【モデル3最高評価脱落?】韓国のIONIQ5が安全性5つ星を獲得 でもモデル3は最高評価を獲得できず
韓国国内における公式機関による、電気自動車の衝突安全性のテスト結果が公開され、その韓国ヒョンデの本気のEVであるIONIQ5が最高評価である5つ星を獲得した一方で、
テスラのモデル3が5つ星の最高安全評価を逃したという、かなり驚きのテスト結果について、
なぜ電気自動車の衝突安全性が高いのか、その中でも、この2車種の安全性の違いを細かく比較しながら、徹底的に解説します。
世界各国にある様々な車両安全テスト
まず、今回の車両の安全性テストに関してですが、
韓国の韓国建設交通部が主導して検証を行っている、KNCAPと呼ばれる、車両の衝突安全性能や衝突回避性能を検証した、総合的な車両安全テストとなっていて、
本メディアにおいては、諸外国の車両安全テスト、
例えば、アメリカの運輸省道路交通安全局、通称NHTSAが主導して検証を行っているテスト結果であったり、
さらには、ヨーロッパのEuro NCAPという車両安全テストの結果など、諸外国独自の車両安全テストを度々レポートしてはいました。
よって、その諸外国の車両安全テスト方法がどれほど異なっているのか、
つまり、その国々によって全く異なるテストを行っていた場合、
仮にその国のテスト結果では、最高評価の安全性を獲得することができているのにも関わらず、
別の国で検証を行ったら、最高評価の安全性能を証明することができなかった、などということが想定できてしまうのですが、
こちらの各国が実施している車両安全テストの具体的な方法を見てみると、
例えば、アメリカで実施されているテストについては、
対リジッドバリアフルラップ前面衝突試験、対ムービングバリア側方衝突試験、さらにはロールオーバー試験などの項目がありますが、
それこそ中国市場で導入されている、C-NCAPという車両安全テストについても、
対リジッドバリアフルラップ前面衝突試験に加えて、
その車両前方の、運転席側の一部分のみを衝突させるという、対デフォーマルバリアオフセット前面衝突試験も追加で行いながら、
ムービングバリア側方衝突試験も同様に実施するなど、
確かにその衝突スピードに関しては、わずかながら差があるものの、
基本的には主要先進諸国を見渡しても、似通った車両安全テストを実施しているわけなのです。
韓国版安全テストでEVを次々とテスト中
そして、今回フォーカスしたい車両安全テストというのは、お隣韓国の車両安全テストであるKNCAPであり、
こちらに関しても、対リジッドバリアフルラップ前面衝突試験、そして、対ムービングバリア側方衝突試験、
さらには、歩行者保護性能試験、ロールオーバー試験、
そして、ただ衝突した際の安全性だけでなく、その衝突を回避したり軽減したりするために、ブレーキ性能試験なども実施されます。
そのような背景において、今回新たに明らかになってきたことというのが、
そのKNCAP基準での、様々な電気自動車の車両安全テストの結果が公開されてきたということで、
特にその韓国市場においては、現在2種類の電気自動車が圧倒的な人気を獲得していて、
特にその韓国だけでなく、グローバルで最も売れている電気自動車に君臨し、私自身も所有しているテスラのミッドサイズセダンであるモデル3、
そして、その韓国の自動車メーカーであるヒュンダイ、日本語の発音でヒョンデと改名されていますが、
そのヒョンデがついに発売をスタートしているのが、
E-GMPというヒョンデグループが独自に開発した電気自動車専用プラットフォームを採用した、初のクロスオーバーEVであるIONIQ5という2車種となっていて、
特に後者のIONIQ5に関しては、本メディアにおいては、その世界最高の充電性能をはじめとして、
極めて高い電気自動車としての質を、競合車種と比較しながら絶賛してきましたし、
私自身に関しても、そのモデル3を手放した後に所有する電気自動車の筆頭候補の1つともなっています。
IONIQ5の衝突安全性は世界最高クラス
しかしながら、そのIONIQ5については、
ただ電気自動車としての質が高いからといって、「どーせ安全性を犠牲にしているだけだろー」であったりなどという、根拠を欠いたトンチンカンな批判が多かったですので、
それでは果たして、その韓国ヒョンデの本気のEV第一弾であるIONIQ5は、その電気自動車としての極めて高い質だけでなく、
その安全性についても、どの程度を達成することができているのかを、その韓国国内で採用されているKNCAPにおいて詳しく見ていきたいと思いますが、
まずはじめに、車両前面を全て壁にぶつける、対リジッドバリアフルラップ前面衝突試験についてですが、
フロントボンネット部分がその衝突におけるエネルギーを吸収しているように見え、94.4ポイントというスコアを達成し、
