【その設置計画、絶対失敗するよ】EV歴7年が教えるEV充電器の失敗設置例

充電インフラ

日本政府が電気自動車向けの急速充電器を、現状の4倍である3万基に大幅拡充することを、新たに策定する成長戦略に明記することが、報道されている件を取り上げて、

電気自動車の運用方法の基本を改めておさらいしながら、その充電器の正しい設置戦略について徹底的に解説します。

EVの「3種類」の充電方法、知ってますか?

まず、今回の電気自動車における充電方法に関して今一度大前提をおさらいしておくと、

そもそも一口に電気自動車を充電すると言っても主に3種類の充電方法が存在し、

まずはじめに、電気自動車を運用されたことがない方でもイメージすることができる、急速充電と呼ばれる充電方法が存在し、

こちらは名称の通り、高出力で一気に充電することが可能であり、

例えば私が所有する日産リーフであれば、80%充電するまでに概ね40分程度

もう一台所有しているテスラのモデル3であれば、概ね30分弱程度もあれば、80%まで充電することができてしまうのですが、

この急速充電とは別に、普通充電という方法も存在していて、この普通充電というのは、主に一軒家や集合住宅の自宅などで行う充電方法を指し、

こちらはみなさんが所有しているであろうスマートフォンの運用をイメージしていただければわかりやすいのですが、

特にスマートフォンのヘビーユーザーなどでない限り、

基本的には、出先での充電は行わずに、就寝前にスマホに充電ケーブルを挿して、翌朝起きたら満タン状態で家を出るというような運用方法となっていると思われ、

実は電気自動車に関しても全く同様であり、

帰宅後、その電気自動車に充電プラグを差して、翌朝の出発時には満タンの状態で出発という運用方法となり、

つまり何が言いたいのかというと、

みなさんがよくイメージする急速充電による運用方法ですと、いくら急速充電とは言っても、やっぱり電気自動車には充電時間がかかってしまうので、使い勝手が良くないというイメージが先行してはいるものの、

実は、基本的には自宅やそれに準ずる普通充電という運用方法が基礎的に存在していますので、

実際に急速充電を使用する頻度というのは、1日で4、500kmを走行するような長距離ドライブの時以外は、ほぼ発生することがないのです。

集合住宅にも普通充電器は設置可能

それはさすがに盛っているだろと思われている方もいるかもしれませんが、

例えば、私の所有するテスラモデル3のエントリーグレードであり、本体価格が434万円から、補助金をマックスで適用すれば、354万円

東京都に在住されている方であれば、驚愕の294万円から購入することができてしまうという、ある種のバグが発生中の、スタンダードレンジ+を例に簡単に計算してみると、

Tesla Model 3 Standard Range+

このモデル3の満充電あたりの航続距離については、高速道路を時速100kmでクーラーをつけても達成可能であるような、実用使いにおいて最も信用に値するEPAサイクルという基準において、

