【もう誰も追いつくことはできないのか?】 7月度中国EV販売台数が急上昇&高スペックEVも登場
世界最大級の電気自動車マーケットに君臨している中国市場の、最直近である7月度の電動化率が速報され、歴史上最高水準の販売台数を達成しながら、
それと同時に、その中国国内の電気自動車の人気車種ランキング、特にテスラを大きく上回る販売台数を達成した新型EV、
そして、今後登場する新型電気自動車の最新情報なども含めて、その中国の脅威的な成長を一挙に解説します。
歴史上最高のEV販売台数を2ヶ月連続で記録
まず今回の中国市場に関してですが、現在ぶっちぎりで世界最大級の自動車超大国に君臨しながら、
それと同時に、現在世界で最も電気自動車の販売台数が多い電気自動車先進国としても、
その自動車マーケットを率いているという、まさにあらゆる面で強さを発揮しているのですが、
その中国市場における、直近の7月度の電気自動車の販売台数が速報されましたので、
今回は、その超大国中国市場においていったいどれほどの電気自動車が売れているのか、
さらには、いったいどのような車種が人気を博しているのかという最前線を徹底的に紐解きます。

まずはじめにその販売台数に関してですが、
日産リーフやテスラのような、搭載された大容量のバッテリーに充電して貯められた電力のみで走行する完全な電気自動車と、
既存のガソリンエンジンも搭載し、電気とエンジンを両方併用して走行することができるプラグインハイブリッド車を合わせた電気自動車の合計が、231162台と、
その前の月である6月度において、中国数千年の歴史上オールタイムレコードを記録した際と、ほぼほぼ変わらない販売台数を達成することになり、

前年同月と比較しても、倍以上の販売台数を達成し、
こちらの2020年度を示しているパープルのラインと、2021年度を示しているピンクのラインだけを見てみても、
明らかにその販売台数の伸びが加速度をつけて伸びているという、まさに圧倒的成長であるわけなのです。
また、その内燃機関車などを含めた、新車販売全体に占める電気自動車の販売割合を表す電動化率についてですが15%と、
なんと中国市場で発売している全ての新車の10台に1、2台は、すでに電気自動車として販売されているとイメージしていただければ、
その人気ぶりがとてつもないということがお分かりいただけると思います。

完全EVだけでも12%を達成
ちなみにですが、その電気自動車というカテゴリーの中でも、
日産リーフやテスラのような完全な電気自動車の販売台数についても、その電動化率はなんと12%と、
実は中国市場については、プラグインハイブリッド車の販売割合は圧倒的マイノリティであり、
基本的には完全な電気自動車がその販売の中心を構成、しかもそのシェア率は12%と、
すでに中国国内で販売されている新車全体のうち、10台に1台以上がリーフのような完全な電気自動車にリプレイスされてしまっているとイメージしていただいても、
その異常とも呼べる電気自動車マーケットの成長スピードを想像することができるのではないでしょうか?

また、中国市場に関してはご存知の通り、地域によって格差が深刻であり、
特に地方に行くと、現状電気自動車の充電インフラの脆弱さなども相まって、その電気自動車の販売台数の割合は低い傾向にあり、
その逆に、北京や上海、深圳などの超大都市においては、その電動化率はより高い、おそらく20%は超えてきていると思われますので、
つまりそのような超大都市圏においては、すでに新車の5台に1台が電気自動車となってしまっているという、
現在とてつもない電動化の波が、押し寄せていることでしょう。

そして、その先月である7月度をもって、ついに年初からの電気自動車の販売台数の累計台数が、昨年である2020年度の販売台数の累計台数を超えてしまった、
つまりたったの7ヶ月間で、昨年に記録した中国の電気自動車の販売台数を超えてきてしまっているという圧倒的成長を、
このグラフからも感じていただけるのではないでしょうか?