さらに、車両前面の一部のみを衝突させた、対デフォーマルバリアオフセット前面衝突試験については、
確かにその運転席側の、特に足回りが怪我をする可能性が指摘されているものの、そのスコアは90.3ポイントと、高い安全性を達成しています。
さらに、側方からの衝突を想定した、対ムービングバリア側方衝突試験については、
そのボディが大きく折れ曲がることなく、そのエネルギーを吸収しながら、車内のエアバッグによって乗員がしっかりと保護されていて、
実際にその運転席側の安全性は100点満点と、怪我をすることが全くないということになり、
さらに、同じく側方からの衝突テストでありながら、
特に車体を大きくへし折られてしまう可能性の高い、ポールにぶつけた試験についても、
このようにボディがへし折られることなく、しっかりと乗員を保護しながら、
その安全性のスコアについても97.5ポイントと、全く同様に極めて高い安全性を達成していることがお分かりいただけるともいます。
したがって、今回のIONIQ5の衝突安全性のテスト結果については、
全体として98.8ポイントを獲得し、もちろん5つ星を獲得することに成功しているのです。
そしてさらに、そのような衝突してしまった場合の安全性能を検証するだけでなく、
その衝突事態を回避する緊急ブレーキ性能などの、衝突回避性能をテストしたデータも存在しているということで、
流石に時速60km程度からの急な歩行者の飛び出しに対しては、緊急ブレーキが作動してはいるものの、
衝突を完全に回避することはできず、実際に衝突してしまってはいるものの、
こちらは別にIONIQ5だけに関わらず、ほとんど全ての車両が回避不可能でありますし、
通常の歩行者が飛び出す可能性の高い道路で、時速60kmで走行するドライバーの方が明らかな危険運転ドライバーであり、
実際問題として、今回の衝突回避能力に関するテスト結果に関しても、なんと95.9ポイントと、
こちらも先ほどの衝突安全テストと同様に、極めて高いスコアを達成しながら、もちろん5つ星の最高評価を獲得してもいます。
アコードやカムリよりも圧倒的に安全です
したがって、今回のIONIQ5の総合的な安全性に関しては、92.1ポイントという極めて高い安全性能を達成し、
確かにこのKNCAPにおける最も高い安全性能を達成している、
同じく韓国ヒョンデグループの高級車ブランドであるジェネシスのミッドサイズセダンであるG80の記録した、
97.3ポイントという極めて高い安全性には一歩及んでいないものの、
それでももちろん、5つ星の最高評価を獲得することができていますので、
何れにしても、電気自動車の質は高かったとしても、「その安全性は全く及んでいないのだー」という主張というのは、
残念ながら根拠のないトンチンカンな主張であるということが証明されたと思いますし、
それこそ日本メーカーの発売している、売れ筋の車種であるホンダのアコードは、3つ星の78.9ポイント、
さらにトヨタのカムリーであったとしても、5つ星を達成しながら88.3ポイントと、
IONIQ5にはわずかながら及んでいないというデータと比較してもても、
繰り返しとはなりますが、今回のIONIQ5の衝突安全性、そして衝突回避能力の高さを垣間見ることができたのではないでしょうか?
韓国製EVは燃えるから危ないと思ってるやつ、聞け
ちなみに、こちらは本記事の趣旨とはそれる格好とはなりますが、
この手の話をすると、120%の確率でコメントされることというのが、
「仮に電気自動車としての質や衝突安全性能が高かったとしても、韓国の車は燃えるので信用ならないんだー」という主張ですが、
確かに、今回のヒョンデが発売しているKonaという電気自動車は、以前複数回にわたって自然発火案件が確認されてしまっているものの、
その具体的な問題点を見ていくと、すでにその原因というのは、ヒョンデ側の問題ではなく、
その搭載バッテリーを製造している、同じく韓国のLGエナジーソリューション側のバッテリーセルの不良であることが、第三者機関の調査結果によって明らかとなっていて、
さらに、今回のIONIQ5に搭載されているバッテリーというのは、
その問題となっているLGエナジーソリューション製のバッテリーではなく、同じく韓国のバッテリーサプライヤーであり、
今まで深刻な自然発火案件を一度も引き起こしていないという、SKイノベーション製のバッテリーを採用している、
つまり、今回のIONIQ5の安全性を冷静に分析することができれば、
「IONIQ5は発火の危険があるので信用ならないんだー」という主張というのは、
トンチンカンというレベルを超えて、事実を直視することのできない情報弱者である、ということですね。
モデル3の衝突安全性はIONIQ5をも凌ぐスコア!
