【EVいつ買うの、今でしょ!】経産省がEV購入に対する補助金をアップさせる可能性

日本

経済産業省が、来年度の電気自動車購入補助金の予算を倍以上という、大幅増額を要求する方針を取りまとめ、

特に日本の国民車でもある軽自動車EVの導入に合わせて、ガソリン車と同等の実質購入金額を実現できるように、

現行の補助金額よりもさらに増額されるという超朗報の可能性についてを、

特に個人的に指摘したい、現状の補助金制度の問題点と改善提案を交えながら徹底的に解説します。

EV販売台数で明暗が分かれている日本とドイツ

まず、今回の我々日本市場における電動化に関してですが、

現在先進諸国を中心に加熱する電気自動車の人気とは裏腹に、残念ながらその盛り上がりに欠けているのが現状であり、

例えば直近である7月度の電気自動車の販売台数は3669台であり、

新車販売全体に占める電気自動車の販売台数の割合を表す電動化率はというと、たったの1.7%と、

つまり今だに60台に1台程度しか電気自動車が売れていない

さらにその上、その中でも日産リーフやテスラなどの、搭載されている大容量のバッテリーに充電して貯められた電力のみで走行する、完全な電気自動車のみにフォーカスすると、

その電動化率はたったの0.9%

つまり、今だに完全電記事自動車は100台に1台も売れていないという、非常に厳しい現実となっているのです。

それに対して、我々日本市場と全く同様に自動車大国であり、そのマーケットの大きさに関しても、日本に次ぐ世界第4位に位置しているドイツ市場については、

その直近の7月度の電気自動車の販売台数が55618台と、日本市場の15倍以上もの電気自動車が売れているだけでなく、

その新車販売全体に占める電気自動車の割合である電動化率については、すでに23.5%と、

なんとドイツで売れている新車販売全体の4台に1台程度が、すでに電気自動車となってしまっているとイメージしていただければ、

ただ自動車マーケットの小さい国で電気自動車が盛り上がりを見せているのではなく、

このような自動車大国であるドイツ市場においても、現在電気自動車の大津波が押し寄せているということがお分かりになると思いますし、

そして、最も興味深いポイントというのが、

この自動車大国という観点で非常に似通っている日本とドイツの電動化のグラフを比較してみると、

なぜか日本市場というのは、ドイツをはじめとする世界で観測できる、この数年の圧倒的な成長というトレンドに反して、

その電動化率は横ばい、販売台数という視点で言ったら、むしろ減少トレンドにすらあるという、

この点からも、日本の電気自動車市場というのは世界のトレンドと逆行している、

まさに電気自動車ガラパゴス市場である、ということなのです。

経産省のEV補助金予算額が倍増!

