【ガソリン車はEVより危険なの知ってる?】”電気自動車は燃えるので危険である”は正しいのか徹底考察

Kona

韓国ヒュンダイの電気自動車が大規模なバッテリーリコールを行なったのにも関わらず、再度そのバッテリー発火案件が相次ぎ、

更に今年に入ってからは、現在日本市場において爆売れ中であるモデル3に関しても発火案件が発生していましたが、

果たして電気自動車は本当に危険なのかに関する、一部の電気自動車信奉者が触れたがらない重要な点について徹底的に解説します。

Konaはすでに77000台ものリコール対応済みだった

まずはじめに取り上げていきたいニュースというのが、

韓国のヒュンダイの電気自動車であるKonaが、バッテリー発火案件に対処するためにソフトウェアのアップデートを行っていたのにも関わらず、

そのアップデート以降でも発火案件が確認されてしまいました。

まず今回のヒュンダイに関してですが、韓国の自動車メーカーとなっていて、傘下には同じく韓国のキアモーターズが所属し、

現在世界で5番目という巨大な自動車グループを構成しているのですが、

電気自動車という観点においては、既存メーカーの中でもかなり積極的に展開し、傘下のキアに関しても2車種、

そしてヒュンダイブランドに関しても、KonaというコンパクトSUVと、IONIQというハッチバックの2車種の電気自動車をラインナップし、

特にKonaに関しては、競合車種と比較してもその電費性能の高さに定評があり、そのような電気自動車としての高さが評価されているのか、

昨年である2020年度における、グローバル全体での電気自動車の人気車種ランキングで、なんと堂々の第5位にランクインするというような人気の電気自動車ともなっていたのですが、

実は、今回のKonaに関しては、すでにかなり前からバッテリーからの出火案件が発生してしまっていて、

よってヒュンダイ側が、バッテリーマネージメントシステムのソフトウェアアップデートを行うというというリコール対応を表明し、

77000台という大規模リコール対応を完了させてはいたのです。

総額1000億円規模の超大規模リコールへ

しかしながら、そのバッテリーマネージメントシステムのソフトウェアアップデートのリコール対応を昨年である2020年中に行ったのにも関わらず、

なんと、今年に入ってからも韓国国内において、そのリコール対応後のKonaがまた燃えてしまった、という事態となっていて、

流石にこの事態を重く見た韓国の当局が、Konaの製造メーカーであるヒュンダイと、そのバッテリーサプライヤーであるLGエナジーソリューション側に徹底的な原因究明を命じ、

そしてついにヒュンダイ側が、現在市場に投入されている75680台のKonaと、5716台のIONIQ、そして305台もの電動バス、

合計でなんと衝撃の82000台もの、電気自動車に搭載されているバッテリーパック全てを交換するという、

おそらく電気自動車の歴史上最大級のバッテリー関連のリコール実施を表明したのです。

また、そのバッテリーリコールと同時並行で行われていた、今回の一連のバッテリーからの発火案件が、ヒュンダイ側のバッテリーマネージメント側の欠陥であるのか、

それともLGエナジーソリューション製のバッテリーセルの不良によるものなのかという原因究明に関してですが、

結論としては、LGエナジーソリュージョン製のバッテリーセルの負極側の欠陥であることが、第三者機関の調査結果によって結論づけられ、

実際問題として、今回のリコールに関連する莫大な経費の、マジョリティである7割をLGエナジーソリューション側が支払うことも決定しました。

今回の一件で今後の提携関係も白紙になったという見方も

IONIQ5の搭載バッテリーはLG製ではない

また、その原因の確定によって不幸中の幸いであると言えるのが、

以前から紹介しているヒュンダイの威信をかけた本気の電気自動車であるIONIQ5における、そのようなバッテリー発火などの安全性に関する疑念が払拭されたということで、

IONIQ5

そのIONIQ5をはじめとする、ヒュンダイグループが独自に開発してきた電気自動車専用プラットフォームであるE-GMPというプラットフォームを採用する電気自動車に関しては全て、

今回問題となった、LGエナジーソリューション製のバッテリーセルは採用せずに、

同じく韓国のSKイノベーション製、もしくは中国のCATL製のバッテリーセルを採用することを表明していますので、

今回の調査結果によって明らかとなった、ヒュンダイ側のバッテリーマネジメントシステムに問題がなかったという事実を勘案すれば、

すでに納車がスタートしているIONIQ5に関しては、現状そのような発火案件を心配をすることない、というわけですね。

IONIQ5はSKイノベーション製

バッテリー交換済みの車両であれば、ヒュンダイの信頼は失墜へ

しかしながら、そのような原因究明によって落ち着きを取り戻したかに見えたヒュンダイのKonaでしたが、今回新たに明らかになってしまったことというのが、

ノルウェー市場において、直近である6月23日に、またKonaの発火案件が報告されてしまったということで、

ただし現状においては、この発火してしまったKonaがすでにバッテリーパックのリコールを完了させているのか

それとも、82000台もの大規模リコールということもあり、3月中から開始されているそのリコール対応をまだ受けていなかったのか

更には、すでにヒュンダイ側からアナウンスされている、バッテリー残量を満充電状態にしないようにというアナウンスを守っていたのかなどの詳細に関しては、まだ一切情報が出てきていませんので、

