日産アリアの北米市場における正式なスペックがついに公開され、
多くの電気自動車の購入検討者が注目していた、最も信用に値するEPAサイクルにおける数値も発表されました。
日産アリアの発売間近で動きが活発化
まず、今回の日産アリアに関してですが、
ちょうど直近である11月中旬にも、真のエントリーグレードであるB6の正式なスペックや値段設定が公開され、
さらに、その正式な発売スタートに関しても、11月末ごろにスタートするという、
アリアに関する最新情報が、いよいよ活発化してきている状況となっていました。
ちなみに、なぜエントリーグレードであるB6のことを、「真の」エントリーグレードであると説明したのかというと、
実はすでに今年の6月中に、一足早く発表されていたのが、
初回生産限定グレードであるLimitedのスペックや値段設定であり、
そのLimitedのエントリーグレードであるB6 Limitedの値段設定が、660万円からという発表を受けて、
やはり電気自動車は高すぎるので、とてもではないが購入することなどできない、
電気自動車など所詮金持ちの道楽であるので、普及するわけがない、というような意見が散見されていたわけです。
したがって、本メディアにおいては一貫して、アリアのエントリーグレードは660万円からなどではなく、
今後追加設定される通常グレードのB6こそが、アリアの真のエントリーグレードであり、
基本的には、100万円以上値下がりする見込みなので、実質500万円程度から購入することができると主張し、
実際に、その真のエントリーグレードであるB6が正式発表されてからは、
手のひらを返したように、
以外にアリア安くね?笑
的なコメントすら散見されるようになりましたので、
むしろここまですべて織り込み済みで、日産のマーケティング担当者が考えていたのであれば、
それはそれで超絶優秀であった、ということにはなりそうです。
ついに待望のアリアのEPAサイクルが判明
しかしながら、基本的なスタンスとして、アリアの電気自動車としてのスペックを評価してきた本メディアにおいて、
どうしても懸念せざるを得なかった点というのが、
これまでの評価におけるスペックというのは、すべて日本市場で公開されていたスペックであるということで、
よって、それこそ本メディアの重要視している、
米国基準の航続距離の基準である、EPAサイクルにおける数値が、
果たして想定通りのスペックを達成することができているのか、
逆に、この最も信用に値するEPAサイクルにおける数値が想定よりも悪かった場合は、
アリアの評価はかなり下がることになり、
本メディアにおけるアリアのオススメ度についても、競合と比較してかなり低下する懸念があったわけで、
したがって、特にアリアと競合車種であるモデルYやbZ4Xなどの購入を真剣に検討していた方については、
今回のアリアの海外市場におけるスペックが待望されていた、ということなのです。
そして、そのような背景において今回新たに明らかとなってきたことというのが、
ついに、その待望の海外市場のスペックが公開されたということで、
しかも、それが北米市場用のスペック、
つまり、高速道路を時速100kmでクーラーをつけても達成可能であるというような、実用使いにおいて最も信用に値するEPAサイクルを基準とした数値が、
正式に公開されたわけですので、まずは、今回のアリアの最新動向、
中でも特に、待望のEPAサイクルの、驚きの数値についてを一挙に解説していきたいと思います。
アリアのEPA航続距離300マイルを予想通り達成
まずはじめに、今回の北米市場向けのグレード設定に関してですが、全部で4種類をラインナップしているわけですが、
こちらはすべて、91kWhのバッテリーを搭載したExtended Rangeグレードであるということで、
すでに日産に関しては、66kWhというよりバッテリー容量を抑えた、
日本市場におけるB6であるスタンダードレンジグレードもラインナップすることをアナウンスしてはいますが、
まずはじめは、このロングレンジグレードの4種類をラインナップしてきている、ということになります。
そして、そのExtended RangeグレードであるVenture+グレードに関しては、
最も信用に値するEPAサイクルにおいて300マイル、つまり、483kmを達成することになりましたので、
よって、日本市場におけるExtended Range前輪駆動グレードであるB9については、
本メディアが1年以上前からアナウンスしていた通り、
EPAサイクルにおいても483kmを達成する電気自動車に仕上げてきた、
ということになりました。
また、Venture+グレードに、さらにサンルーフとデジタルカメラミラーを標準で追加したEvolve+グレードについては、
EPAサイクルにおいて285マイル、つまり、459kmを達成することになりましたので、
したがってこのことから、サンルーフを搭載することによって、
その車重の増加分だけ、多少航続距離が悪化するのではないか、と推測することもできそうです。
そして、みなさんが最も気になっていたであろう、
アリアの最も強みでもある、e-4ORCEが搭載されたAWDグレードであるPlatinum+グレード、
つまり、日本市場で言うところのB9 e-4ORCEグレードと言うことになりますが、
そのEPAサイクルにおける航続距離は265マイル、つまり、427kmを達成することになりました。
したがって、今まで本メディアが独自の計算方式によって推測していた、
上級グレードであるB9 e-4ORCEグレードのEPA航続距離であった、おおよそ387kmという、
