【EVのパイオニアが覚醒?】充電時間10分の技術力が搭載!? 三菱が新型電気自動車《エアトレック》を発売へ!

GAC

三菱が、電気自動車の売れ行き絶好調な中国市場において、

新型電気自動車としてエアトレック(Airtrek)というミッドサイズSUVを発表しました。

EVのパイオニアがEVを続々発売か

まず、今回の三菱に関してですが、

日産とルノーとアライアンスを組み、電気自動車という観点においては、実はパイオニア的な存在でもあるわけで、

特に2009年から発売をスタートしている、小型車セグメントのアイミーブに関しては、

世界初の量産電気自動車として、主に日本国内で販売台数を伸ばし、

その後には、欧州市場向けにOEM供給者として、欧州メーカー勢も発売していたり、

さらには、プラグインハイブリッド車として、アウトランダーPHEVの発売も早期からスタートし、

さらに、その電気自動車のラインナップ拡充の一環として、

商用用の小型配送トラック向けであるミニキャブミーブを発売、

また、エクリプスクロスというプラグインハイブリッド車も発売するなど、

このように、実は三菱に関しては、

電気自動車という観点で、かなり積極的に展開してきた自動車メーカーである、ということなのです。

しかしながら、その世界初の量産電気自動車であったアイミーブについては、すでに生産を完全終了してしまっているわけですし、

ミニキャブミーブに関しても、その販売台数は虫の息状態、

したがって現状においては、実質的にはプラグインハイブリッド車しかラインナップすることができておらず、

最近の三菱側の考えとして、やはり主力マーケットが東南アジアということもあり、

現在電気自動車の販売自体が極めて限定的であるということ、

さらに、電気自動車のラインナップを大きく増やしていくのではなく、

自社の強みでもあるプラグインハイブリッド車の方を中心的に推し進めていくというような発言をしている、ということからも、

今後三菱が、完全な電気自動車のラインナップを大きく増やしてくるということは考えにくい、

したがって、今後の電動化戦略について、果たしてその戦略が正しいのか、

そして、アライアンスを組んでいる日産やルノーという、

電気自動車に積極的な自動車メーカーと、今後どのように協業関係を図っていくのかに、

注目が集まっていた、という背景があったのです。

そして、本メディアにおいては複数回にわたって取り上げている通り、

ルノー日産三菱連合というアライアンスを生かした動きとして、

特に日産と共同で開発し、来年である2022年度の第一四半期、

つまり遅くとも、2022年の6月中までには、軽自動車セグメントの電気自動車を発売することを正式に発表しており、

搭載バッテリー容量が20kWh、そして、全長が3395ミリ、全幅が1475ミリ、そして全高が1670ミリと、

ガソリン車で言うところのekクロスに近しいサイズ感となってきそうであり、

そして、その値段設定が、補助金を含めた実質の購入金額で200万円程度という、非常に競争力のある値段設定を実現してくるとアナウンスもされています。

Nissan Imk Concept

また、直近も解説している通り、

令和三年度の補正予算の中において、今回の軽自動車セグメントの電気自動車に対して、

従来よりも手厚い補助政策を適用することが報道されており、

現状軽自動車セグメントの電気自動車に対しては、概ね26万円程度の補助金が支給されているわけでありますが、

その補助金額を、最大で50万円程度にまで大幅に引き上げる見込みであり、

特に三菱側のアナウンスを見てみると、

その実質購入金額に関する補助金の想定額については、2021年度と同額を想定している

つまり、今回の補正予算内においておおよそ倍増される、最大50万円という補助金を想定していないわけですから、

仮に補正予算で策定された新たな補助金を適用した場合、

今回の三菱、そして日産が共同で開発してきている軽自動車セグメントの電気自動車の実質の購入金額というのは、

170万円から180万円の間あたりとなるのではないかと、推測することができます。

よって、このようにイメージしていただければ、

やはり今回の軽EVのポテンシャルを、大いに感じることができると思いますし、

こちらは間違いなく、三菱が10年以上前から発売している、軽自動車のサイズ感に近しいアイミーブで培ったノウハウ、

および、日産がリーフやアリアの開発で培ってきた電気自動車の技術力が、

うまく合わさったことによるコストパフォーマンスの達成でもあるわけですから、

特にセカンドカーの電動化として、実は2022年最も注目すべき電気自動車であると言って差し支えない、ということですね。

三菱が新型電気自動車「Airtrek」を発表

そして、そのような三菱の電動化の流れの中において、今回新たに明らかになってきたことというのが、

その三菱が、新型電気自動車をさらに発表してきたということで、

それがAirtrekと名付けられた、ミッドサイズ級のSUVセグメントの完全電気自動車であり、

したがって、確かに三菱は、完全電気自動車よりも、売れ筋のプラグインハイブリッド車を中心に展開していくように捉えられながらも、

現在急速に進む完全電気自動車の波に乗るために、

しっかりと完全電気自動車も、そのラインナップに取り入れてきている、ということがお分かりいただけると思います。

ただし、今回のAirtrekに関しては、いくつか注意しなければならないポイントが存在し、

まずは、我々日本市場をはじめとして、グローバルで発売される車種ではないという点であり、

特に電気自動車の販売台数が急増している中国市場限定の車種ということになりますので、

残念ながら、我々である日本市場では購入することができない、ということになります。

また、今回のAirtrekに関しては、三菱が一から設計開発を手がけている、というわけではなく、

デザイン部分のみを三菱側が担当し、

その電気自動車本体の開発については、中国の自動車メーカーからOEM供給を受けて開発されているわけですので、

実は今回の、アウトランダーの元々の名称が復刻したAirtrekという新型電気自動車というのは、

三菱の技術力によって開発された電気自動車ではないという点は、

うがった見方をすれば、元々アイミーブをOEM供給する側であった三菱の、

電気自動車開発における、ある種の凋落ぶりを露呈する結果であるとも、言えるのではないでしょうか?