特にそのリコール対応が完了していなかった車両が発火してしまったのであれば、これはもう仕方がないことではありそうですが、

逆に、もしそのバッテリーパックを交換していた車両が、再度発火してしまったのであれば、

もうこれはヒュンダイとLGエナジーソリュージョン側に対する信頼は地に堕ちるといっても過言ではありませんので、

この発火案件の続報については、特にアンテナを張って注視していきたいと思います。

中国でモデル3も燃えています

そして、こちらの発火案件というのは何もこの韓国メーカーだけでなく、現在世界最大の電気自動車メーカーであるテスラに関しても同様となっていて、

特に気になるのが、今年である2021年の1月中に発生した、

我々日本市場においてでも発売されているミッドサイズセダンであり、私自身も所有しているモデル3の発火案件となっていて、

こちらは中国上海の地下駐車場内において発火したのですが、

こちらはバッテリーを充電している最中などではなく、完全な駐車中であったということで、つまり現状ではバッテリーからの自然発火案件ということになりますが、

2021年6月現時点においても、この自然発火案件の公式な原因究明が完了していませんので、特にそのオーナーとしては、その続報が気になるところかと思います。

From: Lei Xing邢磊

ちなみにその該当の車種についてですが、

中国最大のバッテリーサプライヤーであるCATLは、今回の発火案件のモデル3には自社のバッテリーを搭載していないとコメントし、

実際にこちらの写真から推測するに、このシルバーのホイールというのは、アメリカのフリーモント製、つまりパナソニック製のバッテリーセル、

しかも、概ね2019年ごろまで生産されていた、ロングレンジグレードやパフォーマンスグレードの車両であることが推測可能とはなります。

From: Lei Xing邢磊

モデルSのバッテリー発火問題は全世界で係争中

また、先ほどのKonaにおける最初のリコール対応として、

満充電を状態を意図的に避けるようにするという、バッテリーマネージメントシステムのソフトウェアアップデートに関してですが、

こちらはテスラのフラグシップセダンであるモデルSでも同様の対応を行ってもいて、

こちらも中国国内において、モデルSが駐車中に突如発火してしまったという案件に対応するために、ソフトウェアのアップデートによる改善が図られてはいたのですが、

実は、そのアップデートが実施された2019年中旬以降に関しても、昨年である2020年の11月中に、テキサス州において、走行中のモデルSから突如発火してしまうという事故が発生し、

