テスラが新型モデルSの納車大幅遅延に対して、その該当オーナーに謝罪のメールを送信しましたが、
以前から予約をしていたオーナーよりも、その後110万円も値上げされた直近に予約したオーナーへの納車を優先するばかりか、
その以前から注文していたオーナーに対して、より早い納車のために、110万円を追加で支払わせようとするという衝撃的なセールス方法もリークされているということについて、
そのテスラの販売方法、およびその納車戦略を徹底的に批評します。
テスラ製世界最速EVは6月納車スタート済み
まず今回の新型モデルSに関してですが、テスラが今年である2021年の初めにその登場を予告し、現行型であるRavenをさらに進化させたPlaidというモデルとなり、
特にそのパフォーマンス性能を大幅に向上させるために、搭載モーターやバッテリーパックを含めたドライブトレインを刷新し、
まずは、その最新のモーターを搭載することによって時速100kmまで加速するのにかかる時間が、なんと2.1秒と、市販車最速の加速性能を達成すると主張しながら、
さらにその驚異的な加速性能を、トップスピードである時速322kmまで維持するために、その最大トルクがほぼ落ちないという、
既存のスーパーカーでも考えられないほどの圧倒的なパフォーマンス性能を達成することに成功しているのです。
さらに、そのようなパフォーマンス性能をサーキット走行時においても最大限発揮するために、バッテリーパックの冷却機構を改善し、
それによって、現行型のRavenにおいて問題となっていた、度重なる高速走行によってバッテリー温度が上昇し切ってしまい、その出力を制限せざるを得ない、
いわゆる熱ダレ問題を解消することに成功しているとも説明していますので、
今回の最新型、特にそのパフォーマンスグレードであるPlaidグレードの、実際のサーキット走行時におけるパフォーマンスについても非常に期待することができるのです。
そして、その最新型のモデルSに関しては、今年の2月中には、実際の納車をスタートするとアナウンスしていたのですが、
その後3月中の納車、4月中の納車、などなど、複数回に渡る納車のタイムラインのプッシュによって、
一体いつになったら実際の納車がスタートするのかと、特にそのオーナーの間で話題となりましたが、
ついに6月中にも、その納車イベントとともに実際の納車もスタートし、いよいよその納車体制が一気に拡充すると考えられていました。
8月現時点で納車は順調ではなさそう
しかしながら、その納車イベントの後に関しては、最新型のモデルSの納車がほとんど行われておらず、
実際問題として多くのメディアが、その納車待ちのオーナーからの納車遅延に対する不満を報道していて、
以前も解説している通り、実はこのさらなる納車遅延に関しては、その最新型のモデルSのPlaidグレードにおいて発火事故が発生してしまっていて、
8月現時点においても、今だにその出火原因については調査中ということにはなっていますが、
その納車の一時停止という動きというのが、この一連のPlaidグレードの火災案件によって、さらに安全性を再確認していたのではないか、
実際に、モデルSの納車遅延の理由を説明した以前のイーロンマスクの発言においても、
冒頭説明したように、バッテリーパックの冷却機構をはじめとするデザインの刷新を行ったことによって、その安全性を再検証しているという趣旨の発言をしていたのです。
また、テスラの納車台数を精度高くウォッチするインフルエンサーによると、
その納車の一時停止から再開した後においても、このように、その納車台数は低水準に留まっているというのが八月現時点での最新動向であり、
要するに、今年の2月中に納車をスタートするとアナウンスしていた最新型のモデルSに関しては、
半年以上が経過した8月現時点においても様々な要因が重なって、今だに本格的な量産には至っていない、という状況であるわけなのです。
納車予定時期を勝手に削除して、予定時期大幅遅延
そして、そのような背景において今回新たに明らかとなってきたことというのが、