およそ423kmを達成することができ、その搭載バッテリー容量は、概ね60kWh弱なのですが、

例えば、毎日通勤で片道50km、往復で100km使用する場合、その4分の1程度の電力を消費することになる、

つまり多く見積もっても毎日15kWhほどの電力を消費する計算となり、

その自宅での充電出力に関しては、基本的には3kWという普通充電の出力となりますので、

つまり5時間程度、寝ている間に充電していれば、毎日の電力消費分を、余裕で賄うことができてしまうのです。

ちなみに、こちらの3kWの普通充電器であれば、その設置費用は工事費も含めても10万円を超えるケースはほとんど聞いたことがなく、

場合によっては5万円程度で設置できてしまったケースも存在するくらいですので、

まずは一軒家に住んでいる方に関しては、悪いことは言わないので、絶対に普通充電器を設置してしまうことを強く推奨しますが、

それと同時に、集合住宅などに住んでいる方に関しても、普通充電器を設置することは十分可能であり、

機械式駐車場にも設置可能 From: 新明和工業

すでに複数のスタートアップが、集合住宅における充電器設置をワンストップでサービスするという事業を行なっていますので、

特にご自身でマンションオーナーと交渉するのが煩わしい方などについては、これらの充電器設置メーカーに相談してみることをお勧めします。

From: Your Stand

また、この普通充電と急速充電以外にも、第3の充電方法が存在し、それが、目的地充電という充電方法となっていて、

こちらは、例えば買い物先のショッピングセンターや、旅行先の旅館やホテルのように、何かの目的地において、電気自動車の充電を行うという運用方法であり、

大きくは普通充電の1種類としても分類することができるのですが、

実はこの目的地充電という方法が、一番知られてはいないものの、それでいて、今後の電気自動車時代においては大きな付加価値ともなるポテンシャルを秘めていて、

というのも、例えばショッピングセンターで目的地充電を行えば、

その充電出力である3kWを、例えば3時間、つまり9kWh分の電力量を充電することが可能となり、

モデル3であれば、6、70km分の航続距離を回復することになりますので、もはや家とショッピングセンターの往復分をほぼ賄えてしまったりもするでしょうし、

さらに効果が大きいのが、旅行の滞在先の宿泊施設における目的地充電であり、基本的には、12時間以上はステイするはずですので、

仮に18時にチェックインし、翌朝の9時にホテルを出発したとしても、15時間充電することが可能、

つまり45kWh分の電力量を充電することができている状態となり、スタンダードレンジ+においては、少なくとも300km以上は充電できていることになり、

つまり、自宅を満充電出発している場合は、その満充電あたりの航続距離である423kmと、その目的地充電で充電できた300km以上分、

合計して、720km以上という距離を、途中充電を全く必要とせず走破することができてしまい、

この距離というのは、東京に在住している方が、名古屋のホテルに宿泊して戻ってこれるような距離となりますので、

つまり東京名古屋間の往復を、実質、途中の急速充電時間をゼロにすることができる、というようにイメージしてみると、

この目的地充電におけるメリットが、おまりにも大きいということが、イメージできたのではないでしょうか?

宿泊施設に普通充電器が設置されれば、途中の充電は必要なし

このようにして、一口に電気自動車の充電とは言っても様々な充電方法が存在し、

最も重要なことというのは、これらの3つの充電方法をミックスさせて運用することによって、現状の充電インフラにおいてでも、かなりの方が電気自動車を実用的に運用することができるようになるということであり、

まずは、電気自動車の購入をすでに検討されている方に関しては、

特にその普通充電を運用することができないかを、自分のライフスタイルに当てはめて検討してみることをお勧めします。

世界で進んでいる「実用的な」急速充電インフラの整備

しかしながら、このような前提があったとしても、やはり冒頭説明した急速充電のインフラを構築することは、特に電気自動車を、「より安心して」運用するためには不可欠であり、

個人的には、やはり日本市場における電気自動車購入の流れを、現在のヨーロッパや中国市場と同様の、爆発的なムーブメントに持っていくためには、

その海外市場と同水準の急速充電インフラにまで高めなければならない、

裏を返すと、日本市場における急速充電インフラというのは、海外市場と比較しても圧倒的に遅れてしまっているのが現状ともなっていて、

というのも、例えばヨーロッパ市場に関しては、ドイツの自動車メーカーであるフォルクスワーゲングループやダイムラー、BMWグループ、そして最近ではヒュンダイグループが共同で出資している、

