【アリア予約台数好調!】 日産アリアが予約開始10日間で4000台の予約台数を達成

アリア

ついに正式な予約受付を開始した日産のフラグシップクロスオーバーEVであるアリアに関して、

予約開始から10日間で、およそ4000台もの予約注文を受け付けたことが明らかになりましたが、

それとともに、海外では質の高い競合車種がそれ以上の予約台数、かつ、すでに納車をスタートさせているという厳しい事実についても、同時に解説します。

2回目のワールドプレミア開催!?

まず、今回の日産アリアに関してですが、ちょうど直近である6月4日に日本市場限定の初回限定生産グレードであるLimitedグレードのワールドプレミアを開催し、

それと同時に、その先行予約の受付も開始しているのですが、

そもそも論として、今回の日産アリアのワールドプレミアというのは、何も今回が初めてではなかったということで、

実は昨年である2020年の7月15日に、横浜の日産パビリオン内にて、日産のトップである内田社長が直々に今回のアリアの発表を行っていて、

その時の発表内容と一体何が違うのかよくわからない方もいらっしゃると思いますが、

結論から申し上げれば、その当時はプロダクションバージョンに近かったものの、今だにプロトタイプであったということでありますが、

今回新たに発表されているものは、完全なプロダクションバージョンであり、まさにこの車両が実際に公道を走行することになり、

今回は、あくまで初回限定生産グレードであるLimitedグレードにフォーカスした発表会という位置付けでしたので、厳密には別の種類の発表会であった、ということにはなります。

10日間で4000台もの先行予約達成

そして、そのプロダクションバージョンのアリアに関して、今回新たに明らかになってきたことというのが、

その6月4日に予約注文の受け付けを開始し始めてから、実際の予約注文数が明らかになってきたということで、

まず、予約開始日翌日の6月5日の朝の段階で、1500台以上の予約注文が入っていたことが明らかとなり、

From: 星野副社長

さらに、その10日後である6月14日の段階で、累計して3936台という予約注文数を達成することになったのです。

まず、この数値がどれほどであるのかを正確に把握するということが、極めて難しいということで、

というもの、以前の動画でも繰り返し主張しているものの、それを全く理解することのできていないコメントが散見されてはいるのですが、

今回のアリアはプレミアムセグメントに該当していますので、

そもそも日産が大衆EVをコンセプトに発売をスタートさせた、世界初の本格量産電気自動車であるリーフとは明らかにセグメントが異なり、

しかもその上、今回先行予約をスタートさせているのは、通常グレードではなく初回生産限定グレードであり、

通常のグレードよりも概ね100万円ほど高額な値段設定となる、Limitedグレードのみとなっていますので、

つまり、プレミアムセグメントの中でも、さらに上級グレード、その値段設定が660万円からという、日本メーカーから発売される自動車としては、最上位グレードに該当するような値段設定において、

その予約を受け付けてから10日間で4000台もの予約が入った、という前提を認識しなかればならないとは思います。

From: Nissan

手付金なし状態の予約台数は正確か?

しかしながら、それと同時に抑えなければならないポイントというのが、今回の先行予約においては、いわゆる手付金のようなものは一切支払う必要がない、

つまり極端に行ってしまえば、別に全く買う気がなかったとしても、とりあえず予約注文だけしておくユーザーも一定数存在する可能性があり、

しかも、今後その手付金である5万円を支払ったとしても、実際の発売開始に合わせてその先行予約をキャンセルすると、すでに収めていた5万円もの手付金は全額バックもされますので、

とりあえず先行予約だけしてみたが、よっぽどのことでない限り買うことはない、というようなスタンスの方も、この4000台弱という数値の中に含まれている可能性が十分考えられる、

