【夢の素材で充電時間5分達成!】 中国GACグループが”グラフェン”を使った次世代電池の生産開始へ

中国の自動車メーカーであるGACグループが、次世代バッテリー技術として、グラフェンをベースにしたバッテリーを搭載した電気自動車を発表し、80%充電するまでに、驚愕の8分間を達成しながら、

なんとその電気自動車を、今年である2021年の9月にも生産をスタートするという、にわかには信じられないタイムラインを発表してきたということについて、

電気自動車における充電時間問題が間も無く終焉を迎えるという、マジなゲームチェンジャーEVについて徹底的に解説します。

GACは電気自動車ですでに一定の成功

まず今回のGACグループに関してですが、中国の自動車メーカーとなっていて、

例えばホンダは、このGACと合弁会社を設立することによって中国市場における活動をしていたりしますが、

このGACに関しては電気自動車という観点においても、すでにかなりの数の電気自動車をを展開し、

Aionと名付けられた電気自動車専門ブランドも立ち上げて、Aion Sというミッドサイズセダンを発売し、

搭載バッテリー容量が58.8kWhというミッドサイズのバッテリー容量を搭載しながら、

その満充電あたりの航続距離が、中国市場で一般的に採用されているNEDCサイクルにおいて最大510kmという、かなりの航続距離を達成しているのです。

Aion S

ただし、こちらのNEDCサイクルという基準は、実用使いにおいては全く参考にならない基準ですので、

高速道路を時速100kmでクーラーをつけても達成可能であるというような、実用使いにおいて最も信用に値するEPAサイクルに変換してみると、

概算値で、概ね380km程度に留まる公算でありますが、

それでも東京名古屋間を充電なしで走破することができるくらいの、実用的な航続距離を確保することができています。

そして、このAion Sの値段設定に関しては、日本円に換算しておよそ260万円からと、極めて競争力のある値段設定を実現することができていますので、

実際問題として、中国市場の2021年上半期における電気自動車の販売台数ランキングにおいて、

並み居る強豪を抑えて、第6位にランクインしているくらいですので、

何れにしても中国市場においてはかなりの人気を博している電気自動車であるのです。

From: CleanTechnica

さらに質の高い電気自動車も続々と

また、直近である6月度において、そのAion Sの上級グレード的な存在として、Aion S Plusを追加設定してきていて、

こちらは最大69.9kWhという、より大きなバッテリー容量を搭載しながら、満充電あたりNEDCサイクルにおいて602km

EPAサイクルに変換して、概ね450km以上の航続距離を達成する見込みであり、

なぜそのような質の高い航続距離を達成することができるのかに関して、

このAion S Plusの空気抵抗係数であるCd値が、世界最高水準値である0.211を達成してきているということで、

この数値というのは、例えば強豪車種であるテスラモデル3の0.23という数値よりも優れていますし、

現在地球上で最も空気抵抗係数が優れている電気自動車である、メルセデスのフラグシップセダンのEQSが達成した、0.20に肉薄している数値ともなっていますので、

このようなスペックからも、このAion S Plusの電気自動車としての質の高さを垣間見ることができると思います。

Aion S Plus

また、その内外装や先進性についても非常に質が高く、まずは車両中央に14.6インチの横長なタッチスクリーンを配置し、

そのタッチスクリーン上から車両制御のほとんどを操作可能となっていたり、

それによって、インテリアもミニマリスティックすぎず、しかしながらうまくまとまっている印象で、非常に洗練されていると感じますし、

また、巨大なガラスルーフを標準で搭載しており、車内の開放感という観点でも、非常に魅力的であると思います。

さらにソフトウェアやハードウェアの無線アップデートにも対応していますので、今後アップデートが行われれば行われるほど最新の状態が保たれ、

しかも5Gに接続可能であり、車内wi-fiも利用可能という、その先進性という観点においても、

テスラを筆頭に、XpengやNIOなどのソフトウェアファーストな電気自動車スタートアップにも引けを取らないスペックを達成できているように感じます。

そして、こちらのAion S Plusの値段設定に関しても、

日本円に換算して、およそ270万円程度で購入することができてしまいながら、

さらに、やや航続距離を抑えるものの、より安価なバッテリーであるLFPを搭載したエントリーグレードであれば、