それでは、その韓国国内において同じく人気の電気自動車であるテスラモデル3についても、その車両安全テストの結果を見ていきたいと思いますが、
まずは、対リジッドバリアフルラップ前面衝突試験についてですが、フロント部分の乗員をしっかりと保護することに成功しながら、
やはりIONIQ5と同様に、前方にフロントトランクを搭載しているため、その空間がクラッシャブルソーンとなり、
そのボンネット部分に内燃エンジンをぎっしり搭載している既存の内燃機関車と比較しても、やはり乗員の安全をより確保することができるのです。
実際にその安全性については、96ポイントを獲得しながら、
さらに、車両前面の一部のみを衝突させた、対デフォーマルバリアオフセット前面衝突試験についても、
先ほどのIONIQ5が記録した90.3ポイントという数値よりもさらに高い、97.2ポイントと、極めて高い安全性を達成しています。
また、側方からの衝突を想定した、対ムービングバリア側方衝突試験については、
そのボディが大きく折れ曲がることなく、そのエネルギーを吸収しながら、車内のエアバッグによって乗員がしっかりと保護され、
実際にその運転席側の安全性は、先ほどのIONIQ5と同様に100点満点と、怪我をすることが全くないということになり、
さらに、同じく側方からの衝突テストでありながら、
特に車体を大きくへし折られてしまう可能性の高い、ポールにぶつけた試験についても、
このようにボディがへし折られることなくしっかりと乗員を保護できていて、
やはりこちらに関しては、大容量のバッテリーを車両底面に敷き詰められていることによって、
側方からの衝突に対して、ボディをしっかりと強固に作ることができているからであり、
その安全性のスコアについても93.5ポイントと、先ほどのIONIQ5の97.5ポイントよりかはわずかに劣るものの、
全く同様に、極めて高い安全性を達成していることがお分かりいただけるとも思います。
したがって、その衝突安全性の総合スコアについては、
なんと99.6ポイントと、ほぼ満点のスコアを叩き出すことに成功していますので、
このKNCAP以外の車両安全テストを実施している、アメリカのNHTSAであったり、Euro NCAPの試験結果と全く同様に、
やはりモデル3の安全性の高さには感心しますし、私自身も、今後も安心してモデル3を乗ることができそうです。
衝突回避能力はかなり悪いです、、
しかしながら、今回指摘しなければならない、そのモデル3の安全性能に関してですが、
この衝突安全性能以外の、例えば、歩行者保護性能であったり、
さらには、そのような衝突を未然に回避する衝突回避能力のスコアが、競合車種、
特に現在電気自動車のライバルとなっているIONIQ5よりもかなり劣ってしまっているということで、
特に後者の衝突回避能力については、先ほどのIONIQ5と同様に、かなりのスピードが出ている中においての歩行者等の飛び出しには、
流石に完全回避することができておらず、こちらはしょうがない点であると思う一方で、
この自転車の横断に対する緊急ブレーキ性能については、時速40kmというスピードだけではなく、
今回の検証の最も遅い条件である、時速20kmというスピードにおいてもその緊急ブレーキシステムでは回避することができず、
特に真ん中の時速25kmですら、自転車と接触する寸前に、ようやくブレーキが作動し始めているような挙動を示しているのです。
よって、その衝突回避能力を示すスコアについては、なんと59.5ポイントと、
先ほどのIONIQ5の記録した、95.9ポイントと比較しても、その衝突回避能力の低さが露呈してしまった格好となり、
したがって、全ての車両安全性能を総合したスコアについては83.3ポイントと、確かにギリギリ5つ星を達成するスコアを獲得してはいたものの、
今回のKNCAP側は、その衝突回避能力の明らかな低さを指摘し、スコア的には5つ星でありながら、総合的な評価としては4つ星であるとして、
その最高評価を与えなかった、ということなのです。
EVは内燃機関車よりも安全です
何れにしてもこのように、今回韓国市場における車両安全テストであるKNCAPによる検証によって、
その韓国国内で現在人気が高まっている電気自動車である、ヒョンデIONIQ5とテスラモデル3という2車種の安全性が、
まずはその衝突安全性については、そのどちらも極めて高い安全性能、
特に、電気自動車専用プラットフォームを採用していることによって、前方と側方からの衝突により強い設計を達成していることがお分かりいただけたと思いますし、
したがって、家族などを守るために、そのような衝突事故に備えてクルマ選びをするのであれば、
やはり一般的に電気自動車を選択したほうがいいということになりますし、
この点だけをとってみても、私が今後内燃機関車を所有することはない、ということですね。
また、モデル3に関しては、今回のKNCAPによるテストでは、その衝突回避性能でかなり低いスコアが出てしまっているものの、
それ以外のNHTSAやEuro NCAPの検証においては、かなり高い安全性を達成していたりもしますので、
特に今回テスト車両として選ばれた2021年モデル、さらに中国製のモデル3についてが、その衝突回避能力がやや低い結果となってしまっているのか、
それとも自動運転系の方式が、センサー類に一切頼らずに、カメラのみのピュアビジョン方式を採用していた車両なのか、
などに関する続報については、わかり次第情報をアップデートしていきたいと思いますし、
IONIQ5については、その安全性の高さの証明とともに、
今回の韓国市場、そして現在一気に納車がスタートしているヨーロッパ市場においても、
その販売台数をさらに伸ばすことになるでしょうし、我々日本市場への導入においてもますます期待することができるでしょう。
From: KNCAP
Author: EVネイティブ