テスラの中国法人が事故車であるのにも関わらず、事故歴がないという虚偽の申告をして発売を続けていたことが判明し、
その当該事故車を購入したオーナーとの裁判がついに完全決着を迎え、テスラ側の敗訴が確定しました。
事故歴がない中古車が、実は事故歴があった件
まず今回の裁判の経緯に関してですが、中国市場においてHan Chaoという人物が、
認定中古車であったモデルSP85を、2019年の6月1日に、日本円換算で600万ほどで購入し、
テスラ側からは、認定中古車ということもあり、
すでに200回にもわたるテストを実施し、事故歴や、構造上もダメージも受けていないということを説明されていました。
しかしながら、2019年の8月24日、つまり購入してから3カ月足らずの間に、なんと7回もの修理の必要性に迫られ、
そして、その8月24日に、なんと高速道路上を時速120kmで走行中に、アクセルペダルが使用不能となり、
大きな音とともに、エラー表示が5つも出て突如走行不能状態に陥ってしまい、
かろうじてオーナーに怪我などはなかったものの、
そのオーナーが生命の危険を感じたことから、テスラ側を相手取り裁判を起こした、という流れになっています。
結局のところ、そのオーナーが修理のためにサービスセンターに入庫した回数は計10回、
そして、期間にしてなんと80日を要してしまっていて、
そのオーナーがテスラを信用せずに、第三者機関に独自に調査を依頼したところ、
なんとテスラ側が主張していた、事故歴がないという主張とは裏腹に、事故歴があることが判明し、
しかも、Cピラー部分のパーツ交換と、リアフェンダーを溶接加工していたということが明らかとなってしまい、
その虚偽の説明を受けたとして、テスラ側を訴えるという決断を下したのです。
第二審でも敗訴で、テスラの負けが確定
実は、昨年である2020年12月中に、第一審の判決が下され、
テスラが意図的であったのかどうかはおいておいて、
事実からいえば、テスラ側は、事故車への修理やメンテナンスが行われていたことを気づいていた、もしくは気づくべきであったので、
何れにしても、テスラが詐欺行為を行ったと結論づけられる、として、
そのChoa氏に対して、認定中古車であったモデルSの購入金額、および慰謝料として、
合計でおよそ2570万円を支払うという判決を下していたのです。
ただし、その当時の判決というのはまだ第一審であったわけで、
被告側であるテスラ側が控訴するという方策はあり、まだ判決が確定したというわけではありませんでしたので、
その続報についても、同時に注視していたという背景があったわけなのです。
そして、そのような背景において今回新たに明らかになってきたことというのが、
ついに、この9月中に行われた第二審の裁判においても、
テスラ側の控訴内容を棄却し、第一審で下された、テスラ側が詐欺行為を働いたという主張をそのまま受け継ぎ、
合計して2500万円以上という賠償金を支払うよう判決を下してきた、ということなのです。
したがって、中国国内の民事裁判については二審制が採用されているため、今回の判決が覆ることがなくなった、
つまり、テスラ側の、修理歴のある中古車両を、修理歴がないと宣伝して販売していたという詐欺行為が確定してしまいましたので、
まずは、この755日間にも渡るChao氏の執念が実ったことについては、素晴らしいことであると思いますし、
逆にテスラに対しては、そのオーナーに対する不誠実さという観点で、極めて残念であると感じました。
まさか、中国以外でも常態化してないよね?
それでは、今回の一連のテスラ側との係争において抑えなければならない2つのポイントについてですが、
まずは何と言っても、中国テスラのガバナンスは一体全体どうなってしまっているんだ、という点であり、
そもそもChao氏側の、第三者機関による調査結果が正しいとするのであれば、
流石に溶接加工まで行っていれば、テスラ側も、修理歴があることくらい認識していたはずであり、
やはりそのように考えてしまうと、
中国テスラ側が、修理歴があることを分かった上で、それを隠して販売していたということは、もはや疑う余地がなく、
まさに確信犯、ということになってしまうのです。
したがって、この確信犯的な行動というのが、果たして今回裁判を起こしたChao氏が購入したモデルSだけであるのか、
本当にそれ以外の認定中古車についても、修理歴があるのにも関わらず、修理歴がないかのように宣伝して発売されてしまっていないのか、
さらに言ってしまえば、果たしてこのような、
中国の司法の言葉を借りれば、詐欺まがいの行為を中国テスラだけしか行っていないのか、
もはや、このような行為が中国法人だけに留まらず、世界的に常態化してしまっていることなのか、
極めて疑わざるを得なくなってしまうのは、私だけでしょうか?
認定中古車、手放しにオススメできなくなります
本メディアにおいては、特に現在、日本市場において全方位的にオススメすることのできる唯一の電気自動車が、
テスラのミッドサイズセダンであるモデル3であるという見解を、一貫して説明してきたわけですが、
今回のような判決が下されてしまいますと、
今後モデルYの発売開始とともに増大するであろう、モデル3の中古車両に関して、
今後狙い目であるということを、積極的に主張することができなくなってしまいますし、
何れにしても、テスラの発売する認定中古車に対する疑念が、
今後世界的に、そして長期にわたって続いていってしまうことは、もはや避けられないことでしょう。
電気自動車メディアを信用するな?
そして、それよりも問題であると感じているのが、
今回の判決が確定し、中国市場においては複数のメディアが、このテスラの敗訴の件を取り上げているわけなのですが、
現在の主要電気自動車専門メディアは、この一件についてを一切取り上げていないという点であり、
唯一、InsideEVsという電気自動車専門メディアについては、
過去の一審の判決結果とともに、今回の訴訟の経緯を詳細に取り上げてはいたものの、
特にいわゆる、テスラに肩入れしている電気自動車メディアについては、完全沈黙を貫いている、ということなのです。
まず大前提として、例えばTesmanianなどの、テスラの情報を中心に取り扱っているメディアについては論評するに値しないとしても、
それ以外の、いわゆる電気自動車専門メディアというのは、
かなりの割合で、テスラのシェアホルダーが運営、もしくは記事を書いていることが多く、
したがって、テスラに不利となるような情報を、取り上げようとしないというバイアスがかかっているわけであり、
今回の一件からも逆説的に、
電気自動車専門メディアの多くが、いかにバイアスがかかっている組織であるのかが、
図らずも浮き彫りとなってきているのではないでしょうか?
つまり何が言いたいのかといえば、
どのようなメディアについても、多かれ少なかれバイアスは発生してしまうものであり、
今回で言えば、やはりテスラに不利となることは取り上げない、
電気自動車に不利となることは取り上げない、というように考えるのは自然であり、
だからこそ、我々情報の受け取り側が、しっかりと、そのメディアのバックグラウンドを精査しながら、
複数の情報ソースを使って、情報をアップデートすることが重要なのではないでしょうか?
ちなみにですが、ここまでの説明を聞いて、今納得されている方は極めて要注意となっていて、
ここまで説明している私の説明が、果たして本当であるのか、
テスラ、そして電気自動車を貶めようとしているバックグラウンドはないのか、
もちろんそのような批判を回避するために、電気自動車関連の株式を一切保有しない、
さらに、日産リーフとテスラの2台両方を所有することによって、そのような外形的な公平性を担保しているわけですが、
何れにしても、私の情報発信が、果たして真実に基づいている情報なのかについても、
自戒の念を込めて、今一度確認しながらご覧いただくことを、強くお勧めしたいと思います。
From: Weibo(Han Chao)、SHINE
Author: EVネイティブ
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