【テスラ・ヒョンデ大苦戦】テスラがピークの半分しか売れてない、、~2023年6月国内EV販売動向速報

EV普及動向

日本市場における直近の6月度のEV販売台数、EVシェア率、および人気の電気自動車の販売動向が発表され、歴史上最高水準のEVシェア率を達成した一方で、まさにガラパゴスとも呼べるEVの売れ方を、その他のマーケットとも比較しながら、

日産サクラ・アリアの販売好調の裏で、テスラ・ヒョンデが大苦戦しているという最新動向についてを解説します。

23年6月は史上最高水準のEV比率を達成

今回、日本市場のEV動向については、2022年に、日産アリアやトヨタbZ4Xなど、日本メーカーの重要なEVが発売された点が特筆すべきです。さらに、日産サクラや三菱ekクロスEVといった、軽自動車セグメントの電気自動車が本格的に導入されました。

その上、欧州メーカーもアウディQ4 e-tron、メルセデスEQB、EQE、EQS、BMW i4、i7、フォルクスワーゲンID.4などをリリースしました。さらに韓国のヒョンデは、IONIQ5を引っ提げて再参入を果たし、テスラも世界で最も売れている自動車であるモデルYを導入しました。これら一連のリリースにより、電気自動車の販売台数は急増しました。そのため、2023年のシーズンでも、この勢いがどの程度続くのかに注目が集まっていました。

ヒョンデIONIQ5と日産アリアはどちらも2022年に納車スタート

その背景にある新たな事実とは、日本市場における最新の6月度のEV販売台数と人気車種ランキングです。先ず、6月度のバッテリーEVおよびPHEVの販売台数合計は13,000台を超えて、歴史上3番目の高さを記録しました。これは前年同月比で約1.5倍の成長です。特に、昨年の6月には日産サクラと三菱ekクロスEVが本格的に販売を開始したため、それ以降も販売台数が伸びている事は着実な成長を示しています。

さらに、新車販売全体に占めるバッテリーEVとPHEVの販売台数の割合(電動化率)は、3.93%で、歴史上最高の4%に非常に近い数字です。その中でも、日産リーフやテスラのようなバッテリーEVの販売比率は2.38%で、2020年以降のバッテリーEV比率の変化を示すパープルのラインを見ても、シェア率が上昇していることがわかります。しかし、この1年間で比率が大きく伸びていないことも事実です。

これは、バッテリーEVよりもPHEVの販売台数が急増したためで、特にトヨタのPHEV販売台数は、なんと2,665台で、前年比650%以上の驚異的な伸びを示しています。トヨタは、RAV4、ハリアー、プリウス、NX、RXなど、複数車種でPHEVをラインナップしており、最近では急速に販売台数を伸ばしています。

したがって、6月度のEV市場の成長は、バッテリーEVよりもむしろ、PHEV、特にトヨタのPHEVが牽引したと言えるでしょう。

そして、バッテリーEVの販売台数という観点において、いくつか気になる点が存在します。それが、軽EVの内訳という観点です。

確かにバッテリーEVの販売台数は大きく増加していますが、それは明らかに2022年中旬から大きく伸び始めていたわけです。その2022年中旬というのは、まさに、日産サクラという軽EVの発売が始まった時期でした。

バッテリーEVの中でも、乗用車と軽自動車のそれぞれにおける販売台数の内訳を確認してみると、水色で示された軽EVの販売台数は全てのバッテリーEVの合計台数の、おおよそ半分を占めている状況が見受けられます。

そして、緑色で示されている乗用車セグメントのバッテリーEVの販売台数については、確かに増えていないことはないのですが、この1年間では、月間4000台を超えるかどうかをうろうろしている状況です。

日本国内の乗用BEVと軽BEVの比率は概ね半々

何が言えるのかと言えば、日本におけるバッテリーEVの販売台数の増加は、やはり軽自動車セグメントの日産サクラなどの販売台数が増加しているからです。

むしろ、日産アリアやトヨタbZ4Xなど、日本メーカーの本気のバッテリーEVが投入されたにも関わらず、その乗用車セグメントの販売台数は、そこまで大きな変化が見られません。

端的に申し上げれば、軽EV以外、特に大きな成長は見られないということです。

先進国だけでなく、新興国のEVシフトにも遅れを取り始める

また、この日本国内の電動化率、特にバッテリーEVの販売シェア率を海外と比較していきます。まず、日本と同じく自動車大国であるドイツ、および中国市場におけるバッテリーEVシェア率の変遷を示したグラフがあります。

先ほども説明した通り、日本については、そのシェア率は2-3%をうろうろしています。ところが、すでにドイツについては、直近の5月の段階で17.3%と、前年同月の14%から上昇しています。

さらに中国に関しては、1.5倍程度という販売台数の増加を記録し、そのバッテリーEVシェア率はすでに24%となっています。つまり、中国国内で売れている新車の4台に1台がバッテリーEVというレベルに達しています。

