【ドイツ勢がトヨタ潰しを画策する理由はコレ】トヨタのヨーロッパ市場の電動車販売台数が絶好調

EV販売台数

トヨタのヨーロッパ市場における電気自動車の販売台数が発表され、

その販売台数が前年と比較しても圧倒的な成長を達成していることが明らかとなりました。

EU市場は電気自動車以外の販売が禁止される見込み

まず、今回のヨーロッパ市場におけるトヨタに関してですが、トヨタブランドの販売台数である970万台のうちの、およそ10%程度を占める市場であり、

北米や中国市場と比較すると、その販売シェア率はやや低い状況ではありますが、

それでもやはり、人口5億人近いヨーロッパ市場のシェア率を、今後拡大させていくということも重要であると考えられるのですが、

直近でも解説しているように、そのヨーロッパ市場に関しては、現在電気自動車、

特に日産リーフやテスラのような、搭載された大容量のバッテリーに充電して貯められた電力のみで走行する、完全な電気自動車に完全に舵を切り、

2035年までには、ガソリン車やディーゼル車をはじめとして、今回のトヨタを筆頭に、日本メーカーの得意としているハイブリッド車や、

電気とガソリンを併用して走行することができるプラグインハイブリッド車という、すべての内燃エンジンを搭載している車両の新車販売を禁止してしまったのです。

もちろんですが、こちらの決定は今だに決定案件ではないということ、さらに、法制化したとしても、確かにまだ14年後であるということから、

明日からハイブリッド車やプラグインハイブリッド車が売れなくなるということではないのですが、

日本メーカー勢、特にトヨタにとっては、今後の電動化戦略の見直しを迫られる公算が高い状況ではあります。

トヨタの新車の10台に6台が電動車両のスゴさ

そしてそのような急速に電動化が進み始めているヨーロッパ市場において、今回新たに明らかになってきたことというのが、

そのトヨタのヨーロッパ市場における、2021年上半期の電動車両の販売台数の内訳が判明したということで、

まずトヨタとレクサスを合計したすべての販売台数が60万台弱と、前年である2020年の上半期の販売台数と比較しても、41%アップという販売台数の上昇が見て取れますが、

こちらは新型コロナウイルスによる世界的なパンデミックの影響によって、その自動車の販売台数が激減していた真っ最中でしたので、

それより前の2019年の上半期と比較してみると、4%アップと、わずかに上昇してはいるものの、その全体の販売台数はそこまでではないということが見て取れるとは思います。

From: Toyota Europe

しかしながら、トヨタの特筆すべきポイントというのは、

その新車販売全体に占める、トヨタの得意としているハイブリッドを含めた電動車の販売割合というのが、なんと59%と、

つまりヨーロッパ市場において、トヨタが新車で発売した10台に6台が電動車であったと考えてみると、

ただでさえ燃費性能の高いトヨタ車の中でも、さらに燃費性能の高いハイブリッド車やプラグインハイブリッド車の割合の高さによって、

現在においても厳しいCO2排出規制が敷かれているヨーロッパ市場の中でも、現時点における排出規制を、かなりの余裕で持って突破することができているのです。

したがって、度々トヨタの電気自動車に対する姿勢を懸念してきていましたが、

ハイブリッド車を含め、2021年現時点におけるCO2排出量を削減するという短期的な動きにおいては、トヨタはそのCO2排出量の削減に大きく寄与しているということになり、

この点は、やはり世界初の量産ハイブリッド車を発売し、環境意識の高い自動車メーカーとしてのプライドとして、非常に賞賛することができると思います。

やっぱりトヨタといえばハイブリッド車

それでは、そのトヨタの得意なハイブリッド車ではなく、電気自動車の販売台数はどうなのかについても見ていきたいと思いますが、

まずは、プラグインハイブリッド車に関してですが、こちらは現在プリウスRAV 4の2車種をラインナップし、

残念ながらプリウスの販売台数はかなり低迷してしまっているものの、

やはりRAV 4の販売台数は圧倒的であり、11110台と、月間で1700台ほど売れたという計算となります。

ただし、そのRAV 4に関しては、現在は通常のガソリン車モデル、そしてハイブリッドバージョンもラインナップし、

RAV 4全体の販売台数に占めるプラグインハイブリッドバージョンの販売割合は、およそ12%とマイノリティでありながら、

ハイブリッドバージョンの割合は、なんと60%弱と、

つまりヨーロッパ市場における、RAV 4のパワートレイン別の人気内訳というのは、ガソリン、ハイブリッド、プラグインハイブリッドの順番で、おおよそ3:6:1程度となりますので、

裏を返せば、やはりトヨタといえばハイブリッド車であり、

実際に多くのユーザーがハイブリッドバージョンを選択しているということも、見えてくるポイントであるとは思います。

完全電気自動車は2車種をラインナップ済み

それでは、日産リーフやテスラなどの、搭載された大容量のバッテリーに充電して貯められた電力のみで走行する完全な電気自動車はどうなっているのかというと、

現在トヨタはヨーロッパ市場において、これまた2車種もの完全電気自動車をラインナップし、

まずは、現在中国市場、そして我々日本市場においても発売がスタートしている、レクサスのUX300eに関してですが、

1157台と、ちょうど今年である2021年から発売がスタートしてはいますが、月間にして200台も売れていないという計算となり、

しかも、現在電気自動車の販売台数が急増しているヨーロッパ市場ということを鑑みると、その販売台数はかなり低迷してしまっているということは明らかであると思います。

Lexus UX300e

ちなみにその販売台数の低迷理由に関しては、以前から複数回取り上げてはいますが、やはりその電気自動車としての質が極めて低いからと言わざるを得ず、

特に満充電あたりの航続距離がスペックを大きく下回るばかりか、

それでいてミッドサイズSUVセグメントに該当するということで、シティコミューター的なコンパクトEVとしての使用用途にも適さず、

かといって、長距離走行の際には、そのスペックを下回る充電性能によって、やはり競合他社の電気自動車SUVと比較して、充電に対するストレスがかなりかかってしまいますので、

