【ホンダも日産も見限った!】 世界が水素燃料電池車開発から離脱し始めた唯一の理由
イーロンマスクが直近でドイツベルリンの新たな車両生産工場を訪れた際に、水素燃料電池車について、時間の無駄であると改めて一刀両断した一方で、
この動きはテスラだけでなく、フォルクスワーゲン、メルセデス、GM、さらには日本のホンダと日産についても同調し始め、世界が次々と水素燃料電池車のレースから離脱、
そして、その水素燃料電池車において、日本人が科学に耳を傾けなければならない知られざる驚愕の事実についてを徹底的に解説します。
イーロンマスクがEV生産工場の前で水素に言及
まず今回のイーロンマスクのドイツへの訪問に関してですが、
現在テスラはドイツベルリンに、車両生産工場兼バッテリー生産工場であるギガファクトリー4を目下建設中であるのですが、
以前から繰り返し説明している通り、その工場建設の進捗が芳しくなく、
元々は今月中には実際の車両生産をスタートするようなタイムラインを想定していたものの、結局その生産開始のタイムラインは2021年末まで延長されましたが、
その関連サプライヤーからのインタビューなどによれば、
その2021年末からの生産スタートについても、現状厳しくなり始めてもいるということですので、
何れにしてもその工場建設の実際の進捗状況を確認するために、今回イーロンマスクが直々にドイツベルリンを訪れている状況となっているのです。
そして、そのイーロンマスクのドイツ訪問自体については、特に今回特筆すべきポイントはないのですが、
実はそのドイツ訪問中のインタビューにおいて、同じく工場を見学していた、
与党のドイツキリスト教民主同盟、CDUの議長を務めるアルミン・ラシェットから、
今後のモビリティの将来はどのように変化していくのか、水素自動車か、それとも電気自動車か?
という趣旨の質問をされた際に、イーロンマスクがその質問を半ば遮るような形で、電気自動車であると断言しながら、
それに続けて、水素燃料電池車は時間の無駄であるとし、その水素燃料電池車を一刀両断してきたのです。
水素燃料電池車はFool Sellです
というのも、このイーロンマスクに関しては以前から一貫して、電気自動車とともに、次世代環境車に定義されている水素燃料電池車の可能性を否定し、
そして、その水素燃料電池車について、その燃料電池のことを英語でFuel Cellと発音するのですが、
イーロンマスクはそれをFool Sell、つまりバカであるという意味をもじって、
その水素燃料電池車の可能性を完全に否定している立場を表明しているくらいなのです。
メルセデスはFCEVを捨て完全EV化へ
ここまで聞くと、それはイーロンマスク自身が、完全な電気自動車のみを発売しているテスラを経営しているからこそのポジショントークである、と考えられるとは思いますし、
この点については同意することができる一方で、
そのテスラ以外の自動車メーカーについても、現在次々と、その水素燃料電池車の開発レースからの脱退を表明し始めているという、驚きの動きとなっていて、
まずはじめに、ドイツの高級車メーカーであるメルセデスベンツを傘下に収めるダイムラーに関してですが、
こちらは昨年である2020年におけるインタビューにおいて、
ダイムラー全体において、乗用車部門における水素燃料電池車の開発を完全に終了することをアナウンスしながら、
つい直近において、たったの9年後である2030年までには、完全な電気自動車の販売のみに完全移行する準備を完了させているともアナウンスしていますので、
いよいよ100年以上も続いてきた内燃機関車の時代に終止符を打とうとしているのです。
ただしこのダイムラーについては、大型配送トラックをはじめとした商用の大型車セグメントについては、
完全な電気自動車とともに、水素燃料電池車の開発を継続しています。
GMは軍用車などに水素活用を模索
次に、アメリカ最大の自動車メーカーであるGMに関してですが、
こちらは、すでに14年後である2035年までに、GMの発売している700万台以上という車両全てを、完全な電気自動車、もしくは水素燃料電池車のみにするという大方針を発表してはいましたが、
実は、その発表においてGM側は同時に、
2023年までに発売する20種類もの電気自動車のラインナップと比較して、水素燃料電池車は1車種も開発しないことを表明しながら、
特に注目すべきなのが、やはり乗用車セグメントにおいては、経営リソースの最適化のためにも、
基本的には完全電気自動車のみを発売しながら、
商用の大型車セグメントや、それこそGMの収益の大きな柱の一つでもある、アメリカ軍のための軍用車という、
