【航続距離最長レコード陥落】地球上最速のモデルS最上級”Plaid+”グレードが生産中止決定

テスラ

テスラのフラグシップセダンであるモデルSの最上級グレードであり、すでに予約注文を受け付けていたPlaid+を、そのラインナップから削除することをイーロンマスクがアナウンスしました。

落ち目のモデルSがモデルチェンジを行い世界最速へ

まず、今回のモデルSに関してですが、テスラがすでに2012年から発売をスタートしているフラグシップセダンとなっていて、

やはりすでにラインナップされてから9年目を迎えている中において、どうしてもその需要に陰りが見え始め、

実際にヨーロッパ市場などにおいては、その競合車種であるポルシェタイカンであったり、アウディのe-tron GT、メルセデスEQSなどが次々と市場に投入され始め、

すでにタイカンにはその販売台数で圧倒的な差ともなってしまい、

中国市場においても、BYDのフラグシップセダンであるHanなどの販売台数の急増によって、やはり同様に、そのモデルSの販売台数は急落してしまっているという背景があったのです。

しかしながら、ついにテスラがこのモデルSと、同じくフラグシップSUVであるモデルXの大幅なモデルチェンジを行うことを発表し、

そのインテリアをモデル3とモデルYで採用していた横長のタッチスクリーンに変更し、よりミニマリスティックなデザインに変更したり、

さらにそのパフォーマンス性能もさらに向上させ、特に新たに追加されたパフォーマンスグレードであるPlaidグレードに関しては、

モデルSの場合、停止状態から時速100kmまで加速するのにかかる時間が2.1秒

4分の1マイル加速するまでにかかる時間が、9.23秒と、

いよいよ地球上に存在する、ハイパーカーを含む全ての内燃機関車を超えるスペックを達成しましたので、もうこの時点においても、とてつもなく注目に値する車両であるのですが、

テスラに関してはこれでは飽き足らず、さらにそのPlaidを超える最上級グレードのPlaid+もラインナップし、

そのPlaid+に関しては、時速100kmまで加速するのにかかる時間が2.1秒以下

4分の1マイル加速するのにかかる時間、いわゆるゼロヨンタイムがなんと9秒以下と、先ほどのPlaidの加速性能をさらに上回りながら、

そしてその電気自動車において重要な指標でもある、満充電あたりの航続距離については、

Plaidでは、高速道路を時速100kmでクーラーをつけても達成可能であるというような、実用使いにおいて最も信用に値するEPAサイクルにおいて、628kmを達成しているのですが、

今回のPlaid+に関しては、なんと837kmと、こちらも現在地球上に存在する全ての電気自動車の中で最も航続距離が長い車種となり、

もちろんそのパフォーマンス性能に関しても地球上最速という、あらゆる側面において最高のスペックを有した車両であり、

実際に多くのモデルSオーナーであったり富裕層などが、このPlaid+の予約注文を完了させているという状況でもあり、その納車が待望されている状況でもありました。

すでに予約は一時停止&大幅値上げも敢行

しかしながら直近のアップデートによって、そのPlaid+の予約を一時ストップさせてしまっていて、テスラ側は、その納車までの時期が長すぎるためであると主張し、

しかもその上、その予約注文の一時停止と合わせて、その値段設定をアメリカ本国において1万ドルも値上げし、

さらにその納車時期に関しても、元々は今年である2021年の後半に納車をスタートさせるとアナウンスしていたものの、なんと来年である2022年の中旬と、納車時期を大幅に伸ばしてもいて、

こちらに関しては、そのPlaid+に搭載される新たなバッテリーセルの種類である、4680セルの開発状況や量産体制がしっかりと確立できていないのではないかという推測ができ、

以前の動画においても同様の指摘を行ってはいました。

Plaid+のスペックはオーバースペック

しかしながら、そのような背景において今回新たに明らかになってきたことというのが、

その最上級グレードであったPlaid+グレードを発売しないという衝撃のアナウンスを、ツイッター上で突如行ってきたということで、

まず今回のPlaid+グレード廃止のアナウンスに先駆けて、先に納車をスタートさせるPlaidグレードの納車式を、アメリカのフリーモント工場で開催することを再度アナウンスしてきているのですが、

