中国のBYDの最新のバッテリー技術であるBlade Batteryを、なんとテスラに供給する可能性が浮上し、
しかもその供給開始時期が2022年前半と、その発売が待望されている、260万円で購入可能な通称モデル2へ採用されるかもしれないというかなり衝撃的な可能性についてを、
それによって推測される電気自動車としての質を含めて、最新情報を徹底的に解説します。
マスク生産で世界シェアトップ?
まず今回のBYDに関してですが、すでに中国を代表とする自動車メーカーであり、電気自動車という観点でも、すでに何車種ものラインナップ、
しかもそのどの車種についても、極めて質の高い電気自動車に仕上がっていますので、
まさに今後の中国の電動化を率いていくリーディングカンパニーなのですが、
それ以上にBYDの強みというのは、多様な事業展開を行なっているということで、
例えば中国市場を発端として、昨年である2020年の初頭から世界的に猛威を振るい続けているCovid-19によるパンデミックにおいて、
当初その急増するマスクの需要によって、世界的な品薄状態が続いていたことは記憶に新しいと思いますが、
その際に、BYDはマスク生産に乗り出し、まさにパワープレーでもって、
なんとその当時世界最大のマスク生産企業となってしまった、なんてことがあったのです。
また、自動車事業とは言っても、ただ単に乗用車セグメントを手がけているだけでなく、バスやタクシーといった商用車セグメントでも大きなシェアを確立し、
すでに我々である日本市場においては、特に電気自動車バスがいたるところで導入が始まっていますし、
さらにタクシーに関しても、
すでに中国国内においては、大量のBYD製の電気自動車タクシーが導入されながら、海外にも展開を加速している最中であり、
例えばイギリスのロンドンタクシーが導入を進めていたり、
我々である日本市場においても、京都の都タクシーが、M3という三列目シートを搭載した、最大7人乗りの電気自動車タクシーを導入していたりと、
実はすでに日本においても、中国BYD製の電気自動車が街中を走り回っている状況でもあるわけなのです。
BYDの最新技術であるBlade Battery
そして、そのBYDについては、電気自動車におけるコアテクでもあるリチウムイオンバッテリーの生産事業も手がけているということで、
しかもその事業規模は、中国のCATL、韓国のLGエナジーソリューション、そして日本のパナソニックという、
車載バッテリービッグ3に続く、第4番目の生産キャパシティを誇っているという、
何れにしても、多角的な事業展開を行うBYDというのは、
そのどの事業を撮ってみても、その規模という意味において、すでに世界最高水準のスケール感を達成しているということなのです。
しかしながら最も重要なポイントというのが、
その全ての事業において、ただ単純にスケール感だけではなく、その質においても非常に優れているということで、
まずはその電気自動車事業における質については、特にそのBYDのフラグシップセダンであるHanを筆頭に、非常に質が高いのですが、
その電気自動車事業とともに、バッテリー事業の質についても極めてレベルが高く、
特に、そのBYDが昨年である2020年の3月末に発表してきたのが、Blade Batteryと名付けられた、新たなバッテリー技術となっているのです。
それではそのBYDの最新のバッテリー技術であるBlade Batteryについて、そのスペックを簡単に紹介していきたいのですが、
まずは、その搭載バッテリーのセルの形状に関してですが、角形のバッテリーセルの形状を採用していて、
そもそも電気自動車には主に3種類のセルの形状が存在し、
例えばテスラについては一貫して円筒型のバッテリーセルを採用していたり、日産リーフについては、ラミネート型の形状を採用しています。
Cell to Packによって業界最高水準の質を達成
次に、そのバッテリーセルの種類に関してですが、こちらはLFPと呼ばれる種類を採用し、
とにかく安全で高寿命であり、そして安価に調達することが可能であるというメリットを持ち、
特にその安全性という観点で言えば、充放電回数は3000回以上を耐えることが可能であり、
したがってその耐用可能航続距離に変換してみると、なんと120万km、場合によっては160万kmにも達する、
したがって、100万マイルに匹敵するということから、ミリオンマイルバッテリーと呼ばれたりもしています。
さらに、このLFPである角形のバッテリーセルを、実際に搭載する方法も先進的であり、
それがCell to Packと呼ばれる新たなバッテリ搭載方法となっていて、
通常電気自動車におけるバッテリーの搭載方法というのは、まずは最小単位としてのバッテリーセルが存在しますが、
それをいくつか組み合わせることによってモジュールという中間単位を構成し、
さらに、そのモジュールをいくつか組み合わせることによって、最終的なバッテリーパックを構成するわけなのですが、
その中間単位であるモジュールを撤廃する、
つまり、バッテリーセルをそのまま直接バッテリーパック内に敷き詰めてしまうことによって、
そのモジュールがなくなった分だけ、より多くのバッテリーセルを詰め込みことができたり、そのモジュール分の重さを軽減することが可能となります。
