【中国EV市場の明暗】中国EVメーカー大量倒産時代に突入? 2023年4月の中国EV販売動向で勝者と敗者が明らかに【Xpeng・NIO・Zeekr・BYD】

BYD

中国の電気自動車メーカーたちの最直近である4月度の販売台数が速報され、数多くの電気自動車スタートアップたちが軒並み販売台数を落とす中、一部のEVメーカーの販売台数は急上昇、

いよいよ中国EVスタートアップの中でも、勝者と敗者が出てき始めているという最新動向とともに、それぞれのEVメーカーの見通しを一挙にアップデートします。

XpengもNIOも販売台数急減速のワケ

中国勢のEVメーカーには、Xpeng、NIO、Zeekr、BYD、Leap motor、NETA、Li Autoなど、新興EVメーカーが数多く存在しており、EV戦国時代の様相を呈しています。しかし、今後数年間でEVメーカーの淘汰が始まるとされており、特にテスラとBYDはすでに利益を出す段階にあるため、値下げ競争が発端となる淘汰が始まろうとしています。

最近の中国EVメーカーの販売台数速報では、2014年に立ち上がったXpengの月間販売台数が7079台を達成しましたが、一時期の販売台数は鳴りを潜めています。これは、ミッドサイズセダンのP5とフラグシップSUVのG9が販売不振に陥っているためです。特に高級セグメントのG9は、当初の想定から大幅に販売台数が下がっており、2車種連続で失敗に終わっています。

一方で、XpengはミッドサイズSUVのG6を正式に発表し、6月末までに納車を開始する予定です。G6は、Xpeng初の第二世代プラットフォームを採用し、航続距離750km以上と充電残量80%までの回復が20分という驚異的なEV性能を実現しています。

また、生産コストを低減するために、前後アンダーボディの一体成型を採用しており、中国初の試みです。さらに、Xpengは中国国内でテスラのFSD Betaと同様の市街地自動運転支援機能をリリースし、最先端のテクノロジーを実装しています。

しかし、もしG6の販売が失敗に終わると、事業面で深刻な影響が予想されます。そのため、G6の販売台数に注目が集まります。また、Xpengは2023年中にさらに2車種の新型EVを発表する予定であり、そのうちの1車種はXpeng初のミニバンタイプのEVとなるため、その性能にも期待が寄せられています。

次に、2014年に設立されたNIOについてですが、販売台数が6658台となり、Xpengと同様に急減少しています。これはCovid-19による上海のロックダウン以来の低迷です。

しかし、NIOは現在モデルチェンジラッシュが重要な要因で、これまでのES8、ES6、EC6の3車種のSUVは旧世代のNT1.0プラットフォームをベースに開発されていましたが、新型のNT2.0プラットフォームを採用するために一部のモデルの生産が中断されています。

また、NT2.0を採用したフラグシップセダンET7がインテリア改良のため販売台数が一時的に落ち込み、最新モデルのクーペタイプSUVのEC7は4月末からの納車スタートとなっています。これらの要因から、4月は特殊な月であり、NIOの将来性を疑問視する必要はないとされています。

NIOはEC7納車開始を皮切りに、5月中旬にマイナーチェンジ版ET7、5月末にNT2.0採用のES6フルモデルチェンジ版、6月中にフラグシップSUVのES8フルモデルチェンジ版の納車を開始する予定です。これにより、2023年後半以降は月間1万台を超える販売台数に戻ることが見込まれています。

NIOは2023年の販売台数目標を20万台と設定しており、これは中国国内のレクサスの販売台数を超える規模感です。この新型モデル投入ラッシュで、レクサス越えが達成できるかどうかが注目されています。

EC7の納車が4月末にスタート

ちなみに、NIOは4月に第三世代のバッテリー交換ステーションと500kW級の超急速充電器の運用を開始しました。800VシステムのEVであれば、最短12分で充電残量が80%まで回復できるとされています。この充電器は現在、世界最速クラスであり、他社にも開放されています。

