【MICモデルYの納車スタート!?】中国テスラの需要の落ち込みは問題なし&欧州にモデルYを輸出か
一部報道において懸念されていた、中国市場におけるテスラの需要の落ち込みについて、
その直近の販売台数の数値から、その情報が正確でなかったことがおおよそ判明しましたが、
一方で、その需要の落ち込みを示す可能性も指摘され、
それと同時に、なんとヨーロッパ市場におけるモデルYの納車が想定よりも大幅に早まる可能性が浮上してきているという朗報についても解説します。
逆風が吹き始めた中国テスラ?
まず、今回フォーカスしたい中国市場のテスラに関しては、
特に今年である2021年の1月から、現在世界的に人気のセグメントであるミッドサイズSUVセグメントであるモデルYの納車をスタートさせたことによって、その販売台数がさらに上昇し、
しかもその上、ミッドサイズセダンであるモデル3の生産体制もさらに増強させ、
現在では我々日本市場を含む右ハンドル市場に対してその輸出を加速させているという、
特に今年に突入してからというもの、テスラに関するマイナス要素がほぼ存在しないほどに、好材料なニュースが連発していましたし、
この絶好調さがどこまで続くのかについてを、個人的には非常に興味深くウォッチしてもいました。
しかしながらその中国市場におけるテスラに対しては、現在強烈な逆風が吹き始めてもいて、
特に先月中国国内で開催された上海オートショー内において、テスラの対応に不満を持っていたオーナーが、モデル3の屋根の上に乗って抗議の意思を表明したという一件以降、
様々なオーナーが抗議の声を表明し始め、国内メディアが一斉に報道してしまっている状況となっているのです。
そして、先々月である4月度の中国市場における販売台数を見てみると、
3月度に記録した35000台オーバーという数値から一転して、11000台程度という販売台数の急落となっていて、
つまりこのダウントレンドというのが、現在中国市場で巻き起こっている、テスラに対する抗議運動を発端とする一連のバックラッシュの影響なのではないか、
と推測することができていたのです。
しかもその上、一部メディアによるリーク情報によって、直近の5月度のテスラの注文台数が落ち込んでしまっているのではないかという報道も飛び出し、株価も急落するなど、
何れにしても、その5月度の正式な販売台数がどれほどとなっているのか、
本当にテスラの需要が落ち込んでしまっているのかに、多くの関係者が注目していたという背景があったのです。
中国市場の販売台数は前月比ほぼ倍増!
そして、そのような状況において今回新たに明らかになってきたことというのが、その直近である5月度の中国国内におけるテスラの正式な販売台数が公開されたということで、
現在発売しているモデル3とモデルYの合計で、21936台と、
その前の月であり、販売台数が急落していた4月度の販売台数と比較しても、なんと倍近くの急上昇を達成することができていますので、
少なくとも一部メディアが報じてきた、中国市場におけるテスラの需要の大幅な落ち込みという報道内容とは、
かなり異なる結果であった、ということになり、
さらに、私自身が以前の動画で示していた、中国テスラが本当にダウントレンドに入ってしまっているのかを判断する一つの分水嶺的な数値である、
20000台という数値をなんとか超えてきてもいますので、
何れにしても、この直近で、バックラッシュに合っていたとされるテスラの需要は、決して落ち込んでいないということが証明されたというわけですね。
モデルYは絶好調なのは間違いないが、、、
したがって、テスラのシェアホルダーを始め、電気自動車に関連するメディアがこぞって、中国テスラの需要に対する大絶賛ムードとなっているのですが、
個人的には、ここに敢えてアンチテーゼを唱えていきたいということで、
というのも、確かに中国国内全体におけるテスラ車の販売台数は、私独自の判断基準でもあった20000台を達成していますので、特に問題視はしていないのですが、
その車種別の販売台数を見てみると、まず今年である2021年に入ってから発売をスタートさせたミッドサイズSUVのモデルYについては、
12728台と、史上最高の販売台数を達成することになり、
特に国内販売台数が上昇する各四半期の最終月であった3月度の販売台数をすでに超えてきてもいますので、
その需要に対して、むしろ大きく期待することができると思います。
しかしながらそれに対して、ミッドサイズセダンであるモデル3については、
9208台と、まだ上海工場が立ち上がって間もなかった昨年である2020年の5月度と比較しても、その販売台数が前年割れしてしまっているという状況であり、
したがって、新登場のモデルYに関しては、今後のその需要の高まりとともにさらに販売台数を伸ばしていくことが期待できるわけですが、
モデル3に関しては、その新登場のモデルYとのカニバライズであったり、すでに中国国内のミッドサイズセダンの需要ピークを迎えてしまっているのか、