そして、このような世界の動きと逆行するという迷走ぶりを発揮している日本市場においても、

いよいよ2030年台半ばまでに、新車販売におけるガソリン車やディーゼル車の販売を禁止にする方針を取りまとめ、

今後は電気自動車やハイブリッド車などの電動車の販売のみに完全移行するという方針を発表し、

この規制に従うために、今後自動車メーカー各社が電動車のラインナップを拡充し、より多くのユーザーに訴求する流れにもなりますので、

特に本メディアにおいては、今後も日本市場でどのような電気自動車が販売されるのか、

電気自動車としての質を示す満充電あたりの航続距離や充電性能、搭載バッテリーのスペックなど、

その質を定量的に分析していきたいと思いますし、

さらにその日本メーカーの電気自動車と、海外メーカー、特に電気自動車のリーディングカンパニーであるテスラを筆頭に、

さらには中国の電気自動車スタートアップの電気自動車などと比較して、

いったい日本の電気自動車の質は、海外勢と競争力のある質を達成できているのかなど、世界の中の日本という視点からも冷静に俯瞰していきたいと思います。

そして、そのような日本市場の電動化の流れの中で、今回新たに明らかになってきたことというのが、

経済産業省が、来年である2022年度予算の概算要求において、

電気自動車に対する購入補助金の予算を、今年度の予算額であった155億円から、

なんと倍以上の335億円を計画していることが、日本経済新聞の報道から明らかになってきたのです。

というのも、現在の管政権下に策定された2020年度の補正予算案から、

電気自動車の購入に対する補助金を、元々の最大42万円という補助金額から、なんと最大で80万円と、ほぼ倍増されたという経緯があり、

今年度である2021年度においても、その電気自動車購入に対して最大80万円という補助金政策が継続していたのですが、

やはり来年度以降、この最大80万円という電気自動車購入の補助金が継続されるのかという点は、

現在電気自動車の購入を真剣に検討している方たちにとっては、かなり重要な問題であったと思われますし、

実際問題として、この補助金の政策の続報に関して私自身に対するコメントでも、高頻度で見かける状況であったのです。

したがって、今回の報道ベースの情報が仮に正しかった場合は、

来年である2022年の4月以降についても、電気自動車購入に対する補助金政策が継続される可能性が極めて濃厚となりますので、

まずは、現在電気自動車の購入を検討中であり、

特にその補助金の有無によって、その補助金がまだ適用できる2021年内に購入を即決してしまおうと考えていた方については、

特に即決する必要性はなくなるということになりますので、

例えば、日産アリアの購入を検討していたが、補助金を確実に適用するためにリーフを即決してしまおうであったり、

本当はSUVセグメントのテスラモデルYの購入を検討していたが、

補助金の関係上、モデル3を即決してしまうべきかと言って悩んでいた方については、

この報道でもって、その即決を一旦待って、補助金のことを抜きに再度購入計画を組んでもらって問題ない公算であるかと思います。

来年度もEV補助金は余裕をもって受けられそう

ただし、今回の報道というのは、経済産業省の補助金政策であるという点は、一点押さえておかなければならない点であり、

というのも、現在の電気自動車に対する補助金政策というのは、大きく3種類が存在し、

まずは、今まで適用することができていた最大42万円という補助金政策は、そのまま全ての電気自動車に関係なく適用することができ、

それとともに昨年末から新たに追加されているのが、まずは今回の経済産業省が主導する補助事業であり、

こちらは基本的に、その電気自動車に充電された電力を外部給電機などへ給電することができるか、

もしくは1500Wの車載コンセントが装備されているか、という条件が付きますので、

この条件に適合する車種というのが、現状日本メーカーが発売している完全電気自動車とプラグインハイブリッド車のみとなります。

From: 次世代自動車振興センター

さらに、こちらの経済産業省主導の補助事業については、その補助金額が最大60万円と、最大80万円という上限金額よりもやや少ないということになり、

さらに申請者も法人や地方公共団体は含まれず、個人のみと制限されますので、この点からも、その対象がやや限られているのです。

しかしながら、この経産省の補助金についても、9月の中旬でその補助金の予算が尽きるというアナウンスがされていますので、

やはり一定の需要があったことが示唆されている、

つまり、来年さらにその対象となる電気自動車が増えることを受けて、その補助金の予算をさらに引き上げてきた、

今回報道されている概算要求額においては、その倍以上もの、なんと355億円ということですので、

来年度についても、基本的には補助金争奪戦というよりかは、

しっかりと申請すれば、ほとんど全ての方がしっかりと、最大60万円という補助金を適用することができる公算になった、ということですね。

補助金自体の上限金額も増える可能性?