したがって、そのLFPの最大の弱点でもあるエネルギー密度の低さをカバーすることができ、
例えば、今回のBYD製のLFPバッテリーのエネルギー密度というのは、そのバッテリーセルレベルにおいて166Wh/kgでありながら、
そのCell to Pack技術を併用することによって、最終的なパックレベルでのエネルギー密度を140Wh/kgまで引き上げることができていて、
例えばすでに同じようにLFPバッテリーとCell to Pack技術を併用し、私自身も所有している中国製のテスラモデル3スタンダードレンジ+の、
パックレベルでのエネルギー密度というのが125Wh/kgですので、
そのモデル3に搭載されている、車載バッテリー事業のリーディングカンパニーでもある中国CATLのバッテリーよりも、
エネルギー密度という観点で優れているということが、おわかりいただけると思います。
Blade Batteryは極めて安全です
ちなみにですが、Blade Batteryの大きな強みというのは、その安全性の高さとなっていて、
先ほども説明した通りLFPについては安全性が高いというメリットを説明してはいましたが、
それでもバッテリー発火が全く起こらないわけではもちろんなく、
そのBYDが示してきた、バッテリーに針で穴を貫通させ、その上に卵を置いておくというバッテリーの安全性を検証するテスト結果を見てみると、
まず一番左側のNMCという、日産リーフをはじめとして世界の多くの電気自動車に採用されているバッテリーセルの種類については、
バッテリーが貫通した場合、バッテリーが発火し、その表面温度は500度を超えてしまい、もちろん上に乗せてある卵は吹っ飛んでしまっています。
次に、真ん中のただのLFPバッテリーについてですが、バッテリーが貫通した場合、やはりその安全性の高さの強みとして、
バッテリーからの発火は確認されなかったものの、そのバッテリーの表面温度は、200度から400度と大変危険なレベルにまで温度上昇してしまい、
そのバッテリーの上に乗せておいた卵は真っ黒焦げになってしまったようです。
しかしながら一番右側である、LFPを採用し、なおかつCell to Pack技術を併用したBYD独自のBlade Batteryについては、
バッテリーが貫通してしまったとしても、もちろんバッテリーからの発火などは確認されないどころか、
そのバッテリーの表面温度は30度から60度と、特段危険な温度上昇すら確認されず、
そのバッテリーの上においておいた卵は、なんと調理されもしなかったという、
この検証実験からも、ただでさえバッテリーの発火リスクが低いLFPだからではなく、
Blade BatteryというBYD独自のバッテリー技術によって、よりその安全性が高まっているということが示唆されている、ということですね。
テスラがBYDの最新バッテリーを購入?
そして、このようなBYD製の質の高いBlade Batteryについて、今回新たに明らかになってきていることというのが、
テスラがそのBlade Batteryの供給を受ける可能性があるということで、
こちらは現地である中国のCLSというメディアが、独自に報じてきたということになっていて、
そのCLSによれば、来年である2022年の第二四半期、4月から6月中にもBlade Batteryが供給される、
つまり、Blade Batteryを搭載したテスラ車が生産されるということになるそうなのです。
ただし今回の情報に関しては、CLS側が独自ソースとして、いくつかの内部情報をベースにしているだけですので、
BYD側やテスラ側が正式にアナウンスしているわけではないということを念頭に入れて欲しいのですが、
もし仮にこのリーク情報が正しかった場合、なんとバッテリーサプライヤーでありながら、
自動車メーカーとして競合でもあるBYDから、テスラがバッテリーの供給を受けるということになり、実は極めてインパクトが大きいということにもなりますし、
何よりも電気自動車のリーディングカンパニーでもあるテスラも認めるほどの性能であるということも示唆されますので、
何れにしてもこちらの続報に関しては、この直近のテスラの動きの中でも、最も注目に値する動向の1つになるかとは感じます。
Blade Batteryはモデル2用になるかも
それでは今回のBYDのBlade Batteryを、テスラのどの車種に導入してくるのかという点についてですが、
そもそも論として、現在テスラが中国市場で生産しているモデル3とモデルYのエントリーグレードであるスタンダードレンジ+とスタンダードレンジに関しては、
そのどちらも、中国CATL製のLFPバッテリー、およびCell to Pack技術を併用して採用しており、
しかもその上、そのCATLとテスラとのパートナーシップというのは、この直近で大幅に更新され、2025年の12月まで契約が延長されてもいますので、
何れにしても、モデル3とモデルYへの導入は、まず考えられないと思います。
したがって中国製ではなく、アメリカのフリーモント工場で生産されているモデル3のスタンダードレンジ+、
さらには現在ラインナップされてはいないものの、モデルYのスタンダードレンジについても復活させて、
それらにBYD製のBlade Batteryを輸入してくるのではないかとも推測することができそうですが、