何れにしても、その需要の峠を越えてきている感も否めない、というように捉えることも可能であるのです。
何れにしても、今月である6月度というのは、我々日本市場をはじめとする右ハンドル市場への輸出はほぼ行われず、
純粋に、中国国内への販売分にその生産した分をほぼ全て割り当てることができますので、
この6月度の、特にモデル3の販売台数がどれほどを達成してくるのか、
個人的には、そのモデル3の需要が一定水準をキープしているのか、それともダウントレンドに入り始めてしまっているのかを占う分水嶺的な数値が、2万台と考えていますが、
果たして6月度のモデル3の販売台数が2万台を越えてくることができるのかにも、注目していきたいとは思います。
アメリカ本国では納車時期が大幅遅延
そして、その好調さを取り戻した可能性が高い中国市場だけではなく、グローバルにおけるテスラの需要に関してですが、
一部電気自動車メディアが、その需要が急増しているのではないかという報道をしていて、実は直近において、その納車時期が大幅に更新され、
まずモデル3に関しては、最上級グレードであるパフォーマンスグレード以外に関しては、
現在である6月中旬に注文したとしても、その納車時期がなんと8月末、もしくは9月にずれ込んでしまうようなタイムラインとなり、
さらに、モデルYに関しては、すでに9月中の納車時期にまでずれ込んでしまうというタイムラインを提示してきており、
したがって、この納車時期のタイムラインの大幅プッシュから、そのテスラ車の需要が急増しているのではないかという予測が立ち上がっているのです。
そしてこちらの需要の急増に関しては、おそらくアメリカ国内というよりは、ヨーロッパ市場における需要の高まりを受けているのではないかと推測することができ、
現在ヨーロッパ市場におけるテスラ車というのは、全てアメリカ・カリフォルニアに位置するフリーモント工場からの輸入に頼っている状況であり、
したがって、来月である7月からのフリーモント工場の生産分の大半をヨーロッパ市場へと回し、
よってその分、アメリカ本国における割り当てがなくなってしまうのではないかと推測することができるのです。
中国製モデルYがついに国外に輸出か!?
さらに、テスラ関連のインフルエンサーからの不確定情報として、
その世界的なテスラ車の需要、特にいまだに納車をスタートすることができていないヨーロッパ市場におけるモデルYの販売を、
なんと前倒しで開始するのではないかという情報が飛び出してもいて、
というのも、そもそもヨーロッパ市場におけるモデルYの発売に関しては、イーロンマスク自身が以前から、
現在ドイツベルリンに目下建設中であるギガファクトリー4において生産された車両を順次納車していくとしていましたが、
実は現在そのギガファクトリー4の建設の進捗状況が芳しくなく、
もともと今年である2021年の中旬には生産を開始し、そして概ね9月ごろからの納車スタートというようなタイムラインを見込んでいたのですが、
現状すでに2021年末からの生産スタートと、そのタイムラインを大幅に遅延させ、
しかも一部の報道においては、この2021年末までの生産スタートというタイムラインすらも、その達成が厳しくなっている公算でもあり、
したがって、実際のヨーロッパ市場におけるモデルYの納車スタートというのは、来年である2022年の3月以降、というようなタイムラインになってしまうという可能性が、濃厚となってしまっているのです。
そこで、現在その需要が高まりながらも、それ以上にその生産キャパシティを拡張させ、つい直近の5月度において最も多い販売台数を達成することができていた、
中国上海に位置するギガファクトリー3にて生産されるモデルYを、その建設が遅れているギガファクトリー4が立ち上がるまでの間輸出し始めるのではないか、という推測となっていて、
そのインフルエンサーによれば、来月である7月からの第三四半期から輸出を開始するとしていますので、
したがって、今までの慣例で行けば、その第三四半期の最終月である9月中に、なんとヨーロッパ市場において中国製モデルYの納車がスタートするという、驚きの可能性が浮上してきているのです。
実は、このような中国市場からヨーロッパ市場への輸出というのは今回のモデルYが初めてではなく、
昨年である2020年の第四四半期において、全く同様に、
中国市場で生産されたモデル3を、電気自動車の需要が増大するヨーロッパ市場に輸出していたという経緯があり、
したがって、今回の情報に関しては、今だに公式ソースではないものの、別に不思議なことは何もないですので、
いよいよヨーロッパ市場においても、モデルYが発売される可能性が現実味を帯び始めているわけなのです。
ドイツ製モデルYと中国製モデルYは質がまるで違う件
ちなみにですが、その中国製のモデル3のヨーロッパ市場への輸出というのは、2020年の第四四半期のみで終了し、
