【EVが売れない唯一の理由】遠のく世界の背中、、日本のEV販売台数が全く伸びていない件
日本市場における直近の8月度の電気自動車の販売台数が速報され、特に電気自動車の販売割合については上昇基調に入り始めている一方で、
やはり世界と比較すると、そのシェア率は雲泥の差であり、
特に人気車種ランキングから、なぜ日本の電動化が遅れてしまっているのかが明確になってきました。
完全EV・自動運転の大津波に備えよ
まず、我々日本市場における電気自動車の販売台数に関してですが、世界で3番目に大きい自動車大国であり、
それとともに、トヨタやホンダ、日産など、世界有数の自動車メーカーが名を連ねていますので、
まさに日本は自動車産業によって、その国力を維持していると言っても過言ではないのです。
そして、現在の自動車産業というのは、まさにその日本のトップ企業であるトヨタの社長の豊田社長の言葉を借りれば、
100年に1度の大変革期に来ているという点が最も重要であり、
特に電気自動車という大津波が押し寄せながら、
さらに第二波として、自動運転化という超巨大大津波もすぐ真後ろに迫っているという、
何れにしても、世界が一気に電動化、自動運転化を爆速で進めているという状況の中で、
果たして我々日本メーカーが、その新たな技術にキャッチアップし、今後も自動車産業がその競争力を維持することができるのかに、
日本の将来がかかっていると言っても過言ではない状況、ということなのです。
日本の電気自動車普及率は厳しい、、
そして、そのような、ある種切羽詰まった背景において今回明らかになってきたことというのが、
その自動車産業を襲う津波の第一波である、電動化状況であり、
直近である8月度の電気自動車の販売台数が明らかになってきたのですが、
そもそも本チャンネルにおける電気自動車の定義についてですが、
日産リーフやテスラなどの、搭載された大容量のバッテリーに充電して貯められた電力のみで走行する、完全な電気自動車と、
その充電することができるバッテリーとともにガソリンエンジンも搭載し、両方を併用して走行することができる、プラグインハイブリッド車の合計となり、
その電気自動車の販売台数が3553台と、前年同月と比較しても倍以上の販売台数を達成することになりました。
しかしながら、このグラフを見てお分かりの通り、
最新の2021年8月度の販売台数が、この直近の数年間の中で、取り立てて電気自動車の販売台数が伸びている月であるのかといえば、そうでもなく、
2016年からの電気自動車の販売台数の変遷を示したグラフを見てみても、
2017年ごろに記録した月間7000台近いという販売台数をピークに、すでにピークアウトしてしまっているわけで、
したがって、現在ようやく盛り上がりを見せてきている世界の電気自動車市場と比較して、
そもそも我々日本の電気自動車市場は、全く盛り上がっていない、ということなのです。
また、ガソリン車やハイブリッド車などを含めた、新車販売全体に占める電気自動車の販売割合を示した電動化率を見てみると、
直近の8月度はジャスト2%と、なんと2021年における最高の電動化率を達成することができたものの、
ジャスト2%ということは、つまり新車販売全体のうち、電気自動車はたったの50台に1台しか売れていないと捉えてみると、
なんだかんだ言って、電気自動車は超マイノリティな車種であると言って間違いない、ということですね。
ドイツ市場は電気自動車爆売れ中
しかしながら、それでは海外の電気自動車の普及状況はどうなっているのかについてですが、
こちらは我々日本市場に次ぐ、世界第4位の自動車大国であり、
さらに、アウディ、BMW、メルセデスというドイツ御三家という自動車メーカーを抱える、ドイツ市場とを比較してみるのが最も適切であると思いますが、
まず、その直近の8月度の電気自動車の販売台数は53357台と、1.5倍もの成長率を達成しながら、
特に重要であるのが、新車販売全体に占める電気自動車の販売割合を示す電動化率の推移であり、
なんと27.6%と、
つまりドイツ市場で販売されている全ての新車のうち、4台に1台以上がすでに電気自動車となってしまっているとイメージしていただければ、
いかに電気自動車の人気が高まっているのかがお分かりいただけると思いますし、
そしてこの電動化率というのは、なんとドイツの歴史上最高の電動化率をついに更新してきた格好ともなりますので、
ドイツを中心として、人口5億人近い巨大な市場を形成しているヨーロッパ市場というのは、
まさに現在電気自動車戦争が勃発している最中である、ということなのです。
そして、この様々な点で似通っている日本とドイツ市場の電動化率の変遷を比較してみると、
やはり日本市場というのは、その電動化率という観点で停滞している、むしろ2017年あたりをピークに減少傾向にすらあるわけですが、
それに対してドイツ市場に関しては、まさに美しい上昇カーブを描き、直近でその電動化率のレコードを更新している、
つまり、現在の電気自動車の大津波にしっかりと乗ることができているということが非常に顕著となって、示されているのではないでしょうか?
