【2022年、ついにEV凍死事故は起きるのか?】高速道路のドカ雪立ち往生 EVが内燃機関車よりも安全である決定的な理由

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昨シーズンに発生してしまった、豪雪による高速道路上の大量の車の立ち往生の一件に関して、

その反省を生かして、NEXCO中日本が立ち往生を想定した訓練を実施しましたが、特に電気自動車用の移動式急速充電器も導入しました。

ドカ雪立ち往生でEVは危険の声多数

まず、今回の大雪による大規模な車の立ち往生に関してですが、

昨年である2020年の12月16日から18日にかけて、東京と新潟を結ぶ、交通の大動脈でもある関越自動車道において、

大雪によって、最大2100台にも上る車両が立ち往生してしまい、

その解消に2日程度を要してしまったという、かなりショッキングなニュースで、

実際にそのドライバーたちが、数km先のサービスエリアまでトイレに行くだとか、食事休憩をしに行くだとか、

本当にカオスな状況が報道されていました。

また、この立ち往生は2021年になっても同じく発生してしまい、

今度は、北陸自動車道においても、1月9日から12日にかけて、2地点累計で1800台という大量の車両が立ち往生となってしまい、

その直近で発生した関越自動車道の一件と全く同様に、その解消にとてつもない時間を要し、

ドライバーに負担をかけてしまっていた、という報道がされていました。

そして、今回の大雪による立ち往生に際して、その自動車における立ち往生の安全性について、様々なメディアが記事を投稿しているのですが、

その中でも特に多かったのが、

仮に、電気自動車において立ち往生が発生してしまった場合、その危険性がさらに増し、

最悪の場合、凍死にまで至ってしまうのではないかという、かなりアグレッシブな論調であり、

特に2035年までの電動車100%を政府側が打ち出していた直後ということもあってか、

これらの報道を見た、電気自動車を所有していない方から、

その電気自動車の危険性について指摘する声が相次いでいたということなのです。

よって、このような報道の中に含まれている決定的な間違いについてを動画に取りまとめ、

なぜ電気自動車であったとして、内燃機関車と同じような安全性、

むしろ電気自動車の方が安全な可能性すらあるという内容を解説し、

すでに再生回数が5万回を超えているということもあり、様々な反響があったわけなのです。

内燃機関車はエンジンをつけないと暖房使えません

今回は時間の関係上、全てを解説することはありませんので、

詳しい計算方法などの検算については、以前の動画を参照することをお勧めしますが、

まず第一に、内燃機関車の暖房というのは、

走行中において、ガソリンを燃やした際に排出される熱を暖房に回すということになりますので、

走行中においては、通常なら待機中に放出される無駄な熱を使用することができるという点で優れているのですが、

なぜか多くの方が誤解しているのが、

停車中も、その排熱を利用できると思っているという点であり、

つまり、アイドリングストップしておかなければならない

言い換えれば、内燃機関車が暖房を使用する場合は、必ずエンジンを作動させておかなければならない、ということになります。

大前提として、一般財団法人省エネルギーセンターによると、

日産エクストレイルやマツダCX-5などの、特に雪国で重宝される4輪駆動をラインナップしたSUVなどで一般的である、

2000ccという排気量の車種の場合、

暖房を使用しながらアイドリングをし続けた場合、10分間で消費する燃料というのは250cc

つまり、1時間暖房をオンにして、アイドリング状態のままの場合、1.5リットルもの燃料を消費するということになり、

エクストレイルやCX-5の燃料を満タンにした場合、おおよそ60Lという容量な訳ですから、

仮に満タン状態から立ち往生がスタートしたとしても40時間

より実用上の使用用途をイメージするために、容量が半分の30リットルしか残されていなかった場合は、

20時間しか暖房をつけることができない、

