日本の三菱自動車が2023年度までに、すでに発売している商用の軽サイズの電気自動車であるミニキャブ・ミーブを、
なんと100万円台まで値下げし、その価格競争力を高めることが明らかになってきました。
電気自動車に積極的であった三菱
まず今回の三菱に関してですが、日本の自動車メーカーであるのですが、
同じく日本の日産、そしてフランスのルノーとアライアンスを組んで、日産ルノー三菱連合という世界トップ3の自動車グループを形成しているのですが、
電気自動車という観点においては、2009年に世界初の電気自動車である、軽自動車セグメントのアイミーブの法人向けの発売をスタートし、
さらに、電気自動車における大容量のバッテリーだけでなくガソリンエンジンも搭載し、両方を併用して走行することができるプラグインハイブリッド車である、アウトランダーPHEVも発売し、
こちらのアウトランダーPHEVに関しては、現在世界で最も売れているプラグインハイブリッド車であるそうで、
しかもその上直近においては、そのプラグインハイブリッド車2車種目であるエクリプスクロスPHEVの発売もスタートさせながら、
完全電気自動車においても、アイミーブに引き続き、ミニキャブ・ミーブというよりワンボックスタイプの軽セグメントの電気自動車をラインナップするなど、
実は電動化という観点においては、かなり積極的に展開している自動車メーカーであるのです。
エクリプスクロスPHEV ミニキャブ・ミーブ
しかしながら、その世界で初めて発売を開始した完全な電気自動車であるアイミーブの発売を、昨年度である2020年度で完全に終了してしまい、
商用としてのニーズがほとんどであるミニキャブ・ミーブのみのラインナップとなってしまい、
その販売台数に関しても月間で10台程度と、その販売台数はもはや空前のともしびであり、
そして三菱に関しては直近の株主総会において、今後当面は、完全な電気自動車ではなくプラグインハイブリッド車が環境性能においても優位性を示すので、
そのアウトランダーやエクリプスクロスというプラグインハイブリッド車を中心とした電動化戦略を推進していくという方針も示しているのです。
日本最安EVになることはほぼ確実
そしてそんな三菱に関して今回新たに明らかになってきたことというのが、その三菱唯一の完全な電気自動車であるミニキャブ・ミーブの値段設定を、
現状の243万円程度からという価格から、2年後である2023年度までにさらに40万円以上値下げして、200万円を切る、
つまり100万円台から購入することができるような値段設定を達成する公算であるということが報道されていて、
この値下げによって、おそらく2023年時点においても、日本市場で発売されている電気自動車の中で最も安い電気自動車になっている公算ともなっています。
ちなみに、トヨタがすでに発売を開始し、来年である2022年にも一般向けに発売がスタートするC+podに関してですが、
こちらは165万円からのスタートですので、最安はC+podなのではないかと思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、
このC+podに関しては普通自動車カテゴリーではなく、超小型モビリティという、テクニカルに言えば軽自動車に該当すると言えば該当しているのですが、
その実態は、最高速が時速60kmに制限されながら、高速道路はもちろん走行することはできず、さらに、その定員は2人に制限されてしまい、
そして何よりも、その安全基準が軽自動車よりもさらに低く設定されているため、
果たしてそのような車両に自ら進んで乗りたいかと言えば、個人的にはまだ軽自動車の方がマシではないかと考えてしまいますので、
何れにしても、一般の方が一般的に使用することができる電気自動車という意味においては、今回の三菱のミニキャブ・ミーブが最安の値段設定を達成して見込みとなるのです。
搭載バッテリーの種類を安価なバッテリーに変更
そして、あと2年後までにその値段設定を40万円以上も値下げするために、搭載されている大容量バッテリーを低価格の最新のものにリプレイスしてくるということで、
やはり現状において、電気自動車のコストのかなりの割合を占めてしまう、その大容量のリチウムイオンバッテリーの調達コストをいかに低減することができるのかが、