まずそのその納車が間近となることを示す、車両識別番号が割り振られ、一度はそのオーナーの注文ページに表示されたのにも関わらず、
なんとテスラ側が無断でその車両識別番号を消去し、その納車予定時期も白紙撤回してしまうという事態となっていて、
つまり、すでにその納車時期が確定し、そのスケジュールが個人の購入ページに表示されていたのにも関わらず、
テスラ側がなんのコミュニケーションをとることなく、勝手にその納車スケジュールを削除してしまっているという、
通常の自動車販売に関わらず、顧客に何か物を売るという商売においても極めて非常識な対応であり、
流石にこのような対応に不満を示した、最新型モデルSのオーナーの15人以上が連名で、
この一連のテスラ側の不誠実な対応について、改善を求める抗議文を提出している事態にまで発展してしまっているのです。
まずこちらの一連の対応に関してですが、テスラを擁護するわけではないですが、
やはりテスラのアジャイル的な販売戦略上、確かにその納車時期が延長されてしまうということは致し方ないと思いますし、
逆に、そのような販売体制によって、車両のコストを抑制することにつながっていたり、
それによって、むしろその納車時期を柔軟に対応することができるというメリットも存在しますので、一概に非難されることではないとは感じます。
しかしながら今回のように、テスラの慣例でもある、車両識別番号が表示されてから、さらに納車予定時期すらも表示された後にも関わらず、
そのオーナーに一言入れるわけでもなく、独断で勝手に、その納車時期をリスケジュールするばかりか、
その車両識別番号、およびその納車予定時期を削除してしまうという行動というのは、全く擁護できる行動ではなく、
こちらは、テスラに肩入れする記事が多い電気自動車専門メディアであるElectrekでさえ、
そのテスラの姿勢を痛烈に批判しているくらいとなっています。
テスラは問題点を認めてきたが、、
そしてテスラに関しては、このような抗議に対して反応を示してきたということで、
そのテスラ側のメールの内容というのは、
最新型のモデルSの納車時期のアップデートに関して、その対応に不備があったことを認めて、理解を示し謝罪を行ってきたということで、
今後、その実際の納車予定時期については、精度高くアップデートするために努力する、という趣旨のメール内容となっていて、
まずこちらのメールに関しては、実際のオーナーから指摘された問題点をしっかりと認めて、
その該当オーナーに対して、しっかりとコミュニケーションをとってきたことになりましたので、まずはこの対応を評価することができると思います。
しかしながらこのような対応とは裏腹に、テスラ側の異常とも呼べる顧客対応が明るみとなってしまっていて、
こちらは先ほども取り上げた、基本的にはテスラに肩入れすることの多い電気自動車メディアであるElectrekが報じてきている内容によると、
このテスラからのメールが配信された後にも関わらず、
8月中に納車予定であった最新型モデルSオーナーの納車予定時期が、その事前説明なしに勝手に10月にプッシュされてしまっているそうなのです。
また、最悪のケースの場合ですと、何人かのオーナーは、こちらもテスラからの事前説明が全くないままに、
その納車予定時期が、なんと来年である2022年の2月までプッシュされてしまっているということで、
最悪の場合、2021年の1月に注文したオーナーは、2022年の2月まで、さらに待たされてしまっているという事態に発展してしまっているわけなのです。
さらにツイッターをのぞいてみると、昨年である2020年の9月20日、
つまり、テスラがモデルSのPlaidグレードの予約ページを最初に開設したその日に注文した、まさに初期のオーナーに関しては、
なんとその納車予定時期が2022年の2月という表示となってしまい、
しかも最も問題であるのが、そのオーナーの近所に住んでいる、同じく最新型モデルSオーナーについては、
それよりもずっと後に注文していたのにも関わらず、すでに納車が完了してしまっているという、明らかな不公平が生じている状況ともなっているわけなのです。
110万円支払えば納車を早めることができる?