NIOは大衆車ブランドを立ち上げ、販売台数アップを目指す
さらに、この電気自動車の販売台数というのは、この2021年末にかけてさらに急拡大することは確実な情勢であり、
この中国市場に関しては、特に年末にかけて、その電気自動車の販売台数が伸びていくという傾向があり、
しかもその年末である12月などについては、現在中国市場においても存在感を高めているテスラの納車台数が急上昇するという月でもありますので、
おそらくsの12月度というのは、昨年12月度に記録した9.4%という電動化率の倍以上、
もしかしたら、電動化率驚愕の20%という大台に迫るか、もしくは超えてしまう、
要するに、中国市場で販売されている新車全体の5台に1台が電気自動車にリプレイスされている可能性すらありますので、
いよいよ自動車大国である中国市場に関しても、電気自動車のS字カーブに突入することが決定的となるのではないでしょうか?

ここまでは、電気自動車先進国である中国市場が、いかにそのマーケットを急拡大させているのかという驚きの事実についてを、その販売台数の数値から見ていきましたが、
それではこの電気自動車の本場でもある中国市場において、一体どのような電気自動車が人気となっているのかを、
その実際の人気車種ランキングとともに一挙に紹介していきたいと思いますが、
まずはじめに18位にランクインしているのが、
中国の主要電気自動車スタートアップの1つであるNIOが発売している、ミッドサイズSUVのES6となっていて、
その販売台数は3669台と一定の販売台数を達成していますが、
やはりこのES6をはじめとして、NIOが発売している車種の価格帯というのは、このランキングトップ20の中でも、最も高価な部類に該当しているということもありますので、
そのNIOの販売台数という指標においては、仮に今後その生産キャパシティを増強してきたとしても、
そろそろ上限が見えてきてしまっているのではないかと想像することができてしまうのです。

しかしながら、この高級車メーカーであるNIOに関しては、
ついに直近の第二四半期の決算発表内において、大衆車ブランドをローンチすることを正式に公表し、
その大衆車ブランドについては、現状のトヨタとレクサスであったり、フォルクスワーゲンとアウディのようなブランド関係を構築することを目指すと説明され、
現在電気自動車スタートアップのボリュームセグメントである、概ね2万元程度、
日本円に換算して300万円程度の価格帯の大衆電気自動車を発売することをアナウンスしてきましたので、
そのNIO全体の販売台数を飛躍的に高めることができるのかに、特に今後発表されるであろう、その大衆車ブランドの電気自動車としての質にも、
同時に注目していかなければならないと思います。

苦戦中のフォルクスワーゲンは販売戦略を刷新
次に、この人気車種ランキングに初登場し、16位にランクインしてきたのが、
ES6と同じくミッドサイズSUVセグメントに該当する、フォルクスワーゲンのID.4となっていて、
その販売台数が3867台と一定の販売台数を記録することができましたが、
実はこのID.4に関しては一部メディアにおいて、その販売台数の低迷が伝えられていて、
実際問題として、発売がスタートしてから2、3ヶ月間については、確かにスロースタートな立ち上がりではありましたが、
もちろんその生産体制が増強しながら、特に現在中国フォルクスワーゲンについては、その電気自動車の販売体制を抜本的に見直し、
特に電気自動車を購入するポテンシャルを秘める層が多い都市部のショッピングセンターなどに、新たに専門の販売店を設置し、
既存のディーラー網に関しても、特定の店舗をピックアップして、電気自動車の知識をしっかりと有した人員をしっかりと配置することによって、
現在発売されている、このID.4を皮切りとする、フォルクスワーゲンの一連の電気自動車購入の機会ロスがないように、
その販売体制を電気自動車時時代に合わせて見直している最中ともなっているのです。

