中国のBYDが次世代型の電気自動車専用プラットフォームを採用した新型電気自動車を発表し、その質の高い電気自動車としての質とともに、その驚愕の値段設定を達成しながら、
いよいよ中国国内を飛び出して、海外に一気に展開し始めるという驚きのニュースについて、その最新動向を徹底的に解説します。
自動車販売とバッテリー製造を両立中
まず今回のBYDに関してですが、中国の自動車メーカーであるのですが、それと同時に、世界でも有数のバッテリーサプライヤーでもあり、
なんとその生産キャパシティは、世界で第4位というトップサプライヤーでもあり、
自社で製造する電気自動車には、その自社で生産したバッテリーを採用するという、電気自動車のコアテクでもあるバッテリーを完全に内製化できていて、
この意味において、競合他社と比較しても、今後その電気自動車としての質、さらには量産体制、
特に、その量産コストなどにおいて大きなアドバンテージとなっていくことは間違い無いですので、現在最も注目するべき自動車メーカーの一つとなっているのです。
2022年初めにもオセアニア地域に進出決定
そして、今回新たに明らかになってきている点として、
まずそのBYDが、中国市場を飛び出して、オーストラリア、そしてニュージーランドというオセアニア地域への展開を開始するとアナウンスしてきていて、
まずは今月である7月には、その予約注文の受け付けをスタートさせ、その需要を把握しつつ、
そして来年である2022年の第一四半期、つまり遅くても2022年の3月までに、
中国の自動車メーカーであるBYDの電気自動車の実際の納車をスタートするとも公表している、という状況となっています。
ちなみにBYDに関しては、すでに商用車、特にバスやタクシーを世界中に展開していて、
例えば我々に日本市場においても、富士急ハイランドで有名な富士急バスに導入された大型バスであったり、
上野動物公園内の移動用小型バスであったり、
栃木県や福島県、新潟県の県境付近に位置している尾瀬国立公園内のシャトルバスなどなど、
すでに中国製BYDの商用車が、日本にも展開しています。
そして、BYDは今回の輸出に際して、現状多くの自動車メーカーが採用している巨大なディーラー網の構築をせずに、
現在テスラをはじめとして、多くの電気自動車スタートアップが採用している、メーカーによる直接販売体制を採用するということで、
この直販体制によって、従来のディーラーを介したビジネスモデルよりも、なんと30%もコストを抑制して販売することができるともしていますので、
特に、輸入車に対する関税が極めて高いオーストラリアにおいては、その販売管理費の抑制によって、
通常はかなり高額となってしまう車両価格をなるべく抑えることが可能、ということにつながるのです。
またBYDは、現地オーストラリアの販売代理店でもあるNexportとも協業し、オーストラリア国内において、電気自動車の研究開発も同時にスタートさせるとし、
将来的には、その現地の需要を反映して開発された電気自動車をオーストラリア国内で販売し始めるということで、
こちらのBYDとNexportのコラボレーションによる電気自動車の研究開発に関する詳細については、また改めてアナウンスされるということで、
現在自動車産業がほぼ壊滅してしまったオーストラリアの、復活の狼煙ともなる可能性もありますので、続報に関しても、特に注視していきたいと思います。
新世代EVプラットフォームによる異次元のスペック
そして、この一連のBYDによるオセアニア市場への参入に続いて、今回特にフォーカスしたいニュースというのが、
そのBYDが新型電気自動車として、小型ハッチバックの電気自動車であるDolphinを発表してきたということで、
そもそもこちらの新型電気自動車であるDolphinの発表の前に、BYDはe-platform3.0と名付けられた、次世代型の電気自動車専用プラットフォームの概要を発表し、
そのe-platform3.0を、今後のBYDがラインナップする、特にパフォーマンス性能を追求する、ハイパフォーマンスセグメントを中心に採用していくとしていますので、
つまりBYDに関しては、今後はそのようなより高性能でハイエンドな電気自動車のラインナップに注力していくという考えが見て取れるかと思います。
そして、そのe-platform3.0を搭載したハイパフォーマンスEVの達成可能なスペックに関してですが、
まずはじめに、その満充電あたりの航続距離については、中国で一般的に採用されているCLTC-Pサイクルという基準において、
なんと衝撃の1000kmという航続距離を達成する見込みであると説明されていますが、こちらのCLTC-Pサイクルというのは、実用使いにおいては全く信用するに値しませんので、
高速道路を時速100kmでクーラーをつけても達成可能であるというような、実用使いにおいて最も信用に値するEPAサイクルに変換してみると、
概算とはなりますが、概ね800kmから850km程度を達成することができる公算ですので、
以前に紹介した、ボルボが2025年以降に発売する予定である次世代型の電気自動車であったり、
中国の電気自動車スタートアップであるNIOが、来年である2022年末までに納車をスタートさせる、
個体電池のバッテリーを搭載したフラグシップセダンであるET7の航続距離が1000kmという、
その驚異的な数値の、どちらにも匹敵しているようなスペックとなりますので、
いよいよ電気自動車における航続距離の問題は、ほぼ解消を迎えつつあることが、改めてお分りいただけると思います。
充電時間半減&ゼロヒャク2.9秒!