繰り返しとはなりますが、確かに昨今の半導体不足の影響をはじめとして、
今回のテスラに関わらず、自動車メーカは様々な理由でその納車が大幅に遅延してしまっている状況であり、
実際に、そのテスラの発売しているミッドサイズSUVであるモデルYの競合車種であるフォードのマスタングマックEに関しても、
全く同様にその納車が6週間程度も遅延してしまっていますが、
こちらはフォード側から正式なメールが届き、その納車遅延の理由を明確に説明するばかりか、
その追加の納車遅延に対して、250kWh、航続距離に換算しておおよそ1500km分の無料充電特典を付与するという、アディショナルな対応を見せるなど、
何れにしても、その納車を待っているオーナーに対して、
なぜその納車が遅れてしまっているのかをしっかりと説明しているという点において、テスラとは全く異なる対応を取っているわけなのです。
そして、ここまでのテスラの一連の対応だけではなく、今回個人的に指摘したい、テスラの納車遅延における衝撃の対応というのが、
全く同様にElectrekによれば、なぜ当初から注文しているオーナーよりも、その後に注文を完了させたオーナーの車両を優先して納車しているのかの理由に関して、
その車両価格の差によって、対応を区別しているのではないかという理由が上がっていて、
というのも、実は今回のモデルS、特に上級グレードであるPlaidグレードについては、
6月10日の納車イベントの前日に、突如1万ドル、日本円にして110万円もの大幅値上げを断行してきたということで、
つまり、6月9日以前に注文したオーナーと、9日以降に注文したオーナーとで、支払い金額に大きな差が生じているわけなのです。
その上でテスラ側が、その値上がりした後に注文した、
つまり、110万円も余分に支払いを行なっているオーナーに対して優先して、モデルS Plaidの納車をスタートさせ、
逆に、以前から注文しているオーナーに対しては、その分納車が遅れてしまっているのではないかと指摘していて、
実際問題として、その以前に注文を完了させていたオーナーに対して、110万円を余分に支払えば、
より早い納車を完了させることができるとさえコンタクトが図られているそうであり、
こちらが仮に真実であるとすれば、そのテスラのオーナーに対する姿勢は一発アウトであり、
通常テスラに好意的な立場を表明することの多いElectrekをはじめとする電気自動車メディアでさえ、こちらは明確に非難の立場を表明していたりもします。
テスラ黎明期を支えた初期ファンを大切にしてます?
何れにしても、このような一連のテスラの最新モデルであるモデルSの納車遅延における対応については、
以前から指摘している通り、明らかにオーナーとのコミュニケーション不足によるものであり、
特に、車両識別番号、および納車予定時期を一方的に削除し、しかもその納車予定時期を大幅に延長してしまうというのは、
ただテスラ側の都合によるものであり、
少なくともその該当オーナーに対して、しっかりとその経緯を説明、
特に、なぜその納車が遅れてしまっているのかという理由をしっかり説明することは、商売において最低限求められることであるとは感じます。
また、すでに以前から注文を完了させているオーナーの車両よりも、
なぜかそれ以降に注文を完了させてしまっているオーナーの車両の方が、その納車時期が早いという状況というのは、
そもそもなんのために早くから手付金を支払い、注文を完了させたのかが、オーナー側からしてみれば不公平にしか感じられないと思いますし、
特にその納車予定時期が確定していたオーナーであれば、
すでに現在所有している車の売却を済ませていたり、新たな保険への加入やローンの返済など、様々な予定が狂ってしまうわけなのです。
しかしながらそれと同時に、以前から予約を完了させているオーナーではなく、
余分に金額を支払っている、後発で注文しているオーナーに対して優先して納車を行うだけではなく、
しかも以前から注文を完了させていたオーナーに対して、
納車時期を早める代わりに、余分にその金額を支払うようにするという行動が仮に真実であったとした場合、
流石に擁護するに値せず、
特に当初から注文を完了させていた、熱狂的なテスラオーナーに対しての背信行為であるとも感じますので、
果たしてテスラ側がこのような批判に対して、今後どのような対応を行なってくるのか、
テスラ側が、今回の世界最高の性能を誇る電気自動車を誠実に販売するために、
既存オーナーに対して、その納車遅延の理由をはじめとして、しっかりとコミュニケーションを図ろうとするのか、
それともそのようなロイヤリティーを裏切るような形で、この独善的な納車方法を押し通してくるのか、テスラの懸命な判断に期待したいと思います。
From: Electrek(model S owner complaint)、Electrek(Tesla apology)
Author: EVネイティブ
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