【中国電動化最新動向「2021年8月」】EVが爆売れしすぎて、ハイブリッド車の時代は訪れなさそう
中国市場における、最直近である8月度の電気自動車の販売台数が速報され、
歴史上最高の電動化率をまたしても更新するという、
想定を大幅に超えるスピードで、電気自動車市場が成長していることが明らかとなってきました。
中国では5台に1台がすでに電気自動車です
まず、今回の中国市場における電動化状況については、
特にCovid-19によるロックダウンが解除されてからというもの、一気に販売台数が増えていたということもあり、
本メディアにおいては、毎月、その電動化状況をアップデートしていたわけですが、
ついに最直近である8月度の電気自動車の販売台数、および、その中国国内の電気自動車の人気の車種が明らかとなってきましたので、
今回は、その世界最大の自動車マーケットである超大国中国市場の電動化の最前線を、一気に解説していきたいと思います。
まず、結論から申し上げて、8月度の電気自動車の販売台数に関してですが、
日産リーフやテスラなどの、搭載された大容量のバッテリーに充電して貯められた電力のみで走行する完全な電気自動車と、
その外部電力を充電できるバッテリーとともにガソリンエンジンも搭載し、両方を併用して走行することができるプラグインハイブリッド車の合計が、
28万6514台という、中国数千年の歴史上ぶっちぎりの販売台数を更新してきてしまったということで、
しかもその上、この中国市場については、年末にかけて電気自動車の販売台数が一気に増えていく傾向もあるため、
8月度というのは、前年同月と比較して3倍近い成長を達成してしまっている、
つまり、年末である12月度というのも、2020年度の3倍近い、
月間60万台近い販売台数に迫ってしまうのではないかと推測することができそうです。
また、新車販売全体に占める電気自動車の販売台数の比率を示す電動化率に関してですが、
こちらは、その販売台数の伸びをさらに超えて、驚愕の19%と、
伸び率が異常値を示しながら、こちらも歴史上最高の電動化率を達成し、
すでに自動車大国中国全体で売れている自動車のうち、5台に1台が電気自動車となってしまっているとイメージしていただければ、
もはや普通にデータを見ることができる方で、電気自動車時代の到来を否定する方は存在しないと思われます。
また、その電気自動車の中でも、プラグインハイブリッド車の割合が高いから、
完全電気自動車を購入していないのではないかと思われた方もいるかもしれませんが、
その日産リーフやテスラという完全電気自動車のみの電動化率も、驚異の15%と、10台に1.5台という割合にまで高まりながら、
逆に中国市場においては、プラグインハイブリッド車の割合はたったの4%、
つまり、完全電気自動車が圧倒的マジョリティを占めている、ということなのです。
あの電気自動車が中国トップの乗用車販売台数に君臨
それでは、その中国市場における電気自動車の人気車種を見ていきたいと思いますが、
まずこちらの人気車種ランキングトップ20には及ばなかったものの、注目に値するのが、
1755台を発売した、BYDのコンパクトハッチバックであるDolphinとなっていて、
特にその160万円程度から購入することのできるという、圧倒的なコストパフォーマンスによって、
初登場ながらかなりの販売台数を達成しましたので、
おそらく年末にかけて、トップ20の常連となっていることはまず間違い無いでしょう。
また、惜しくもトップ20から外れてしまっているのが、
Great Wall MotorのORAブランドのGood Catという、
同じくコンパクトハッチバックセグメントの完全電気自動車であり、
こちらも本メディアにおいては複数回取り上げている通り、非常に競争力のある値段設定、
特にその魅力的な内外装の質感も相まって、
徐々に人気を伸ばしながら、間も無くトップ20に食い込んでくることができるのかもしれません。
次に16位にランクインしてきたのが、フォルクスワーゲンのミッドサイズSUVであるID.4となっていて、
納車がスタートした4月以降については、その販売台数の伸び悩みを指摘されてはいたものの、
いよいよその販売台数が徐々に増加し、ランキングトップ20の常連となってきていますので、
さらに3列目シートを搭載した、大型SUVのID.6、そして間も無く納車がスタートするID.3とともに、
中国国内のフォルクスワーゲンのEV販売台数を、さらに押し上げることでしょう。
また、10位と11位にそれぞれランクインしているのが、
BYDのHan、そしてXpengのP7という両社のフラグシップセダンとなっていて、
どちらも6000台オーバーと、
競合車種であるテスラモデル3の、実に6倍近い販売台数を達成していますので、
この競合車種の圧倒的成功からも、
いかに中国市場における電気自動車競争が激しいのかが、お分かりいただけるのでは無いでしょうか?
そして、3位にはテスラモデルYが、発売をスタートした1月以来、コンスタントにランクインを続けているわけですが、
堂々の1位に君臨しているのが、
超格安小型電気自動車として有名な、Hong Guang Mini EVとなっていて、
その販売台数が、衝撃の4万台オーバーと、
電気自動車ランキングの中では、もうぶっちぎりの一位を突っ走っているわけですが、
なんと今月である8月度において、
ついに史上初めて、Hong Guang Mini EVが中国国内の自動車販売台数でトップに君臨した、
つまり、中国数千年の歴史上初めて、電気自動車が、内燃機関車を含めた全ての車種の中で、最も人気となりましたので、
このことからも、実はこの8月度というのが、
電気自動車マーケットにとって、いかに歴史的な月であったのかをイメージしていただけると思います。
中国でハイブリッド車、まだ売れ続けると思ってるの?笑
何れにしても、中国国内における電気自動車市場というのは、
すでに電気自動車が今後本当に普及するのかどうかを議論するフェースは、すでに終了し、
いつ完全電気自動車100%時代となっていくのかを議論するフェーズに突入してしまったわけですが、
問題は、この8月というのは、電気自動車の人気が急増する特別な月でもなんでもなかった、
逆に、年末にかけて、さらにその販売台数はうなぎのぼりに急増していく、
特に、テスラ車の中国国内への販売の集中、
半導体不足による、生産制限からの落ち着きを取り戻した、Hong Guang Mini EVのさらなる販売台数の増加、
および、間も無く発表される、さらに大幅に航続距離を伸ばした新型グレードの追加、
そして、BYDのDolphinやXpengのP5、それ以外の魅力的な小型セグメントの電気自動車などなどによって、
おそらくこのままいけば、12月度の電動化率は、この8月の19%を大きく超えて、
異次元の25%、いや、30%の大台に突入しているのかもしれません。
そして、そうであった場合、
とてもでは無いですが、2035年までに完全電気自動車などの新エネルギー車50%、残りの50%がハイブリッド車なんていう、
中国政府発表している目標を鵜呑みにして、
中国では今後もハイブリッド車が売れ続けるのだー、などと言っている暇があるのか、極めて疑問に感じますし、
その自動車大国である中国市場に対する日本メーカーの電動化戦略が、極めて遅い、ぬるいと感じてしまうのは、私だけでしょうか?
From: CleanTechnica
Author: EVネイティブ