何れにしても、特にテスラやNIOのような、ただ電気自動車としての質だけでなく、
先進性などの付加価値をセットにして販売促進している電気自動車専業メーカーに対抗するために、
すでに電気自動車に舵を切っているフォルクスワーゲンでさえ、非常に苦労しながら電気自動車への移行を進めている最中でもありますので、
ただ既存メーカーが、電気自動車マーケットが盛り上がりを見せてきたから、
今までの内燃機関車で通用してきたビジネスモデルを流用して、電気自動車にソフトランディングしようとしたところで、
今までのように電気自動車が売れることはないという事実が、今回のフォルクスワーゲンのID.4の販売台数によって、図らずも浮き彫りとなってきたと思いますし、
裏を返せば、今その厳しさを味わいながらも、その電気自動車時代により早く順応した方が、おそらく生き残る確率は上がる、
強いものが生き残るのではなく、変化し続けるものが生き残り続けるという不変の真理を、
フォルクスワーゲンは理解して、素早くEVシフトを粛々と進めていると捉えることが可能なのではないでしょうか?

Xpengの猛攻は今後さらに続きます
次に、7位と8位にそれぞれランクインしてきたのが、
BYDのフラグシップセダンであるHanと、XpengのスポーツセダンであるP7となっていて、
どちらも6000台程度という販売台数を達成し、
なんとそのすぐ上には、テスラのミッドサイズセダンであるモデル3が見えているという、
何れにしても、特にXpengのP7については、その極めて高い電気自動車としての質、
および自動運転技術や車両性能の無線アップデートといった、その先進性の高さによって、
すでに発売をスタートしてから1年以上が経過しているのにも関わらず、
その販売台数がさらに上昇し始めているという、その伸び代の高さを伺うことができると思います。
BYD Han Xpeng P7
また、特にそのXpengについては来月である9月から、いよいよそのP7よりもさらに安価なミッドサイズセダンであるP5の発売を正式にスタートしてもきますので、
この中国EVスタートアップの筆頭でもあるXpengの快進撃は、今後も留まることを知らないでしょう。

ちなみにモデル3に関してですが、この7月度に関しては主に中国国外に輸出を集中させている月でありますので、
この8月や9月度については、1万台を大きく超えて、ランキングトップ3にランクインしてくることは間違いない情勢であるとは考えられます。
モデル3よりも売れた小型EVも登場
そして、販売台数第3位にランクインしているのが、チャンガンオートモビルズが発売しているBenni、別名BenBen E-starと呼ばれたりもしますが、
全長3770ミリ、全幅1650ミリという、日本で言うところの軽自動車に近しいサイズ感のコンパクトハッチバックであり、
32.2kWhというコンパクトなバッテリー容量を搭載しながら、
その航続距離は、中国で一般的に採用されているNEDCサイクルにおいて301kmを達成、
高速道路を時速100kmでクーラーをつけても達成可能であるというような、実用使いにおいて最も信用に値するEPAサイクルに変換してみても、
200km程度は確保することができているという、シティーカーとしては必要十分なスペックを備えています。

そしてその値段設定というのが69800元、日本円に換算しておよそ118万円という、極めて価格競争力の高い値段設定を実現することができているため、
実際問題として8701台という、
競争の激しい中国の電気自動車マーケットにおいても、第3位という販売台数を達成することができているのです。
Hong Guang Mini EVの支配はまだまだ続きます
そして、この直近の7月度において最も人気のある電気自動車に君臨したのが、あの有名な超格安小型電気自動車であるHong Guang Mini EVとなっていて、
日本円に換算して50万円以下で購入することができるという、その驚異的な値段の安さで話題とはなっていますが、
その販売台数が、驚愕の3万台オーバーと、もはや2位にトリプルスコアをつけているという圧倒的な販売台数を達成することができていますし、
何よりすごいことというのが、このHong Guang Mini EVを製造しているWulingブランドによれば、
現状の生産台数である月間3万台程度という数値は、現状の半導体不足の影響によって制限されてしまっている数値であり、
今後その生産体制を、月間5万台にまで高めていきたいとすら説明しているくらいですので、
何れにしても、このHong Guang Mini EVの支配は今後も長期にわたって続いていくことでしょう。