ごく一部の車両のために、水素燃料電池車のチョイスを残してきている、ということなのです。
ホンダ「水素車はEVの補完的な存在」
そして、そのGMと緊密なパートナーシップを締結し、特にその水素燃料電池車や電気自動車という、
次世代車の開発という観点で重要な協業関係にある、日本のホンダについても、
すでにGMと同じように、2040年までにはグローバルで発売する全ての車両を、完全な電気自動車か水素燃料電池車のみにするという大方針を示していたのですが、
実はこちらも一昨年である2019年度の、ホンダヨーロッパのトップに対するインタビューにおいて、今後の電気自動車のラインナップを聞かれた際に、
2020年中旬に発売をスタートさせたHonda eに加えて、来年である2022年中にも、さらに小型セグメントの電気自動車を追加投入するという方針を示しながらも、
その水素燃料電池車に対しては、
こちらは次の世代での技術であり、我々がフォーカスしているのはハイブリッド車と電気自動車であると発言していることからも、
やはりGMと全く同様に、少なくとも乗用車セグメントについては、短期的にはハイブリッド車のシェア率を一気に上昇させながら、
それ以降は、完全な電気自動車のシェアを一気に拡大させ、
水素燃料電池車はあくまで補完的、かつ次世代技術として選択肢を残しておく的な意味合いが強いと考えられるのです。
日産も完全EVのみとなる未来を予測
さらに、そのホンダと同じく我々日本メーカーの一角をなす日産に関しても、
こちらは日産の電動化戦略を統括するトップである、平井専務取締役に対するインタビューにおいて、
水素燃料電池車に対する研究開発を続けているとしながらも、
やはりその肝心要の水素を生成するのに二酸化炭素を排出するという、水素燃料電池車推進派が語りたがらない、
しかしながら、脱炭素化という観点において最もクリティカルな部分を、現状解決するロードマップを示すことができていませんし、
しかもその上、その次世代車を語る上でセットとなる、水素ステーションというインフラ整備についても、
やはり電気自動車用の急速充電ステーションの設置速度と比較しても圧倒的に遅れているばかりか、
やはり電気自動車の最強のメリットでもある、自宅にいながら充電することができてしまうという強みには、絶対に打ち勝つことができないですので、
何れにしても、日産としては、やはりe-POWER技術という独自のシリーズハイブリッド車と、
そして完全な電気自動車にフォーカスするという戦略を採用する、ということなのです。
政治家よ、科学に耳を傾けろ!
そして、現在日本のトヨタとともに、世界最大級の自動車グループを構成しているドイツのフォルクスワーゲングループに関してですが、
こちらについては世界最大級という、図体がデカイ自動車グループでありながらも、
現在自動車メーカーの中では最も電気自動車に舵を切っている状況であり、
すでに2040年までには、フォルクスワーゲングループが発売するほぼ全ての車両を、
完全電気自動車を中心とするゼロエミッション車のみにするという大方針を発表しながら、
こちらは商用の大型トラックなどに対しても、完全な電気自動車で対応する方がベターであるという見解を示していて、
特に、そのフォルクスワーゲングループ全体のトップを務めるディースCEOは、繰り返し、その水素燃料電池車の効率性の悪さを指摘し、
乗用車セグメントはもちろん、よく電気自動車懐疑論者が指摘する、
その電気自動車にリプレイスすることが難しいように思われている、大型の配送トラックなどについても、
すでにそのような大型トラックを電気自動車に完全リプレイスする技術のロードマップを確立していながら、
その充電インフラという観点について、ヨーロッパ全土にたった1000箇所もの、その商用の特別な急速充電ステーションを建設してしまえば、
そのヨーロッパ全土を、商用車としての大型トラックが走破することができるようになり、
何れにしても、その水素燃料式の大型トラックという夢は消え去った、とさえ主張しているのです。
このように世界に目を向けてみると、そのほとんどの主要自動車メーカーが、
特にその乗用車セグメントにおいて、今までの水素燃料電池に対する研究を終了しながら、
揃って水素燃料電池車から撤退を表明し、代わりに完全電気自動車に舵を切ってきていますし、
その流れというのは、何もグローバルという観点だけではなく、
我々日本の自動車メーカー勢に関しても、その水素燃料電池開発のリーディングカンパニーであるトヨタを除いて、
実はすでに、乗用車セグメントにおける水素燃料電池車開発の第一線からは手を引いてしまっている、ということですね。
水素燃料電池車一本足打法ならいけるかも?