日本と同じ自動車大国とを比較すると、全くEVシフトが進んでいないことが見て取れます。

さらに、直近の動画内でも解説していた通り、実は現在、タイやインドネシアなどを筆頭として、新興国においても電気自動車の販売台数が急上昇しています。

特に、タイ市場に関しては、直近の6月において、なんと史上初めて、10%を超えるバッテリーEV比率を実現しています。2022年後半には日本に追いつき、そして半年程度の間に、日本とは4倍以上もの差をつけてさらにEV販売割合を伸ばしています。

いずれにしても、日本市場というのは、世界と比較すると、全く電気自動車が売れていないということが、お分かりいただけると思います。

日産サクラが牽引、テスラ・ヒョンデは日本で大苦戦中

それでは、この日本市場において、どのような車種が人気であるのかについてを詳しく見ていきましょう。

まず初めに、こちらのグラフが、2023年の累計販売台数の変遷を示したものです。2位以下にトリプルスコアをつけて、ぶっちぎりの独走を続けているのが、やはり日産サクラの存在です。

すでに2023年の半年間だけで、2万台弱という販売台数を達成しています。個人的に驚いているのは、なんと、同じセグメントである日産デイズよりも販売台数が多いという点です。

この点からも、ガソリン車のデイズを購入するよりも、満充電あたりの航続距離で劣り、エネルギー補給のための時間も一晩を要し、しかも値段も高いという電気自動車のサクラを購入するユーザーが多いということが見て取れます。

まさに、1日あたりの移動距離、基礎充電環境の整備という大前提を理解することで、似たようなガソリン車よりも、サクラに魅力を感じているユーザーが多いと言えます。今後ホンダやスズキによる、さらなる軽EVの投入によって、この軽自動車セグメントのEV化が、さらに進むことは、まず、間違いないでしょう。

また、これまで第2位の地位を維持してきた日産リーフと同じレベルの販売台数を達成してきたのが、テスラを除いた輸入車メーカー勢のEVの存在です。

それこそ先ほど取り上げたようなアウディQ4、メルセデスEQA、BMW iX3など、欧州メーカー勢のEVを中心として、上半期で6500台ものテスラを除いた輸入EVが売れていると思っていただければ、電気自動車が輸入車から広がり始めていることが理解できるでしょう。

メルセデスEQB

さらに、好調な販売台数を維持しているのが日産アリアの存在です。その販売台数は、ズバリ1083台と、4ヶ月連続で、1000台の大台を突破してきています。

アリアの販売台数の増加が一時的なものではなく、安定して1000台程度を発売できる体制が整い始めていることになります。長らくリーフについては、毎月1000台程度の販売台数であったということから、550万円程度という高級車であるアリアが日産の売上に大きく貢献していることは間違いありません。

その一方で、販売台数で不調に陥っている車種がいくつか存在します。まずは、テスラの存在であり、テスラについては、すでに本チャンネルで何度も懸念してきましたが、日本国内の販売が落ち込んでいる可能性があります。

特に、そのトレンドが表面化するのが、この4月から6月の第二四半期であると説明していましたが、今回の6月の販売台数が、おおよそ711台を達成しました。しかし、四半期別の販売台数で追っていくと、その販売台数は第一四半期を下回ってしまったことが分かります。

テスラのグローバル全体での成長具合を考えると、日本国内の大苦戦ぶりが伺えます

また、このテスラとともに苦戦を強いられているのが、韓国ヒョンデの存在です。ヒョンデは、IONIQ5を昨年の5月から正式に発売し、6月中から納車がスタートしていましたが、その販売台数は、ズバリ28台と、今年に入ってから最低水準を脱出することができていない状況です。

IONIQ5については、9月以降、マイナーチェンジバージョンの納車をスタートさせることによって、特に7月、8月の販売台数はさらに落ち込むことが予想されます。しかしながら、この秋にも、IONIQ5に続く2車種目のEVとなるKona Electricの販売スタートも控えており、特にIONIQ5よりも安価な値段設定となりますので、9月以降、ヒョンデがどこまで販売台数を回復できるのか注目していきたいと思います。

さらに、中国BYDについてですが、ズバリ93台と、第一弾となるアット3の正式な納車がスタートした3月以降、100台程度をコンスタントに販売している状況です。アット3をコンスタントに100台程度売っているというのは、日本初参入としては、かなりの成功と言っても過言ではないと思います。

さらにBYDについては、この8月中にも、第二弾となるドルフィンの正式な発売をスタートさせ、10月頃の納車スタートを見込んでおります。このドルフィンについては再三解説している通り、日本円にして300万円台、補助金を適用すると、200万円台から購入可能という、日本で最もコスパが高いEVとなります。多くのEV購入検討ユーザーがドルフィンに注目することでしょう。

ドルフィンの発売は8月中、納車スタートは10月中を予定

From: JADAJAIA全軽自協

Author: EVネイティブ

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