充電器管理運営企業であるIONITYが、350kW級という超急速充電器を、すでにヨーロッパ全土に設置を進めていて、

このマップを見ただけでも、すでにヨーロッパ大陸を余裕を持って縦断することが可能と間なっている状況でありますし、

そして、その設置方法が最も重要であり、このマップで示されているのは、充電器ではなく、充電ステーションであり、

つまり、その1つのステーションに対して設置されている急速充電器は1基だけではないという点であり、

特に今回のIONITYについては、最低でも4基程度、多い場合は10基以上も設置されている箇所が存在しているくらいであり、

実際に充電器の数で言えば、このマップで示されている地点数の5倍以上程度であると認識してもらって構わない、ということなのです。

そして、このような急速充電器の設置プランについては、そのほかの市場においても全く同様であり、

例えば中国市場に関しても、すでに多くの充電器メーカーが設置を進めていて、もちろん自動車メーカーについても、テスラが独自のスーパーチャージャーを設置しながら、

中国の電気自動車スタートアップであるNIOやXpengに関しても、テスラと同様に独自の急速充電器の設置を進め、

これらも、1つの充電ステーションに1基しか設置しないのではなく、複数基、通常で言えば、やはり4基程度が1つの目安になるかとは思いますが、

何れにしても、1つのステーションに複数の充電器を設置するという方策を採用しているのです。

そして、日本市場と同様にその電気自動車の普及率では発展途上国に留まってしまっているアメリカ市場に関しても、

フォルクスワーゲングループ傘下のElectrify Americaという充電器管理運営企業が、すでにアメリカ大陸全土に、最大350kW級超急速充電器の設置を進めていて、

こちらのマップを見てもお分かりの通り、すでに大陸横断ルートを複数確保することができているなど、現状でも一定程度の利便性を確保していて、

欧州や中国市場と全く同様に、1つの充電スポットに必ず4基、最大で8-10基程度の充電器が設置されていますが、

そもそも先ほどから繰り返し説明している、1つの充電ステーションに、なぜ世界は複数基の急速充電器を設置しているのかというと、

その利便性に雲泥の差が生じるからであり、特に大問題となるのが、充電待ち問題であり、

仮に1台しか急速充電器を設置していない場合、先客がいた場合、その充電が完了するまで待たなければならないのですが、

From: EVSmart

1つのステーションにつき複数台の充電器を設置していれば、その充電待ちの可能性が極めて低くなりますし、

さらに、仮に1つの充電器が故障やメンテナンスに入ってしまったとしても、それ以外の充電器を使用可能であれば、別にわざわざ他の充電ステーションに向かう必要がなくなり、

そもそもこのような先客がいるかもしれないであったり、故障しているかもしれないというような、充電に対する余計な心配をする必要が発生してしまい、

そもそもこのような心配をしたくないという方も非常に多いですので、

そのことを理解している海外市場に関しては、どこも例外なく、

充電ステーションを国じゅう満遍なく設置するという、充電ステーションの数にKPIを置くのではなく

実際に設置される充電器の利便性を重要視しているからこそ、1地点に複数の充電器を設置するという、効率性重視の戦略が採用されているのです。

急速充電器設置戦略でガラパゴス化に突き進む日本

ここまで説明していれば感づいている方も多いかとは思いますが、それでは我々日本市場についてはどうなのかというと、

その急速充電器の設置台数については、現在概ね8000基弱ほどの設置台数とはなっているものの、

そのステーションごとの設置台数は、その大半が1基のみの設置に留まってしまっている状況であり、

From: GoGoEV

したがって、海外市場の設置の仕方だけを比較しても、その利便性で圧倒的に劣ってしまっている状況ともなっているのです。

そして、そのような現状を把握した中において、今回新たに明らかになってきていることというのが、

その電気自動車用の急速充電器を、9年後である2030年までに、現在の4倍程度の3万基にまで大幅拡充するといった内容を、今後策定する成長戦略に明記するという報道となっていて、

