【自動車産業のアップルはテスラ?】アンドロイドはスマホ業界の巨人 ホンハイが新型EVを3車種も発表へ! 

Foxconn(ホンハイ精密工業)

iPhoneの製造メーカーであり、世界最大の電子機器メーカーであるホンハイ精密工業が、この直近にも新型電気自動車を3車種も発表してくるという、衝撃的なリーク情報が報道されました。

1000社を超える合同プロジェクト「MIH」

まず、今回のホンハイ精密工業、通称フォックスコンに関してですが、台湾の電子機器メーカーであり、

特に世界最大の企業であるアップルの主力商品である、iPhoneの受託生産を行なっているわけなのですが、

そのフォックスコンについては、昨年である2020年の10月中にも、

今までの電子機器受託製造という事業ともに、いよいよ電気自動車事業に参入するという大方針を発表し、

特に、Made In Honghai、通称MIHと名付けられた電気自動車専用プラットフォームを公開してもきたのです。

今回のMIHプラットフォームについては、

電気自動車の車体部分というハードだけでなく、その電気自動車のバッテリーマネージメントシステムをはじめとする、

付随する様々なソフトウェアを一元的に管理することもでき、

そして、このプラットフォームは完全にオープンソースとして、そのほかの自動車メーカーや部品サプライヤーにも広く公開することによって、

このプラットフォームを採用するパートナーを広げることができ、

実際に、現在EV事業において協力を得られたサプライヤーが、合計して1000社を大きく超えているともアナウンスされていますので、

何れにしても、

今回のフォックスコンの電気自動車事業に、世界中の電気自動車関連企業が名を連ねている、ということなのです。

日本電産とE-Axleの供給でパートナーシップ締結

ちなみに、特に我々日本メーカー勢についても、このフォックスコンとの提携関係を模索しているわけで、

中でも注目すべきは、様々な電子機器に搭載されるモーターのシェア世界ナンバーワンである日本電産と、

フォックスコンの電気自動車ブランドであるFoxtronが、

今後発売する電気自動車用のモーターやインバーター、そして減速機という、

電気自動車を動かすために必須の機構を一体にした、E-Axleの供給体制でパートナーシップを締結したという動きがあり、

すでに、中国国内で発売されている様々な電気自動車に、このE-Axleが搭載されている状況でもあります。

また、もともと日本電産が発表していた、E-Axleのラインナップの発売予定のタイムラインを見てみると、

最大200kWという高出力を発揮することのできる、Ni200Exというタイプについては、

再来年である2023年中にリリースされる予定であったわけなのですが、

なんとつい直近において、こちらも詳しく取り上げている最新EVである、

ジーリーの電気自動車専門ブランドのZeekrから、今月である10月中にも納車がスタートする001というプレミアムEVに、

そのNi200Exが初採用されてもいる

要するに、元々の開発のタイムラインを大幅に前倒しして、一気にE-Axleのシェアを拡大させているという、

日本電産の電気自動車マーケットに対する本気具合を感じていただけるのではないでしょうか?