故に、この4000台という数値を日本国内におけるアリアの本当の予約台数、

ましてや、来年である2022年初頭から発売された際の実際の販売台数に直結する数値なのかといえば、疑問符を付けなければならない、ということなのです。

1人で300台以上も予約する猛者も

ちなみにですが、同じように先行予約で全額返金可能なシステムを採用している、テスラのフルサイズピックアップトラックであるサイバートラックに関しては、

一部報道によれば、その予約台数はグローバルですでに100万台を超えているとされてはいますが、

その実際の中身を見てみると、たったの1人で300台という予約を行なっているという、99.9%の確率でひやかしを行なっているユーザーも存在しますし、

https://twitter.com/DriveTeslaca/status/1373069551575867394?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1373069551575867394%7Ctwgr%5E%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fcleantechnica.com%2F2021%2F05%2F23%2Freports-tesla-has-over-1-million-cybertruck-reservations%2F

こちらも全く同様に、とりあえずその場のノリで先行予約だけはしてみたが、

そもそもフルサイズピックアップトラックなんて買う必要もないし、本当に乗る気もないというユーザーはおそらく世界で相当数いると感じますし、

特に我々日本市場に関しては、そんなフルサイズピックアップトラックなど乗ったこともない、もはやそれにマッチする駐車場すらも持ち合わせていないという、

ひやかし目的の日本人は多いと確信することができますが、

それでもこの予約注文の数を公開することで、実際の盛り上がりよりも、悪く言ってしまえば、盛ることが可能、

うまくいえば、正当なマーケティング手段ともなり得ますので、

日産に関しても、このフラグシップクロスオーバーEVの盛り上がりをうまく見せようとする狙いがあるとは考えられます。

790万円のB9 e-4ORCE Limitedが最も人気

そして、そのアリアの予約注文数の内訳を細かく分析していきたいと思いますが、まずグレード別の内訳に関してですが、

そもそも今回のアリアLimitedにおいては4種類のグレードが設定されていて、

66kWhというミッドサイズ級のバッテリー容量を搭載したB6というグレードと、91kWhという大容量のバッテリーサイズを搭載したB9というグレードと、

さらにそれぞれ、前輪駆動グレードである2WDグレードと、4輪駆動グレードであるe-4ORCEグレードがラインナップし、

よって、最上級グレードに関してはB9 e-4ORCEグレードという呼び方になるのですが、

なんとその最上級グレードであり、本体価格が790万円にも達するB9 e-4ORCEが、最も多い1781台という予約台数を達成しているということで、

まずこちらに関しては率直に驚いた方が多いのではないかとは思われますが、実は個人的には至って順当な内訳となっているという印象であり、

再三の繰り返しとはなりますが、今回のアリア、特に初回限定生産グレードであるLimitedというのは、プレミアムセグメントの中でも上級グレードに該当しますので、

いわゆる一般的な所得層に対しての車ではないということであり、

つまり、日産が今回ターゲット層にしているプレミアムセグメントの中でも、特に車の購入に余裕のある、富裕層がしっかりと最上級グレードを選択しているということの裏返しでもあり、

まさになぜ今回初回限定生産グレードをラインナップしてきたのか、

そしてその戦略が、一定成功しているという見方ができるのです。

e-4ORCEへの期待は日産の想定以上か

そして、こちらのグレード別の内訳からさらにわかることとして、前輪駆動グレードである2WDグレードと4輪駆動グレードであるe-4ORCEグレードでは、

かなりの差で持ってe-4ORCEグレードの方が人気が高いということが明らかになってきていて、

こちらに関しては、私自身も以前の動画で一貫して解説している通り、

やはり今回のアリアの真骨頂、特にその設計思想を体現することができるのは、4輪駆動グレードであるe-4ORCEグレードであり、

このe-4ORCEグレードに関しては、前後に2つのモーターを搭載し、それを独立してコントロールすることによる、既存の内燃機関車では到達不可能な緻密なコントロールに加えて、

4輪それぞれを独立してブレーキ制御をかけることができる、ブレーキトルクベクタリング機能も搭載され、

これらの機能を統合することによって、現在グローバルで発売されている、2つのモーターを搭載している電気自動車と比較しても、さらに正確な電子制御を期待することができるのです。