また、その充電性能に関しても、その最大充電出力については詳細な数値は明らかとはなっていないものの、
現在一部の既存メーカーが採用し始めてもいる、通常の電気自動車の倍のシステム電圧である800Vシステムを採用し、
単純計算でもその充電出力を倍程度まで高めることができ、
実際にその800ボルトシステムを採用している韓国ヒュンダイのIONIQ5については、現状世界で最も充電性能の高い車種に君臨している状況でもありますので、
その充電性能にも大いに期待することができると思います。
さらに、その異次元の航続距離などの電気自動車としてのスペックだけでなく、パフォーマンス性能に関しても全く妥協することがなく、
そのe-platform3.0を採用した場合の、時速100kmまで加速するのにかかる時間が、最速で2.9秒と、
こちらも現在地球上に存在している並み居るスーパーカーに匹敵するような、驚異的なパフォーマンス性能を達成するとアナウンスしています。
Dolphinは「Build Your Dreams」を体現するモデル
したがって、今後のBYDに関しては、その次世代型の電気自動車専用プラットフォームであるe-platform3.0を採用して、
主にハイエンドなセグメントにフォーカスしていくのかと思った方も多いとは思いますが、
その新たに公開してきた新型電気自動車であるDolphinに関しては、むしろその正反対である、より安価な大衆車モデルとなっていて、
そのDolphinのリア側のテールランプに記載されている、Build your dreamsという言葉は、
文字通り、すべての人が欲しい車を購入することができるような自動車メーカーを目指し、その頭文字をとって、BYDと名付けていることからも、
今まではラインナップしてこなかった、よりハイエンドなセグメントにおいて、その世界最高レベルの性能の追求、
それと同時に、より多くの一般層にも訴求することのできる、より安価なセグメントへの展開も同時に行ってきている、ということなのです。
そして、そのようなBYDの経営理念を体現する重要なモデルであり、BYDとして初めて、次世代型の電気自動車専用プラットフォームであるe-platform3.0を採用したDolphinの、
特に電気自動車としてのスペックなどが、様々な情報ソースから明らかとなってきていて、
まずはじめに、そのDolphinのサイズ感に関してですが、まずは何と言っても小型ハッチバックということで、
特に我々日本市場なんかでいう、トヨタヤリスや日産ノート、そしてホンダフィットなど、
やはり国土の狭い日本市場、そして今回の都市部においては重宝される、コンパクトセグメントにおいてラインナップしてきた格好となり、
全長が概ね4070ミリから4125ミリの間、全幅が1770ミリ、そして全高が1570ミリと、
まさにこのサイズ感というのは、現在その電気自動車のラインナップが非常に手薄でありながらも、特に我々日本市場においては、非常に人気の高いサイズ感ともなりそうですので、
日本市場に住んでいる立場からすれば、非常に羨ましい電気自動車であると言えそうです。
しかしながら、そのコンパクトカーサイズの車両とは思えないほどにホイールベースを長くとることに成功し、
そのホイールベースの長さが、なんと2700ミリと、1ランク上のセグメントの車種のホイールベースの長さを確保、
つまりそれだけ、車内スペースを広くとることに成功していますので、
やはり電気自動車専用プラットフォームを採用していることによる車内スペースの最適化、
特にこのようなコンパクトカーにおいても、その車内スペースの狭さを妥協する必要がないという点も、今回のDolphinの強みであると考えられます。
EPA航続距離でも東京名古屋間を走破できそう
また、その搭載バッテリー容量の数値は公開されてはいないものの、搭載バッテリー容量を2種類ラインナップする予定であり、
そして気になる満充電あたりの航続距離についてですが、こちらは冒頭紹介した、
オーストラリア市場におけるBYDの電気自動車の販売エージェントを請け負う、NEXPORTのトップが現地メディアのインタビューにおいて、
最長500km程度に達すると説明していますが、
こちらの航続距離についても同様に、中国で一般的に採用されているCLTC-Pサイクルで算出されている公算が極めて高く、
最も信用に値するEPAサイクルに独自変換して見ると、おおよそ350kmから400km程度になると推定できますので、
確かに500kmという数値と比較するとインパクトは抑えめですが、それでも東京名古屋間を途中充電なしで走破できるというようなスペックであるとイメージしていただければ、
かなり実用的なラインに到達していると言えるのではないでしょうか?
