【ディーゼルゲート再来!?】EV推進派のはずのフォルクスワーゲンが自社EVの購入を禁止

フォルクスワーゲン

フォルクスワーゲンが社有車として購入を検討する、18000人もの幹部職に対して、フォルクスワーゲンの電気自動車購入の一時中止を要請しました。

電動化を牽引する世界最大級の自動車グループの中核ブランド

まず、今回のフォルクスワーゲンに関してですが、アウディやポルシェなどを傘下に収めるフォルクスワーゲングループの中核ブランドであり、

特に既存メーカーの中で最も電動化に積極的な自動車グループとして、グループ全体をリードしている存在となっていて、

すでに電気自動車専用プラットフォームを採用した本気の電気自動車であるID.3ID.4

さらに直近ではそのID.4のAWDグレードであるGTXグレードをラインナップに追加してきたり、

また、ID.4のクーペバージョンであるID.5を今年である2021年中に発売をスタートするともアナウンスしながら、

さらには、3列目シートを搭載した大型SUVであるID.6を、ちょうど直近において中国市場において発売をスタートしていたり、

しかも今後は、我々日本市場において非常に人気のある、ミニバンタイプのID.Buzzの生産を、来年である2022年中にはスタートするとしていたり、

そして、2026年中に発売がスタートするとしている、車両性能の無線アップデートによって自動運転レベル4まで進化することのできる、

フォルクスワーゲンの次世代型電気自動車であるTrinityも控えるなど、とにかくこのように、現在名実ともに世界の電動化をリードしているのです。

Project Trinity

表向きではEV推進派のはずだったが、、

しかしながら、そのフォルクスワーゲンについて今回明らかになってきてしまったことというのが、

フォルクスワーゲンに在籍する18000人もの幹部職に対して、社有車として自社の完全電気自動車の購入を認めない方針を示してきたということで、

なんと表向きでは、世界の中でも最も電動化に積極的な姿勢を見せているフォルクスワーゲンでしたが、

実は裏では、その電気自動車を推進させないために、社有車として自社の電気自動車を購入させないという、完全にその電動化推進とは相反した命令を下しているのです。

そして、その幹部職に対しては、完全な電気自動車を購入する代わりに、プラグインハイブリッド車や、なんと既存の内燃機関車の購入も検討するよう指示を出しているということになり、

実は以前フォルクスワーゲン側は、その幹部職に対して、むしろ電気自動車の購入を強く促していたという経緯もあったくらいでしたので、

何れにしてもまさにこれは、2015年に発覚した、排ガス不正案件であるディーゼルゲートに近しいような、電気自動車推進を阻害する最低の暴挙であると思った方もいらっしゃると思いますが、

実はこの判断には裏があり、結論から申し上げれば、現在フォルクスワーゲンの電気自動車の需要が急上昇している最中となっていて、

その急増する需要に対して、フォルクスワーゲンの完全電気自動車の生産キャパシティが全く追いついていない状況であるそうで、

実際に、今回のような社有車としての購入の場合は、一般ユーザーへの割り当てを優先し、その順番が後回しにされ、

現在注文したとしても、第四四半期、つまり早くても10月以降の納車になってしまっていたり、

さらに、フォルクスワーゲンが現在ラインナップしている小型車セグメントのe-Up!という電気自動車に至っては、

現在注文したとしても、その実際の納車はなんと衝撃の16ヶ月後という、とんでもないような納車待ちとなってしまっていますので、

そもそもe-Up!に関しては、現在受注をストップしているような状況ともなってしまっているからなのです。

From: electrive

フォルクスワーゲンはEVに本気です

したがって、今回フォルクスワーゲン側が自社の幹部職に対して、社有車として完全な電気自動車を購入することをやめるように促しているというニュースというのは、

別に電気自動車推進を阻害するような活動ではなく、

むしろ反対に、その急増する電気自動車需要になんとか対応するために、苦肉の策として、一時的に一般ユーザーを優先させている結果であるということが判明しましたので、

むしろ電気自動車市場という意味においては、超朗報とも取れるニュース、ということですね。

フォルクスワーゲングループ全体のEV生産台数は急上昇中

そして、今回のフォルクスワーゲンの電気自動車の販売台数についてを簡単に確認しておくと、

特に最新のデータである、2021年の4月度における、グローバルでの完全電気自動車とプラグインハイブリッド車の販売台数の合計というのが、

フォルクスワーゲンブランドだけで3万台弱と、すでにテスラ の月間販売台数に肉薄しているレベルにまで達成ているということが見て取れますので、

別にフォルクスワーゲンの生産キャパシティが、取り立てて上がってきていないのかといえば、別にそんなことはないということは明らかであり、

From: EV Sales

特に完全な電気自動車にフォーカスしてみても、グローバルにおいて、コンパクトハッチバックであるID.3が月間で6000台

そしてミッドサイズSUVであり、グローバルで発売がスタートしているID.4が月間で10000台オーバー

From: EV Sales

さらには、ヨーロッパ市場のみで展開し、かつ現在受注をストップしているe-Up!も3007台

つまり、完全電気自動車だけでも月間2万台近く販売することができていますし、

From: EV Sales

さらにこのフォルクスワーゲンブランドの他にも、アウディからも、大型SUVであるe-tronが5006台

さらにはポルシェのスポーツセダンであるタイカンに関しても、ヨーロッパ市場だけで1429台

さらにその上、チェコのスコーダブランドのENYAQも2439台という一定の販売台数を達成していますので、

このフォルクスワーゲングループの完全電気自動車を概算してみると、月間でおおよそ3万台程度となる、

つまり、この繁忙期ではない4月度で3万台という販売台数を達成しているということは、

今年である2021年度における完全電気自動車のみの販売台数というのは、40万台を超えてくるような規模感ですので、

すでに電気自動車に舵を切っているフォルクスワーゲングループは、もう40-50万台もの完全電気自動車を生産するキャパシティを備えている

裏を返せば、そのような規模感をもってしても、現在電気自動車戦争が勃発したばっかりの電気自動車需要に全く追いついていない、

故に、やはり今後の電気自動車需要を満たすためには、さらにその生産キャパシティを増強する必要がある、ということですね。

電気自動車のリーディングカンパニーへ

何れにしても今回明らかになった、18000人もの幹部職に対して、電気自動車の購入を見送るよう指示したフォルクスワーゲンに関しては、

その急増する電気自動車需要になんとか対応するため、一般ユーザーを優先している結果、社有車として購入を検討している従業員へのオーダーを止めた格好となっていますので、

現在その電気自動車の生産体制を急ピッチで拡大しているフォルクスワーゲン、そしてグループ全体で、いったいどれほどの生産体制まで拡大することができるのか、

特に今年である2021年末付近の電気自動車の販売台数にも注目しながら、期待していきたいと思います。

From: electrive ,via spiegel.de

Author: EVネイティブ