したがって、特に雪上走行時などの悪路だけでなく、走行時における体の前後の動きであるピッチングなどに関しても、うまくいなすことができるため、

まさに、今回のアリアの設計思想でもある、車内にいる全ての乗員の快適性を追求という思想を体現することができる、

故に、やはり今回のアリアの真骨頂というのは、前輪側に1つのモーターを搭載した2WDグレードではなく、前後に2つのモーターを搭載しているe-4ORCEグレードとなり、

特に電気自動車に7年乗りつづけているオーナーの経験則からいえば、

このような走行安定性をはじめとする車両性能だけではなく、車内の快適性まで高めてくれるこのe-4ORCEグレードを、アリア購入において採用しないという選択肢は考えられないのです。

この動画の5分頃からの
姿勢変化の解説に注目

よって、今回の予約開始10日間だけの人気グレード内訳だけを見ると、

このアリアの最も重要な魅了であるとも言えるe-4ORCEグレードを選択しているユーザーが多いという結果は、

日産の最も推したいグレードの魅力がしっかりと伝わり、しっかりと数字にも表れているという好結果であると思いますし、

今後順次全国に展開されていく、アリアのテスト走行においても、このe-4ORCEの魅力を実際に体感し、さらに多くのユーザーが、特にアリアのe-4ORCEグレードを選択することになるでしょう。

おじさま世代に人気が集中

次に、その予約注文を行なった年齢層に関してですが、やはり多いのは50代以上の、いわゆるおじさま世代であり、

そのおじさまの割合だけで、なん64%と、つまり今回のアリアLimitedの予約注文を行なった、3人に2人がおじさまであるということになりましたが、

こちらに関しては何も特別なことではなく、まさに富裕層というターゲット層が中心となって購入を検討していることになりますし、

そもそも論として、我々日本市場においては特に、私のような若者世代が自動車を積極的に購入を検討してる時代ではないですので、特に特筆すべき結果ではないようには感じました。

日本人はホワイトがお好き

さらに、そのエクステリアカラー別の人気ランキングに関してですが、

まず今回のアリアLimitedにおいては、全部で5種類のカラーバリエーションが存在し、特に初回限定生産グレードであるLimitedでしか選択することのできない、

バーガンディーというワインレッド系の配色と、シェルブロンドという、ゴールドをホワイト系に薄めた配色という2種類をラインナップしながら、

さらに、通常グレードにおいても選択することのできる、プリズムホワイトというマルチコートが施されたホワイト色と、

ミッドナイトブラックという、その他のラインナップの2トーンにも採用されているブラック色、

そして、アリアのフラグシップカラーでもある、サンライズカッパーというラインナップとなりますが、

同率で1位に輝いたのが、プリズムホワイトとシェルブロンドの27%となっていますので、この2色のみで、全体の半分以上のシェアを獲得していることになり、

やはりこのどちらもホワイト系のカラーリングであり、実は個人的にはホワイト系の塗装色は興味がないのですが、

やはり日本人においては非常に人気のある配色ということで、今回のアリアにおいても、全く同様の傾向が現れた格好となります。

ちなみにそのあとは、今回のアリアLimitedのフラグシップカラーともなっているバーガンディーが3位、そして、アリアのフラグシップカラーになっているサンライズカッパーが4位と続いていきますが、

