【悲報】ZESP3料金改定で充電料金上昇 日産以外のEV加入不可能に! 変更点・おすすめプランを徹底解説します

充電インフラ

日産が提供する電気自動車向けの充電プラン、ゼロエミッションサポートプログラム3、通称ZESP3の料金改定が正式にアナウンスされ、充電料金がさらに値上がりしてしまいながら、ついに日産以外の電気自動車が加入できなくなるというブロック戦略もスタートしてしまったという悲報について、

果たして今後のEVオーナーがどの充電カードを所有するべきなのか、具体的にどの程度の充電総額となってしまうのかを含めて解説します。

ZESP3が実質値上げ・日産EVオーナー以外は加入不可へ

ZESP3は、日産が提供する充電サービスで、月額一定の料金を支払うことで、日産の販売店や全国の公共充電サービスプロバイダー、イーモビリティパワー(イーモビ)が管轄する20000件以上の充電器を利用できるサービスです。

2つの誤解がありますが、まず、ZESP3は日産のEVオーナーだけでなく、他メーカーのEVオーナーも加入可能でした。特に、自社の充電サービスを提供していなかったマツダ、スバル、ヒョンデ、BYDなどのオーナーが利用していました。

二つ目の誤解は、ZESP3で使用できる充電器が日産の販売店に限られているというものですが、実際にはイーモビと提携している充電器も使用できるため、日本全国の多くの充電器を利用可能でした。

しかし、今回のZESP3の料金体系の大きな変更により、リーフ、アリア、サクラ、e-NV200という日産の電気自動車のみが加入可能になり、他社メーカーのEVは排除されるようになりました。これにより、テスラやスバル、マツダ、ヒョンデ、BYDの電気自動車を購入する予定の方々は、これからZESP3に加入することはできなくなってしまいました。

日産は新たな料金体系の施行に伴い、いくつかの救済策を用意しています。

まず、2023年9月1日までにZESP3に加入していることを条件に、日産のEVオーナーでなくても、ZESP3に継続して加入し続けることができるという方針を表明しています。つまり、ZESP3に加入を希望するEVオーナーは、日産のEVオーナーでなくても8月末までに加入すれば良いということです。

また、今までのZESP3の契約では、3年定期契約を選択すると、月額料金を1650円安く済ませることができました。しかし、その3年定期契約の加入期限を5月31日までに設定してきたため、5月末までに契約すれば、毎月1650円安くZESP3に加入することができます。

次に、ZESP3の料金体系についてですが、急速充電の料金体系が変更されました。それまでのZESP3の充電プランは大きく4種類存在しました。

シンプルプランでは、月額550円を支払うだけで、イーモビと提携する充電器を使用することができ、充電料金は10分あたり550円でした。一方、プレミアムプランでは、例えば最上級プランのプレミアム40を選択すると、月々400分間の急速充電が無料となり、その無料分を使い切ったとしても、10分あたり275円で急速充電を利用できました。

これまでのZESP3料金体系

しかし、新たな料金体系では、シンプルプランの月額料金が1100円と倍増し、充電料金も1分あたり99円と倍近くなりました。さらに、プレミアムプランのプレミアム40は、プレミアム400に名称変更され、月額料金には変更がないものの、無料分を使い切った後の充電料金は1分あたり33円と値上がりしています。

新たな料金体系の施行により、プレミアムプランの名称が変更されました。これまで10分単位で充電料金が計算されていたものが、1分単位になることで、11分で充電を切り上げると20分分の無料充電分が消費されてしまうという問題が解消されました。これはEVオーナーにとっては良い変更と言えるでしょう。

そして、3つ目の変更点については、普通充電の有料化です。これまでプレミアムプランに加入していると、普通充電が無料だったのですが、新体制では普通充電が1分あたり3.3円となります。しかし、救済措置として、プレミアムプランには月600分の無料充電特典が付与されるため、毎月10時間分の普通充電が無料となります。

それでもZESP3は割安な充電プランと言えそう

以上を踏まえて、新しいZESP3の料金設定と他のメーカーの充電プランを比較し、コストパフォーマンスを検討することが重要です。今回はZESP3、イーモビの充電プラン、そしてトヨタの充電プランを比較対象としています。

ただし、トヨタの充電プランは、9月1日以降にZESP3と同様に、トヨタ以外のEVには加入できないという制限があります。そのため、テスラやヒョンデ、BYDのEVを購入する方については、イーモビの充電プランに加入することが必須となるでしょう。