やはりテスラに関してはそのコストダウンのために、サプライチェーンのローカライゼーションをトッププライオリティとしており、
確かにそのコストの低さや安全性に魅力のあるBlade Batteryであったとしても、
わざわざ中国市場からアメリカ本国にバッテリーを輸入するとは考えにくいですので、この線についてもやはり極めて可能性は低いと思います。
そうなると、やはり現状ラインナップされている車種にではなく、
新たにラインナップされる車種に、そのBlade Batteryを採用してくるのではないかということで、
それが、テスラが現在目下開発を進めている、ミッドサイズセダンのモデル3よりもひと回りコンパクトなサイズ感である、
コンパクトハッチバックタイプとなるであろう、通称モデル2用のバッテリーとなるのではないかと推測されているのです。
実は以前、その通称モデル2のプロトタイプの生産開始時期が、なんと今年である2021年末からスタートし、
そして、来年である2022年のどこかのタイミングでもって、本格的な量産を開始してくるのではないかというリーク情報を発信してはいましたが、
そのリーク情報と今回のリーク情報におけるタイムラインというのは、奇しくも一致してしまいますので、
やはりテスラから発売される260万円で購入可能な、ゲームチェンジャー的な電気自動車となるであろう通称モデル2が、
やはり来年である2022年中、もしかしたら2022年の6月までには、本格的な量産が開始されるのではないか、
もしかしたら同じような時期には、実際にその発売がスタートしてしまうのではないか、ということなのです。
モデル2はモデル3と同等レベルのEVの質を達成か
もちろん現状では、推測の域を出ることはありませんが、もし仮にテスラモデル2が、今回のBYD製のBlade Batteryを搭載してきた場合、
その電気自動車としての質、特に航続距離に関しては、現状のモデル3よりも多少少ないバッテリー容量であったとしても、
そのモデル3に搭載されているCATL製のバッテリーよりもエネルギー密度は上ですので、
もしかしたらモデル3スタンダードレンジ+と同等の航続距離や充電性能を達成しているのではないか、
つまり満充電あたり航続距離が、高速道路を時速100kmでクーラーをつけても達成可能であるというような、実用使いにおいて最も信用に値するEPAサイクルにおいてでも、
概ね400km程度を達成しながら、
その充電性能に関しても、80%まで充電するのに、おおよそ25分程度という短時間で充電を完了させることができるのではないか、
しかもその上、仮にバッテリーへの深刻な損傷が起こってしまったとしても、
バッテリーからの発火事故というのも、極めて少ないような安全性の高さ、
さらには、そのバッテリー寿命という観点においても、最長160万km程度を耐用することが出来るような、
極めて耐久性が高いというアドバンテージにも期待することが出来る、ということですね。
このように、一部のメディアが報じてきた、中国の自動車メーカー兼バッテリーサプライヤーであるBYDが、その独自開発し、極めて質の高いバッテリーであるBlade Batteryを、
なんと来年である2022年の第二四半期中にも、強豪であるはずのテスラに供給するのではないかというリーク情報を取り上げ、
こちらのリーク情報については、確かにBYD側がすでに、今回のBlade Batteryについては外販する用意があるとアナウンスしながらも、
それとともに、直近において同じくリークされているテスラの新たなモデルとして、
コンパクトハッチバックセグメントとなるであろう通称モデル2の生産開始時期のタイムラインと、おおよそ合致してしまうということ、
したがって、そのBlade Batteryに関しては、既存のモデル3やモデルYに採用するのではなく、モデル2に採用してくるのではないか、
よって、そのモデル2の電気自動車としての質は、もはやモデル3と遜色のないスペックを達成しながら、
そのコストパフォーマンスという意味においては、そのモデル3をも上回ってくるほどの圧倒的なコスパの高さを実現してくるのではないか、ということになりそうです。
Blade Battery搭載モデル2は、ズバリ2022年前半生産開始!?
何れにしても今回のリーク情報というのは、まだ推測の域を出ることはありませんが、
今回のBlade Batteryを採用するしないに関わらず、通称モデル2が遅かれ早かれ市場に導入されるのは確定していますし、
やはりテスラ周りの情報を詳しく分析すればするほど、当初の想定よりも早い、
具体的には、2022年の前半までには実際の生産がスタートしてしまうのではないかというのが、現状の私自身の推測となりますので、
こちらの推測が当たるのかについては、今後の最新動向も含めてわかり次第アップデートしていきたいと思いますし、
それとともに、やはり今回のBYDを筆頭とする中国の電気自動車、およびバッテリー技術というのは、明らかに加速度をつけて成長していますので、
こちらの進化にワクワクするとともに、これらの中国勢が日本を侵略し始めると想像するだけで夜も眠れないのは私だけでしょうか?
Author: EVネイティブ
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