まずこちらの報道内容に関しては、やはり急速充電器の重要性は、その不安解消という意味も含めて重要でありますので、

このような電気自動車の普及をさらに加速させるような動きというのは、非常に良い流れであるとは思う一方で、

From: 日本経済新聞

先ほども説明したように、特に今回フォーカスされている急速充電器の設置方法に関しては、従来の設置方法からは絶対に脱却しなければならないという点であり、

特に、経路充電における要所でもある、高速道路上や主要幹線道路上の道の駅などにおける急速充電器の設置は、必ず複数台をセットにして設置をするべきであり、

先ほど解説したような、1つの充電ステーションに、複数機、特に高速道路上は4基以上の設置計画を強く求めたいと、改めて訴えたいとは感じます。

雲行きが怪しい今後の日本の急速充電インフラ計画

しかしながら、この設置プラント相反するような考えを、日本の充電器管理運営企業であるe-mobility Powerが表明していたりもしていて、

この説明欄においては、先ほど説明したような、設置台数が1台しかないことによる、いわゆる充電待ち発生地点の多発を解消する考えも表明されてはいるものの、

それと同時に、充電器がいまだに設置されていない、空白地域の解消も目指すとアナウンスされていて、

もちろん大前提として、そのような公平性を担保するためにも、そのような電気自動車の急速充電器の空白地帯を埋めるような動きも重要であるとは認めつつも、

やはり最も重要なことというのは、現状完全に世界の中からガラパゴス化してしまっている急速充電器の設置方法についてを、早急に是正すべきであるという点であり、

まさにこれは、電気自動車の発展を大きく阻害している、

つまり、今後間違いなく100%電気自動車社会となっていく上で、この問題というのはもはや国力を左右するような深刻な問題であるとも考えられ、

したがって、公平性という観点をある程度諦めたとしても、まずは、電気自動車の利便性を世界基準にまで引き上げるために、

選択と集中理論で、効率性を重視して、その急速充電器の設置を進めていくべきなのです。

最適解より平等好きな日本人が、この国をダメにする

そして、このような話というのは、日本にはびこる諸悪の根源にも通じるのではないかとさえ考えていて、

直近でトンチンカンなメディアが世間を煽りまくっている、新型コロナウイルスに対するワクチンの接種問題に関してですが、

以前河野担当大臣の話で、自治体が、効率性よりも平等性という公平さを重んじたため、本当にくだらない混乱が発生していまったという話がありましたが、

From: 朝日新聞デジタル

このワクチン接種における効率性と公平性の問題も、今回の電気自動車の急速充電器の設置問題と全く同様であり、

つまり、このようなスピード感を求められる状況において、全ての公平性を担保するような考え自体が間違いであり、効率性を重視するという点がやはり尊重されるべきで、

急速充電器の設置の件で言えば、仮に北海道の道東という電気自動車の充電器が待望されている地域への設置という公平性という観点を、

その地域に住んでいる方には申し訳ないと思いつつも、一旦その設置を先延ばしし、

その代わりに、高速道路上へ、複数台急速充電器を設置する方にリソースを割くという、選択と集中作戦という効率性に振った方が、

結果として全体における電気自動車の利便性は、間違いなく向上しますので、

是非とも今回のワクチン接種問題をきっかけとして、日本のレガシー企業や自治体に残る、公平性への執着という規制をを突破して、

選択と集中を履行できる土壌を整備していってもらいたいと、切に感じることができるのではないでしょうか?

北海道道東の方、申し訳ありませんが、EVはもう少し待ってください、、

繰り返しとはなりますが、今後確実に先進諸国から没落することが確定している日本市場において、もはや全ての公平性を担保していくことは不可能でありますので、

ある程度の取捨選択、今回の3万基もの電気自動車用の急速充電器の設置方法という観点で言えば、空白地帯を埋めるのではなく、

まずは経路充電網の利便性を確固とするために、高速道路上の急速充電ステーションの複数台設置を、グローバル基準で進めていただきたいと思いますし、

逆にここがグローバル基準に達しない状況では、120%の確率で、我々日本市場が電気自動車発展途上国から脱出することはない、と断言することができるでしょう。

From: 日本経済新聞

Author: EVネイティブ

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