【EVガラパゴスではダメなんです《Part 2》】ノーベル賞受賞者が警鐘「日本はガラパゴス&崖っぷち」

ボルボ

すでに2030年までに発売する全ての車両を完全な電気自動車のみにすると表明していたボルボが、その供給体制を確固とするために、バッテリー生産工場の建設を表明しましたが、

なぜ日本市場が、電気自動車にコミットする必要のないガラパゴス化に突き進んでしまっては、まずいのかに関してを、

リチウムイオンバッテリーの生みの親でもあり、ノーベル賞も受賞した吉野彰さんの言葉とともに徹底的に解説します。

2030年までに電気自動車以外を完全撤廃へ

まずボルボに関しては、中国の自動車グループであるジーリーグループの傘下に所属しているのですが、

そのボルボと、さらに高級電気自動車ブランドであるポールスターとともに、現在強力にその電動化を推進している最中であり、

特に注目に値するのが、もちろん電気自動車専門ブランドであるポールスターに関しては、今後も完全な電気自動車しか発売することはないのですが、

ボルボに関しても、なんと9年後である2030年までには、発売する全ての車両を完全な電気自動車のみにするという大方針を発表し、

Volvo XC40 Recharge

すでにボルボ初の完全な電気自動車であるXC40 Rechargeを昨年である2020年に発売しながら、今後は1年に一台のペースで完全な電気自動車をラインナップしていくという、

その年間70万台程度の販売規模である自動車メーカーとは思えないほどの、アグレッシブな電動化戦略を提示してきてもいるのです。

ちなみに、今年である2021年の秋からは、コンパクトクロスオーバーEVであるC40 Rechargeを、我々である日本市場においても購入することができますので、

特にその先進的な所有方法であるサブスクリプション制という所有方法とともに、現在日本市場においては、最も注目するべき電気自動車の一台ともなっています。

C40 Recharge

NorthVoltとタッグを組んでバッテリー内製化へ

そして、そのような状況において今回新たに明らかになってきたことというのが、

そのボルボが、今後の完全電気自動車時代に備えて、その最もコアテクであり、それと同時に、そのコストを決定づけるリチウムイオンバッテリーの内製化にコミットするために、

自社でバッテリー生産工場を立ち上げる方針を示してきたということで、

そして、そのバッテリー生産に関して、ボルボは同じく北欧であるスウェーデンに本拠地を構えるバッテリーサプライヤーであるNorthVoltとパートナーシップを締結し、

今後のバッテリー生産体制を構築していくことを表明したのです。

まず今回のアナウンスには、大きく4つの注目すべきポイントが存在し、

まず第一に、その最新のバッテリー技術を研究開発するバッテリーの研究開発センターを、来年である2022年中に、スウェーデンにおいて操業をスタートさせるという点であり、

次に第二のポイントが、現在NorthVoltが目下建設中である独自のバッテリー生産工場であるNorthVolt Ettという工場から、

規模にして15GWh分というバッテリーを、2024年から購入するという契約を締結したということで、おそらくこちらのボルボに供給される分に関しては、

すでにボルボとともに操業しているバッテリー研究開発センターにおける、最新のバッテリー技術を採用しているバッテリーということになりそうですので、

NorthVolt Ettは100%再エネで稼働予定

特にその2024年以降に導入されるボルボとポールスターの電気自動車からは、いよいよボルボが内製化したバッテリーを搭載してくることになる、

つまり、そのボルボの威信をかけた電気自動車となりそうですので、

この点にも注目しながら、2024年以降に発売される電気自動車としての質にも注目していく必要がありそうです。

50GWh級のバッテリー生産工場建設へ

そして、今回の発表の肝となる第三のポイントが、

そのNorthvoltと出資比率が半々である合弁会社を立ち上げて、自社でバッテリー生産工場を立ち上げるという計画を表明してきたということで、

こちらはヨーロッパ市場のどこかに建設されるとのことですが、今だにその具体的なロケーションは決定しておらず、

その操業開始時期についてですが、5年後である2026年からの操業スタートを予定しており、

そして最も特筆すべきは、その生産キャパシティであり、年産で50GWhという生産キャパシティを見込んでいますので、

例えば、GMのバッテリー生産工場である30GWh級のバッテリー生産工場が2つ、合計して60GWhという生産キャパシティに迫るような規模感となります。

最後に、第四のポイントというのが、

その内製化されたバッテリーを搭載した初めての車両が、ボルボの最も売れ筋の車種であるミッドサイズSUVであるXC60の電気自動車バージョン、

おそらくXC60 Rechargeという名称の電気自動車になるという点であり、

やはりそのような売れ筋商品を電動化するためには、自社で内製化したバッテリー、

つまり、XC60 Rechargeのために最適化されたバッテリーセルを採用する必要があると、ボルボ側が考えているのではないか、と推測することができそうです。

すでに2030年までに必要なバッテリー量を確保完了!?