イーモビとZESP3の最大の違いは、イーモビでは月額料金を支払ったとしても、ZESP3のように無料充電分は一切付与されないという点です。ただし、イーモビでは月額4180円を支払えば、急速充電器を1分あたり27.5円で使用できます。これに対して、ZESP3の同等のプラン(プレミアム100)では1分あたり44円となるため、イーモビの方が急速充電についてはコストパフォーマンスが良いと言えます。

トヨタの充電料金については、月額4950円のプランBでは、90分の無料充電特典が付与され、それを超えた分は1分あたり55円となります。したがって、ZESP3プレミアム100と比較すると、月額料金は550円高く、無料充電分も10分短い、そして超過部分の充電料金も高いという点で、トヨタのプランは割高と言えます。したがって、日産のZESP3は、値上がりしたとしても、それでもなお他のプランに比べて割安であると言えます。

それでは、新しい充電料金設定を使用して、いくつかのEVの月々の充電料金を試算してみましょう。まずは日本で最も売れている日産の「サクラ」を例に取ってみましょう。航続距離が125km、充電残量70%分の充電時間を35分、月間走行距離を1000kmと仮定します。イーモビの充電プランを使用すると、急速・普通併用プランの場合、その充電料金は約13000円になります。

一方、ZESP3を使用した場合、プランによって充電料金に大きな差が出ます。例えば、プレミアム400を使用すれば、その無料充電分で1000km分の航続距離を賄うことができ、その月の充電料金は11000円となります。しかし、シンプルプランを使用した場合、その充電料金は月額3万円を超え、大幅に跳ね上がります。

この計算結果からも明らかなように、日産サクラを急速充電主体で運用することは、経済的には合理的ではありません。したがって、自宅や集合住宅に普通充電器を設置することが推奨されます。

また、アリアB6・B9のケースも考えてみましょう。アリアB6では90kWの急速充電を使用し、月間走行距離が1000kmおよび2000kmの場合の充電料金を計算します。

アリアB9の計算方法は150kW充電器を使用するため、充電時間が減少します。そのため、必要な充電回数や充電時間が減り、それに伴ってコスパが高くなります。

B6/90kWの組み合わせよりもB9/150kWの方が安上がりになる計算

EV初心者の方々に対しては、ZESP3に加入することで充電の際の混乱を避けることができます。特に長距離移動の際や、非常時のためには、充電カードを持つことが重要で、そのためにZESP3のプレミアム100プランに加入するか、少なくともシンプルプランには加入しておくことが望ましいでしょう。

一方、EVに慣れている方々、特に自宅で基本的な充電が可能な方々に対しては、ビジター充電を利用することも一つの選択肢になりえます。イーモビが提供するビジター充電は、ZESP3やイーモビの定額プランに加入しなくても、場合によっては高いコストパフォーマンスを提供します。

具体的には、イーモビが設置した急速充電器の一部に限り、1分あたり77円の料金が適用されますが、それ以外の提携充電器(例えば日産の急速充電器など)では、1分あたり55円という比較的低い料金で利用することができます。

そして、提携充電器を利用すれば、例えば30分充電しても1650円で済み、月額料金も発生しません。これは、急速充電をたまにしか使用しない方々にとって、非常にコスト効率の良い選択肢となるでしょう。

ただし、ビジター充電を利用する場合は、いくつかの操作を行わなければならないため、初めての方にとっては少し難しいかもしれません。しかし、これらの操作に慣れることができれば、コストを抑えつつ、急速充電を利用することが可能となります。

したがって、EV初心者と経験者の両方に対して、それぞれのニーズに応じた最適な充電プランを選択することが重要です。そして、それによって電気自動車の利便性と維持コストを最大限に活用することができるでしょう。

ZESP3の変更により、特に公共充電施設に依存しているEVユーザーにとっては、電気自動車の利便性と維持コストが大きく影響を受けることとなります。

また、日産以外のEVユーザーにとっては、この新しい料金体系が特に厳しく感じられるでしょう。そのため、今後の電気自動車の選択肢や考え方に影響を与える可能性があります。

自宅での充電設備が利用可能な場合、EVはまだ非常に魅力的な選択肢であり続けます。自宅充電設備を利用することで、充電にかかる時間やコストを大幅に抑えることができ、EVの維持がより現実的となります。

しかし、自宅での充電設備が利用できないユーザー、特に集合住宅に住むユーザーにとっては、公共充電施設の利用が必要不可欠であり、その利便性とコストはEV選択の大きな要素となります。

このような状況から、自動車メーカー、充電サービスプロバイダー、政府などの関係者は、集合住宅への充電設備の設置を促進するための施策を推進する必要があります。それには、法規の改正、設置費用の補助、管理組合への働きかけなど、多岐にわたるアプローチが必要となるでしょう。

From: Nissan

Author: EVネイティブ