通常のグレードと比較しても、相当航続距離が落ち込んでしまうのではないかという懸念については、
その推定値の40km分も航続距離が長かった、ということになりましたので、
こちらは私の推測を超える電気自動車としての質を達成することができた、と結論づけることができそうです。
B9 e-4ORCEのEPA航続距離は450km程度へ
しかしながら、今回の数値をより正確に分析すると、さらに航続距離が伸びるのではないかという、さらなる朗報も存在し、
先ほど少し触れた通り、Venture+グレードとEvolve+グレードを比較した際に、
加速性能などの車両性能はほとんど変化がないにも関わらず、航続距離が幾分減少し、
その航続距離に影響を与えそうな唯一の要因というのが、サンルーフを搭載しているかどうかであり、
そして、今回北米市場でまずラインナップされたPlatinum+グレードに関しては、
プロパイロット2.0を始め、ナッパレザーのブルーグレーシート、そして、サンルーフが標準で搭載されているわけです。
つまり、今回Platinum+グレードにおいて公開されているEPAサイクルの数値というのは、
サンルーフを搭載しない標準グレードの場合、さらに航続距離が延長される可能性が極めて高く、
したがって、Extended Range前輪駆動グレード、日本市場で言うところのB9グレードにおける、
サンルーフありのグレードと無しのグレードとの航続距離の差の比率を、
そのまま、今回のサンルーフありバージョンのPlatinum+グレードにも当てはめてみると、
その航続距離はさらに延長され、最大で450km程度にまで達するのではないか、
要するに、日本市場で購入することのできる上級グレードである、B9 e-4ORCEグレードに関しては、
本メディアの元々の推測値であった、最も信用に値するEPAサイクルにおいて、
387kmという数値よりも、ずっと電費性能が高い450kmを達成する見込みである、と言うことなのです。
ただし、日本市場においては現状、B9 e-4ORCEグレードでは20インチホイールが標準装備されてしまっているため、
そのEPA航続距離は、サンルーフ搭載の場合386km、
サンルーフ無しの場合、およそ406kmということになりそうですので、
個人的には、B9 e-4ORCEグレードであったとしても、
北米市場と同様に、19インチホイールも選択可能にして欲しいとは感じましたので、
今後公開されていく、B6以外の正式なオプション設定に関しても、同時に注目していきたいとは思います。
音質の高さ&車内空間の広さは圧倒的です
そして、今回の北米市場におけるスペックとは別の話題として、
実は11月初旬に本メディアが独自に、仙台のSUGOサーキット内で開催されていた、
日産アリアの限定試乗会に参加してきたということで、
こちらに関しては、来年である2022年の2月中の納車スタートを予定している、B6 Limitedの実際の試乗を始め、
さらに、実際にアリアの開発を担当していた、日産の関係者の説明を聞ける展示会という2部構成でありました。
そしてまず、最も注目の試乗会についてですが、
こちらはSUGOということで、実際にサーキット場を走行するのかと思いきや、
そのサーキットの周りのワインディングを外周するというコースであり、
実は今まで開催されていた限定試乗会については、
すべて、日産のテスト走行場をはじめとして、クローズドな環境であったため、
時速100km程度までの全開加速などが体感できていたものの、
今回は最大でも70km程度のスピードしか出すことができなかった代わりに、
やはり実際のワインディングということで、
実は想像以上に、実際の走行条件で試乗することができたわけでもありますから、
個人的には、より良い試乗会であったように感じました。
そして、このB6 Limitedを市場した感想についてですが、
特に賞賛すべきポイントというのは、その音質の高さであり、
かなりボリュームを上げた際に、個人的に注目していた重低音の響き方という観点で、
BOSEのサウンドシステムがしっかり効いていることもあり、
特に音を気にする方については、少なくとも内燃機関車のエンジン音などが一切ないアリアの音質には、
確実に好印象を抱くことは間違いないと思います。
また、車内スペース、今回で言えば、運転中の前方座席の空間が、「とてつもなく広い」と感じたという点であり、
今回のアリアに関しては、通常コンソール部分に収納している空調ユニットを、ボンネット部分に押し込んだことによって、
そのセンターコンソールを撤廃することに成功し、足元の空間を最大化することに寄与していて、
実際の見学会においても、すでにその片鱗を感じることはできていたわけですが、
実際に運転席に座って運転してみると、
少なくとも、私自身が所有している日産リーフやテスラモデル3、
さらには、今まで私が運転したことがある、ハリアーやセレナなどの、
比較的車格の大きいSUVやミニバンよりも広く感じることができ、
したがって、やはりこの、センターコンソールによる助手席との隔たりがないことによる、足元の空間の確保に関しては、
日産アリアならではの、明らかな優位性を感じることができました。
ただし、現時点において、本当に本メディアがアリアを購入する場合は、
WDグレードであるe04ORCEグレードとなりますので、
今回の試乗内容、特に、その車両の操作性能については、
今後試乗することができる見込みの、e-4ORCEグレードに試乗してから判断していきたいとは思います。
アリアのOTAアップデートの実態は?
