【EVバッテリー劣化の真実】32万km過走行EVの電池劣化がヤバい。。 テスラ・フォルクスワーゲンID.3の過走行EV電池劣化率が判明

ID.3

テスラの最新のインパクトレポートにおいて、32万km以上走行させた車両がどれほどのバッテリー劣化を示しているのかというデータが公開、

更にフォルクスワーゲンの本格電気自動車第一弾であったID.3を分解調査することで判明してきたバッテリー劣化率も含めて、最新の電気自動車の驚愕のバッテリー劣化率の最新動向を紹介します。

EVバッテリーは数年で劣化するは本当か?

長期間所有していた日産リーフでは、5年10万km近く走行した車両のバッテリーが30-40%劣化し、実際の航続距離が50km程度になる話が散見されています。それでは、現在の最新EVではバッテリー劣化は改善されているのでしょうか。

テスラとフォルクスワーゲンの新型EVを取り上げてバッテリー劣化率を調べてみます。まず、テスラのバッテリー劣化率については、2022年バージョンのインパクトレポートで公開されたデータを参照しましょう。グラフによれば、10万マイル(おおよそ16万km)走行後のバッテリー容量維持率は90%前半に達しています。つまり、バッテリー劣化率は一桁台に収まっているということです。

日本の観点から見ると、10年程度で廃車される考え方が一般的で、年間平均走行距離は1万km程度です。そのため、10万km程度の走行距離でどれほどバッテリー劣化するかが重要なポイントとなります。そして、今回のデータでは、16万km以上の走行距離であっても劣化率は10%未満であることが判明しました。

例えば、現在世界で最も人気のあるテスラモデルYのEPA航続距離は最大531kmですが、16万km走行後でも最大航続距離が490km程度になることが予想されます。この航続距離を許容できる方は、テスラ車を購入する際にバッテリー劣化の問題を大きく心配する必要はないと言えるでしょう。

他方で、より多くの走行距離が見込まれる欧州市場では、廃車までに15万マイル(24万km)以上走行すると言われており、北米市場ではさらに長い20万マイル(32万km)以上となります。それらの市場ではバッテリー劣化がさらに進むと推測できます。

テスラは32万km以上走行した車両のバッテリー劣化状況も公開し、劣化率が12%程度であることを発表しました。これを航続距離に換算すると、32万km走行後の満充電状態で約467kmとなります。この航続距離を許容できる方にとっては、現時点でもテスラの購入がお勧めできます。

ただし、バッテリー劣化率については注意点がいくつかあります。劣化の主な原因は走行距離だけでなく、使用年数も大きく関係しています。たとえ走行距離が16万kmであっても、20年前のバッテリーであれば劣化率はさらに激しいと推測できます。

しかし、テスラは初の量産車を2012年から販売しており、10年を大きく超える使用年数のデータはまだ収集できていません。そのため、使用年数ベースでの劣化率のデータについては、今後の情報発表に注目が必要です。

また、このバッテリー劣化データは2012年から販売されている初期型モデルSのデータも含まれている平均値です。現在発売されている最新のテスラ車では、バッテリー劣化をさらに抑えていると推測できます。今回発表された32万km以上で12%の劣化という数値は、かなり悪い条件下でも達成可能と考えられます。

さらに、テスラはバッテリーの種類によって劣化率が変化すると主張しています。これはおそらく、2020年から導入されているLFPバッテリーを念頭に置いた発言です。テスラはLFPの劣化データが蓄積された際に、追加情報を公開するとアナウンスしています。つまり、LFPの場合は劣化率がさらに低いと推測できます。従って、今回公開されたバッテリー劣化率についても、最新の車両ではかなり余裕を持って達成可能と推測できます。

まとめると、テスラのバッテリー劣化率は走行距離や使用年数、バッテリーの種類によって異なりますが、最新の車両ではさらに劣化が抑えられていると考えられます。32万km走行後でも12%の劣化率が達成可能であり、航続距離も許容範囲内であることから、現時点でテスラの購入がお勧めできます。ただし、今後の使用年数ベースでの劣化率データや、LFPバッテリーに関する追加情報に注目が必要です。