要するに、

内燃機関車というのは丸一日、車内で暖房をつけて過ごすことができない、

ということになるのです。

ヒートポンプで消費電力量を大幅抑制

それに対して、電気自動車ではどうなのかというと、

もちろん電気自動車はガソリンエンジンを搭載しておりませんので、

内燃機関車のように、排熱を暖房として利用することができず、

例えば、PTCヒーターをはじめとして、新たに熱エネルギーを生成しなければならないわけですので、

特にこれが、電気自動車の弱点ともなっていて、

実際に、すでに発売されている、初代日産リーフや旧型のテスラモデルS、モデルX、そして2020年10月付近までに納車されているモデル3に関しては、

特に暖房を使用した場合、一般的に、航続距離が30%以上程度悪化してしまいます。

しかしながら、例えば私の所有している2013年以降の日産リーフや、現行型のモデル3などでは、

ヒートポンプと呼ばれる、先ほど説明した熱エネルギーを一から生成するPTCヒーターと比べても、

外界から熱を集めるという特性上、エネルギー消費量を抑制することができる、

つまり、航続距離への影響を幾分抑えることが可能となっていて、

日産リーフの場合は、初代と比べても30%ほど航続距離を改善することができた、と日産側が主張していたり、

PTCヒーターを搭載した旧型のモデル3が、

外気温が3度の状態で、暖房を21度に設定した場合、2170Wという電力量を消費していたのに対して、

ヒートポンプを採用した現行型のモデル3では735Wと、

その消費量を、圧倒的に抑えることが可能というデータが上がってきており、

例えば、その私自身も所有している、現行型のモデル3の消費電力量で計算してみると、

モデル3の搭載バッテリー容量の、実際に使用可能なバッテリー容量はおおよそ55kWh程度となりますので、

満充電であれば、おおよそ70時間以上

そして、先ほどの内燃機関車であったエネルギー残量半分の状態を仮定していますので、これをモデル3に当てはめてみると、

それでも、35時間以上、故に1日半ほどは、

電気自動車においても、暖房を21度に設定した状態で過ごすことができるのです。

From: Bjorn Nyland

また、私の所有しているモデル3というのは、エントリーグレードの、より搭載バッテリー容量が少ないグレードであるわけで、

先ほど比較した内燃機関車はAWDグレードの設定があったということを考慮すれば、

AWDグレード設定のあるロングレンジグレードをチョイスするのがより公平であるわけですから、

その場合、ロングレンジの搭載バッテリー容量は、概ね75kWh程度

したがって、仮にバッテリー残量が半分の状態で立ち往生がスタートしたとしても、

おおよそ51時間程度はバッテリーが持つ、

つまり丸2日間は、電気自動車において暖房を使用したまま立ち往生をしのぐことができてしまう、ということなのです。

したがって、この時点においても、

2021年に発売されている電気自動車が立ち往生にあったとしても、丸2日分くらいは、

暖房をつけたまま寒さをしのぐことができる、ということがお分かりいただけたと思いますが、

それではヒートポンプを搭載していない電気自動車が立ち往生したらどうするんだ、という類の反論が想定されますが、

例えば、先ほどの旧式のモデル3の消費電力量であった2170Wで計算してみると、

バッテリー残量が50%から立ち往生した場合、それでもおおよそ17時間と、

つまり、先ほど計算してみた、内燃機関車の暖房使用可能時間であった20時間程度と大差がない

ということになるのです。

シートヒーターの併用でさらなる籠城も可能

まず、ここまでの情報を冷静に考えていただければ、

もはや、内燃機関車だろうと電気自動車だろうと、アイドリング時という条件であれば、暖房を使用可能な時間がそこまで変わらない、

むしろ最新のヒートポンプシステムを採用していれば、倍以上の時間、籠城作戦を敢行することができる、

ということがイメージできたかと思いますが、

さらに電気自動車の強みを挙げていくと、それは、シートヒーターを利用できるという点で、

