループとタッグを組んで開発してきているのではないか、とも推測することができそうです。

そして、今回発表されたe:N Architectureの詳細については、
前輪側にモーターを搭載した前輪駆動方式のレイアウトである、e:N Architecture F、
そして、後輪側にモーターを搭載し、さらに前輪側にもモーターを追加できる後輪駆動ベースのレイアウトである、
e:N Architecture Wという2種類のレイアウトを用意してきたということですので、
全ての駆動方式に柔軟に対応することができるという意味において、非常に冗長性の高いプラットフォームのように見えます。
また、今回のe:N Architectureでは、搭載モーターをはじめとする電動パワートレインをはじめ、
電気自動車用の大容量バッテリー、さらにはボディ、シャシーに至るまで、主要コンポーネントを共有することができますので、
一度共通プラットフォームを開発してさえしまえば、そこから様々な車種を、コストを抑えながら展開することもできそうです。
EV専用プラットフォームで新型EV2車種発表
そして、今回新たに発表してきた新型電気自動車であるのが、
e:NP1、そして、e:NS1という2車種の電気自動車SUVとなっていて、
こちらは、前輪駆動レイアウトのe:N Architecture Fを採用したモデルとなり、
エクステリアを見ればお分かりの通り、非常に似通ったデザインとなりますので、
例えばフォルクスワーゲンの発売している電気自動車であるID.4とID.6を、中国国内で合弁している合弁会社2社からそれぞれ発売しているように、

ホンダに関しても、中国国内の、DongfengとGACという2つの自動車メーカーと、合弁している2社から、
基本的には同じようなモデルを、それぞれ展開しているだけと考えて差し支えないとは考えられます。
しかしながら、そのデザインを見てすでに既視感を感じている方がほとんどかとは思いますが、
今回のe:NP1とe:NS1に関しては、日本でモデルチェンジが行われた、新型ヴェゼルと極めて酷似したデザインとなっていて、
よって、ヴェゼルのパワートレインを、ただ内燃機関社から電気自動車に変更しただけの可能性も現状捨てきれないのではないか、ということであり、
実際に、今回発表されているe:N Architectureを詳しく見てみると、
確かにe:N Architecture Wの方は、バッテリーパックが綺麗に収まっているわけですが、

前輪駆動レイアウトのe:N Architecture Fに関しては、
バッテリーパックが前後で上方向に飛び出しているわけで、
したがってこのことから、電気自動車専用プラットフォームと言いつつも、
やはり急遽作り上げた、内燃機関車も電気自動車も対応可能なプラットフォームである、というのが実態なのかもしれません。

CATL製バッテリーで航続距離500kmオーバー
それでも、今回の新型電気自動車であるe:NP1とe:NS1に関しては、
満充電あたりの航続距離が500kmを超えてくるというアナウンスがあり、
したがって、電気自動車としての質という意味においては、特にSUVセグメントの車種として一定程度のスペックを達成していることになりましたが、
こちらの500kmという数値というのは、中国市場で一般的に採用されているNEDCサイクルという基準であり、
実用使いにおいては全く参考にすることができない基準となりますので、
高速道路を時速100kmでクーラーをつけても達成可能であるというような、実用使いにおいて最も信用に値するEPAサイクルに変換してみると、
概算とはなりますが、おおよそ400km弱程度というようなスペックとなりそうです。
ただしそれ以外の電気自動車としての質、特に充電性能などの詳細は、今回説明されることはありませんでしたが、
やはりポイントであるのが、その搭載バッテリーをどこから調達してきているのかという点であり、
それが、中国最大のバッテリーサプライヤーであるCATLであるという点で、
実はこのホンダとCATLに関しては、昨年である2020年の7月中にも、電気自動車用のバッテリーに関する包括的戦略アライアンス契約を締結済みであり、
ホンダ側がCATLの株式を1%取得するという関係も締結していますので、
何れにしても、現在熾烈さを増すバッテリー調達戦争という観点においては、
とりあえず競合よりも優位に調達していく環境があるように考えられます。

したがって、ホンダ専用に開発されるバッテリーであったり、
そのバッテリーを、ホンダが売りたい電気自動車の台数分を確保する体制を構築することができそうであり、
だからこそ、本メディアにおいて注目しているのが、
その電気自動車の質を決定づけるバッテリーが、一体どのような種類であるのか、
そして、CATLから安価に購入することができている場合、
その新型電気自動車SUVの値段設定に関しても、
競合よりも、より競争力のある値段設定を実現することができているのではないか、ということなのです。
何れにしても、NEDCサイクルにおける航続距離が500km以上というアナウンスの他に、
より具体的に突っ込んだ電気自動車としての質は明らかにはされていませんので、
特にそのバッテリーの質にフォーカスしながら、続報がわかり次第、随時アップデートしていきたいとは思います。
巨大なタッチスクリーン&OTAアップデート対応
また、電気自動車としての質以外にも、特に注目すべき点であるのが、そのインテリアであり、
実はホンダがすでに発表していた、電気自動車のコンセプトモデルにおけるインテリアデザインと非常に酷似しているわけで、