そして今回の報道によれば、その倍増される予算によって、ただ単純に、その申請車種の許容上限を増やすのではなく、

そもそもの補助金額についても、引き上げを検討している最中であるということで、

つまり、今年度適用することができていた最大60万円という補助金の上限が、もしかしたらさらに増額、

おそらくその金額の目安に関しては、現状の環境省が主導している補助事業における、最大80万円という金額を数値目標としているのではないかと推測していますが、

いずれにしても、その対象車種が同じであるのであれば、国産車、特に車載コンセントが搭載されている車種については、

マックスの80万円を適用することができる可能性が出てきているのです。

また、少し触れた環境省の補助事業についてですが、

こちらは自宅で使用する電力契約を、100%再生可能エネルギーで賄うことができる電力契約に変更した場合、

最大80万円という補助金を適用することができ、

先ほどの経産省の補助政策とは違い、基本的には全ての電気自動車が対象車種となりますので、

海外メーカーの電気自動車、それこそ海外勢で最も売れているテスラ車を購入した方は、

この環境省の最大80万円という補助金を適用することになります。

そして、今回の経産省の補助事業の継続の可能性濃厚ということを受けて、

この環境省主導の補助事業に関してもほぼ間違いなく、2022年度以降も継続される可能性が高まったということで、

基本的にこの2つの補助事業は連動していますし、

さらに今後の注目ポイントというのが、この環境省の予算規模を、経産省と同様に今年度よりも増やしてくるのか、

仮に増額してきた場合、現状の補助金の上限である80万円という上限をさらに増やしてくるのか、などという、さらなる補助金の拡大適用を期待することができますので、

こちらの、より多くの方がその動向を注視している、環境省の補助事業の、来年度の予算、およびその内容については、

最新情報がわかり次第、情報をアップデートしていきたいとは思います。

現状のEV補助金制度の問題点

そこで、私自身が是非とも環境省や経済産業省に訴えたい、この電気自動車購入における補助金の内容についての改善提案をいくつか説明させていただきたいのですが、

まず第一に、今回その増額が議論され、もしかしたら環境省の補助金においても、

その補助金額が増額される可能性すらある、その補助金の上限額についてですが、

仮に予算が大幅増額されたとしても、その上限は、経産省側でも最大80万円、

そして環境省においても、現状の最大80万円を上限値として据え置くべきである、という点です。

これをいうと、電気自動車推進の立場の方であれば、もっと補助金額を引き上げるべきだろと考える方がマジョリティであると思われますが、

そもそもこの80万円という金額というのは、グローバルで見ても特段低い数値ではなく、

むしろグローバルスタンダードという観点では、平均より高い水準ですらあり、

特に再生可能エネルギーの割合が低い日本市場という意味においては、その環境省の補助事業の条件である再エネとセットにし、

国内の再エネ事業者も育てて行くという補助政策というのは、一定程度合理的でありますので、

何れにしても、この上限を、さらに引き上げる必要はないと考えています。

政府は2030年までにCO2排出量46%削減も目標設定

しかしながら、現状の補助金制度で問題であるのが、

高級電気自動車に対しても、全く同様にその最大80万円という高額な補助金が適用されてしまっている現状であり、

特にドイツメーカーやテスラの発売している高級電気自動車に関しては、軒並み1000万円近い値段設定であり、

それに対しても、上限80万円を一律に支給するというのは、流石に不公平であるのです。

実際に、そのことを考慮して、ドイツやイギリスなどの欧州各国、さらには中国、

そして、現在審議中であり、最大136万円レベルの税制優遇措置を検討しているアメリカという、

電気自動車購入に対する補助政策を打ち出している、ほぼ全ての先進諸国が、

その補助事業を適用できる電気自動車を、その本体価格によって制限していて、

例えば、欧州各国では、大衆車セグメントのみに適用させるために、日本円に換算して概ね500万円台程度の車種を上限としていたり、

さらにアメリカ市場に関しても、現状審議中の法案の中身では、800万円台という本体価格の上限を設定していたりするのです。

「勝ち抜けおじさん」に補助金を適用させてはいけません

したがって、我々日本市場においても例えば、

勝ち抜けおじさんがテスラの1000万円級の電気自動車を何台も購入し、それぞれに最大80万円もの補助金を適用していますなんていう驚愕の事実が、

現状本当に起こってしまっているとイメージしていただければ、

やはりそれは不公平であるだろうと感じる方が、圧倒的多数であるでしょうから、

今後議論が活発化していく2022年度の電気自動車の補助金については、

まずはグローバルスタンダードである、その車両価格の上限を設定、

個人的には概ね700-800万円程度を一つの目安として、制限をかけることが必須であると思います。

軽自動車EVにはより手厚い補助金を!

