【日本市場導入はズバリ202○年!】日産がアリアに続く新型クロスオーバーEVの発売を予告

日産

電気自動車のパイオニアである日産が、ついにリチウムイオンバッテリーの大量生産にコミットするために、バッテリー生産工場であるギガファクトリーを建設することを表明し、

さらに、ただ電池生産するだけではない、電気自動車のパイオニアである日産ならではの強み、そして、リーフとアリアに続く新型電気自動車に関する最新情報についてを徹底的に解説します。

EVのパイオニア日産の”鈍い”電動化戦略

まず今回の日産に関してですが、実は20世紀中から電気自動車の研究開発に取り組んでいて、

歴史を遡れば、戦後のガソリン供給不足によって、たま電気自動車株式会社という企業が、たま電気自動車という日本の電気自動車のパイオニアを発売していたという経緯があり、

そのたま電気自動車株式会社が様々な紆余曲折を経て、1966年に日産自動車に買収され、

そして、1999年にカルロスゴーンが日産に参画した際に、その日産の電気自動車に関する知見が深かったことに注目し、その当時から、電気自動車に対する断続的な研究開発を指示し、

そして2010年の12月に、ついに世界初の本格量産電気自動車であるリーフをグローバルで発売し、現在ではグローバルで50万台を超える販売台数を達成している、という背景となっています。

そして、そのような電気自動車に対して古くからの知見を有する日産については、

いよいよ今年である2021年の10月にも、それらの電動化技術の集大成である、新型電気自動車のアリアの発売をスタートさせ、

現在競争が激化する電気自動車戦争、そしてきたる完全電気自動車時代に向けて、さらに電気自動車というカテゴリーを拡大させていく方針を示してもいるのですが、

本チャンネルにおいては、特に直近の日産の電気自動車に対する動きが鈍いと指摘してもいて、

というのも、そもそも間も無く発売をスタートするアリアに関しては、もともと2021年の中頃、つまり、すでに発売をスタートさせていてもおかしくなかったはずであるのに、

様々な外的要因はあるものの、その発売スケジュールが遅れてしまっていますし、

発売開始は2021年10月
納車スタートは2022年初頭を予定

何より指摘しなければならないのが、既存の内燃機関車におけるガソリンエンジンに匹敵する、電気自動車のコアテクでもある、

リチウムイオンバッテリーの供給体制をどのように確保していくのかに関するロードマップが示されていなかったということであり、

特にそのアリアに関しては、中国のバッテリーサプライヤーであるCATLから購入するという、つまり外部サプライヤーに生産委託するという形態をとってしまいましたので、

アリアの搭載バッテリーは中国CATL製

まさにそのコアテクであるバッテリーを外部委託するという形は、その電気自動車としての質を妥協しなければならないケースが発生する可能性が高く、

そのバッテリー生産を完全内製化し始めている競合メーカーの電気自動車と比較しても、その質で劣ってしまうのではないかと懸念せざるを得ないのです。

EV戦国時代前夜に、まさかの電池事業から撤退

また、その懸念を後押ししてしまうさらなる懸念材料として、

実は日産に関しては、その当時のトップであったカルロスゴーンの類まれなる先見性によって、

初代日産リーフを生産する前から、NECとタッグを組んでAESCという合弁会社を立ち上げて、自社内でバッテリー生産工場を立ち上げ、

日産とNECの合弁会社AESCは
なんと2007年4月には設立

その世界初の本格量産電気自動車であるリーフ用のバッテリーを生産していたという、その当時であれば、電気自動車用のバッテリーを自動車メーカーが主導して生産するなどあり得ないという風潮でありましたので、

やはりそのような意味においても、カルロスゴーンを筆頭とする日産側の電気自動車に対する深い洞察力が見て取れますが、

その後には、なんとその日産バッテリー生産を担当していたAESCを、中国のエンビジョングループに売却してしまったということで、

日産はバッテリー事業から事実上の撤退

確かに現時点においても、そのエンビジョングループ傘下となり改名した、エンビジョンAESCというバッテリーサプライヤーの20%以上もの株式を保有し続けてはいるものの、

その影響力は相対的に低下した、つまり電気自動車用のバッテリーを自社で賄うという力が相対的に低下してしまってもいましたので、

日産が電気自動車に対して消極的な姿勢となってしまっていたことを以前から指摘していた、というわけなのです。

EVのパイオニアがついに目を覚ます

そして、そのような背景において今回新たに明らかとなってきたことというのが、

日産がついに電気自動車用のバッテリーを生産するための工場であるギガファクトリーを、中国のエンビジョンAESCと協業して建設することを発表してきたということで、

From: Nissan

まずこちらのギガファクトリーに関しては、イギリスのサンダーランドに位置する日産の車両生産工場のすぐ隣に建設され、

その生産キャパシティが、最初は9GWhという規模感を達成しながら、9年後である2030年までには、最大で35GWhという大規模なバッテリー生産工場となる公算ともなり、

