【テスラの最重要マーケットの最前線】中国テスラの販売台数が絶好調&海外輸出も急増中

EV普及動向

中国市場における、直近である8月度のテスラの販売台数などの詳細が明らかとなり、

特にその卸売台数が歴史上最高という快挙を達成してきました。

中国国内の販売台数は「想定通り」低水準です

まず、今回の中国市場におけるテスラに関してですが、

2019年末から、中国国内においてモデル3の生産をスタートし、

さらに今年である2021年に入ってからは、

ミッドサイズSUVであり、我々日本市場においても待望されているモデルYの発売もスタートすることによって、

順調に生産台数、および販売台数を伸ばしている最中となっているわけですが、

直近に開催されていた、テスラの第二四半期の決算発表の中において、

今後中国上海に位置する、中国唯一の車両生産工場であるギガファクトリー3に関しては、海外輸出のハブ工場という立ち位置になると説明し、

特に先月からスタートした、モデルYのヨーロッパ市場への輸出にフォーカスするという方針を明らかとしてきたのです。

Giga Factory 3

したがって、その該当四半期である7月度については、

中国国内の販売台数が、史上初めて前年割れしてしまっていたわけで、

つまり、中国国内のテスラに対する需要が落ちていたわけではなくて、その分を海外マーケット、

特に現在電気自動車の販売台数が急激に伸びているヨーロッパ市場に全振りしている結果である、ということだったのです。

モデル3の販売台数は史上最低を記録したが、、

そして、そのような背景において今回新たに明らかになってきたことというのが、

直近の8月度の、中国国内におけるテスラ車の販売台数、

さらには、中国国外へ輸出した分も含めた、中国テスラの卸売台数などが速報されたということで、

まず、結論から申し上げて、中国国内で販売されたテスラ車の台数の合計が12885台と、

前年同月と比較して、わずかな増加が確認できるものの、

やはりそれでも、昨年末から今年前半にかけて記録していた、

月間2万台を超えるような販売台数には、全くと言っていいほど届いていないということがお分りいただけると思います。

さらに、その販売車種の内訳も見ていきたいと思いますが、

まず、現在売れ筋であるミッドサイズSUVのモデルYについては11576台と、これまでの販売台数の最高値に迫るような台数を記録していますので、

こちらは順調かのように思えるのですが、

問題であるのが、ミッドサイズセダンの方であるモデル3であり、その販売台数がなんと1309台と、

その販売台数は、発売がスタートしてから過去最低記録という、かなり奇妙な数値に留まってしまっているのです。

卸売台数は史上最高を達成!

しかしながら、先ほども説明している通り、

現状の中国テスラに関しては、海外輸出にフォーカスしている状況でありますので、

それでは、海外マーケットへの輸出分も含めた、合計の台数はどうなっているのかを見ていくと、

その国内販売台数と海外販売台数を合計した、いわゆる卸売台数の数値が44264台と、

なんとこちらは、ギガファクトリー3の開業以来、史上最高の台数を達成することになった、

つまりこのことから、中国テスラが取り扱う全体の販売台数については、

これまでとは違う、月間40000台オーバーという新たなフェーズに突入した、ということなのです。

ちなみにですが、今回の45000台程度という数値が12ヶ月間続いた場合、

その年間販売台数は54万台にも昇ることになり、

この数値というのは、テスラが目標としている年間50万台という数値を、超えてくることにもなりますので、

やはり現在急増する海外マーケットの需要を賄うために、

オーバーキャパするレベルで、急ピッチに生産体制を増強している最中なのではないか、と推測することができそうです。

中国市場の人気電気自動車とは

ちなみにですが、そのテスラ以外に、中国国内で人気の電気自動車の販売台数の変遷についても、軽く取り上げておきたいと思いますが、

やはりモデル3については、その海外市場への輸出にフォーカスしていることもあり、明らかに落ち込んでしまっているものの、

それと同時に、現状の中国国内のモデル3の納期を見てみると、

以前と全く変わらない、4週間から6週間というタイムラインで推移しているということからも、

やはり私が以前から指摘していた、

より人気のセグメントであるモデルYとのカニバライズも、やはり一定程度発生してしまっているのではないかと、個人的には推測しています。

次に、そのモデル3の競合車種である、BYDのフラグシップセダンであるHanについてですが、

6198台と、モデル3を大きく上回る販売台数を達成していますが、

特にこのHanに関しては直近でさらに値下げを行い、そのモデル3よりもさらに値段を下げることに成功し、

その追加設定されたエントリーグレードの納車も順次行われていきますので、

さらに販売台数が伸びていく可能性も十分考えられそうです。

そして、中国国内において圧倒的王者に君臨しているのが、

超格安小型電気自動車として有名であるHong Guang Mini EVとなっていて、

その販売台数が、驚愕の4万台オーバーと、ついにオールタイムレコードを更新してきた格好となり、

特に直近の、月間販売台数3万台程度の推移というのは、半導体の供給不足による生産制限の影響でありましたので、

いよいよ年末にかけて、さらに販売台数を伸ばす準備が整ってきたように見受けられます。

ちなみに、以前も説明している通り、

今回のHong Guang Mini EVに関しては、年末にかけて、月間販売台数を驚愕の5万台程度にまで引き上げる方針を示していますので、

何れにしても、特に電気自動車の販売台数が伸びる年末にかけて、

テスラをはじめとして、人気の電気自動車がいったいどの程度販売台数を伸ばすことができるのか、

そして、その圧倒的な電動化のスピード感でもって、世界の電気自動車競争をリードしてもらいたいと思いますし、

それと同時に、このような極めて質の高い中国製電気自動車に対して、

果たして日本メーカーの発売する、内燃機関車ベースのレガシーな電気自動車が、本当に販売シェアを奪うことができるのか、

非常に厳しいと感じてしまうのは私だけでしょうか?

From: CNEV POST

Author: EVネイティブ