ホンダが中国市場において、新型電気自動車としてヴェゼルに似たSUVタイプの電気自動車を正式に発表する可能性が報道されました。
中国マーケットではEV発売が急務
まず、今回のホンダに関してですが、
昨年である2020年に、我々日本市場を含めたグローバルに展開される、初めての本格量産電気自動車であるHonda eを発売し、
その販売台数はかなり厳しい状況ではあるものの、そのホンダの目指している、
2040年までに、グローバルで発売する全ての新車を、完全な電気自動車を中心とするゼロエミッションカーのみにするという大方針に向けて、
スタートダッシュを切ったわけなのですが、
実は、2019年度の世界全体における地域別販売割合のなんと3割を占めている中国市場においては、
そのHonda eより前から、複数の電気自動車をラインナップしてはいたのです。
中国メーカーの技術で作られたホンダEV
実際に、今回のホンダと、中国の自動車メーカーであるGACやドンフェンモーターの合弁会社から、
すでに完全な電気自動車を3車種も発売し、
特に今年である2021年の3月から発売がスタートしている、セダンタイプの完全な電気自動車のEA6については、
搭載バッテリー容量が58.8kWhという、ミッドサイズ級のバッテリーサイズを搭載し、
そのバッテリー容量に依存する、満充電あたりの航続距離に関しても、
中国市場において一般的に採用されているNEDCサイクルにおいて510km、
高速道路を時速100kmでクーラーをつけても達成可能であるというような、実用使いにおいて最も信用に値するEPAサイクルにおいてでも、
概算値とはなりますが、概ね400km程度を達成する公算で、
そして、その値段設定が、日本円に換算しておおよそ287万円程度から購入することができるという、
非常に競争力のあるコストパフォーマンスを実現していますので、
このように見てみると、実は電気自動車スタートアップが群雄割拠している中国市場においては、すでに実用的な電気自動車を発売しているのです。
ちなみにですが、こちらのEA6については、ホンダが独自に開発しているものではなく、
合弁会社であるGACの電気自動車専門ブランドであるAionが発売している、Aion Sという電気自動車セダンのプラットフォームをそのまま流用している、
いわばOEM供給的な車種となりますので、
ホンダが一から本気で開発してきた電気自動車ではない、という点は押さえておくべきですし、
実はこの点が、この後紹介するSUVタイプの新型EVの電気自動車としての質、
特に、世界最高の充電性能を発揮する可能性があるのではないかという推測の、一つの根拠となったりします。
しかしながら、このEA6の実際の販売台数という観点で見てみると、
最直近である8月度の販売台数は、たったの293台と、
中国市場で人気の電気自動車の月間販売台数である数千台、もしくは数万台という数値には全く届いていないのが実情であり、
その実用的にも見えるスペックを達成していたとしても、すでに電気自動車戦争が熾烈を極めている中国市場においては、
そのような既存の内燃機関車のモデルを、ただ電気自動車にリプレイスしたものでは通用していないということも、
同時に認識しなければならない点であると思います。
Honda SUV e-prototypeはホンダの本気EVになるか?
そして、そのような状況において、今年の4月にホンダが公開してきたのが、
新型電気自動車のコンセプトモデルと、今後の電動化戦略であり、
こちらは、中国上海で開催されていた上海モーターショーにおいて発表され、
その新型電気自動車以外にも、中国市場においては初となるプラグインハイブリッド車であり、
ミッドサイズSUVセグメントのCR-Vをベースに開発された、ブリーズPHEVの発表であったり、
ホンダの第三世代となる、次世代のインフォテインメントシステムであるHonda Connectという先進技術など、様々な新技術を発表してきていました。
そして、その中でも目玉となっている、その新型電気自動車に関してですが、
こちらは、Honda SUV e Prototypeと命名され、その名の通りプロトタイプとなりますので、
同じく上海モーターショーにおいてワールドプレミアが開催されていた、トヨタの新型電気自動車であるBZ4Xと全く同様に、
プロトタイプゆえに、その電気自動車としてのスペックはいまだに何もアナウンスされていない状況となり、
残念ながら、その電気自動車としての質を判断することはできなかったのです。
ただし、そのHonda SUV e:prototypeについては、その名の通りSUVセグメントに該当し、
おそらくこちらは、以前コンセプトモデルとして紹介されていた、
Honda SUV e conceptというコンセプトモデルからインスパイアされていることが明らかであり、
そして最も驚くべきは、その発売時期となっていて、
なんと来年である2022年の春と、もう半年後には、今回の電気自動車SUVのプロトタイプを実際に発売してくるということでしたので、
おそらく近いうちにも、その続報がアナウンスされる公算であったわけなのです。
ヴェゼルのEVバージョンの正式発表は、ズバリ10月21日?