ちなみにこちらの規模感に関しては、現在テスラがアメリカのネバダ州において、日本のパナソニックと共同で運営しているギガファクトリー1の生産キャパシティが、

年間で35GWh程度となりますので、まさにそれと同規模の生産キャパシティとなり、

Tesla Giga Factory 1

さらに、現在エンビジョンAESCが運営し、主に日産リーフに供給している、神奈川の座間、アメリカのテネシー州、

そしてイギリスのサンダーランドの3拠点で生産されているバッテリー生産キャパシティの合計が7.5GWhであり、

つまり、現在日産側がリーフ用に必要としているバッテリー供給量の、実に5倍近くを、今後9年以内に必要とするということと同義ですので、

今後日産が、電気自動車の生産体制を大幅拡充していくということが、まさに今回のバッテリー供給体制の数値からも示された、ということですね。

ボリス・ジョンソン英首相も直々に訪問

ちなみにですが、こちらは以前の動画において、一部の報道で最大で20GWh級のバッテリー生産工場となるのではないかというニュースを取り上げていましたが、

その規模よりも倍近い大きさということも判明しましたし、

今回のギガファクトリー建設においては、イギリス政府からの補助金も適用され、

よって、イギリスの首相であるボリス・ジョンソンも直々にサンダーランド工場に赴いて、その様子を見学しているくらいですので、

国レベルでの、次世代産業への大規模なプロジェクトであるということも見て取れるのではないでしょうか?

イギリスは国を挙げてEV投資を支援

エネルギー密度30%向上の最新型セル生産へ

しかしながら、今回の電気自動車のパイオニアである日産に関しては、ただ電気自動車用のバッテリー生産工場を立ち上げるのではなく、それに付随する様々な投資も同時に表明していて、

それが、今回のギガファクトリー建設を含むサンダーランド工場の一連の、EV36Zeroと名付けられた、

合計して1500億円以上もの投資額という大規模なプロジェクトとなっていて、

特に注目すべきは、その大規模なギガファクトリーにおいて大量に生産される最新型のバッテリーセルであり、こちらはエンビジョンAESCの第5世代の最新型セルと説明され、

第五世代のバッテリーセル

実は以前のエンビジョンAESC側の資料から、おそらくそのバッテリーセルの種類がNMC811と呼ばれる三元系のバッテリーセルの種類であり、

現行の第4世代のNMC523というバッテリーセルを搭載しているリーフe+と比較しても、その航続距離に直結するエネルギー密度が、現行セルよりも30%ほど向上しているということで、

特にそのエネルギー密度を支配する物質であるニッケルの割合を、NMC523における5割から、NMC811における8割へと30%も引き上げている分、

エネルギー密度もそれに合わせて30%程度引き上げることに成功し、

そのエネルギー密度は、ついに大台の300Wh/kgと、業界水準と比較しても極めて高いエネルギー密度を達成してくることになりましたので、

業界水準で見ても極めて密度が高いバッテリーセルとなる

実際にこの2024年から操業をスタートする、サンダーランドのギガファクトリーにおいて生産される、NMC811を搭載した日産の電気自動車の質の高さにも、大いに期待することができると思います。

アリアに続く新型クロスオーバーEVも予告

そして、日産はリーフとアリアに続く新型電気自動車についても言及し、

それが、アリアと全く同様に、日産の強みであるクロスオーバーセグメントの電気自動車ということで、

しかもこちらに関しては、これまたアリアと同様に、日産ルノー三菱アライアンスにおいて、特に日産が主導して開発した電気自動車専用プラットフォームであるCMF-EVプラットフォームを採用するということですので、

アリアだけでなくルノーの新型EV「MeganE」にも採用

先ほど説明した、NMC811という最新型バッテリーセルの搭載も相まって、その電気自動車としての質の高さにも期待することができますが、

個人的な推測としては、全長が4595ミリというCセグメント級のアリアと差別化を図るためにも、

おそらくBセグメント級、少なくともアリアよりもひと回りコンパクトなサイズ感のクロスオーバーEVとして開発されているのではないかと推測してはいます。

アリアと同様、前後のオーバーハングが短い

ちなみに、こちらのサンダーランド工場で新たに生産が予定されている新型クロスオーバーEVについては、

そのギガファクトリーで生産されるバッテリーを最初から採用するのかについては言及されておらず

日産側は、その新型クロスオーバーの詳細は、その実際のワールドプレミアが近づいたら詳細を開示すると説明していますので、

個人的には、この書き方であれば、そう遠くない時期、少なくともそのギガファクトリーの稼働時期である2024年よりも前に、新型クロスオーバーEVが発売されるのではないか

