【アリア完全敗北へ】さらに安価なモデルYの発売によって、テスラ以外の購入をオススメできなくなった件

テスラ

中国製格安バッテリーをモデルYにも搭載し、より安価なモデルYの発売がスタートする可能性が報道され、その販売台数が急上昇する可能性、

さらには、その安価なモデルYが日本市場にも導入される可能性についてを、その具体的なスペックや値段設定についてを独自に予測しながら徹底的に解説します。

アメリカ製と中国製のモデル3の質は異なる

まずモデル3に関してですが、テスラが2016年にワールドプレミアを開催し、2017年の後半から納車をスタートしているミッドサイズセダンとなっていて、

すでに発売をスタートしてから4年近くが経過しようとしていますが、その生産体制の拡充によって、むしろその販売台数は上昇している状況でもあり、

実際問題として、昨年である2020年度においてグローバルで最も人気であった電気自動車はモデル3でしたし、

今年に入ってからも、確かにより人気のセグメントであるミッドサイズSUVセグメントのモデルYが、すでに生産国である北米市場と中国市場で、そのモデル3の販売台数を凌駕し始めてはいますが、

それでも、現在第一次電気自動車戦争が勃発しているヨーロッパ市場、さらには我々日本市場においても、その販売台数が明らかに急上昇しているという、

まさに現在世界で最も人気の電気自動車の1つであるのです。

そして、特に現在ぶっちぎりで世界最大の自動車大国である中国市場においては、お膝元でもある北米市場で生産される車両ではなく、

中国の上海に位置するギガファクトリー3と名付けられた、車両生産工場において現地生産しているのですが、

その中国市場で生産されているモデル3に関しては、アメリカ市場で生産されているモデル3とは質的にかなり異なっているということで、

特にその電気自動車としての質を決定づける搭載バッテリーの種類が異なり、まず北米市場で生産されているモデル3に関しては、

そのグレードにかかわらず、すべてネバダ州に位置するギガファクトリー1において、日本のパナソニックと協業して生産されている、NCAというバッテリーセルの種類を採用しています。

Giga Factory 1

バッテリーセルの種類を巧みに使い分けるテスラ

そして、そのNCAというバッテリーセルの種類に関してですが、ニッケル系のバッテリーセルというカテゴリーに該当し、

そのニッケルという原材料というのは、電気自動車における航続距離に直結するバッテリーのエネルギー密度を高める原材料であり、

その配合割合が高いということは、つまり、電気自動車の航続距離をより延長することに寄与し、

したがって、なぜテスラが現在電気自動車の航続距離という観点において、業界をリードし続けているのかがお分りいただけると思います。

それに対して、中国上海で生産されているモデル3に関しては、そもそもグレードによってその搭載バッテリーの種類を変更してきていて、

中間グレードであるロングレンジ、そして最上級グレードであるパフォーマンスについては、韓国のバッテリーサプライヤーであるLGエナジーソリューション製の三元系バッテリーを採用し、

その三元系のバッテリーセルというのは、ニッケル、マンガン、そしてコバルトという、主に3種類の原材料をうまくミックスさせることによって、その航続距離や安全性という点のバランスを取り、

その安定性から、今回のテスラだけではなく、現在世界の多くの電気自動車に採用されているバッテリーセルの種類でもあります。

現行型日産リーフも三元系を採用

そして最も注目なのが、そのエントリーグレードであるスタンダードレンジ+に採用されているバッテリーセルというのが、

世界最大のバッテリーサプライヤーである中国のCATLが生産している、LFPと呼ばれるバッテリーセルの種類となっていて、

こちらは、リン酸鉄系とも言われていますが、すでに取り上げているNCAやNMCと比較して、

特に希少物質であり、安定供給という観点でも大きな課題が山積しているレアメタルのコバルト一切使用しない、いわゆるコバルトフリーのバッテリーセルと呼ばれ、

こちらに関しては以前にも幾度となく取り上げてはいますが、

つまり本メディアで複数回にわたって取り上げているということは、まさに今後の電気自動車市場において、非常にクリティカルな存在に化ける可能性があるということなのですが、

そのLFPバッテリーの最大のアドバンテージというのは、

まさにその効果なコバルトを一切使用する必要のないコバルトフリーということで、そのコスト低減に大きく寄与することができるのです。

したがって、特にエントリーグレードでもあるスタンダードレンジ+グレードにおいて、そのコスト低減に期待できるLFPバッテリーを採用することによって、

そのモデル3のエントリーグレードの値段設定を大きく下げ、したがってより多くのユーザーに、モデル3の購入を検討してもらうことができる、というわけなのです。

やはりLFPバッテリー搭載車が圧倒的人気

そして、そのようなバッテリーの種類を適材適所に使い分けることによって、より多くの人気を達成しているテスラ、特に中国製のモデル3について新たに明らかになってきたことというのが、

