テスラが、現在建設中の新たな工場に加えて、さらに世界中に車両生産工場の建設を計画していることを示唆、
特に、ロシアにその新たな生産工場を建設する用意があると発表されました。
車両生産はフリーモント、バッテリー生産はネバダ
まず、今回のテスラの車両生産工場に関してですが、
まずは、アメリカのフリーモント工場と呼ばれる、テスラ初の車両生産工場が存在し、
こちらは、アメリカ最大の自動車メーカーであるGMと日本最大の自動車メーカーであるトヨタが共同で設立した、NUMMIという工場がもともと存在していたのですが、
2009年にGMが経営破綻したことを受けて、このNUMMI工場の閉鎖も同時に決定し、
そしてその頃テスラが自社工場の土地を探していた時に、ちょうどこのNUMMI工場の跡地が見つかり、格安で購入することができた、という経緯となっています。
また、こちらのフリーモント工場に関しては、その土地のコンパクトさから、電気自動車においてコアテクともなるバッテリーの生産は行われておらず、
ちょうどテスラ初の本格量産車であるモデルSの生産が軌道に乗り始めた2014年から、自社でバッテリーの生産に乗り出す計画を表明し、
よって、カリフォルニアのフリーモントからほど近いネバダ州に、日本のパナソニックと合弁して建設がスタートしたのが、
テスラ初のバッテリー生産工場であるギガファクトリー1であり、
2016年から生産をスタートさせながら、現在ではおおよそ40GWhクラスというような、
大手バッテリーサプライヤーが所有する大規模なバッテリー生産工場と肩を並べるほどの、大規模なバッテリー生産工場にまで規模を拡大している状況となっています。
現状脇役的なギガファクトリー2
次に、2017年から稼働をスタートさせ、主に、テスラの自動車事業とともに主力事業の1つでもある、太陽光発電用のソーラーパネルを始め、
途中2019年あたりから、テスラ専用の急速充電器であるスーパーチャージャーの製造も担っている、アメリカのニューヨーク州のバッファローに位置するギガファクトリー2も存在し、
こちらは電気自動車用のリチウムイオンバッテリーの生産は行っていないため、その存在感は薄いものの、
今後増大するであろうソーラーパネルの生産を担っていることもあり、今後注目されていくギガファクトリーとなるのかもしれません。
世界最大の工場を目指すギガファクトリー3
次に、テスラ初のアメリカ国外の工場であり、2018年末から着工し、2019年末には、テスラの主力商品であるモデル3の生産を開始するという爆速具合を発揮した、
中国上海に位置するギガファクトリー3に関してですが、
こちらでは現在ミッドサイズセダンであるモデル3に加えて、ミッドサイズSUVであるモデルYの生産もスタートし、
世界最大の自動車大国である中国国内の需要を満たすだけではなく、イギリスやオーストラリア、ニュージーランド、香港、そして我々日本市場というような、右ハンドル市場への輸出も担い、
すでに今年である2021年度における生産キャパシティが、本国のフリーモント工場と同じ規模に到達するとされているほどの、圧倒的な規模感で、その生産キャパシティを増強している最中ともなっています。
2021年末までに完成する2つのギガファクトリー
ここまでが、現在テスラが稼働している車両生産工場やバッテリー生産工場なのですが、
このリストにさらに追加されるのが、現在目下建設中である車両生産工場兼バッテリー生産工場が、なんと2箇所も存在するということで、
まずは、ドイツベルリンに位置するギガファクトリー4となっていて、
こちらは2019年末にその建設が正式発表され、こちらでは年産50万台という大規模な生産キャパシティを計画しながら、バッテリー製造工場も併設し、
まずは、現在世界的に人気のセグメントでもあるミッドサイズSUVセグメントのモデルYの生産からスタートさせ、
以前の動画でも解説しているように、テスラの最新のバッテリーセルの種類である4680セルも同時生産していく流れとなります。
さらに、そのギガファクトリー4とほぼ同時期から建設をスタートし、同じく今年である2021年末までのオープンを目指している、アメリカテキサスに位置するギガファクトリー5も存在していて、
こちらも全く同様に、特に北米市場において需要が大きく、フリーモント工場の生産だけではアメリカ全土をカバーすることができていない、まずは東海岸向けに、モデルYの生産をスタートさせるとしながら、
さらにこのギガファクトリー5においては、テスラが現在最もフォーカスしている、フルサイズピックアップトラックであり、その奇抜なルックスで話題を集めている、
サイバートラックの生産も、今年である2021年中になんとか開始させるともアナウンスしていますので、
特に今年は、このギガファクトリー5の建設の進捗状況については、非常に注目されている状況でもあるわけなのです。
すでに交渉の最終局面を迎えている?イギリス
このように、現在テスラに関しては、すでに世界各地に巨大な車両生産工場兼バッテリー生産工場を所有し、特に来年である2022年においては、その全ての工場がフル稼働してきますので、
その生産台数に関しても、現状の数倍のキャパシティとなる公算なのですが、
このような状況の中で、今回新たに明らかになってきたことというのが、そのテスラが、さらに新たな工場の建設地を模索しているということで、
特に直近において候補として名が挙がっているのが、ブレクジットによってついにヨーロッパ連合から脱退したイギリスと、