Zeekr 001

新型EVを3種類も同時発表へ

そして、その日本電産とパートナーシップを締結し、電気自動車マーケットに名を連ねてきたフォックスコンについて、

今回新たに明らかになってきていることというのが、

中国の現地メディアが、Foxtronブランドの新型電気自動車のリーク写真を報道してきたということで、

それが、このクロスオーバーとセダンの中間タイプのようなフォルムをした車両ということで、

さらに同じメディアによれば、この新型電気自動車を含む、さらに2車種、

合計して3車種もの新型電気自動車を、10月の18日にも発表するのではないかという独自情報も発表してきているのです。

ちなみに、このFoxtronというブランド名が記載されているクロスオーバータイプの電気自動車を見てみると、

エクステリアのデザイン的には、韓国ヒョンデが発売しているクロスオーバーEVのIONIQ5であったり、

それこそ先ほどの日本電産のE-Axleを採用した、ジーリーのZeekr 001にも似通ったスタイルであると感じますが、

そのインテリアについては、このリーク写真を見る限り、

運転席正面に、超巨大なスクリーンが搭載されているように見受けられ、

運転席から車両中心までに至るほどの、

おそらく30インチはあるであろうサイズ感のスクリーンを、採用してきている可能性があり、

そのようなインテリアのモダンさを含めた先進性についても、非常に期待することができそうです。

中国EVスタートアップBytonのEVを量産をフォロー

また、そのフォックスコンがすでにアナウンスしている電気自動車関連のタイムラインを見ていくと、

今年である2021年内にも、すでにプロトタイプをお披露目しているバスタイプの電気自動車の他にも、

さらに2車種もの電気自動車のプロトタイプを発表するとしていましたので、

おそらくその2車種のどれかに該当しているものと推測することができそうです。

さらに、このフォックスコンの電気自動車のタイムラインを読み進めていくと、

来年である2022年中にも、

すでに発表している電気自動車バスの発売を正式にスタートさせるという爆速のタイムラインを表明しながら、

中国の電気自動車スタートアップであるバイトンの、

フラグシップSUVであるM-Byteの生産をスタートさせるということで、

実はバイトンに関しては、NIOやXpengとともに、極めて期待されていた中国勢の電気自動車スタートアップの1つであったものの、

その量産まで行き着くのに、資金が足りずショートしてしまい、

完全な倒産状態ではないものの、大多数の従業員をレイオフし、

その量産体制を構築するために資金集めに奔走していたわけなのです。

しかしながら、そのバイトンを救ったのが、今回のフォックスコンであり、

資金を援助しながら、さらにその生産も請け負ってしまうことによって、

いよいよ超高級志向であるM-byteの生産にこぎつけることができる、ということなのです。

ちなみにこのM-byteに関しては、中国国内の販売だけでなく、

ヨーロッパ市場においても発売することをすでにアナウンスしてもいましたので、

おそらくですが、ヨーロッパ市場へも、予定通り出荷される公算が高いとは考えられます。

EV生産工場を建設&買収

さらに、今回のフォックスコンに関して直近で話題となっているのが、

そのFoxtronブランドで発売される新型電気自動車であったり、

さらには、それ以外の新興電気自動車スタートアップの車両の受託生産などを行うための車両生産工場を、

東南アジアのタイとアメリカ国内に、それぞれ建設することもアナウンスし、

2023年には、その車両生産工場で、実際の生産をスタートさせてしまうという爆速のタイムラインすら表明してもいますので、

まさに電気自動車の生産のために、その生産体制という足元固めをスタートさせてもいる、ということになると思います。

ちなみに、その2つの車両生産工場とは別に、

アメリカの電気自動車スタートアップであるLordstown Motorsの保有していた、アメリカオハイオ州に位置する車両生産工場を、

なんと日本円にして、およそ263億円で買い取ってしまい、

そのオハイオの工場でもFoxtronブランドの電気自動車であったり、

さらには、今回工場を売却してしまい、すでに2021年中の生産をアナウンスしていた、

Enduranceというピックアップトラックの生産すらも引き受けてしまうという、

先ほどのバイトンであったり、アメリカのEVスタートアップであるFiskerの電気自動車の生産など、

スタートアップが設計開発した電気自動車の、実際の生産を一手に引き受けてしまう、

まさにスマートフォン事業であるiPhoneの受託生産のビジネスと非常に酷似したビジネスモデルを、

電気自動車マーケットにおいても確立していこうとしているのかもしれません。

Lordstown Endurance

CATLの株式を保有し、電池調達の足固めへ

しかもその上、電気自動車の大量生産において最も重要であると言える、大容量のリチウムイオンバッテリーの調達体制に関してですが、

世界最大のバッテリーサプライヤーである中国のCATLに対し、日本円に換算して、およそ1600億円もの投資を行い、

そのCATLの株式の1.19%を保有することによって、

今後の熾烈さを極めるバッテリー調達戦争において、優位に進めていこうとする考えも示唆されていると思います。

From: Taiwan News

最後に、駄目押しで付け加えれば、

このフォックスコンに関しては、その車両生産、およびバッテリー技術に対しても、

先進的なテクノロジーを一挙に採用していこうという考えも明らかにし、

まず、その電気自動車の車両生産において採用する最新のテクノロジーとして、ギガキャスティングという、

ボディ部分を、一つのパーツとして一体成形してしまうという鋳造方法であり、

このギガキャスティングの採用によって、

溶接パーツの大幅削減、それによる取り付け人員の数や、ロボットの導入数を大幅に削減することができますので、

よって、車両生産におけるコスト低減を中心に、もちろん複数のパーツを溶接する必要もなくなるわけですから、

その分車両品質も格段に上がっていくわけですし、

そもそも溶接パーツを削減することができれば、その分軽量化にもつながり、

したがって、電気自動車においてマストな、航続距離をより向上させることもできてしまうのです。

したがって、このボディの一体成形であるギガキャスティングを、すでにテスラが導入し始めているわけですし、

今後フォルクスワーゲンなど、その生産体制を抜本的に見直してきている自動車メーカーについても、その導入が検討されているのです。

トヨタよりも早い全固体電池の量産!?