その中国市場で登録されたモデル3の、実に88%が、LFPバッテリーを搭載した車両、つまりスタンダードレンジ+の車種であったということで、

実はそもそも中国市場においては、アメリカ本国や日本市場でラインナップされている、中間グレードのロングレンジグレードが存在せず、

スタンダードレンジ+か、パフォーマンスグレードかの2択ですので、一概にそのほかの市場との構成比率を比較するわけにはいかないのですが、

それでもやはり中国市場で圧倒的に人気があるのは、エントリーグレードであり、現在430万円程度から購入することのできるスタンダードレンジ+である、

つまり、それに搭載されるLFPバッテリーの需要がとてつもなく高い状況である、というわけなのです。

中国市場はロングレンジグレードの設定はなし

CATLがテスラのために世界最大の工場建設を計画か

そして、こちらは今だに確定情報ではないものの、そのLFPバッテリーのサプライヤーである中国のCATLが、

その中国上海のギガファクトリー3のすぐ近くに、新たなバッテリー生産工場を立ち上げるのではないかという報道が、複数存在している状況ともなっていて、

つまりおそらくですが、今後のテスラ車の需要のさらなる高まりも見越して、そのテスラとのパートナーシップを中心戦略に据えた、今回のバッテリー生産工場の立地であるのではないかと推測することができ、

しかもその規模が、80GWhという、仮に1つの車両に100kWhという大容量のバッテリーを搭載したとしても、

年間にして80万台という電気自動車を生産することができるような、世界最大級のバッテリー生産工場となる見込みともなっているそうなのです。

CATLの本社

したがって、こちらの超大規模な生産工場において製造されるバッテリーを今後テスラを中心に供給していくということは、

そのテスラ側が、今後さらにCATL製のバッテリーセル、つまりおそらく、そのLFPバッテリーの需要が急上昇していくと考えているのではないかと推測することができるのですが、

その推測を補強する材料として、一部の匿名のリーク情報において、現在そのモデル3よりも販売台数が多くなり始めているモデルYについても、

さらに安価なエントリーグレードであるスタンダードレンジグレードをラインナップしてくるのではないかという可能性が指摘されていて、

しかも一部リーク情報によれば、そのラインナップが間も無くである7月中ということでもあるそうですので、

この直近において、モデルYのさらなる安価なモデルのラインナップを見ることができるのかもしれません。

モデルYが500万円以下から購入できる可能性が浮上

ちなみにですが、そのモデルYのエントリーグレードについては、

アメリカ本国においては、今年である2021年の1月初めから2月中旬という、ごく短期間においてすでにラインナップされてもいて、

その値段設定が41990ドル、日本円に換算して465万円程度であり、

その当時のアメリカ本国におけるモデル3スタンダードレンジ+の値段設定であった、37990ドルとの値段設定の差、

おそらく背の高いSUVセグメントということもあり、セダンタイプの車種よりも製造コストや利益率が高いことによる値段差であると思いますが、

何れにしてもこの4000ドル程度の差が、今回中国市場においてラインナップされる可能性のあるモデルYのスタンダードレンジにも同じように適用された場合、

そのモデルYスタンダードレンジの値段設定は、中国市場においておよそ、27万元から28万元程度になると推測可能、

日本円に換算して、463万円から480万円の間くらいであるいうことになるかと思います。

そして、現在その中国市場から輸入しているモデル3の、中国本土の値段設定と、我々日本市場における値段設定の差を比較してみると、

そのエントリーグレードであるスタンダードレンジ+において、中国本土では430万円程度で購入できるのに対して、

日本市場においては439万円からという値段設定である、

つまり、中国市場から輸入することによる輸送費をはじめとした様々な諸経費を含めたとしても、たったの10万円程度の値段設定の差に抑えることができている、

故に、仮のそのラインナップの可能性が浮上している中国製のモデルYの、新たなエントリーグレードであるスタンダードレンジグレードの値段設定は、

中国本土の値段設定の予測値である、おおよそ463万円から480万円の間という数値から、さらに10万円程度を追加した、473万円から490万円台

少なくとも500万円以内に収めてくる可能性が濃厚となってきている、ということなのです。

LFPバッテリーでも航続距離は変わらず維持

また、その電気自動車としての質に関してですが、

今回フォーカスし、先ほどそのコストの安さというアドバンテージを説明したLFPバッテリーを、その登場が噂されるモデルYスタンダードレンジにも搭載される可能性が極めて高いのですが、