そして今回のアナウンスによって、ボルボは自社で完全内製されたバッテリーである50GWh分と、自社のバッテリー技術が含まれた、NorthVoltからの供給分である15GWhを合わせた、

65GWhというバッテリー生産量を、実質自社内製化したことになり、

仮に、その電気自動車1車両につき100kWhという大容量のバッテリーを搭載した場合、年間にして、65万台もの電気自動車を生産することができ、

Volvo Car Group and Northvolt to join forces in battery development and production

この数値というのは、ボルボの2019年度におけるグローバルの年間生産台数である70万台という数値の大半を賄うことができ、

ここにポールスターの電気自動車も加算されますが、おそらく全車に100kWhという大容量バッテリーを搭載する可能性も低いと考えれますので、

全てを勘案してみると、もはやこの段階でもってボルボに関しては、

今後発売していく電気自動車のほぼ全てに、自社内製されたバッテリーを搭載することができる供給体制を確立したことになりましたので、

やはり何れにしても、その自動車メーカーが本気で電気自動車にコミットしているのかを判断する最も分かり易く、そして最も明確な指標というのが、

そのバッテリーの供給体制、特に内製化されたバッテリーの供給体制をどのように確保してきているのかですので、

その意味において、今回のボルボに関しては、まさに電動化に対して本気の姿勢が示されているというわけですね。

もちろん今後増大するEV需要によって、
ボルボ全体の販売台数も伸びていく可能性は十分想定可能

リチウムイオン電池の生みの親が鳴らす警鐘

本チャンネルにおいては当初から一貫して同じことを発信し続けていますが、電気自動車にいざ本気でコミットしようとしても、

そのコアテクでもあり、既存の内燃機関車でいうところの内燃エンジンでもあるリチウムイオンバッテリーの供給体制、

そしてそれの独自内製にコミットしなければ、世界で戦える質の高い電気自動車を量産することは絶対に不可能であると断言することができますし、

そしてこちらに関しては、その電気自動車におけるコアテクであるリチウムイオンバッテリーの生みの親でもあり、2019年にノーベル化学賞も受賞した吉野彰さん全く同様の主張を行ってもいて、

特に現状の日本の電池メーカーと電池素材メーカーは、グローバルの競争において崖っぷちに立たされていると主張しながら、

その大きな原因となってしまっているのが、日本市場における電気自動車の販売台数の圧倒的低迷であり、

中国や欧州、そしてバイデン政権の後押しで今後急激に伸びていくであろうアメリカ市場と比較して、日本市場は完全にガラパゴス状態であるという認識を示し、

その電気自動車が売れない状況に、大きな警鐘を鳴らしているのです。

From: 日本経済新聞

勝ち抜けおじさんたち、本当にこのままでいいんすか?

何れにしても、本チャンネルにおいて一貫して主張しながら全く理解してもらえない、

なぜ日本市場だけハイブリッド車でもいいのだというガラパゴス理論が、全くもってナインセンスでトンチンカンな意見であるのか、

それは、ただ単に自動車メーカーのグローバルの競争力を失うだけにとどまらず、

今後の電気自動車戦争において最もコアテクであるバッテリー戦争に参戦しない、つまり不戦敗を表明していることと同義であり、

パナソニックなどをはじめとして、そのようなバッテリーサプライヤー、さらにはそのバッテリーの素材を取り扱う周辺メーカーにも大打撃を与えてしまい、

結果として、日本市場がさらに加速度をつけて没落していくことを意味しますので、

とにかくこのガラパゴス化がなぜ長期的に日本にとって最悪のシナリオであるのかを是非とも日本人一人一人が理解し、

自分たちの世代は逃げ切れるからと、臭い物に蓋をするという「勝ち抜けおじさん」になるのではなく、

我々にような若者世代、さらにはその先の世代という「子々孫々のため」に、

今すぐに、あらゆる日本人が総力を結集して、このガラパゴス化を脱却するアクションを取るべきなのではないでしょうか?

From: Volvo日本経済新聞

Author: EVネイティブ