さらに、全くのノーマークであったロシアという2か国となっているのです。
まずはじめに、イギリス市場に関してですが、
実は、このイギリス市場におけるギガファクトリー誘致については、昨年である2020年にも一時期話題となってはいたのですが、
やはりイギリスのEU離脱問題である、いわゆるブレクジットによる正常の不透明さと、
そのヨーロッパ史上初のギガファクトリーであるギガベルリンの様々な話題によって、最近は話題に上がらなくなってはいたのです。
しかしながら、今回そのイギリス市場におけるギガファクトリー建設に関する話題が再燃した理由というのが、
実はこの5月中旬に、イーロンマスクはギガファクトリー4の工場建設の進捗が遅れていることを理由に、ドイツベルリンを訪れていたのですが、
フライトレコーダーの記録を追跡してみると、
イーロンマスクが登場していたプライベートジェット機は、その目的地であるベルリンに到着する前に、
イギリスのルートンという、ロンドンから北西に50kmほど離れた郊外の街に立ち寄っていて、
しかもその滞在日数が2日間と、おそらく99%の確率で観光目的ではないことは明らかですので、
つまり、イギリス市場において何かビジネス上大きな動きがあるのではないか、
したがって、以前から水面下では交渉が進み話題となっていた、イギリス市場においても、テスラの車両生産工場兼バッテリー生産工場であるギガファクトリーが新設されるのではないか、
という推測となっているのです。
ちなみに、現在のイギリス市場というのは、
現在ではヨーロッパ市場ではありませんが、その西欧諸国の中で最もテスラの販売台数が多い国ともなっていて、
ちょうど直近である2021年の1月から3月である第一四半期の販売台数が、7304台と、
同じく右ハンドル市場であり、同じく中国上海から輸入している我々日本市場の販売台数の、なんとおおよそ10倍近い販売台数を記録しているほどの大盛況ぶりでもあり、
したがって、特に現状ではモデル3しか販売せず、今後発売するモデルYの投入によって、その販売台数はさらに増える、
もしかしたら倍以上の販売台数にまで到達する可能性すら十分考えられ、
つまり、イギリス市場だけを見ても、その販売台数はかなり稼げる公算でもありますので、
現状だけを見ても、イギリスにそのギガファクトリーを建設しても十分費用対効果が見込まれそうでもあります。
ギガ・ロシア誕生!?
そして、さらに直近で浮上しているのが、そのギガファクトリーの建設を、なんとロシア市場においても計画しているということで、
こちらに関しては、直近においてロシア国内で開催された政府が支援する教育フォーラム内において、そのゲストスピーカーとしてイーロンマスクが招待された際に、
現状の国外の生産工場以外にも、さらにその生産工場を拡大させる方針を明らかにし、
なんとその建設候補地に、そのロシアも含まれていると発言したのです。
というのも、実は以前イーロンマスクは、その当時一瞬だけ流行していた音声アプリであるクラブハウスを使って、会話をしないかという提案を、なんとロシアの大統領であるウラジミール・プーチン宛にツイートしていて、
そもそも論として、なぜプーチン宛に対話を求めたのかは全くの謎ではあるのですが、
何れにしても、イーロンマスクはロシアに対し興味を持っている印象であり、
その後、このツイートをきっかけとして、そのロシアの政府関係者がイーロンマスクに提案し、今回のフォーラムに出演したという経緯ともなっています。
ただし、今回の発言の内容については、すぐに工場建設を進めたいというようなトーンではなく、
今後さらにテスラが認知された暁に、何処かのタイミングで工場建設に発展することができればいい、というようなニュアンスではあり、
さらに、このロシア以外にも、旧ソ連地域であるカザフスタンなどの地域も、その生産工場建設の候補地として視野に入れているとも発言していますので、
ギガロシアがすぐに実現するということではないとは感じます。
ロシア側はイーロンマスクに積極的アピール開始
しかしながら、今回のイーロンマスクのロシア国内における工場建設の話題が飛び出してからは、
そのロシアの様々な関係者がイーロンマスク宛に、その工場建設の話を前向きに検討する旨の発言が相次いでもいて、
特にロシアの産業貿易省という、おそらく日本で言うところの経済産業省に当たる公式機関が、
イーロンマスク宛に、その工場建設に対して是非前向きに進めてくれるように、まずはロシアに招待するとも発信しているくらいであり、
もし仮に、イーロンマスクが望んでいた、プーチン大統領との面会も含めてロシア訪問がセッティングされた暁には、
冗談抜きで、テスラの生産工場がなんと全くのノーマークであったロシアの地に誕生する可能性も、十分に想定することができるのです。
ギガファクトリー6はどこだ?
何れにしてもこのように、現在すでに世界各地に工場を建設しているテスラに関しては、この直近で、さらにその新たな工場建設に関する動きが水面下で進んでいる可能性があり、
特にイギリス市場における新たなギガファクトリーの建設に関しては、その増大する需要に対応するという意味において、割と現実味を帯び始めていると考えていますので、
特に直近でアナウンスされる可能性のある、さらなる最新情報に関してもわかり次第アップデートしていきたいと思います。
From: Reuters
Author: EVネイティブ
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