ここまでは中国市場においてどのような電気自動車が人気であるのかについてを、一挙に概観していきましたが、
それでは、今年である2021年末から2022年にかけて、一体どのような新型電気自動車が注目されているのかについて、
その最新動向を一挙に紹介していきたいと思います。
Mercedes EQB
まずはじめに、もう間も無く発売がスタートするのがメルセデスのミッドサイズSUVであるEQBとなっていて、
EPAサイクルにおける航続距離がおおよそ374kmを達成しながら、
何と言ってもこのEQBに関しては、現在の電気自動車のラインナップにおいては完全にブルーオーシャンである、3列目シートを搭載した7人乗りという仕様ですので
このメルセデスの7人乗りのSUVが、どこまで販売台数を伸ばすことができるのかには注目せざるを得ませんし、
ちなみにこのEQBに関しては、来年である2022年中にも北米市場に導入されることもアナウンスされていますので、
特に3列目シートが待望される北米市場における、その最新動向についても注視していく必要があると思います。
Mazda CX-30 EV
また、日本メーカーであるマツダが、先ほどのChanganとの合弁会社から発売する、CX-30の電気自動車バージョンについても、おそらくその発売が秒読み状態であるそうで、
全長が4410ミリ、全幅が1852ミリと、クロスオーバーセグメントに該当し、
61.1kWhというミッドサイズのバッテリー容量を搭載しながら、
その満充電あたりの航続距離がNEDCサイクルにおいて450km、最も信用に値するEPAサイクルにおいて概算値とはなりますが、おおよそ315km程度を達成する見込みとなります。
そしてその値段設定は、私がリサーチした限り今だに公表されていませんが、果たして強豪ひしめくミッドサイズSUVセグメントにおいて、
この内燃機関車であるCX-30を電気自動車にリプレイスしたというモデルで、どの程度の販売台数を達成することができるのかに、
注目していかなければならないとは思います。

BYD Dolphin
そして最後に取り上げたいのが、以前にも紹介した、BYDのコンパクトハッチバックであるDolphinとなっていて、
特にBYDの最新型バッテリーであるBlade Batteryを採用した、e-platform3.0という最新の電気自動車専用プラットフォームを採用しながら、
その最適化によって、搭載バッテリー容量を45kwh弱しか搭載していないのにも関わらず、NEDCサイクルにおいて401kmを達成してきているという、
それこそ先ほどの61.1kWhというバッテリー容量を搭載し、NEDCサイクルで450kmしか達成することのできていないCX-30と比較しても、
明らかに電気自動車としての最適化に成功していることが見て取れるでしょう。

そしてその値段設定についても、エントリーグレードで185万円程度、上級グレードでも219万円程度から購入することができてしまいますので、
特にそのBlade Batteryの持つ安全性の高さも相まって、このDolphinがランキングトップ20に入ってくることは時間の問題であると思います。
何れにしてもこのように、現在の中国市場における電気自動車の最新動向、
特にどのような車種が人気であり、そして今後どのような電気自動車が人気となっていくのかに関してを一挙に解説していきましたが、
その電気自動車としての質だけをとってみても、
すでに中国製電気自動車というのは、世界最高水準の質を達成していることはもはや疑いようがありませんので、
果たして今だに質の高い電気自動車を1車種も市場に導入していない日本メーカー勢が、
この成熟し始めている中国の電気自動車マーケットで、そのシェアを挽回することができるのか、
はたまたフォルクスワーゲンのように、EVシフトに合わせて、その販売体制やメーケティング手法を抜本から見直すことをせずに、
惰性で電気自動車を売り続け、気がついたらすでに中国メーカーの足元にも及ぶことができなくなっていた、なんて未来を迎えてしまうのか、
日本メーカーの懸命な判断を期待することしかできません。
From: Clean Technica
Author: EVネイティブ