ちなみに、エントリーグレードの方の航続距離に関しては、その車重との比較であったり、
特に現在の中国市場においては、NEDCサイクルにおいて400km以上を達成していない電気自動車については、その中国政府からの補助金を適用することができないという制約が存在しているため、
おそらくほとんどの確立において、このNEDCサイクルにおける航続距離で400km以上、
つまりEPAサイクルに変換して、270km程度から300kmと、例えば私自身も所有している日産リーフ40kWhバージョンよりも航続距離が長い公算となりそうです。
また、充電性能に関しても、こちらは今だに確定情報ではないものの、e-platform3.0を採用していることから、
特に最上級グレードであれば、かなりの確率でもって800Vシステムを採用してくる可能性が高く、
その圧倒的な充電性能、特にコンパクトハッチバックセグメントにおいては右に出る車種は存在しないほどの、圧倒的な充電性能の達成を期待することができるとは思います。
中国国内では170万円程度から購入可能か
そして最も気になっているであろう、その値段設定についてもおおよそ公開してきたということで、
オーストラリア市場において、35000オーストラリアドル以下、日本円に換算して、おおよそ290万円以下で購入することができるとインタビューで明らかにし、
冒頭説明したように、オーストラリア市場において輸入車を購入しようとした場合、かなりの関税がかけられますので、
実際の値段設定が相当高くなってからの、今回の290万円以下という値段設定ですので、
満充電あたりの航続距離がEPAサイクルにおいて最低でも270km程度、さらにその充電性能についてもセグメント内では圧倒的となりそうであり、
また、その加速性能についてすら期待することができる、
今回のBYDのマスマーケット層に向けた小型ハッチバックEVを、期待せずにいられないのは私だけでしょうか?
ちなみに、中国国内の値段設定に関してですが、
複数の報道ベースの推測値と、そのオーストラリア市場における値段設定との差を総合的に勘案すると、
お膝元でもある中国市場の値段設定の予測値が、ベースグレードにおいて10万元、つまり日本円に換算して170万円程度で購入することができるということになりますので、
こちらのスペックを鑑みれば、その安価な電気自動車が何車種も名を連ねている超激戦区の中国市場においても、
まさに驚異的なコストパフォーマンスの高さを達成している、というわけですね。
2022年はBYDの世界進出元年か
そして、今だにその発売時期がアナウンスされていないものの、早ければお膝元でもある中国本国では2021年末、
少なくともオーストラリア市場という海外市場においては、2022年の3月までの納車スタートをアナウンスしているくらいでありながら、
今回のDolphinに関しては、そのオーストラリア市場だけではなく、なんと現在電気自動車戦争が勃発中であるヨーロッパ市場にも導入する計画をアナウンスし、
こちらも2022年のどこかのタイミングを見計らって導入雨していくとしていますが、
そのBYDについては、すでにTangというフラグシップ電気自動車SUVの、ヨーロッパ市場への輸出をスタートさせ、
まずは電気自動車最先進国であるノルウェー市場への納車が秒読み状態となっていますので、
まずはそのような特に電気自動車の販売台数が極めて上昇しているような地域において、今回のDolphinを導入してくるものとみられます。
ちなみにですが、今回のBYDが独自開発したe-platform3.0に関しては、BYDがオープンソースとして公開していて、
したがって、そのBYDとパートナーシップを締結している企業、
特に我々日本メーカーのトップであるトヨタが、この質の高い電気自動車専用プラットフォームを流用して、今回のDolphinと似たような電気自動車、
将来的にはヤリスEVなんかが開発されれば、まさに日本市場においてもゲームチェンジャー的なEVになり得るポテンシャルも秘めているのかもしれません。
テスラモデル2の本命ライバルに化けるか!?
このように、中国の自動車メーカー兼バッテリーサプライヤーであるBYDに関しては、
自社で生産しているLFPバッテリーを、業界で先進的な搭載方法であるCell to Packという搭載方法を採用しながら、
それと同時に、次世代型の電気自動車専用プラットフォームであるe-platform3.0も採用することで、
その電気自動車としての質だけでなく、パフォーマンス性能にも妥協することなく、航続距離が大台の4桁をに到達し、
そしてそれらの技術を詰め込んだ初の電気自動車であるDolphinを、特により低価格なセグメントである、コンパクトハッチバックセグメントにおいてラインナップしながら、
なんと日本円にして170万円程度から発売する公算でありながら、
ついに中国国内を飛び出して、ヨーロッパ市場や、それこそ右ハンドル市場であるオーストラリア市場などにも納車をスタートする方針も表明し、
2022年以降のグローバルにおいてBYD市場最も売れるEV、
つまりテスラにも迫るようなグローバルにおける大成功が期待されている最も注目の、ゲームチェンジャー的なEVとさえ言われているEVですので、
その中国メーカーの世界侵略の動向、特に我々である右ハンドル市場の日本市場においても、木を見て一気に侵略戦争を仕掛けてくる可能性も、全く否定することはできないという点も、
そろそろ多くの日本人がその事実に向き合い、きたる中国メーカーの黒船電気自動車に対抗するために、あらゆる手を尽くさなければならない時期に突入しているのではないでしょうか?
From: Car Advice(Dolphin)、Car Advice(Australian market enter)、MIIT(entry model)、MIIT(long range model)、Gasgoo
Author: EVネイティブ
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170万円のEVにも800Vシステムを搭載するのは、技術開発力とコストダウン技術が強い会社のようですね。