何件もの火災案件が発生してしまっている状況ともなっていて、その発火案件の後で、テスラは無線アップデートによって問題を修正したと説明していますが、

その後実際のオーナーによって明らかとなったのが、満充電あたりの航続距離がかなり減ってしまっているという点であったのです。

実はテスラは、このアップデートにおいて、

先ほども説明したように、もともと100%まで充電できる仕様を変更し、意図的に満充電できない状態を満充電であるかのようにアップデートしていて、

その当時のオーナーからは、かなりの批判を浴びていて、実際問題として、その初期型のモデルSを所有しているオーナーによると、

使用可能なバッテリー容量が68.2kWhから、アップデート後には60.2kWhまで落ち込んでしまい、

満充電あたり走行可能な航続距離が大幅に下落してしまっていること、

そして充電スピードに関しても、なぜかかなり低下してしまっていることなどが挙げられ、

そのオーナーに関しては、現在テスラを相手取り訴訟を起こしている状況ともなっています。

アップデート後の不自然なバッテリー劣化具合

ノルウェーではすでにテスラ側が敗訴

ちなみにですが、直近の動画でも取り上げていたように、

この一連のソフトウェアアップデートによって、すでに該当のモデルSが1万台も売れているノルウェー市場において、そのオーナー達がテスラを相手取り訴訟を起こし、

ついに勝訴する結果となり、そのオーナー一人に対して、日本円に換算して180万円もの賠償金を支払うよう裁判所から命令されましたので、

もしかしたら今後この訴訟の動きが、その1万人ものモデルSの該当オーナー、

更にはそのノルウェー市場を飛び出して、世界中に発展していくのかもしれませんので、今後もテスラを悩ませる種となってしまうかもしれません。

From: TechCrunch

それでも電気自動車の方が安全なんです

このようにして、バッテリーからの発火事故を引き起こしているいくつかの電気自動車についてですが、

まず結論から申し上げて、このようなメーカーに関しては、一切擁護することができないということで、

電気自動車を推進しようとしている私は特に、電気自動車に対してネガティブなイメージを植え付けてしまうという意味において、

そのメーカーには、早急に誠意ある対応、

少なくとも、使用可能なバッテリー容量を大幅に減らして、そのバッテリー発火問題に対処したかのように見せて、

事実ベースで言えば、そのアップデート後もバッテリー発火が相次いでしまっているという点は、全く看過することはできないと思います。

From: Washington Post

しかしながら、その前提に立った上で、だからと言って電気自動車は発火するから危険であるというイメージというのも、また短絡的なイメージであるという点であり、

まず、テスラが毎年報告している、一体どれくらいの割合でテスラ車が発火しているのかを、アメリカで発生した車両火災の割合とを比較してみると、

アメリカ全体での車両火災の発生確率は、1900万マイルに一回の確率であるそうですが、

テスラ車に関しては、2億500万マイルに一回と、その車両火災の発生確率は10分の1程度にまで抑えることに成功しているということ、

From: Tesla

更には、直近の3年間を比較すると、そのテスラの車両火災の発生確率が年を追うごとに低くなっている、

つまり、テスラ車というのはそもそも既存の自動車と比較しても、その車両火災の発生確率は10分の1であり、その発生確率は年々改善されている、

故に、今も安全であるが、今後より安全になっていく、ということなのです。

EVであれば発火する前に逃げられるかもしれない

また、大容量のバッテリーを搭載している電気自動車の発火事故と、ガソリンエンジンを搭載している内燃機関車の発火事故を比較した際に、一点だけ明らかであることというのは、

既存の内燃機関車の場合、仮に火がついてしまうと、搭載されているガソリンに引火し、瞬く間に火が車両全体にまで広がってしまうのですが、

対する電気自動車に関しては、仮に深刻な衝突事故に出くわしたとしても、バッテリーが実際に燃えるまでには一定の熱量が溜め込まれる必要があり、

したがって、実際に発火するまでに、内燃機関車よりも時間がかかるという点であり、

つまり、仮に深刻な事故に遭遇してしまったとしても、車両火災には巻き込まれずに済む可能性が内燃機関車よりも低く済みますので、

この点において、電気自動車の方がより車両火災に巻き込まれずに済むと言えるのです。

From: CNN Money

ただし電気自動車の場合、仮に車両火災が発生してしまうと、そのバッテリーに溜め込まれた熱量が完全にそのエネルギーを失うまで発火し続ける、

つまり、既存の内燃機関車と比較しても、その消化に時間がかかるというデメリットは存在し、

特にテスラに関しては公式に、その完全鎮火に最大24時間を要する場合もあることを、その消化活動にあたる団体に警告もしています。

日産リーフを前にEVが危ないとか、なに言っちゃってるの?

そして我々日本人が何よりも忘れてはならない事実というのが、

その我々日本メーカーが発売している世界初の本格量産電気自動車である日産リーフというのは、

その発売開始である2010年からというもの、今だにバッテリーからの重大事故は、なんと一台も発生せず

しかもこのリーフに関しては、すでにグローバルで50万台以上の販売実績を誇りながら、すでにグローバルで148億kmという途方も無い距離を走行していますので、

From: Nissan

そもそも我々日本人が、この電気自動車に対してバッテリーが発火するから危ないと主張することこそ、

日本人が最も誇るべき、その世界最高の安全性を誇る日本の電気自動車を否定していることになりますので、

むしろ我々日本人の方から積極的に、この電気自動車、特に日産リーフの偉業をアピールしていくべきなのでは無いでしょうか?

EVの安全性への知識をアップデートせよ!

何れにしても、その電気自動車という新たな車種における新たな常識、

例えば今回取り上げた点で言えば、

テスラ車については、アメリカ市場で走行している全ての車種の発火リスクよりも10倍も発火リスクは低いということ、

しかもその上、既存の内燃機関車と比較しても、実際に車両全体に火が回るまでの時間は電気自動車の方が遅く、その分乗員が車両の外に退避する時間を、より多く捻出することができるということ、

ただし、一度出火してしまうと、その消火作業は通常よりも時間を要する可能性があるということ、

そして何よりも、我々日本メーカーが50万台以上も発売している電気自動車である日産リーフは、今まで一台も重大なバッテリーからの発火案件を起こしていないということ、

というように、事実ベースで見た、電気自動車の発火事故に対する新たな常識をしっかりと把握し、

その前提をしっかりと認識した上で、電気自動車の発火案件が発生してしまった場合は、

そのメーカーの発火案件に対するアフターフォローについてをしっかりと注目し、その姿勢を評価、または批判するということが重要であり、

電気自動車は燃えるから危ないと感情論で否定している方は、内燃機関車よりも発火事故割合が低いという事実をしっかりと認識すべきであり、

また、内燃機関車よりも安全であるのだから、テスラをはじめとする電気自動車の発火案件のニュースを取り上げるべきではないという、ある一部メーカーの信奉者たちも、

世界には今だに重大なバッテリー発火を起こしていない電気自動車も存在し、そのような安全性を地道に証明し続けている電気自動車の足を引っ張るような発言をやめるべき、ということですね。

From: Avisa OsloCNN MoneyTeslaNissan

Author: EVネイティブ