その値段設定は、およそ237万円からという、まさに破格の値段設定となりますので、

この納車がスタートするAion S Plusは、今後数カ月間で一気にその販売台数を伸ばしてくることを期待することができそうです。

Aion S PlusではLFPを採用したエントリーグレードも

たったの13分で80%まで充電可能に

そして、このような質の高い電気自動車を発売し、しかも電気自動車専門ブランドであるAionブランドのみで、

月間1万台以上の電気自動車をコンスタントに売り続けているという実績も残しているGACグループに関して、今回新たに明らかになってきたことというのが、

電気自動車に関連する次世代技術を正式に発表してきたということで、

それが、バッテリー技術の革新であり、

結論から申し上げて、今回の次世代型バッテリーを搭載することによって、今年の1月中にGACが公式に発表していた、

3Cという充電性能を達成したAion Vの、充電残量20%から80%まで充電するのにかかった時間を検証した動画内において、

その充電時間が、なんと13分

したがって、空の状態から80%まで充電するのに、たったの16分という短時間でもって充電を完了させることが本当にできているのです。

ちなみにですが、3Cという充電性能とは一体なんなのかに関してですが、こちらはCレートと呼ばれる指標となっていて、

その搭載バッテリー容量に対して、どれほどの充電出力を許容することができるのかを示し、

例えば、私の所有する現行型の日産リーフの搭載バッテリー容量がおおよそ40kWhとなり、その許容可能な最大充電出力が50kWですので、

つまり、その最大出力と搭載バッテリー容量の比率である、1.25というのが今回のCレートとなり、1.25Cと表現するのです。

同じように、こちらも私自身が所有しているテスラモデル3のスタンダードレンジ+グレードの搭載バッテリー容量がおおよそ60kWh、

そして許容可能な最大充電出力が170kWですので、

このモデル3スタンダードレンジ+のCレートというのは、おおよそ2.83Cということになり、

このようにCレートを比較してみることで、その電気自動車がどれほどの充電性能を達成しているのかを定量的に判断することができ、

現在発売されている電気自動車の多くが、概ね1.5Cから2C程度を達成していますので、

そのような意味において、モデル3というのは非常に充電性能が高い車種という結論になるのです。

そして、今年の1月中に発表された、3CというCレートを達成しているAion Vを見てみると、

そのCレートという観点で言えば、確かにモデル3においても2.83Cと、すでに近しいCレートを達成してしまっていますので、

そこまでの充電性能を達成できていないのではないかと思われた方もいるかもしれませんが、

こちらの充電性能をモニターしているデータを見ると、

充電残量80%の状態において、今だに463ボルトの電圧、そして、514アンペアという電流量が流れている、

つまり、充電出力に換算して238kWという超高出力を発揮することができているのです。

対するモデル3に関しては、充電残量80%に到達した段階における充電出力というのは、概ね50kW弱ほどと、

その2.83CというCレートを達成する、最大充電出力170kWと比較しても大きく落ち込んでしまっていることが見て取れ、

テスラを含めた多くの電気自動車に関しては、そのCレートが充電残量が多くなるにつれて下落していきますので、

このことからも、GACの次世代バッテリーを搭載したAion Vについては、驚異的なCレートの維持率を達成しているということになるのです。

モデル3に関わらず、一部のEVを除いて充電出力と充電残量は反比例します

負極側にシリコンを使用することで充電性能アップ

そして、この1月中に発表していたCレートで3Cを達成する次世代型のバッテリーというのは、

そのリチウムイオンバッテリーを構成する正負極材のうちの負極材において、

現在業界のスタンダードであるグラファイト、別名黒鉛を使用せず、代わりにシリコンを採用することによって、

その充電性能の向上、およびバッテリーセルあたりのエネルギー密度も、重量あたり14%ほども向上させることに成功したと説明しています。

ちなみに、この負極側に全面的にシリコンを採用するというアプローチは、何も今回のGACグループだけではなく、

テスラやフォルクスワーゲンに関しても、今後採用していく次世代型のバッテリーセルにおいて採用していくことをすでにアナウンスしてはいましたが、

実際に電気自動車に搭載し、市場に投入するというタイムラインにおいては、

テスラやフォルクスワーゲンなどの競合を凌ぎ、おそらく世界初の快挙ということになりそうです。