また、もう一点重要な議論になってくることというのが、

特に来年中旬に実際に発売がスタートする、日産と三菱であったり、その後にホンダも発売を計画している、

軽自動車セグメントの電気自動車に対する補助金額をどうするのか問題に関してですが、

こちらは私自身の個人的見解として、

我々日本市場の電動化を一気に盛り上げていくためには、

やはり日本市場の4割を占めている、軽自動車を電気自動車化することが急務であり、

しかしながら、2021年現時点においては、そのバッテリーのコストが下がりきっていない状況といいうこともあり、

なかなか内燃機関車の軽自動車と比較しても、割高になることは避けられませんので、

是非ともこの軽EVを成功させ、日本の電動化を推進、

特に本メディアにおいては、日本の電動化は地方から始まるというスローガンのもと、

その電気自動車の最強の強みである自宅充電の恩恵を最大限生かすことができる、軽自動車の電気自動車化を訴えてきました。

Nissan IMk

何れにしても、今回の電気自動車補助事業の予算倍増によって、

その補助金をどのように分配するのか、

それは、現状の補助金額をさらに積み増したり、

これまでのように、勝ち抜けおじさんが得をするような、高級車にも等しく補助金を適用させるのではなく、

このような国民車である軽自動車セグメントの車種に、より手厚く補助金を適用させる、

少なくとも、例えば現状発売されている、三菱のミニキャブミーブにおける最大24万円という補助金額をさらに積みまし、

この軽EVにこそ、その補助金額を倍近い、最大40万円近い金額に設定するべきである、ということなのです。

普通充電器の設置をEV補助金適用の必須条件に

また、その軽EVに対する補助金の適用について、個人的にさらに付け加えていただきたい条件というのが、

仮に軽自動車セグメントの電気自動車に、そのような現状よりもさらに高い40万円程度の補助金を適用したい場合は、

自宅やそれに準ずるところに、必ず普通充電器を設置しなければならないという制約を設けるべきである、という点であり、

こちらについては、仮に軽EVが一気に普及してしまった場合、

充電インフラ拡充のタイムライン的に、まだその充電インフラの整備が追いついていない可能性が極めて高く、

したがって、その利便性が大幅に低下してしまい、

それによって、補助金を目当てに購入した軽EVオーナーに対して、より電気自動車運用にネガティブな印象を与えてしまうことにもつながるのです。

よって、その軽EVに、より高額な補助金を適用させるのであれば、

自宅で充電できる環境を用意できるユーザーに限定することで、

街中に設置される急速充電インフラで充電を行う割合を、極めて減少させることにも繋がり

結果として、充電インフラの普及とのバランスを短期的に図ることができる、というわけなのです。

このように、今回経済産業省による、電気自動車に対する補助事業の予算を倍増する方針を示してきたという報道については、

やはり世界的な電気自動車の流れの中において、特に電気自動車発展途上国としては必須であると思いますし、

おそらくその事業内容で連携している環境省の補助事業についても、今後予算の大幅増額の話が出てくると考えられる一方で、

やはり、現状の補助政策については、いくつか修正しなければならない点も存在し、

特に高級車に対しても等しく補助を受けることができる制度については、グローバル基準においてもやめるべきであると思います。

さらに、日本EV市場の火付け役として、その高級車を冷遇した分、軽EVに対する補助を拡大適用させ、

現状の20万円台という金額から、さらにその金額をアップ、

しかしながら、その軽EVの最も適切な運用方法である自宅充電を推進させるために、その補助金を拡大適用したい方については、

自宅などに普通充電器を設置していなければならないなどの制約を課すことも、同時に求められると思いますので、

何れにしても、電気自動車発展途上国をすぐにでも脱し、先進諸国の電気自動車化の流れに追いつくためにも、

まずは補助政策を、ただ単に補助金額を増額するということではなく、”適切に”導入することによって、

さらに電気自動車の販売台数、インフラが拡充されることに期待していきたいと思います。

From: 日本経済新聞

Author: EVネイティブ