一点そのLFPバッテリーの弱点とも言えるのが、そのエネルギー密度の低さゆえの、航続距離の短さという点であり、

この点が、LFPバッテリーを全面的に導入していない背景でもあるわけですが、

テスラに関しては、そのLFPバッテリーの弱点を克服するために、Cell To Packと呼ばれる新たなバッテリーの搭載方法を採用し、

それによって、中間単位であるモジュールの採用を廃止することができ、

よって、同じバッテリーパック内に、より多くのバッテリーセルを詰め込むことができる、

つまり、同じバッテリーパックの大きさでも、より航続距離を長くすることができるのです。

よって、現在アメリカ市場で発売されているパナソニック製のNCAバッテリーのモデル3と、CATL製のLFPバッテリーを搭載したモデル3とでは、

その航続距離はほぼ変わらないという検証結果が出てもいるため、

つまり、今回ラインナップが噂されているLFPバッテリーを搭載したモデルYであったとしても、その航続距離などの電気自動車としての質に妥協する必要がなく

まさに、電気自動車としての質はそのままに、より安価なモデルYの登場を期待することができ、

ちなみにそのアメリカ市場で一時期ラインナップされていたスタンダードレンジのモデルYの、

高速道路を時速100kmでクーラーをつけても達成可能であるというような、実用使いにおいて最も信用に値するEPAサイクルにおける航続距離が393kmでしたので、

したがって、航続距離が、東京名古屋間を余裕を持って走破することのできるような400km弱を達成した、ミッドサイズSUVセグメントのモデルYを、

我々日本市場においても購入することのできる日が近づいている、

しかもその値段設定が、少なくとも500万円以内で購入することができるのではないかとさえ推測することができてしまっている、ということなのです。

アリアをはじめとする日本勢はさらに劣勢に

ちなみにですが、仮に今回の中国製のモデルY、特に今回フォーカスしている、LFPバッテリーを採用したスタンダードレンジグレードが日本市場に導入されてしまった場合、

もはや競合メーカーの発売する電気自動車で、モデルYに対抗することは非常に厳しくなるということで、

特に、今年である2021年の10月からその発売がスタートし、モデルYと同セグメントの競合車種でもある、日産のフラグシップクロスオーバーEVであるアリアというのは、

すでにそのエントリーグレードの値段設定が、補助金を含めて500万円程度としている、つまり本体価格は、概ね540万円程度からのスタートとなることは確定していますが、

そのエントリーグレードのアリアについては、EPAサイクルにおける航続距離が現状私独自の推定値とはなりますが、348km程度となる見込みですので、

中国製モデルYのスタンダードレンジの393kmという数値と比較してみても、やや見劣りする感が否めませんし、

何よりその値段設定において、アリアの方が40万円から50万円程度高額となる見込みでもありますので、

やはりこのように比較検討してみると、以前においても解説していた、その充電インフラの環境という点だけでなく、

満充電あたりの航続距離や、何よりもその値段設定において、そのモデルYの競合車種の筆頭でもある日産アリアでは対抗できていないと結論づけることができてしまう、ということですね。

日本のEV市場は完全にテスラ一強体制に

何れにしてもこのように、現在中国市場において発売されているほとんどのモデル3が、より安価なLFPバッテリーを採用したエントリーグレードであり、

次に、そのLFPバッテリーをテスラに供給している世界最大のバッテリーサプライヤーである中国のCATLが、

そのテスラのギガファクトリー3の近くに、世界最大級のバッテリー生産工場の建設を計画しているという点、

また、一部リーク情報によって、モデル3と全く同様に、売れ筋のミッドサイズSUVセグメントに該当するモデルYに対しても、

LFPバッテリーを採用したエントリーグレードを間も無くラインナップしてくるのではないか、

さらにその値段設定が、相当競争力のある値段設定を実現してくるのではないかという点、

そして、そのエントリーグレードのモデルYも我々日本市場に導入することはほぼ間違いなく、

その場合の値段設定が、500万円を切ってくるような値段設定を達成してくるのではないかという点を考えてみると、

もちろん中国市場においては、そのモデルYの販売台数の急上昇とともに、さらにテスラの勢いが加速することは確定的でありながら、

もはや我々日本市場においても、電気自動車を購入する場合、基本的にはモデル3、

そしてSUVタイプとして、よりファミリーユースに対応したいという方も、今後はモデルY一択となると結論づけざるを得ないですので、

果たしてこの事実に、我々日本メーカーがどのようにレスポンスしてくるのか、

そして、その電気自動車購入の際の動機を決定づける実用的な充電インフラ網の構築無くして、

もはやテスラとの競争を勝ち抜くことなど不可能であるということが、改めて浮き彫りとなってくるのではないでしょうか?

From: MoneyballReuters

Author: EVネイティブ