現在アメリカ市場で3番目に売れている人気の電気自動車であるシボレー・ボルトが、充電中に発火のリスクがあるとして、
全世界で7万台近いという超大規模なリコールを発表しました。
シボレー・Boltはテスラの次に売れている電気自動車
まず今回のシボレーに関してですが、アメリカ最大の自動車メーカーであるGMの大衆車ブランドとなっていて、
日本では全く知名度はありませんが、特にアメリカ国内においては、ピックアップトラックなどをはじめ、根強い人気のあるブランドとなっています。
そしてそのシボレーが、2016年に発売を開始したのがBoltというハッチバックタイプの電気自動車となっていて、
現在アメリカ市場だけでなくヨーロッパ市場へも展開されているモデルなのですが、
このBoltに関しては、特に北米市場における電気自動車マーケットで独壇場であるテスラに続いて、一定の成功を収めている電気自動車であり、
現在の北米市場に関しては、テスラのミッドサイズセグメントであるモデルYとモデル3が共にぶっちぎりで、圧倒的な販売台数を記録してはいるものの、
その後に、今回のBoltがつけ、第3位という人気車種ともなっていますので、
何れにしても、その北米市場において、電気自動車としての地位を一定程度確立することができているのです。
ちなみにですが、このBoltの電気自動車としての質を簡単に紹介すると、
ちょうどこの夏から順次納車がスタートするのが、直近でフルモデルチェンジが行われたBoltであり、
そのラインナップも、通常のハッチバックタイプのBolt EVと、
全体的にややサイズ感をアップし、コンパクトSUVライクにデザインされた、Bolt EUVという2種類のラインナップに増やし、
その搭載バッテリー容量が、65kWhというミッドサイズのバッテリー容量を搭載しながら、
高速道路を時速100kmでクーラーをつけても達成可能であるというような、実用使いにおいて最も信用に値するEPAサイクルにおいて、最大417km走行することができ、
東京名古屋間を余裕を持って走破することが可能とイメージしてもらうと、そのポテンシャルの高さを感じることができるとは思います。
しかしながら今回のBoltの最も特筆すべきポイントというのは、その値段設定であり、31995ドル、日本円に換算して354万円から購入することができてしまい、
この値段設定に関しては、モデルチェンジ前と比較して、35万円以上も値下げを行なってきてもいますので、
何れにしても、なぜこのBoltが、テスラに続いて一定の販売台数を達成することができているのかが、
この実用的な電気自動車としてのスペック、およびその圧倒的な安さ、そしてその総合的なコストパフォーマンスの高さから垣間見ることができるのではないでしょうか?
Boltのリコールは初めてではない
しかしながら、そんなBoltについて今回新たに明らかになってしまったことというのが、
そのBoltに搭載されているバッテリーパックから発火案件が複数回報告されてしまい、
全世界を走っている、合計69000台近い車種、具体的には、2017年から2019年までに製造されたモデルがリコール対象となってしまったのです。
よって、昨年マイナーチェンジを果たしている2020年モデル、
および冒頭解説した、フルモデルチェンジ後のBoltに搭載されるバッテリーの安全性は担保されているようで、そのリコール対象からは外れていますが、
実は今回のBoltのリコール案件というのは、今回が初めてではないという点が最も重要であり、
昨年である2020年の11月中に、すでにバッテリーからの発火のリスクがあるとして、すでに今回と同じく、69000台近い対象車種にリコールをかけていて、
その際は、バッテリーマネージメントシステムのソフトウェアアップデートのみによって、そのバッテリー発火のリスクをなくすことができると説明されていました。
しかしながら、そのリコール対応が行われたにも関わらず、その後もバッテリーからの発火案件が相次いでしまい、
ソフトウェアのアップデートだけではバッテリー発火の危険性を除去できていないのではないかという指摘が相次ぎ、
そして今回シボレー側が、69000台弱というもともとのリコール対象車種全てに対して再度リコール申請を行い、
今回は、欠陥が発見されたバッテリーパック内のモジュールの交換を行うという、ハード面に対するリコール対応を行う方針を示しましたので、
おそらく今回のリコール対応によって、バッテリー発火問題は終息に向かうのではないかと推測することができます。
そして、今回のBoltに搭載されているバッテリーというのは、韓国のLGエナジーソリューション製となっているのですが、
実はこのLG製のバッテリーパックを搭載している、同じく韓国ヒョンデのKonaという電気自動車も、
