【テスラは本当にピンチなのか?】7月度の中国テスラの販売台数が急落してしまったが、、
中国市場におけるテスラの販売台数が速報されましたが、
なんとその販売台数が急落し、もはや前年割れという事態にまで発展してしまいました。
6月度までは絶好調だった中国テスラ?
まず今回の中国市場におけるテスラに関してですが、
2年前である2019年末に、ようやく中国上海に位置する車両生産工場であるギガファクトリー3が完成し、
ミッドサイズセダンであるモデル3の生産をスタートしながら、
テスラの海外発の工場として、順調にその生産体制を拡張してきていたのですが、
さらに昨年である2020年末からは、中国市場を始めグローバルで人気のセグメントである、ミッドサイズSUVセグメントのモデルYの生産もスタートさせながら、
ついに今年である2021年に突入してから、そのモデルYの実際の納車もスタートさせ、
この直近までは月間1万台を超える販売台数を達成するところまで来ていました。
さらにその上、そのモデルYに関しては、モデル3に追随する形で、いよいよ中国国内を飛び出して海外マーケットに輸出をスタートさせてもいて、
今月である8月から、現在電気自動車の販売台数が急増しているヨーロッパ市場、
さらには、我々日本市場と全く同様に右ハンドル市場でもある香港市場などにも順次納車をスタートする予定ともなっていますので、
何れにしても、この中国上海に位置するギガファクトリー3の重要性が、さらに増している状況ともなっているわけなのです。
中国テスラは急減速したのか?
そして、そのような背景において今回新たに明らかになってきていることというのが、
最直近である7月度の、中国国内におけるテスラ車の販売台数、および海外市場への輸出台数などの速報となっていて、
まず結論から申し上げて、その中国国内における販売台数が史上最悪規模の落ち込みを見せてしまったということであり、
まずその中国市場のテスラ車の販売台数の合計が8998台と、前年同月と比較しても18.5%もその販売台数が落ちているだけでなく、
前月である6月度と比較してしまうと、なんと驚愕の68%も下落してしまっているのです。
また、その販売車種の内訳も見ていくと、
まず、ミッドサイズセダンのモデル3が6601台と、前月と比較してもなんと60%もダウン、
また、ミッドサイズSUVセグメントであるモデルYに至っては2397台と、前月と比較して、驚愕の8割ダウンという、
特にモデルYについては、もはや中国市場において全く売れていないという、非常にショッキングな結果ともなってしまっていますので、
したがって中国市場において、テスラの勢いが急減速してしまっているのではないかと、この中国国内の販売台数だけを見ると結論づけることができてしまうのです。
しかしながら、今回の中国国内における販売台数の変遷だけでは、現在のテスラの現状を正確に把握することはできず、
というのも、テスラは直近の第二四半期の決算発表内において、
今回の中国上海のギガファクトリー3については、今後海外輸出のハブ工場としての機能を有すると説明していて、
つまり、今後アメリカ本国と中国以外の、車両生産工場を持たないマーケットに対する輸出分については、
アメリカ本国から出荷するのではなく、今回の中国市場から集中して出荷するという戦略を採用するということになりましたので、
したがって、その中国市場から出荷されている車両の台数も同時に把握しなければ、その中国上海のギガファクトリー3の生産体制を正確に把握することができず、
よって、中国国内の需要が本当にダウントレンドであるのかを判断することができないのです。
中国工場は海外輸出の中心拠点に
それでは実際に、その中国国内におけるWholesale台数を見ていきたいと思いますが、
まずこちらのWholesale台数というのは、中国国内で卸されたテスラ車の合計台数、
つまり基本的には、その中国国内における販売台数、および海外に出荷された台数の合計を示しているのですが、
そのWholesaleの台数の合計が32968台と、前月であった6月度の33155台と比較しても、ほとんどその台数に変化がない、
したがって、中国国内の販売台数だけではなく、海外市場分への輸出分も合計してみると、
その中国市場で取り扱われているテスラ車の台数全体には特段変化がない、ということなのです。
つまり一部メディアなどで言われている、中国市場においてテスラの販売台数が急落してしまっているという事実自体は、確かに正しいといえば正しいのですが、
テスラが決算発表においても示してきている通り、現状の中国上海に位置するギガファクトリー3では、
中国国内だけでなく、海外マーケット分の車両生産も一手に引き受けるハブ工場としての役割を果たしているため、
特に直近の7月度というのは、中国国内には注力せずに、特に海外マーケットに対して、その出荷を集中させていたわけなのです。
実際に、その海外マーケットに出荷された台数というのが合計して24347台と、その海外への出荷台数においてオールタイムレコードを達成しながら、
モデル3に関しては16137台、そしてモデルYについてはなんと8210台も出荷してきた、
つまり、特に世界的に人気のセグメントでもあるミッドサイズSUVのモデルYの大半を、中国国外へ輸出させたということは、
やはりテスラが、現在競合車種が次々と市場に投入されているEV激戦区である、特にヨーロッパ市場のシェア獲得を急いでいるという考えも伺うことができそうです。
35000台の生産台数を超えることができるか
このように、今回の7月度における中国テスラの販売台数というのは、その中国国内においては販売台数が急落してしまっている状況ではあるものの、
実は、中国国内の販売台数を意図的に抑制し、
その分を現在需要が急増している海外市場、特にヨーロッパ市場に集中させた月であったということが明らかとなってきましたので、
何れにしても、この7月度の販売台数でもって、中国テスラの需要が落ち込んでしまったと結論づけるのはナンセンスであると同時に、
そのギガファクトリー3における生産キャパシティについては、今回のWholesaleの台数を見ると、3万5000台程度がマックスとも見受けられますので、
果たしてこの生産キャパシティを超えることは現状難しいのか、
それともその生産キャパシティをさらに増強させ、中国国内と海外市場への販売台数の両方を高い次元で維持させることができるのかにも、
この中国市場全体のWholesale台数とともに、注目していきたいとは思います。
From: Reuters、InsideEVs(Actual Sales)
Author: EVネイティブ