マツダ初のEVは迷走中・Honda eは目標販売台数越え
それでは我々日本市場において、いったいどのような電気自動車が人気であったのかに関してを詳しく見ていきたいと思いますが、
まずはじめに、マツダが今年である2021年から発売している、初の本格量産電気自動車であるMX-30についてですが、
その販売台数が、なんと驚愕の3台ということで、すでにグラフでは視認することができないだけでなく、
全国で月間3台しか販売できていないということは、もはやMX-30を日本で発売する明確な理由がないと考えられますので、
もしかしたら来年のどこかのタイミングで、電気自動車バージョンのMX-30の販売は中止し、
ヨーロッパ市場、および、来月である10月からスタートする、アメリカ市場の販売のみにフォーカスしてくるのかもしれません。
次に、ホンダが初めて発売した本格量産電気自動車であるHonda eに関してですが、その販売台数は53台と、
発売をスタートしてから間も無く1年が経過しますが、その販売台数は月間で概ね50台程度で安定し、
したがって、ホンダが当初計画していた年間販売台数1000台という数値目標に対して、
発売がスタートした2020年10月度からの11ヶ月間の販売台数の累計が1011台と、その目標を超えてくる格好とはなりましたので、
特にそのパナソニック製の35.5kWhのバッテリーを大量に確保することができず、
しかも欧州市場に、その輸出を集中させているということを鑑みれば、
ホンダ初の完全電気自動車として、一定程度の成功を収めることができた、という見方も可能なのかもしれません。
モデル3は月間500台で安定中
そして、その販売台数第2位にランクインしてきたのが、テスラ車となっていて、
こちらはテスラが現在ラインナップしているモデルS、モデルX、そしてモデル3の3車種すべてを含めた概算値とはなりますが、
その販売台数がおよそ525台ということで、
現在テスラは、モデルSとモデルXの新車をほとんど販売していないということを考えると、その525台のほぼ全てがモデル3であり、
テスラ車に特化した販売台数の変遷を示したグラフを見てみると、
確かにその月間販売台数の最高値という意味においては、上回ることがないものの、
最も重要なポイントというのは、
特に5月以降、その月間販売台数がコンスタントに500台程度を維持している、
つまりこれは、今までの納車体制であった、特に各四半期の最終月に集中させるという戦略ではなく、
毎月一定程度の納車をさばいていくことによって、
特にテスラで問題点が指摘されている、サービス体制に対する不満を、納車台数の安定化で抑える狙いがあるのではないか、ということなのです。
やはりリーフの人気は根強いです
そして、8月度の販売台数でトップに君臨したのが、日産リーフとなっていて、その販売台数が1281台と、
なんと2位のテスラ車の2.5倍近い販売台数を達成することになり、
実は、5月と6月度については、そのテスラに販売台数トップを明け渡してしまい、ついにリーフの牙城が崩れたかに見えたのですが、
特にその4月から6月というのは、半導体の供給不足とともに、マイナーチェンジへの移行期間ということもあって、販売台数が落ち込んでいただけであり、
蓋を開けてみれば、やはり販売台数で圧倒する格好となりましたので、
やはり日本においては、いまだにリーフの人気が根強いということが明らかになったと思います。
2021年ベストEVは日産リーフでほぼ確定
また、今年である2021年の1月から8月までの、完全電気自動車の販売台数の合計を見てみると、
リーフがテスラにダブルスコアをつけて独走状態ですので、
2021年最も売れた電気自動車については、今年もほぼ間違いなく日産リーフとなる見込みとなりました。
何れにしてもこのように、
日本市場というのは、世界にも稀に見る電気自動車発展途上国家であることには変わりない、ということになる一方で、
先ほど比較したドイツ市場と比較して根本的に何が違うのかといえば、
やはりその電気自動車の車種が圧倒的に少なく、
特に日本市場に関しては、まともな電気自動車が日産リーフとテスラモデル3しか存在していないということもありますので、
特に来年である2022年からいよいよ本格的に展開される、売れ筋のSUVセグメントである、日産アリア、さらにはテスラモデルYを筆頭に、
その車種が増えていくことによって、電動化率は必ず向上していきますので、
早く各社から、電気自動車のラインナップの拡充がアナウンスされることを期待することしかできません。
Author: EVネイティブ