そのあとは、アメリカのフリーモント工場からの輸出へと切り替わりましたが、
今回のモデルYに話を置き換えれば、
この中国市場からの輸出に関しても、そのドイツベルリンのギガファクトリー4が立ち上がるまでの、一時的な措置であることは間違いないと思いますが、
そうなると、個人的に気になってくるのが、
この中国製モデルYを買い控えるために、一旦注文をキャンセルするオーナーが一定数現れ始めるのではないかという懸念となっていて、
こちらは以前から取り上げているように、ドイツベルリンで生産されるモデルYというのは、現在アメリカのフリーモント工場や中国上海で生産されているそれとは大きく異なり、
テスラが独自開発した4680セルという最新型のバッテリーセルであったり、Structural Battery Packと呼ばれる、最新のバッテリーセルの搭載方法、
その上、ボディ鋳造の一体成型であるギガキャスティング、さらには、日本の塗装メーカーも一枚噛んでいる最新の塗装技術の採用など、
とにかく現在テスラが持つ最新の生産技術をふんだんに詰め込んでくる予定であり、
逆に、その最新技術が搭載されるドイツ製のモデルYの発売を期待していた方に関しては、既存の技術を採用して生産されている中国製のモデルYを購入することをためらう可能性がありますので、
一時的な、その予約注文のキャンセルなどという混乱が発生する可能性が想定されるとは思います。
しかしながら、そのような懸念はあったとしても、やはり現在世界的に人気のセグメントであるミッドサイズSUVセグメントであるモデルYの人気は、
おそらくモデル3以上となることは間違い無いですので、
その納車が想定よりも半年ほど早い、早ければ8月か9月中の納車スタートとなってくれば、
既存メーカーの発売しているミッドサイズ電気自動車SUVである、
例えばフォルクスワーゲンのID.4や、フォードのマスタングマックE、ヒュンダイのIONIQ5などの販売台数に、かなりの影響を及ぼしてくることは必死でしょう。
中国製モデルYの搭載セルが最新型に
ちなみに、その中国で生産されるモデルYに関しては、ちょうど第三四半期から生産される車両において、その搭載されるバッテリーセルの種類を変更してくるということで、
現在モデルYに搭載されているバッテリーセルは、韓国のLGエナジーソリューションから調達しているのですが、
このLG製のバッテリーセルの種類が、現在はNMC811という三元系のバッテリーセルなのですが、
今回新たに採用される予定であるのが、NMCAと呼ばれる四元系のバッテリーセルの種類となっていて、
三元系と比較して、新たにアルミニウムが配合されているのですが、つまり今回のアルミニウムを配合することによって、
希少物質であるレアメタルのコバルトの含有量を相対的に減らすことが可能となり、
さらにその上、電気自動車において最も重要である満充電あたりの航続距離を向上させるための、エネルギー密度向上に直結するニッケルの配合割合も相対的に高めることができ、
今までのNMC811の場合、文字通り、その頭文字であるNを示すニッケルの配合割合は8割にとどまっていましたが、
今回のNMCAにおいては、ニッケルの割合を85%程度にまで高めることができていると説明されていますので、
したがって、現状のモデルYの満充電あたりの航続距離である、最長525kmという航続距離がさらに延長され、
なおかつ、コバルトの含有量を減らしたことによる、さらなるコスト低減も期待することができるのです。
何れにしてもこのように、全てを最適化するために毎日のように改善を繰り返してくるテスラに関して、特に国内メディアで賑わっている中国市場におけるテスラの最新動向を中心に解説してきましたが、
特に直近で最も最新鋭の車両となり、本チャンネルにおいては今後モデルY2.0と呼ぶ、ドイツベルリン製のモデルYの生産が遅延することによって、
一時的な措置として、従来型である中国製のモデルY1.0の納車をスタートさせるのではないかというリーク情報が飛び出し、
その輸出が7月度から開始され、実際の納車が8月か9月ごろにスタートするのではないかということ、
さらに、その中国製のモデルYに関しては、より安価であり、且つ、より航続距離の向上が期待できる新たなバッテリーセルの種類を採用してくることによって、
モデルY1.5として、出荷される公算が高いということなどが想定でき、
特に電気自動車の競争が激しさを増すヨーロッパ市場において、さらなる熾烈な争いとなることは必至、
裏を返せば、今年の終盤にかけて、電気自動車の記録的な販売台数に期待することができますので、
こちらのヨーロッパ市場におけるモデルYの続報に関しても、特に最新情報がわかり次第アップデートしていきたいと思います。
From: Troy Teslike via Sawyer Merritt、THE ELEC
Author: EVネイティブ