そして、本メディアにおいては繰り返し、水素燃料電池車が将来にわたって普及することはないという理論を展開し、
その理由についてを多角的に考察した動画、特に今回フォーカスしている水素燃料電池車だけでなく、
日本のトヨタが開発をスタートしている水素エンジン車についても全く同様に、電気自動車に変わる次世代車になることはないという持論を展開し、
こちらの詳しい解説、特にそのインフラの普及状況、
また、そもそもの脱炭素化という観点において、電気自動車よりも圧倒的にCO2を排出してしまっているということ、
そして何よりも、その車両としてのスペックが電気自動車の足元にも及んでいない、
少なくとも乗用車セグメントにおいて、電気自動車の持つポテンシャルには敵わないと結論づけていますので、
こちらに関して詳しく論理を知りたい方は、この動画を確認していただくことをお勧めしますし、
本動画においては時間の都合上、詳しい解説は省略したいと思います。
しかしながら、今列挙してきたような問題、
例えば充電インフラの問題点についても、確かに穿った見方をすれば、
今後日本政府が電気自動車を捨てて、水素燃料電池車一本足打法となり、
その電気自動車用の急速充電ステーションの建設費の数倍以上ものインフラ整備費を使って、水素ステーションを大量、かつ爆速で設置を進めてくることができれば、
特に日本トップの自動車メーカーでありながら、そのリーディングカンパニーであるトヨタを有している日本国内であれば、
その普及を見込むことも、理論上不可能ではないと考えられるのですが、
本メディアにおいて、水素燃料電池車における不変の科学についてを改めて訴えたいということであり、
実は先ほど説明したフォルクスワーゲングループについては、
なぜ次世代車として水素燃料電池車を推進することがナンセンスであるのかの明確な理由として、そのエネルギーの変換効率の悪さを指摘しているのです。
水素燃料電池車は極めて複雑な技術
というのも、こちらは完全な電気自動車と水素燃料電池車のそれぞれにおいて、いったいどの程度のエネルギー効率を達成することができるのかを、
そのライフサイクル全体から把握した、いわゆるWell to Wheelsにおいて算出しているのですが、
まず完全な電気自動車に関しては、電気を生成してから実際の電気自動車に充電する直前までに損失してしまう、例えば送電ロスなどを全て含めても、たったの8%、
そして、その充電されてから実際にモーターを動かす段階において、車種にもよりますが、現状18%ほどのエネルギーロスとなりますので、
つまり発電時から比較して、そのエネルギー効率は概ね70から80%程度の効率性を達成することになります。
それに対して水素燃料電池車はどうなのかというと、
まずは発電した電力を使用して、水を電気分解し、その水素を生成するだけであればまだマシなのですが、
そのあとに、その水素を輸送するために、まずはマイナス253度程度という超低温状態にすることで圧縮という液化水素化するか、それとも超高圧に圧縮するかと、
何れにしても電気を使用して圧縮をかけ、
さらに、その圧縮された水素をこれまた様々な方法、特に現在はオーストラリアから船で輸送する、
もちろんこの船を動かす動力源にも、仮にその船がゼロエミッションの動力源を使用できたとしても、何れにしても電気を使用することになりますし、
しかもその上、その水素ステーションまで運ばれた水素を、
実際に水素燃料電池車に搭載されているコンパクトな水素タンクに効率よく充填するために、さらに高圧でその水素を圧縮しますが、
もちろんこの工程においても、その圧縮のために電気を使用し、
そしてようやく水素タンク内に取り込まれた水素を、空気中にある酸素と反応させて電気と水を生成し、