これらのフラグシップカラーが、想定以上にシェアを達成することができていないという事実に、個人的には興味があり、

このことからも、やはり日本人の好みは、メーカー側もプッシュするであろうその車種のフラグシップカラーではなく、

ホワイト系のカラーリングであるということが、図らずも浮き彫りとなってくるかとは思いますし、

シルバーも人気になるかも

例えば私の所有しているテスラのミッドサイズセダンであるモデル3に関しても、体感値ベースの情報しか共有することはできないものの、

少なくとも過半数、多ければ7、8割はパールホワイトという、ホワイト系統のカラーリングが選択されているイメージですので、

個人的に今回のアリアにおいて最も素晴らしいカラーリングであると考え、昨年のワールドプレミアが開催されてから、幾度となくその良さをアピールしていた、

ワインレッド系であるバーガンディーの魅力を、本チャンネルを通してアピールしていこうという決意を新たにすることができました。

グローバルでは厳しい戦いが予想されます

そして、この一定の成功を収めているようにも見えるアリアの初回限定グレードの予約状況に関してですが、

グローバルで見た場合、この成功に安堵することは全くできないという厳しい現実も発信しなければならず、

このアリアと同セグメントとなる、ミッドサイズSUVの電気自動車というのは、すでに多くの競合メーカーから発売されてしまっていて、

まずは、フォルクスワーゲンのID.4に関してですが、

こちらはアリアのワールドプレミアが開催された後に発表されたものの、すでに2020年内には納車がスタートし、

現在ではヨーロッパ市場だけで、毎月7000台ペースでの販売台数を達成してしまっていますし、

直近ではAWDグレードのGTXグレードも発売開始

さらにフォードのマスタングマックEに関しても、本国である北米市場だけでなく、ヨーロッパ市場においても発売をスタートし、

ノルウェー市場などにおいては、発売開始してすぐに、人気車種ランキングトップに君臨するという人気ぶりともなっているのです。

そして、特にヨーロッパ市場において、比較対象として名前を出さなければならないのが、

韓国ヒュンダイのIONIQ5と、同じくヒュンダイグループ傘下のキアブランドのEV6という、ミッドサイズSUVであり、

こちらに関しては、アリアと同様に予約注文の台数を定期的に公開してきていて、

まずIONIQ5に関しては、その予約サイトがオープンしてから数時間のうちに、ヨーロッパ市場における初回限定生産グレードであるProject45の3000台が速攻で完売し、

From: electrek

さらにお膝元でもある韓国市場においては、予約開始翌日までに、なんと23760台もの予約注文に達したとアナウンスしていますし、

From: The Korea Times

さらにキアブランドから発売されるEV6についても同様に、

予約注文を開始してから間も無くして、ヨーロッパ市場において、7300台もの予約注文が入ったことをアナウンスしていますので、

From: Kia

もちろん大前提として、ヨーロッパ市場の人口は、日本市場のおよそ4倍程度である5億人程度も存在しているということ、

また、アリアのように初回限定生産グレードのみの予約受付ではなく、全てのグレードの予約を開始しているということもあり、一概にその注文数のみを比較することはできませんが、

それでも電気自動車先進諸国の集まるヨーロッパ市場において、ヒュンダイ側の想定を大きく超える、特にキアにおいては想定の300%もの人気を獲得しているということ、

また、IONIQ5に至っては、日本市場の半分のマーケットである韓国国内だけでも圧倒的な人気を博しているということを考慮すれば、

いかにその人気が凄まじいものとなっているのか、

故に、お隣である韓国市場における電動化が、自国の自動車メーカーによって、さらに進んでいくという、非常に明るい未来を感じることができているのではないでしょうか?

日産アリアの主戦場は日本ではありません

何れにしてもこのように、今回アリアLimitedの予約注文数の途中経過が公式にアナウンスされ、

特にプレミアムセグメントとして、さらに上級グレードであるということを勘案すると上々の立ち上がりを見せ、

特にそのグレード内訳における、e-4ORCEグレードの人気が高いという点は、

まさに日産独自の強みである電気自動車における極めてハイレベルな電子制御技術を、多くのユーザーが期待して注文しているという、

日産の期待通りの結果が見て取れると感じますが、

それと同時にグローバルに目を向けると、アリアと同等、むしろ上回るような電気自動車としてのスペックを備えた電気自動車が、すでに街中を走行し始めてしまっているという、

後発となるアリアの、厳しい戦いを予感させる注文状況も出てきてしまっていますので、

果たしてこのアリアが日本市場ではなく、真の主戦場でもあるヨーロッパ市場において、

どれほどの予約台数、そして販売台数を達成することができるのかにも、注目していきたいと思います。

From: Nissan

Author: EVネイティブ