ID.3の電池劣化予測も想像以上に良さげです

さて、ドイツのミュンヘン工科大学によるID.3のバッテリー劣化に関する研究結果によれば、運用方法によって劣化率が異なりますが、テスラ車に比べて、競合のEVであるID.3が同程度のバッテリー劣化を抑えることができているかどうかが明らかになります。

2020年モデルのID.3 Pro Performanceの満充電あたりの航続距離は、欧州WLTCモードで426km、EPAサイクルベースに換算するとおおよそ370km程度です。この航続距離は、テスラの車両と比較しても十分に競合力があることがわかります。

この分析から、フォルクスワーゲンID.3のバッテリー劣化率は、2つの極端なシナリオ(セカンドカーとしての短距離通勤走行とファーストカーとしての長距離高速走行)でも抑えられていることがわかります。

短距離通勤走行の場合、2年間で4万km走行しても、バッテリー劣化率は約2%程度に留まります。8年で16万km走行しても、バッテリー残存率は90%前半を維持できると予測されます。

一方、長距離高速走行の場合でも、7年で14万km走行しても、バッテリー残存率は90%前半をキープし続けています。バッテリー劣化率は、最初の1-2年で最も劣化が進むものの、その後は緩やかになる傾向が見られます。この劣化率が続く場合、10年で20万km走行しても、バッテリー残存率はおおよそ90%を維持できるとされています。

つまり、フォルクスワーゲンID.3は、短距離走行や長距離走行、急速充電を繰り返すようなハードな運用方法であっても、10年で20万km走行した後のバッテリー劣化率が10%程度に抑えられることが予測されています。これは、同車のバッテリー劣化が非常に優れていることを示しています。

このようなバッテリー劣化率を考慮すると、ID.3のバッテリーは長期間にわたって良好な性能を維持できるといえます。これはテスラ車のバッテリー耐久性と比較しても競争力があると言えるでしょう。ただし、運用方法や充電状況によって劣化率は異なるため、実際の使用状況に応じて劣化が進むかどうかは異なります。

フォルクスワーゲンID.3は、バッテリー劣化率に関してもテスラと比較して遜色のない性能を示しており、他の電気自動車メーカーが追随するための基準となります。今後の技術革新や投資によって、さらに高性能なバッテリーや電気自動車が開発されることが期待されます。

この研究結果から、フォルクスワーゲンID.3のバッテリー劣化率が低い理由の一つとして、優れたサーマルマネージメントシステムが挙げられます。バッテリーの冷却インレットが効果的に機能し、バッテリー温度の上昇を抑えることができているため、バッテリーの劣化が遅くなると考えられます。

高速走行中にも冷却機能が作動し、バッテリー温度を最適に調整することで、バッテリー劣化の抑制に大きく貢献しています。これにより、ID.3のバッテリーは長期間にわたって高い性能を維持できると考えられます。

バッテリー劣化率が低いという点で、フォルクスワーゲンID.3はテスラ車に匹敵する性能を発揮しており、電気自動車市場において競争力を持っています。今後も技術革新が進むことで、バッテリー劣化率をさらに低く抑えることが可能となり、電気自動車の普及が加速することが期待されます。

ID.3は電池温度が32-33℃に到達すると電池冷却をスタートする仕様

この分析から、テスラとフォルクスワーゲンID.3のバッテリー劣化率が低いことが明らかになりました。両社の電気自動車は、バッテリー温度管理機構が効果的に機能しており、バッテリー劣化の抑制に成功しています。

電気自動車を購入を検討している方で、バッテリー劣化が懸念される場合は、温度管理機構が適切に機能する車種を選ぶことがお勧めです。また、バッテリー劣化を理由に電気自動車を敬遠する方々にも、最新の研究やデータを参考にし、今後の電気自動車の進化を見守ることが重要です。

バッテリー劣化問題が次第に解決されることで、電気自動車の普及がさらに加速し、より多くの人々が電気自動車を選択するようになるでしょう。今後も、テスラやフォルクスワーゲンをはじめとした電気自動車メーカーから発表されるバッテリー劣化に関する最新情報を追いかけ、適切な情報を提供していくことが求められます。

From: Tesla Impact ReportScience Direct

Author: EVネイティブ