そして、今回新たに明らかになってきたことというのが、
そのHonda SUV e:prototypeの、実際のプロダクションバージョンの正式発表がいよいよ行われるのではないかという報道が、
中国現地の複数のメディアから上がってきている状況となっていて、
その正式発表の時期というのが、なんと来月である10月21日に開催される武漢オートショー内において発表されるということで、
やはりその正式な発売が半年以内ということもあり、この情報はかなり信憑性が高いのではないかと考えられます。
それでは、今回のHonda SUV e:prototypeについて、
ホンダ側が絶対に抑えなければならない電気自動車としてのスペック、
さらに、最低限達成されることが期待されるスペックなどについてを徹底予測していきたいと思いますが、
まずは何と言っても、
電気自動車専用プラットフォームを採用することができているかという点が重要であると考えていて、
冒頭紹介した通り、すでにホンダに関しては、中国市場においていくつかの完全な電気自動車を発売してはいるものの、
それらの車種は内燃機関車と同じプラットフォームを流用して開発されているため、
その最終的な電気自動車としての質は、一から電気自動車専用に開発されている車種と比較すると見劣りしてしまい、
よってその販売台数を伸ばせていないということは、すでに周知の事実であるため、
今回のプロトタイプを、電気自動車として一から設計開発しているのかどうか、というポイントが、
このプロトタイプが実際に中国市場で売れるためには、マストであるわけなのです。
ただし、その中でもセダンタイプであったEA6に関しては、
電気自動車専門ブランドであるAionの開発した電気自動車専用プラットフォームを、そのまま流用して開発していますので、
よって、まずはホンダが電気自動車専用プラットフォームを採用してくるのか、
しかしながら、現状ホンダ自身では、SUVセグメント用の電気自動車専用プラットフォームを持ち合わせてもいませんので、
つまり、提携しているGAC傘下のAionの電気自動車専用プラットフォームを流用するのかが、
今回のHonda SUV e:prototypeに求められる必須条件である、
逆に、これまでの内燃機関車のプラットフォームを流用して発売されるのであれば、
その販売台数で成功することは絶対にない、ということなのです。
充電性能は世界最高を達成する可能性?
そして、仮に推測通り、Aionの開発した電気自動車専用プラットフォームを採用してきた場合、
おおよその電気自動車の質が推測できてしまうということであり、
そのAionの、特にSUVセグメントの車種というのは、
Aion Vという、今回のHonda SUV e:prototypeと同セグメントのミッドサイズ級のSUVが存在するのですが、
まずその搭載バッテリー容量が、最大80kWhという容量を搭載しながら、
それによる満充電あたりの航続距離が、NEDCサイクルにおいて最大600km、
最も信用に値するEPAサイクルですと、おおよそ400km程度になると思われますが、
何れにしても、この400km程度という航続距離が、一つの判断材料となってくると考えられます。
そして、最も注目しなければならないのが、
Aion Vについては、Aion V Plusという最新モデルとして、充電性能が極めて高いモデルがラインナップされるということで、
それが、最大充電許容出力が驚愕の480kW、空の状態から80%充電するまでに、たったの8分間という、
まさに異次元の充電性能を達成しているわけで、
こちらは以前から複数回にわたって取り上げていたわけですが、
もし仮に、Aion、特に同セグメントのAion V Plusのプラットフォームをホンダ側が流用してきた場合、
この正真正銘世界最速の充電性能が踏襲される可能性もある、
したがって、今回のHonda SUV e:prototypeの充電時間がたったの8分の、ゲームチェンジャーEVである可能性も捨てきれない、ということなのです。
EVの質だけでは売れることはない
何れにしても、
来月である10月中にも発表される公算であり、来年春の発売が決定しているホンダ初の電気自動車SUVが、
一体どのような電気自動車としての質を達成することができているのか、
特に、電気自動車専用プラットフォームを採用することによって、航続距離や充電性能の最適化を達成できているのか、
さらには、ホンダ自身も強調していた、
車両性能の無線アップデートシステムや大型のタッチスクリーンを採用することをはじめとする先進性の高さで、
現在人気の中国電気自動車スタートアップの電気自動車たちと、どれほどの競争力を達成することができるのか、
電気自動車としての質はまずまずながら、やはり販売台数が低迷してしまっているEA6の二の舞にならないためにも、
その充電インフラなどの販売戦略に至るまでのトータルの電気自動車戦略を含めて、そのホンダの本気に期待していきたいと思います。
From: Liberty Times Net、Autohome
Author: EVネイティブ
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