そして、今回フォーカスしていきたいのは、
その目玉であった試乗会の方ではなく、実際の開発者も参加しているということで、
わずかながら話を聞くことができたということであり、
もちろん本メディアに関しては、その開発者に直接話を聞くのが目的で、わざわざ仙台まで足を運んだわけでもあります。
そこで、これまでの疑問に関してをいくつか聞けることができたわけですが、
今回の開発者というのは、インフォテインメント周りの方でありましたので、
特に、多くの方が気になっているであろう、
ソフトウェアのリモートアップデートであるOTAアップデートについて、
いったいどの程度まで対応することができているのかであり、直近で公開されたトヨタbZ4Xについては、
インフォテインメント周りを中心にアップデート可能であるものの、
車両性能に関わるアップデートは行うことができないとしている一方で、
テスラ車などに関しては、そのような車両性能に関わるほとんどすべてのアップデートをOTAで行うことができています。
そして、今回の開発者に対する質問によって、
結論から申し上げれば、
アリアはbZ4Xと同様にインフォテインメント周りのアップデートのみ行われる、
という回答をいただきました。
しかしながら、すでに日産の執行役副社長である中畔氏と、
常務執行役員の赤石氏に対するメディアによるインタビューによって、
インフォテインメント周りのアップデートに加えて、ドライブモードの味付けの変更、
つまり、その走行モードごとのモーターの出力特性を変えてくるという趣旨の発言を行なっているばかりか、
さらに今回の北米市場向けのアナウンスの中に、
やはりインフォテインメント周りに加えて、電子構造やシャシーという表記があったりなど、
一部ではありそうですが、やはりハード面に対するOTAアップデートも行う用意があるように見受けられますので、
果たして今回の北米日産側の資料や、幹部側の発言が正しいのか、
それとも、開発者による最新の発言内容の方が正しいのかに関しては、
今後情報がわかり次第アップデートしていきたいとは思います。
From: Car Watch Impress From: Nissan USA
何れにしても、特にアリアの情報を追い続けてきた本メディアとしては、
その中でも最も期待値が高い、e-4ORCEグレードのEPA航続距離が、
期待を大幅に上回るスペックを達成することができているという結果に、非常に素晴らしいと感じますし、
これによって、e-4ORCEグレードに関しての唯一の懸念材料は解消を迎えることにもなりましたので、
本メディアを含め、多くのユーザーにとって、
e-4ORCEグレードを始め、アリアの購入意欲がさらに増す結果となったと思いますし、
まず来年の2月中から納車がスタートするB6 Limited、さらに4月以降の納車となるであろう通常盤のB6の、
実際の検証実験などについても、わかり次第情報をアップデートしていきたいと思います。
From: Nissan USA
Author: EVネイティブ
コメント
情報提供ありがとうございます。
航続距離が長くなるのは大歓迎なのですが、リーフの時から毎度のようにアメリカより日本の価格設定が高いのが気に入りません。国内で生産しているのだから、同程度で売れるはずなのに。また、高額に設定する割に、バッテリーマネジメントなど改良したにも関わらず、相変わらず残価率も低いですし。(リーフほどではありませんが)
もっと戦略的な価格設定にして、補助金頼りの売り方はやめてほしいです。きっと来年の他社EV登場の頃には値下げや値引きを拡大しないと苦戦することでしょう。