特に、車両中央に配置された、15.2インチという巨大な縦長のタッチスクリーンについては、
例えばフォードのクロスオーバーEVであるマスタングマックEであったり、
テスラの旧型のモデルSやモデルX、
さらに中国勢で言えば、電気自動車スタートアップであるXpengのクロスオーバーEVであるG3など、
何れにしても、電気自動車の流行であるモダンなデザインを採用してきた、ということになりそうです。
Ford Mustang Mach E Xpeng G3
また、そのインテリアの質感だけでなく、その先進性についても、
Honda Sensing 360という、今までの安全システムであればブラインドスポットになっていた箇所を全てカバーするという、
最新の安全性能を搭載しながら、
OTAアップデートである、車両性能の無線アップデートも搭載するなど、
とにかく今までのガソリンエンジンを搭載していた内燃機関車から、
ただパワートレインを電気自動車にリプレイスしただけではなく、様々な先進性をしっかりと搭載することによって、
特に本メディアにおいても指摘している、中国市場における電気自動車の購入層の若い世代に対して、
しっかりと訴求することができる完成度を目指そうとしているということが、おわかりいただけると思います。

EVを売る体制になっているか?
そして、今回のホンダの発表において、
実は個人的に最もクリティカルな部分でありながら、日本のメディアがほとんどスルーしている部分が存在するという点であり、
それが、そのホンダの販売体制の改善をアナウンスしてきたということで、
というのも、本メディアにおいては以前から複数回にわたって指摘していることではありますが、
実はこのホンダに関しては、すでに一定程度の質を達成している電気自動車を、中国国内では発売済みであって、
その意味においては、すでにホンダも電気自動車に力を入れているように見えていたわけですが、
その販売台数の実態はというと、月間でたったの200-300台と、全くもって売れていなかったわけなのです。
その理由として指摘していたのが、今回の販売体制であり、
やはり既存の自動車ディーラーについては、その構造上電気自動車を積極的に売るメリットがありませんので、
今までの販売体制のままで電気自動車のラインナップを増やしたところで、
結局販売台数が伸びずに、電気自動車の人気がないというように誤解をする場合があるわけで、
実際に、その販売体制の改革に乗り出しているフォルクスワーゲングループについては、
ようやくその電気自動車の販売台数が上昇してきている、というわけなのです。

そして今回のホンダに関しては、
まずは、中国全土1200ものディーラーにおいて、今回のe:Nシリーズの電気自動車をラインナップするだけでなく、
そのe:Nシリーズのみを取り扱うという、電気自動車専門のディーラーを中国の主要都市ごとに立ち上げることによって、
電気自動車を理解したスタッフやメカニックが集まることで、
よりユーザーが安心して電気自動車を購入できる体制を構築することができるのです。
さらにホンダは今後、e:Nシリーズの電気自動車を体感できるようなイベントも随時開催していく方針でもあり、
より幅広いユーザーに向けて、まずは電気自動車に触れる機会を提供することで、
潜在的なe:Nシリーズのオーナーを増やそうとという試みも伺えると思います。

何れにしても、自動車メーカー側が主導して販売店の改革に乗り出すということは、非常にエネルギーがいるわけで、
まさに電気自動車を本気で売る体制を構築しようとでもしなければ、絶対に手をつけることがない話でもありますので、
個人的には、この点において、やはりホンダがどれほど電気自動車に対して焦りがあり、
だからこそ、極めて迅速な行動で、電気自動車への移行を進めてようとしているのではないかと感じる、ということですね。
EVに最も舵を切っている日本メーカーは間違いなくホンダです
ちなみに、その販売体制だけでなく、その電気自動車の量産体制についてもホンダはさらに動きを進め、
DongfengとGACとホンダとの合弁会社は、
それぞれ、今回のe:Nシリーズ用の電気自動車専用の生産工場の建設をスタートし、
2024年から、そのe:Nシリーズに最適化された専用の生産工場の操業もスタートするということですので、
何れにしても、ホンダが極めてスピード感を持って、
完全電気自動車100%時代への対応を始めて来ていることが、おわかりいただけたのではないでしょうか?
このように、今回ホンダが中国市場において発表してきた、さらなる電動化戦略について、
特に新型電気自動車専門ブランドであるe:Nシリーズを立ち上げながら、
早速、e:NP1とe:NS1という新型電気自動車を、来年である2022年の春から発売をスタートするということで、
特に中国市場で採用されていく電気自動車専用プラットフォームであるe:N Architectureを採用し、
その電気自動車のコアテクでもあるバッテリーについても、
すでにパートナーシップを締結している中国最大のCATLから調達しますので、
その調達コスト、および、その500kmを超える航続距離をはじめとして、
電気自動車としての質には、一定程度注目に値すると思います。

しかしながら、今回のホンダの発表において最もクリティカルな部分であるのが、
その一定の質が担保された電気自動車を、本気で売っていくための販売体制の変革であり、
特に、電気自動車を専門に取り扱うディーラーを配備することによって、
構造上電気自動車を売るメリットがないが故に、
いくら質の高い電気自動車を開発しても、結局販売台数につながっていかないという大問題に真正面から取り組んでいるわけであり、
したがってこの点からも、やはり現状日本メーカーの中で、最も電動化の波をシリアスに捉え、
急速に準備を進めているのは、間違いなくホンダであると確信することができましたので、
是非とも日本メーカーの1つとして、
現在恐ろしいほど爆速で電動化が進んでいる中国市場のシェアを失わないように、
さらに矢継ぎ早に電気自動車の施策が上がってくることに、期待していきたいと思います。

逆に、いくら質の高い電気自動車を開発したとしても、
果たしてその量産体制はどれほどを確保することができているのか、
さらに、いくらその量産体制を確保したとしても、
肝心の販売体制が、電気自動車を売る体制になっていなければ、絶対に電気自動車で成功を収めることはできませんし、
その販売体制の改革に手をつけることができるのかが、
その自動車メーカーの電気自動車に対する本気度を占う、一つの判断材料になっていくことでしょう。
From: Honda(China EV strategy)、Honda(Honda Sensing 360)、Honda(Partnership with CATL)
Author: EVネイティブ