それと同時に、そのPlaidを超えるパフォーマンス性能と電気自動車としての質を達成しているPlaid+グレードに関しては、

すでにPlaidグレードでも十分な性能を達成しているので”不要である”という考えを表明し、

時速60マイル、時速96.5km/hまで加速するのにかかる時間が2秒以下という、地球上最速の加速性能を達成することができ、その納車式を控えるPlaidグレードの性能を、改めて強調してきたのです。

まず、今回のPlaid+グレードの突如としたキャンセルに関しては、すでに多くのオーナーが不満を表明していますし、

特にすでに予約注文を行なっていたユーザーに関しては、その納車を心待ちにしていた方ばかりですので、非常に同情しますし、この点はテスラに関して残念に感じる一方で、

個人的には、このようなラインナップの突如とした変更、ましてや、すでに予約注文を受け付けている車種を一夜にしてキャンセルするという、通常の自動車メーカーの常識では考えられないことをするのは、

テスラの通常運転でもあり、

例えば、今年である2021年に入ってから、ミッドサイズSUVであるモデルYの新たなエントリーグレードとしてスタンダードレンジグレードが追加設定され、

そもそもこのより安価なグレードであるスタンダードレンジというのは、そのモデルYのワールドプレミアにおいてラインナップすると表明していたのにも関わらず、

その後のイーロンマスクのツイートによって、

スタンダードレンジグレードは、テスラが求める航続距離の基準に達しないのでラインナップすることはないという考えが表明され、

それと同時にロングレンジ後輪駆動グレードを今後追加設定すると表明されていたのですが、

結局はなぜか、スタンダードレンジの方が追加設定され、

From: 2021/01/08

もちろんそのエントリー価格が大幅に下がったことによって、より多くのユーザーがモデルYを購入することができるようになったものの、

なんとこのスタンダードレンジのラインナップを、たったの1ヶ月強という超短期間で、これまた突如ラインナップから消してしまっていたという過去があるくらいですので、

From: 2021/02/22

何れにしても、このようなテスラの心変わりというのは、別に今回のPlaid+が初めてではない、ということではあるのです。

4680セルの進捗状況は想定よりも芳しくなさそう

ちなみに、今回なぜPlaid+がラインナップから削除されることになったのかという理由に関してですが、

もちろんイーロンマスクの言葉をそのまま鵜呑みにすれば、Plaid以上のスペックが必要ないという判断なのでしょうが、

個人的には別の理由が存在している可能性が高いのではないかと推測していて、

それは、そのPlaid+グレードのみに採用される、新開発のバッテリーセルの種類である4680セルの生産体制が、やはり間に合っていない可能性が極めて高く、

実はこの4680セルに関しては、現在テスラが目下建設中であるドイツベルリンのギガファクトリー4と、アメリカテキサスのギガファクトリー5において、その生産開始から使用することをアナウンスし、

しかもそこで生産される車両というのが、まずは世界的に人気のセグメントであるミッドサイズSUVのモデルYであり、

しかもギガファクトリー5においては、そのアメリカ市場において圧倒的に人気があるピックアップトラックのサイバートラックの生産を行いますので、

つまり、すでにとてつもない需要が見込まれる車種にも4680セルが使用され、やはりそのようなより需要のある車種に対して、

最新型であり、その量産体制を確立中でもある4680セルを集中投下するという戦略なのではないか、

逆に、今回のPlaid+のような、本当に一部のオーナーに対しての需要しか満たすことのできないハイパフォーマンスグレードに、

その貴重な4680セルを割り当てることを諦めた、という判断をしてきたのではないでしょうか?

持続可能な社会の実現を加速させるための最もマシな選択

このように、今回そのモデルSの最上級グレードであり、

パフォーマンス性能と電気自動車としての質において地球上最高の性能を発揮することが期待されていた、Plaid+グレードに関しては、

その実車がお披露目されることはなくなり、

特にその満充電あたりの航続距離に関しては、今年である2021年の後半に納車がスタートし、アメリカの電気自動車スタートアップであるLucidのフラグシップセダンであるAirの、

最大832kmという数値に敗北する公算となりましたが、

Lucid Air

この満充電あたりの航続距離やパフォーマンス性能の追及よりも、より多くの電気自動車を発売し、持続可能な社会の実現を加速させるという経営理念を1日も早く達成するために、

より多くの需要を見込む、それ以外の車種へのリソース集中という戦略を採用してきたのではないかと考えられ、

この戦略には非常に賛同することができますので、間も無く納車式が行われるPlaidグレードの実際の走行インプレッションについてを、今後注目していきたいと思います。

From: Elon Musk

Author: EVネイティブ