水を車外に排出しながら、その電気を、車内に搭載している小さなリチウムイオンバッテリーに充電して走行する、という、
このように、生成された電気を、既存の送電網を利用して、
自宅からでも誰でも簡単に充電することのできてしまう電気自動車と比較しても、途方も無い工程が発生してしまうのです。
水素の活用方法はあります、自動車以外だけれど
したがって、そのWell to Wheelsで見たエネルギー効率については、
現状25~35%程度のエネルギー効率と、電気自動車と比較しても倍以上、現状2.5倍もその効率性で劣る、
つまり、水素燃料電池車を100km分走行させることができる電力があれば、電気自動車を250km以上も走行させることができてしまうという、
このようにイメージしていただければ、そもそもの大前提である、より効率性の高い持続可能な社会を実現するという大方針において、
この水素燃料電池車の効率性の低さは必ず付きまとうものであり、
この科学における不変の事実こそが、フォルクスワーゲングループトップのディースCEO、そして冒頭初回した、テスラのCEOであるイーロンマスクが再三説明している、
「科学に耳を傾けろ」であったり、水素燃料電池車は、持続可能な社会を加速させるという意味において、時間の無駄であるという発言の本質である、ということですね。
ただし、水素燃料電池車という自動車への適用という点ではなく、
例えばその代替燃料を模索中である飛行機であったり、さらには、先ほども少し触れた、水素を輸送する船舶であったり、
さらには長期、かつ大量のエネルギー保存という、工業用のエナジーストレージなどという観点において、水素技術は不可欠であるという立場ですし、
実際問題として、フォルクスワーゲンのディースCEOについても全く同様に、
それらの分野においては、カーボンニュートラルを実現する上で、水素は必須のテクノロジーであるとも説明していますので、
水素自体の技術を否定しているのではないということも、改めて念押しさせていただきたいと思います。
次世代車として水素燃料電池車が主流にはなりません
このように、直近で開催されていた東京オリンピック2020において、様々な場面で活用されていた水素、
特にそのオリンピック期間中に活躍していた水素燃料電池車に関しては、
特にその乗用車セグメントにおいて、世界の主要自動車メーカーが、その開発の第一線から軒並み撤退している状況であり、
もちろんその水素燃料電池車における様々な問題が山積してはいるものの、
その中でも最も重要な問題でありながら、残念ながら原理原則として変えることができない、そのエネルギー効率の悪さ、
少なくとも、同じく次世代車である電気自動車と比較しても、倍以上の効率性の悪さによって、
現在の持続可能な社会を目指すという世界の潮流とは、明らかに一線を画すものであり、
したがって、その世界の動きを見ても、残念ながらこの点だけをとってみても、
水素燃料電池車が普及することはないと結論づけることができる、ということですね。
何れにしても、乗用車セグメント、つまりみなさんが明日から通勤で乗る車であったり、恋人や家族とドライブに出かける車が、
水素燃料電池車になる将来は、基本的に訪れることはない、
裏を返せば、やはり電気自動車こそが次世代車としての筆頭候補となりそうですので、
その電気自動車に対する現状の問題点についても、しっかりと問題提起しながら、
その持続可能な社会の実現、特に私のような若者世代、そして私たちの子供や孫たちという子々孫々のためにも、
今一度次世代車としての電気自動車のあり方を、社会的に考えていくことが重要なのではないでしょうか?
From: Volkswagen
Author: EVネイティブ