つまり、アリアのイギリス市場をはじめとするヨーロッパ市場の投入時期となる2022年の次の年には、

さらなる日産の新型電気自動車市場に投入されているのではないかという、かなりのスピード感を期待することもできるとは思いますし、

実は以前リーク情報は上がっていましたが、
これは半分正解だった模様

さらにその生産キャパシティは、年間10万台、つまり月間で8000台以上という一定の規模感であり、

ちなみにアリアの生産工場である日本の栃木工場における、初年度の年間生産台数は1万台程度、

その後も年間4万台程度と一部報道で言われているくらいであり、それと比較しても数倍の生産キャパシティ

しかもその上、この新型クロスオーバーEVに関しては、グローバルに展開される車種ということで、

今回のサンダーランド工場以外でも生産を予定していますので、

もしかしたら我々日本市場においても、リーフ、アリア、軽自動車EVに続く、第4の電気自動車として、2023年以降にラインナップされてくるのかもしれません。

緑色のEVは、左から、アリア、軽EV、
そして今回の新型クロスオーバーEVということか?

EVは製造時のCO2排出量も”完全ゼロ”の時代へ

そして、今回のEV36Zeroというプロジェクトのもう一つの目玉というのが、

そのギガファクトリーであったり、新型クロスオーバーの生産工場である車両生産工場をはじめ、

そのサンダーランド工場の運営に必要な全ての電力を100%再生可能エネルギーで賄うという大方針となっていて、

実はすでにサンダーランド工場については、今年の3月にも、20MWという規模の太陽光パネルを新たに導入し、

すでに設置されていた風力発電などと合わせて、32MWという再生可能エネルギーによる電力を生成してはいたのですが、

今回のEV36Zeroのプロジェクトの一環として、さらにその再エネ発電量を増やし、合計して132MWという大規模な発電量を達成することによって、

その生成された電力のみで、工場全体で必要な電力量を賄うすることができるようになるとしています。

さらに、その再生可能エネルギーによる発電において弱点とされる、電力の安定供給という側面に関しても、

1MW級という大規模な蓄電システムを導入することによって、その電力の平準化も達成することができるのですが、

初代リーフを発売する前から(!)バッテリーリユースの会社も設立

その蓄電池に採用されるバッテリーというのが、エンビジョンAESCで生産されるバッテリーだけではなく、日産リーフに搭載されていたリチウムイオンバッテリーの二次利用品となっていますので、

こちらに関しては、ただ単にバッテリーをリサイクルするという手法だけではなく、

その二次利用についてを、初代日産リーフを発売する前からバッテリーのセカンドハンドについての会社を立ち上げていた、日産の先見の明、

特に日産側も主張している、ライフサイクル全体で見た場合のCO2排出量を削減するという意味において、バッテリーリサイクルという工程でもCO2は発生してしまいますので、

バッテリーをリサイクルし、原材料を取り出すという手法以外にも、バッテリーの二次利用について、あらゆる可能性を模索していくという、

日産のカーボンニュートラルに対する一連の努力が、実を結び始めている一つの典型例なのではないかと考えられそうです。

EVのパイオニアが一矢報いることはできるのか

このように、今回日産がイギリスのサンダーランド工場において大規模なギガファクトリーを建設するという発表について、

現在盛り上がりを見せている、ただ単純にバッテリー生産工場を立ち上げるという動きだけではなく、

それに付随する最新型バッテリーセルであったり、新型クロスオーバーEVの生産発表であったり、

そして、日産が長年培ってきた電気自動車に対する考え方、特にライフサイクル全体で見た、トータルのCO2排出量を削減するという考え方の元、

いよいよ本格的に始まるリーフのバッテリーを、再生可能エネルギー用の蓄電池として二次利用してきてもいて、

この点については、まさに日産が世界で初めての本格量産電気自動車であるリーフを、世界に先駆けて投入していたおかげであることは間違いないですので、

この2050年までのカーボンニュートラルに向けた一連の電動化戦略にも注目していきたいと思います。

日産は2030年代早期に、新型車全てを電動車にする方針

また、それと同時に注目しなければならない電気自動車の生産体制や販売台数という指標についても、

特に直近も取り上げた、アライアンスを組んでいるルノーのアグレッシブな電動化戦略とともに、

今回も注目された、アリア以降の新型電気自動車の発売時期、また、その電気自動車としての質、そしてアリアも含めた販売台数、

および、そのアリアの日本市場以外の発売時期に関する発表、

特に、我々日本市場と全く同様に、初回限定生産グレードのようなものをローンチしてくるのか、

さらにはその発売価格が、特に第一次電気自動車戦争が勃発しているヨーロッパ市場において、

競合車種となるフォルクスワーゲンのID.4であったり、テスラのモデルY、そしてヒュンダイのIONIQ5などと比較して、

競争力のある値段設定となっているのかなどについても、同時に注目していきたいと思います。

From: Nissan

Author: EVネイティブ