現在発売されているほとんどの電気自動車には、シートを温めてくれるシートヒーター機能が搭載されていて、

先ほども説明したように、電気自動車は内燃機関車とは違い、ガソリンエンジンからの排熱を暖房に使用することができず、

ヒートポンプであろうと、バッテリーの貯められた電力を使用しなければなりませんので、航続距離が悪化してしまい、

それを少しでも和らげるために、体と接しているシートを温めることによって暖房の使用量を抑える

もしくは暖房の設定温度を低く抑えることができ、

こちらのヒートシーターの消費電力量は、例えば私の所有する日産リーフの場合はおおよそ100W

さらにシートヒーターを強にして、ナビなどの電装系も込み込みで、倍の200Wと仮定しても、

私の所有するリーフの搭載バッテリー容量が40kWh、その半分の残量である20kWhから立ち往生したとしても、

なんと100時間も籠城することができ、

先ほどのモデル3ロングレンジであれば、185時間以上

つまり1週間以上も、車内に立てこもることができるのです。

もちろん大前提として、人間のエネルギー補給手段、

つまり、食料などが確保できないというような遭難状態ですと、

残念ながらシートヒーターをつけようが、餓死に至るとは思いますが、

今回の立ち往生の話でいけば、最悪、食料の配給サービスは割と早くに開始されていますので、

シートヒーターをつけておけば、最低限の暖をとることができる、

少なくとも、今回の一件で話題となっている、

凍死、命を守るための基準、などというショッキングな記事内容にはどう考えても至らない、

むしろ、内燃機関車の方こそ、凍死のリスクがあるというタイトルに変更した方がいい、ということですね。

ちなみに、シートヒーターということであれば、内燃機関車もシートヒーターを使えばいいのではないかと思われた方がいると思いますが、

残念ながら、内燃機関車は暖房であろうがシートヒーターであろうが、ガソリンエンジンを作動させなければ、電力を生成することができませんので、

シートヒーターを作動させるためにもエンジンをつけるという挙動には、なんら変わらないのです。

内燃機関車は凍死だけでなく「窒息死」にも注意

そして、さらに駄目押しで付け足してしまうと、

今申し上げた、暖房やシートヒーターを使った籠城作戦というのは、電気自動車だからこそ可能であって、

内燃機関車には絶対にできないという点が、最もクリティカルなポイントであるわけで、

というのも、内燃機関車が立ち往生してしまった場合、真っ先に考えなければならないのが、一酸化炭素中毒の危険性で、

こちらは、内燃機関車の排気口、マフラーが雪などによってふさがってしまうと、

車外に放出されるはずの一酸化炭素が、車内に充満してしまうからで、

今回のニュース映像などでも、数時間おきに、そのマフラーの周りを除雪するために、

極寒の中、車外で作業を行っていた映像を思い出していただけると思います。

つまり、豪雪によって立ち往生に出くわした場合、

排気ガスを一切排出することのない電気自動車と比較しても、

むしろ内燃機関車の方が、その一酸化炭素中毒による窒息死に恐れなければならず、数時間おきの除雪、

そして、仮に雪が降っていなかったとしても、

もし仮眠を取っている間に雪が降ってきてしまった場合を考えてしまうと、

少なくとも私がその立ち往生の当事者であれば、絶対に安心して眠りにつくことなどできませんので、

何れにしても、車内で暖房を作動できたからといって、凍死の心配はないから安心、

などと安堵することできないと思います。

From: 東海テレビ

移動式充電器で電欠時にも対応可能

そして、このような大雪による立ち往生に関する、電気自動車と内燃機関車の安全性の前提知識を押さえた上で、

その全シーズンの反省を生かして、高速道路の管理会社でもあるNEXCO中日本が、立ち往生を想定した訓練を行なってきているということで、

その中でも注目に値するのが、

電気自動車が仮に立ち往生し、先ほど解説したような状況を超えるような立ち往生に出くわしてしまったとしても、

電欠を起こさないようにするために、