つい最近になって、世界中で約77000台もの膨大な台数が、バッテリーからの発火リスクがあるとして、バッテリーパックを交換するという大規模リコールをしたばかりとなっていて、
そのKonaの発火案件については、すでにヒョンデ側のバッテリーマネージメントシステムではなく、
LG側の製造したバッテリーセルの欠陥であることが第三者機関の調査結果によって確定していますので、
今回のBoltの発火案件に関しても、LG側のバッテリーセルの問題がある可能性が高いのではないかとも推測することができそうですが、
こちらの原因究明については、わかり次第情報をアップデートしていきたいとは思います。
EVの発火案件は度々報告されている
ちなみに、今回のBoltのリコールはかなりの大規模リコール案件となりますので、すぐにバッテリーの交換を行うことができず、
よってシボレー側は満充電まで充電するのではなく、最大で90%の充電量で充電をやめることができる機能を使用し、
さらに充電残量が航続距離にして100km程度を下回らないように、一定程度のバッテリー残量を残せるように、できるだけ気をつけながら、
そして万が一の状況を考慮して、自宅などのガレージ内に駐車することを控え、また、夜間を通して充電し続けることもやめるように推奨されています。
そして、このようなバッテリーからの発火案件というのは、
今回のシボレーやヒョンデの電気自動車だけでなく、そのほかの一部の電気自動車でも複数確認されているのですが、
以前の動画でも速報として取り上げた、テスラが先月である6月から納車をスタートさせている、フラグシップセダンであるモデルSの最新モデルについても、
納車してからたったの数週間で発火案件が確認されてしまっていて、
現時点においては、一体今回の火災案件がバッテリーパック内部から出火したのかなどの詳細は判明していない状況なのですが、
実は、先月納車がスタートしたはずである最新型のモデルSは、
現在グレードに関わらず、その納車が現在一時中断してしまっている状況ともなっていて、
すでに、最寄りのデリバリーセンターにまでその車両は到着済みであり、
一部の納車予定のオーナーによれば、納車前日までテスラ側からコンタクトがなかったものの、
急遽追加の検査が入ったということで、その納車が中断してしまっているのです。
EV発火させたメーカーは、真摯な原因究明を
そして、この納車の一時中断に関して、複数のメディアなどで推測されている理由というのが、
その最新型のモデルSからの発火事故が、現在納車が一時ストップしてしまっている要因なのではないか、
したがって、テスラ側が説明している検査というのが、今回の発火案件による、何かしらの検査や修理を行なっているのではないかと推測されている、ということなのです。
もちろん現時点では、この納車遅延の理由については推測の域を出ませんが、
今回の最新型のモデルSの納車については、もともと2月中に行われるはずであったのにも関わらず、結局は6月中にま大幅遅延し、
その理由についてイーロンマスクは、
新たに採用したバッテリーパックの構造も含めて、そのバッテリーの安全性をしっかりと確保するためであったと説明していて、
つまり、そのバッテリーの安全性に様々な困難を抱えていたことは明白ですので、
もしかしたら直近で発生してしまっていた発火事故を受けて、その安全性を再チェックしているのではないかと、その推測を補強することが可能なのです。
何れにしても、前半に紹介したシボレーのBoltであったり、ヒョンデのKona、そしてテスラ車については、
残念ながらバッテリーからの発火事故という、電気自動車の推進においてネガティブとなる要因を複数回起こしてしまっていますが、
逆に、そのようなバッテリーからの火災事故を全く起こしていない、
例えばすでにグローバルで50万台以上も発売しながら、今だにバッテリー発火案件が確認されていない日産リーフなども存在しますし、
そのような安全性に注力している電気自動車に対する冒涜行為でもありますので、
とにかくそのバッテリー発火の原因究明を、ヒョンデのように第三者機関がしっかりと行い、Boltに関しても、バッテリーセルの不良によるものであったのか、
また、特に現在納車が一時中断してしまっている最新型のモデルSに関しても、そもそもその納車遅延の要因がなんであるのか、
もし仮にバッテリーの安全性を再確認しているのであれば、すでに納車されてしまっている最新型モデルSはそもまま走行し続けていても大丈夫なのか、
などに関する続報を、包み隠さず明らかにする必要があるのではないでしょうか?
From: Chevrolet
Author: EVネイティブ
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