また、バッテリーの最新技術に関しても、

今回のフォックスコンについては、なんと3年後である2024年までに、固体電池の商業生産をスタートするとアナウンスしてきているということで、

したがって、このタイムラインというのは、

全固体電池の開発競争でトップランナーであると目されているトヨタよりも早いタイムラインであるわけなのですが、

今回のトヨタについては、すでにその計画の遅れを認め、

電気自動車用の全固体電池については、未だ開発の目処が立たないため、

ごく少量の搭載バッテリー容量で済むハイブリッド車への搭載を、2020年中盤までに市販するとアナウンスしてきています。

ただし、今回のフォックスコンの個体電池については、

全固体電池であるAll-solidではなく、個体電池であるSolid State Battery

したがって、その電解質が完全に固形化されているというよりも、半固体である可能性も考えられますので、

その市販化のタイムラインだけを取り上げて、フォックスコンのバッテリー技術を評価するのは時期尚早であるとは思います。

しかしながら先ほども紹介している通り、

フォックスコンはバッテリー開発においてCATLと協業関係を提携しており、2024年と断定してきていることからも、

一定程度商用化への筋道が立っていることが推測可能ですし、

そのバッテリーの材料についても、正極側にはLMNOというマンガン系の正極材を採用しながら、

負極側にはシリコンベースの負極材を採用する、

つまり、そのエネルギー密度という観点では非常に期待することもできそうですので、

したがって固体電池というのは、まあマーケティング商法の一環であり、

実際は、電解質がゲル素材の半固体でありながら、

正負極材の改良によって、業界最高水準のエネルギー密度であったり、安全性を達成してくる計画なのではないかと考えたほうがいいでしょう。

ホンダとFoxconnがタッグを組むかも

そして最後に、今回のフォックスコンの電気自動車関連ニュースについて、我々日本人として気になるのが、

なんと日本の自動車メーカーであるホンダとパートナーシップを締結して、

何かしらの形で、協業してくる可能性があるのではないかという報道であり、

こちらに関しては、SAKISIRUというニュースサイトが報道している内容となっていて、

本メディアにおいては直近でも取り上げ、

その電気自動車に対して全振りし始めている日本で唯一のホンダが、

近々にも、フォックスコン側とトップ会談を開催するのではないかという情報となっているのです。

こちらに関しては、やはり現状、本格的な電気自動車専用プラットフォームを有していないホンダとしては、

やはりグローバルに展開する電気自動車の開発サイクルを、なるべく短縮していきたい狙いがあると考えられ、

したがって、すでにオープンプラットフォームを有しているフォックスコンと提携し、そのMIHプラットフォームを採用してしまえば、

より開発サイクルの短縮、および開発コストを低減することができますので、

現状、アライアンスにも躊躇しないと、パートナーシップ構築も辞さない方針であるホンダとしては、

まあ悪くない話ではありそうです。

そして、特にフォックスコン側にしてみれば、

現状の事業拡大規模に対応するためには、全く人材が不足している状況であるわけで、

特に、ホンダが現在行なっている技術者の早期退職によって、その人材獲得を狙っているのではないか、と指摘されており、

さらにホンダについてはアメリカ国内に、その自動車販売の強みを持ってもいますので、

そのホンダの知見などをうまく吸収したい思惑があるのではないかと見られています。

したがって、もしかしたら実際にホンダとフォックスコン側の会合がうまくいけば、

来年のどこかのタイミングで、何かしらの協業のアナウンスを行ってくる可能性すらあるわけですので、

何れにしても、この電気自動車に急速に舵を切ろうとしている日本のホンダがフォックスコンと協業し、

今後日本で発売するホンダの電気自動車に、フォックスコンのMIHプラットフォームを採用してくる、

なんてこともあるのかもしれません。

EV界のアンドロイドになるために

このように、現在極めて熾烈さを増している電気自動車マーケットにおいて、

既存の自動車メーカーだけでなく、異業種からの参戦も相次いでいるわけであり、

特に今回フォーカスしたフォックスコンに関しては、市場が停滞するスマートフォンの受託生産の事業だけでなく、

電気自動車100%時代となるにつれて、猛烈に市場規模を拡大していく電気自動車マーケットに一気に参入し、

特に電気自動車専用プラットフォームを、1000社を超えるパートナー企業とともに、一気にシェアを拡大していこうという、

電気自動車のプラットフォーマーとして昇華していくために投資を行い、

実際に、車両生産工場や最新技術を採用し、

その新型電気自動車を一気に市場に投入してくるということが、おわかりいただけたのではないでしょうか?

何れにしても、フォックスコンに関しては、現状の電気自動車市場について、

スマートフォン界のiPhoneはテスラであるが、スマートフォン界のアンドロイドとしての地位を確立するという目標のもと、

一気に電気自動車市場へ、圧倒的な物資量を引っさげて、異業種参戦してくるわけですので、

果たして電気自動車時代において、どれほどの既存自動車メーカーが生き残ることができるのか、

そもそも2021年現時点においても、いまだにまともな電気自動車を1車種も展開することができていない日本メーカー勢が、生き残ることができるのか、

世界の爆速の動きを見れば見るほど、

地に足をつけて、なんて言ってる場合ではない、ということですね。

From: Auto Home(Foxtron EV leak)MIHFoxconn(partner with Nidec)Foxconn(partner with Lordstown)Sakisiru(Foxconn & Honda)Taiwan News(Foxconn & CATL)

Author: EVネイティブ