航続距離1000km&充電時間10分の中国実力メーカーと協業

そして、今回のAirtrekをOEM供給している中国の自動車メーカーというのが、GACグループというメーカーであり、

おそらく最新の電気自動車の情報を追い続けている方であれば、一度は名前を聞いたことがある自動車メーカーであると思いますし、

すでに本メディアにおいては、幾度となく取り上げている中国の自動車メーカーであるわけで、

というのも、そのGACグループの中の、特に電気自動車を専門に取り扱っているAionというブランドで発売されている電気自動車が、

そのどれも、極めて高い質を達成しているからなのです。

特に、直近で中国国内で開催されていたGuanzhou Auto Show内において、

Aionから、新型電気自動車であるAion LX Plusという、中大型セグメントの電気自動車SUVを発表し、

その満充電あたりの航続距離が、ついに人類の歴史上初めて1008kmという、4桁の航続距離を達成してきたということであり、

さらに、一回り小さいミッドサイズ級の電気自動車SUVであるAion V Plusという車種も発売し、

こちらは満充電あたりの航続距離ではなく、その充電性能が驚異的であり、

最大480kWという、市販車最高の充電出力を許容することが可能、

80%充電するまでに、たったの10分程度で充電を完了させることができるという、超急速充電対応グレードすらラインナップしてきているのです。

ちなみに、そのような超急速充電に対応したり、1000kmを超える圧倒的な航続距離を実現するために、

独自に研究開発を続けてきた、最新のバッテリー技術を採用していたり、

また、超高性能な充電性能を達成するために、こちらも独自開発した超急速充電器を、現在配備を進め始めてもいるわけですから、

実は電気自動車の競争が激しい中国国内においても、極めて実力派の自動車メーカーである、ということなのです。

そして、今回の三菱のAirtrekに話を戻すと、

特に超急速充電で話題となっている、Aion V Plusという電気自動車SUVをベースに開発されているということで、

まずはじめに、搭載バッテリー容量に関してですが、70kWhと、

例えば、こちらも直近で詳細なスペックが公開された、トヨタbZ4Xの搭載バッテリー容量が71.4kWhということでしたので、

SUVセグメントの電気自動車としては、ミッドサイズ級のバッテリー容量を搭載してきています。

航続距離520km&LFPを搭載か

そして、そのバッテリー容量に依存する満充電あたりの航続距離に関してですが、

中国市場で一般的に採用されているCLTC-Pサイクルにおいて、520kmを達成する見込みであるとアナウンスしていますが、

こちらのCLTC-Pサイクルというのは、実用使いにおいては全く参考にならない基準となりますので、

高速道路を時速100kmでクーラーをつけても達成可能であるというような、実用使いにおいて最も信用に値するEPAサイクルに変換してみると、

概算値とはなりますが、概ね400km弱程度まで航続距離が落ち込む公算であります。

そして、今回のAirtrekにおいて最も期待されていたことというのが、

先ほども解説したように、Aion V Plusという車両をベースに開発されているため、

そのAion V Plusの目玉の性能でもある、超急速充電に対応しているのではないかという推測であるわけで、

仮にその充電性能が達成されていれば、今回のAirtrekというのは極めて質が高い電気自動車ということになるわけですが、

残念ながらその充電性能はというと、充電残量30%から80%まで充電するのにかかる時間が43分と、

こちらは充電性能が高いというよりも、むしろ質が低いとさえ感じられる充電スピードの遅さであったわけですので、

非常に期待はずれなスペックであるのと同時に、

やはりAionブランドの重要な技術でもある超急速充電機能については、

そりゃあ、三菱側に提供するはずもない、ということも明らかとなったと思います。

ただし、今回のAirtrekに搭載されているバッテリーについては、いくつか特筆すべき性能が搭載されており、

まずは、強制水冷機構を装備しているため、バッテリーの温度を最適に管理することが可能であり、

したがって、バッテリー寿命の最大化に期待することができます。