しかしながら、ここまで発表している、充電残量80%まで充電するのに16分という、3CというCレートを達成するバッテリーでは、

正直申し上げて、ゲームチェンジャーとは言いがたく、

やはり80%充電するまで10分程度の充電時間にならなければ、電気自動車は使い物にならんというような、

個人的には今後の完全電気自動車100%の未来においては、そのような電気自動車が一般に普及することはないという立場ですが、

この直近でGACがさらに追加で公開してきた、そのような電気自動車懐疑論者の反論を完全に駆逐することのできる次世代技術というのが、

なんとそのCレートを、倍の6Cにまで高めることに成功したという発表なのです。

次世代バッテリーでは充電時間を5分に

まずこちらに関しては、GACが主体となって開催してきた、次世代型のバッテリーを搭載した、

これまたミッドサイズSUVのAion Vにおける充電性能の検証実験となっていて、

まず注目したいのが、その最大充電出力となっていて、

855.6ボルトという電圧とともに、その電流量が562.8アンペアと、これまたとんでもない電流量を許容することができていて、

したがってその最大充電出力の数値というのは約481kWと、

おそらく電気自動車としての最大許容出力としては、ぶっちぎりで世界最高の性能を達成しているということになるかと思います。

しかしながら、真に驚くべきはこの最大充電出力の数値ではなく、この充電出力が充電残量80%の状態でも持続しているという点であり、

さらにこちらの充電時間と実際に充電できた電力量を見てみると、

たったの4分間の充電時間でもって、35.1kWhという電力量を充電することができている、

つまり、その充電出力の平均値というのは、およそ526.5kWという、超ド級の充電出力を許容することができているということになりますので、

まさに正真正銘、世界最高の充電性能を達成した電気自動車が爆誕したということになったと思います。

したがって、この6Cを達成した次世代型のバッテリーを搭載した場合、

充電残量空の状態から80%まで充電した場合、その充電時間は衝撃の8分

仮に充電残量30%から80%という、半分の電力量を充電する場合は驚愕の5分という、

いよいよ内燃機関車におけるガソリンの給油と遜色のないレベルにまで、充電性能を極限まで高めることに成功していますので、

これまで電気自動車の充電に対して懐疑的であった方々に関しても、

このスペックであれば、その99.99%の方において、必要にして十分なスペックを達成することができているのではないでしょうか?

夢の素材を採用し、史上最高の充電性能を達成へ

そして、この次世代型の6CというCレートを達成するために、今回GACが新たに採用してきた材料というのが、グラフェンという原材料となっていて、

こちらのグラフェンというのは、炭素原子が網目状に六角形に結びつき、シート状になっているというもので、

ダイヤモンド級の強度を持ちながら、柔軟に折り曲げることができ、電気の電動率も非常に高く、耐熱性も極めて優れていることから、

まさに21世紀の原材料の王者とも称されている、最も期待されている素材なのです。

そして、今回GACに関しては、このグラフェンをベースにした負極材を導入することによって、最大6CというCレートを達成することができ、

こちらは推測とはなりますが、先ほどのシリコンとグラフェンをうまくハイブリッドさせた負極材になっているのではないかということで、

現状グラフェンは極めて生成が難しく、故に非常に高価であり、

GAC側は、グラフェン自体の生成の特許を取得し、現状の生産コストの10分の1にまで抑えることに成功しているとしながらも、

やはりそのコストをうまく抑えるために、まさにGACがアナウンスしている、グラフェンベース、

特に、膨張収縮によるバッテリー劣化の問題がネックとなるシリコンとをうまくさせることによって、

その柔軟な膨張収縮を担ってくれるグラフェンの強みで、シリコンの弱点をカバーしてくるのではないかと推測することができるのです。

したがって、この6Cを達成するグラフェンベースの次世代バッテリーについては、

仮にこの500kWという充電出力を超える超急速充電を行ったとしても、バッテリー劣化を最小限に抑えることが可能であり、

その耐用可能距離が、これまた驚愕の100万kmという、

もはや車体が完全に使い物にならなくなるまで、バッテリーが持つということになりますので、

そんな急速充電をすると、すぐにバッテリーが劣化して使い物にならなくなるという主張も、今回のグラフェンベースのバッテリーにおいては全く問題に当たらない、ということなのです。