その割高とされている電気自動車の全体のコストを下げることに直結しますので、
まさに今回三菱に関しては、その本丸であり、電気自動車のコアテクでもあるバッテリーの種類を見直すことを決定した、ということなのです。
そして、その搭載バッテリーの種類に関する私独自の予測に関してですが、
中国市場において現在そのシェアが急上昇中であり、しかも、私人も所有するテスラのミッドサイズセダンであるモデル3にも採用されているLFPという種類のバッテリーになるのではないかと推測していて、
こちらのLFPバッテリーに関しては、そのリチウムイオンバッテリーにおいてよく使用されながら、
その調達コストに安定供給という観点で課題を抱えるレアメタルに該当するコバルトを一切含んでいないですので、
その懸念点でもある安定供給、そして今回の報道でも言及されている、低価格なバッテリーという趣旨にも即しているバッテリーの種類であるのです。
やはり日産と共同開発中の軽自動車EVと深い関係がありそう
そして、そのLFPバッテリーの採用を裏付けるもう一つの根拠というのが、
現在三菱と、そのアライアンスを組んでいる日産が共同で開発中であり、一部報道では来年である2022年の4月から生産がスタート、
そして2022年中には実際の発売がスタートするとも報道されている、軽自動車セグメントの電気自動車の存在であり、
こちらの日産のImkというコンセプトモデルをベースにした軽EVについては、その値段設定が補助金を含めて実質200万円を切ってくるとも報道されていて、
やはり今回のミニキャブ・ミーブと全く同様に、そのエントリーグレードにおけるコストを重要視してくるものと推定できますが、
その低コストを達成するために、やはり同様にLFPバッテリーを採用してくる可能性があり、
そのLFPバッテリーに強みを持つ中国のCATL製のバッテリーを、いよいよ発売がスタートする日産のフラグシップクロスオーバーEVであるアリアから採用し始め、
要するに、そのアリアからスタートするCATLとの協業関係というのは、何もそのアリアだけにとどまらない、
むしろ、今後その値段設定を重視しなければならない軽自動車セグメントの電気自動車、
そして今回のミニキャブ・ミーブに採用するLFPバッテリーにCATLが強みを持っているからこそ、アリアからその契約をスタートしているのではないかと推測することができる、というわけなのです。
したがって、その安価なLFPバッテリーを採用することができれば、車両コストの低減に寄与することができ、
そして、そのLFPバッテリーの弱点でもあるエネルギー密度の低さゆえの、満充電あたりの航続距離の短さという点も、
今回のミニキャブ・ミーブの現状の航続距離である150km程度を維持すると説明があり、
そもそもこのミニキャブ・ミーブというのは、特に商用車として、ラストワンマイルにおける配送トラックであったりなどという使用用途が想定されますので、
別に満充電あたりの航続距離が150km、こちらの数値は日本市場におけるガラパゴス規格であるJC08モードというガバガバ基準ですので、
最も信用に値するEPAサイクルにおける航続距離に変換すると、概算値で80km程度とはなりますが、
それであったとしても大きな問題とはならず、むしろいい意味での割り切りを実現することができているのではないかと考えることができます。
黒船来航までに打てる手を打つしか生き残る道はありません
何れにしてもこのように、今回新たに明らかとなった三菱の唯一の完全な電気自動車であるミニキャブ・ミーブの値下げの可能性というのは、
やはりそのコスト面でネックとなっている電気自動車の購入、特に今回の商用車セグメントにおいてはさらに重要となってきますので、
すでにその電気自動車のコストという意味で完全にリードしている中国勢に対抗するために、おそらく採用される中国製のLFPバッテリーを採用し、その価格競争力を少しでも高め、
我々日本市場にもやってくるであろう中国製格安電気自動車という黒船に、少しで対抗できるように準備を進めていくべきであると、
改めて感じることができるのではないでしょうか?
From: 日本経済新聞
Author: EVネイティブ
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