実際問題として多くのユーザーが、このUX300eを選択していないという現状であると推測することができそうです。

そして、もう1車種トヨタから発売されているのが、プロエースという商用車セグメントの完全電気自動車となっていて、

こちらはバンタイプのセグメントとなり、最大8人が乗車することが出来ますので、実は現状の電気自動車のラインナップにおいてはかなり貴重な車種ということになります。

ただしこちらのプロエースに関しては、トヨタが一から設計開発しているのではなく、

特にヨーロッパ市場において協力体制を敷いている、ステランティスからのOEM供給を受け、そのプラットフォームを流用して開発されていますので、

先ほどのUX300eとは違い、トヨタが主導して開発してきた電気自動車ではないという点は押さえておかなければならないかとは思います。

そしてその販売台数がというのが2008台と、先ほどのUX300eよりも多くの販売台数を達成していますので、

やはりこのバンタイプの電気自動車というブルーオーシャンであることが、この販売台数の達成要因であると考えられます。

ステランティス開発&トヨタ製造のEVの質はかなり実用的

それではこちらのプロエースEVについて、その電気自動車としてのスペックを簡単に紹介していくと、

まずはじめに搭載バッテリー容量に関してですが、現在は50kWhというミッドサイズのバッテリー容量しかラインナップしていないのですが、

間も無く75kWhという、より大容量のバッテリーサイズを搭載した上級グレードも追加設定されますので、

特に、より実用的な航続距離を求めるユーザーにとっては、かなり有用な選択肢になり得ると思います。

そして、その満充電あたりの航続距離に関してですが、欧州で一般的に採用されている欧州されるモードにおいて、

50kWhのバッテリーの方が230km、そして、75kWhのバッテリーの方が330kmを達成していますが、

こちらは実用的な数値とは言い難いですので、高速道路を時速100kmでクーラーをつけても達成可能であるというような、実用使いにおいて最も信用に値するEPAサイクルに変換してみると、

50kWhバッテリーの方がおよそ205km、そして75kWhバッテリーの方がおよそ294kmと、確かにそのスペックは賛否両論あるかもしれませんが、

特に上級グレードである75kWhバッテリーを搭載した方のEPA航続距離294kmというのは、

個人的には、その電費性能で不利なバンタイプの電気自動車としては、かなりのスペックを達成していると高評価であり、

この航続距離であれば、我々日本市場においてでも、商用バンとして、もはやミニバンとして、ファミリーユースで使用したいという方も多いのではないかと推測しています。

また、その充電性能に関してですが、最大100kWという充電出力を許容することができ、

75kWhバッテリーの方でも、80%充電するまでにかかる時間はおおよそ38分と、実は2021年に発売されている電気自動車としても、そこまで悪くない、

少なくとも、レクサスのUX300eよりかは相当質の高い電気自動車としてのスペックを達成することができていますので、

繰り返しとはなりますが、仮に我々日本市場に導入された場合は、案外人気車種に化ける可能性すらはらんでいると、個人的には推測しています。

ちなみに、その車両サイズに関してですが、全長が4956ミリ、全幅が1920ミリ、そして全高が1890ミリと、確かにヨーロッパ基準として、やや大きいサイズ感に感じるかもしれませんが、

その分最大積載量も3061Lを確保しながら、最大8人乗りという、2021年現在における電気自動車のラインナップでは、非常に希少なセグメントに該当しますので、

自ずとその販売台数も、悪くない結果が出ているのではないかと推測することができそうです。

ただしその値段設定については、50kWhバッテリーの方でも761万円、75kWhバッテリーの方は837万円とかなりの高額となりますので、

その値段設定において、かなり渋いようには感じますが、

裏を返せば、この値段設定であっても月間にして300台以上の販売台数を達成しているという点は、その一定の需要が存在することを示唆しているのではないでしょうか?

トヨタのEVの実力を判断する試金石はBZ4X

何れにしても今回のプロエースEVに関しては、ステランティスという自動車グループからのOEM供給となりますので、

トヨタの電気自動車の開発能力を推し量る判断材料とはなりませんが、

今後トヨタに関しては、来年である2022年の中旬ごろに、

電気自動車専用プラットフォームを採用した本気の電気自動車である、ミッドサイズSUVのBZ4Xの発売が控えてもいますので、

BZ4XはEV専用プラットフォームを採用した本気EV

果たして現状ハイブリッド車を売りまくりながら、その電気自動車の販売台数が少ない中において、

新型ミッドサイズSUVであるBZ4Xなどの電気自動車によって、この比率を上昇させることができるのか、

ヨーロッパ市場におけるハイブリッド車の販売禁止の方針を受けて、

電気自動車の販売戦略も変更を加えてくるのかなどの続報についても、わかり次第情報をアップデートしていきたいと思います。

From: Toyota Europe

Author: EVネイティブ