発電機搭載の、移動式の電気自動車用の急速充電器を導入したということで、

したがって、例えば今回の立ち往生において、

電欠してしまった場合の車両をレッカー移動しなくても、

移動式の急速充電器で充電することで、立ち往生解消後の車の退出をスムーズに行うことができるのです。

From: Yahoo News

また、それを言い出すと、それはこのような移動式のトラックが通行できる状態のみ可能、

つまり、立ち往生が解消され、実際に滞留していた車両が高速道路上を退出するときにしか使えず、

結局は、立ち往生中の電気の充電はできないので、やはり給油できる内燃機関車の方が有利なんだー、

と難癖をつけてくることが想定されるわけですが、

こちらに関しても、小型の蓄電池搭載の移動式の充電器がすでに発売されているわけであり、

したがって、よく電気自動車懐疑論に散見されている、

立ち往生の際に、携行缶に入れたガソリンを給油するだけでエネルギー補給ができる、という、極てニッチな問題点についても、

すでに電気自動車においてはソリューションが複数存在している、

故にこのことが、内燃機関車が電気自動車よりも優位な点であるから、

電気自動車を雪国で使えない、という論理には、全く適用することのできないロジックである、

ということなのです。

From: EVsmart

一般的に電気自動車は内燃機関車よりも安全です

したがって、電気自動車の運用において、豪雪地帯では、

仮に立ち往生に出くわしてしまった場合、最悪凍死してしまうので使い物にならない、命に関わるという主張というのは、

そもそも、内燃機関車と比較しても、2021年に発売されている電気自動車の方が、

暖房をつけることができる時間が長い場合が多い、

また電気自動車であれば、シートヒーターを活用することが可能であるため、

理論上は、100時間を大幅に超えて暖をとることが可能、

暖房とシートヒーターを交互につけるという、実際の運用に落とし込んだとしても、

内燃機関車よりも、ずっと長い時間暖をとることが可能、

少なくとも、昨シーズンに発生した立ち往生の最長記録である52時間という時間は、

電気自動車であれば、暖をとりながらしのぐことができてしまう

しかも内燃機関車の場合は、一酸化中毒による窒息死の危険性が高いため、数時間おきに除雪を行わなければならず、

おそらくよほど肝が座っている方以外は、暖房をつけながら安心して睡眠をとることなど不可能、

それに対して電気自動車であれば、いくら暖房をつけていようが、窒息死の心配は絶対にありませんので、

救助を待ちながら、少し仮眠をとることは全く問題ない、

何れにしても、電気自動車と比較して燃料切れのリスクが高く、窒息死の危険性すらある内燃機関車と、

より暖をとることができながら、窒息死の危険性がない電気自動車と、

一般論として、果たしてどちらが安全であると言えるのか、

少なくとも私は、電気自動車以外を選択することはない、

とデータから断言することができます。

しかしながら、世の中にはこのように、そこまで難しくない算数やデータを信用しないで、

説得力がないと結論づけ、科学に耳を貸さない、

昨今のワクチン懐疑論者や地球温暖化懐疑論者のような、知性の劣化が散見されているわけでもありますので、

そのような方のためにも、今シーズン、特に気温が厳しい冬シーズンにおいて、

果たしてこの理論値が正しいのかどうかを、実際に雪山にでも行って検証していきたいと思います。

また、私が所有している電気自動車は、日産リーフ40kWhとモデル3スタンダードレンジ+という、

ミッドサイズ級のバッテリー容量しか搭載されていない、シングルモーター仕様の車種でありますので、

この日本にはびこる反知性主義に懸念されている方で、

特に、より大容量のバッテリーを搭載している、モデル3ロングレンジをはじめとする電気自動車を貸与していただける方は、

ぜひこちらの実証実験のためにご協力いただけると幸いです。

From: NEXCO東日本NEXCO中日本Yahoo News(NEXCO中日本の立ち往生訓練)

Author: EVネイティブ