そして、そのバッテリーの種類に関してですが、こちらは三菱側からの公式のアナウンスはないものの、

Aion V Plusの71.8kWhという、Airtrekと同等のバッテリー容量のグレードについては、

LFPと呼ばれる、コバルトフリーバッテリーが採用されているわけであり、

その満充電あたりの航続距離についても、CLTC-Pサイクルにいて500kmを達成と、今回のAirtrekとほぼ同じ航続距離、

つまり、Airtrekの搭載バッテリーの種類についても、このLFPなのではないかと推測することが可能であり、

LFPについては、長寿命であり、安全性能にも非常に強みを持ちながら、

特に、高価なコバルトを使用していないことによって、より安価に調達することのできるバッテリーの種類でありますので、

その車両価格に関しても、より期待することができるということなのです。

競合車種と比較しても高額であるという厳しい事実

そして、その気になる値段設定についてもすでに公表されており、

最も安いグレードで21万元程度、そして最大でも24万元程度

つまり日本円に換算して、およそ378万円程度から、432万円程度で購入することができてしまうわけですので、

このようにイメージしていただければ、日本市場においてであれば、

三菱の電気自動車が欲しいというユーザーに、一定程度訴求することができそうなコストパフォーマンスを実現できていると感じます。

しかしながら、この21万元程度という値段設定というのは、

例えば、すでに発売がスタートしている、電気自動車に舵を切っているフォルクスワーゲンのミッドサイズSUVであるID.4が、

Airtrekよりも安い、20万元を切るような値段設定を実現していたり、

それこそ、OEM供給元であるAion V Plusについては、

同じ500km程度の航続距離を達成しているエントリーグレードで、17万元強

日本円に換算して、およそ310万円程度という値段設定を実現することができてしまっているため、

やはりOEM供給車として、自社で一貫して製造することができていないことによる、コストの最適化を達成することができていないことが、

競合と比較した値段設定の差からも、一見して明らかとなってしまっている、ということですね。

ちなみにですが、今回のAirtrekに関しては、日本製の主要部品が採用されているという点は興味深く、

なんと日本電産製の、モーター、インバーター、そして減速機を一体にしたE-Axleと呼ばれる主要コンポーネントを搭載し、

最大出力が135kW、最大トルクが350ニュートンを発生させることができますので、

確かにOEM供給者でありながら、

日本の自動車メーカーがデザインを手がけ、主要部品も日本メーカー製が採用されているという点は、

日本人として、応援したい車種と言えそうです。

販売台数は相当厳しい可能性

このように、今回発表された三菱の新型電気自動車であるAirtrekに関しては、

電気自動車としての質という観点では、別に目新しさがないばかりか、

残念ながら、競争の激しい中国市場に展開する電気自動車としては、

発売前にして、競争力に欠ける電気自動車であると言わざるを得ず

しかもその上、その電気自動車のコア部分の技術開発には一切参画せずに、

OEM供給を受けている車両であるということも判明してしまったわけですので、

すでに日本メーカーというのは、電気自動車という分野では、中国メーカーの足元にも立てていないという現実を直視し、

今後もプラグインハイブリッド車を中心とする経営戦略などと、

電気自動車の販売台数が急増している世界の状況を、しっかりと判断することができているのか、

極めて怪しいと感じてしまうのは、私だけでしょうか?

何れにしても、今回のAirtrekに関しては、2022年の春頃の納車スタートを見込んでいるそうですので、

果たして中国国内で、この電気自動車としての質で、

どれほどの販売台数を達成することができるのかは、その三菱の経営層の目を覚ますのには、良い判断材料となりそうですし、

おそらく厳しい販売台数に終わるAirtrekの販売台数を見て、今後三菱が、どのような電動化戦略を提示してくるのか、

非常に見ものである、ということですね。

From: Mitsubishi

Author: EVネイティブ