中国国内の充電インフラの質が向上しており、NIOの車両には3分程度でバッテリー交換が可能なステーションが存在します。4月末時点で、中国国内には1384箇所の交換ステーションが稼働しています。

インフラ構築に力を入れることで、既存のNIOユーザーを囲い込むだけでなく、他社EVユーザーも将来的にNIOの経済圏に取り込もうとしています。

23年最も勢いがあるEVメーカーはZeekrです

2021年に立ち上がった中国ジーリーのプレミアムEV専門ブランド、Zeekrは、2023年4月の販売台数が8101台と前年同月比で約4倍に達しました。2023年1月から2車種目のEV、ミニバンEVのZeekr 009の納車が始まり、史上最高の月間1万台突破が間近に迫っています。

さらに、4月には3車種目のEVであり、Zeekrの最安エントリーモデルとして位置付けられるコンパクトSUVセグメントのZeekr Xの納車が6月中から開始される見込みです。日本円で約300万円台から購入可能でありながら、航続距離560km、充電性能も150kW級に対応し、急速充電ネットワークも完備。さらに0-100km/h加速タイムが3.7秒という強烈な動力性能を持ち、車載冷蔵庫や助手席に横移動可能なセンタースクリーンなど、インテリアの質感も高く、2023年のコストパフォーマンス最強EVとも言えます。

また、Zeekrは2023年中にスウェーデンとオランダに進出し、2026年までには欧州各国に参入する方針を明らかにしています。2023年の販売台数目標は14万台であり、矢継ぎ早に強力なEVをラインナップすることで、現在の中国EVメーカーの中で最も勢いがあり、成功が約束されたブランドとなっています。

BYDは23年最高販売台数を達成したが、、

BYDは、2023年4月の販売台数が21万台を超え、史上最高の記録を達成しています。しかし、2022年シーズンと比較して、2023年シーズンは大きな伸びが見られないため、販売の伸びが鈍化しているという見方が広がっています。

一部ではBYDの成長が減速していると結論づけられていますが、プレミアムブランドであるDenzaブランドの販売内訳を見ると、1万台を突破する快挙が達成されており、利益率の観点から重要なブランドになりつつあります。しかしながら、Denzaブランドを含めたBYDグループ全体の販売台数は、前月比でわずかに増えているだけで、実質的には大衆車ブランドのBYDの販売が停滞しているとも考えられます。

ただ、4月にBYDは最も安価なエントリーモデルである小型車のSeagullを発売し、5月以降の販売台数に大きな影響が期待されています。日本円で約140万円から購入可能であり、安全性を重視するユーザーにもアピールできる仕様が盛り込まれています。すでに高い評価を得ているDolphinからも、Seagullの成功がほぼ確実と考えられます。

BYDは、2023年シーズンの販売台数を最低300万台を目指しており、後半にどれだけ販売台数を伸ばすことができるか注目されています。全体として、BYDの成長が鈍化していると感じられる部分もありますが、新しいモデルの発売や今後の動向によっては、販売台数の伸びが再び加速する可能性もあります。

確かに、現在の中国EVメーカーには明暗が分かれ始めており、今後数年で倒産に追い込まれるメーカーが出てくることは予想されます。しかし、それが中国のEVシフトを減速させることはありません。

むしろ、倒産した企業から優秀なエンジニアが競争力のあるEVメーカーに移り、その企業の競争力がさらに高まることで、EV市場の発展が加速されることが考えられます。このため、EVメーカーの淘汰がEVシフトの減速につながるという考え方は誤りです。

今後も激しいEV戦争が続くでしょうが、それによってEVシフトが減速することはなく、逆に加速度をつけて成長を続けるであろうことを理解し、その流れにうまく対応していくことが重要です。言い換えれば、競争の激化は、業界全体の技術革新や効率化を促し、より良い製品やサービスを提供する企業が生き残り、市場全体が成長を続けることにつながると考えられます。

From: XpengNIOZeekrBYD

Author: EVネイティブ

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