2021年にはゲームチェンジャーEVが発売か

しかしながら、真に驚くべきは、これらのスペックではなく、

なんと先ほど紹介した3Cを達成するシリコンを採用したバッテリー搭載車、および、グラフェンベースの次世代型のバッテリーを搭載したAion Vの両方を、

なんと今年である2021年の9月から、実際に中国市場で生産をスタートさせてしまうという、

にわかには信じられないアナウンスも、同時に行ってきたということで、

つまり、今回公開された次世代型のバッテリーというのは、何も実験室レベルであったり、開発初期段階のテスト結果などではなく、

すでに量産に向けた最終チェック状態であり、

なんと来月である9月中には、充電残量空の状態から80%充電するまでにたった8分の電気自動車が、本当に生産され始めてしまうという、

まさに正真正銘のゲームチェンジャーEVが発売されてしまうということになるのです。

Aion V

したがって、その実際の発売開始時期に関しても、早ければその生産開始と同時期に開始され、

早い場合は今年である2021年中には、本当にこのゲームチェンジャーEVが、中国市場を走り始める可能性が高いですので、

まずは来月である9月中にも、本当に生産が開始されるのかという進捗状況についても、わかり次第情報をアップデートしていきたいとは思います。

ハイパー急速充電器も独自に設置へ

ちなみにですが、そもそも500kWを超えるような超急速充電器など、世界広しといえども存在しないだろと思われた方もいるかもしれませんが、

なんとGACに関しては、今回の次世代型のAion Vの発売に合わせて、

2021年中には、この500kW級を発揮可能な超急速充電器を、中国全土100箇所に設置を進めるという計画も発表しているそうですので、

まさに今回の電気自動車の充電性能をフルで発揮することができるような、充電インフラ整備にもコミットしようとしている、

GACの本気度を伺うこともできるのではないでしょうか?

ただし、やはりこのような超急速充電器を運用するためには、とてつもないほどの電力量が必要となり、グリッドにも負荷をかけることになりますので、

おそらくこちらもかなり巨大な蓄電池を併用した充電ステーションを建設することになるかとは思いますので、

そのインフラコストも含めた、実際の車両価格に関しては相当な価格、おそらく日本円に換算しても、

現状のAion Vの値段設定である、300万円という値段設定の倍程度である、600万円程度レベルになってくるかとは思いますが、

それでも、東京を満充電で出発して、途中名古屋付近で8分間のトイレ休憩兼充電時間を挟んだだけで、

なんと岡山県倉敷市付近に余裕を持って到達することができるとイメージしていただければ、

冗談抜きで、電気自動車における充電のデメリットが解消されたことがおわかりいただけるのではないか、ということですね。

ちなみに、その大型の蓄電池に関しては、以前も取り上げた、同じく中国のCATLが開発し、その高寿命というアドバンテージを持つ、

ナトリウムイオンバッテリーを採用することができれば、

コストという観点においても、今後このような大規模な蓄電システムを併用した超急速充電インフラを、より安く構築する未来も見通すこともできるのではないでしょうか?

https://ev-for-everyone.com/4051

何れにしても、このGACが公式に発表してきた、超爆速の充電性能を発揮することができる次世代型の電気自動車が、

本当に来月である9月中に生産をスタートすることができるのか、

そしてそれに対応した超急速充電器を計画通り設置を進めることができるのか、

仮に両方を計画通り進めることができれば、これは冗談抜きで世界の電気自動車市場、いや、自動車産業全体に衝撃が走ることになりますので、

こちらに関する続報についても、わかり次第爆速で情報をアップデートしていきたいと思います。

From: GAC(Graphene-based battery)GAC(Tech Day 2021)CNEV POST(Super-fast charger)

Author: EVネイティブ

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