【ロジック解明】1000kmチャレンジ再挑戦へ! トヨタbZ4X充電スピード短縮&残量表示変更で長距離運用劇的改善!
トヨタの電動SUVであるbZ4Xにおいて、ユーザーから意見の多かったいくつかのEV性能のアップデートについて、我々日本市場においても正式にアップデートを行う方針が発表され、
そのアップデート内容の詳細や、その内容を踏まえた、我々日本市場におけるbZ4Xの効率的な長距離運用方法の考察、
さらに、そのアップデートによる幾つかの懸念点についてを含めて解説します。
bZ4X&ソルテラのアップデートは5月から販売店にて利用可能
今回のbZ4Xは、トヨタ初のグローバル向け本格EVとして発売され、航続距離テストや充電スピードテストなどで一定の性能を示しています。特に、時速100kmで巡航する航続距離テストでは、5.8km/kWhの電費性能を達成し、満充電で約380kmを走行できることがわかりました。また、150kW級の急速充電器を使用した際には、最大129kWの充電が可能でした。
しかしながら、1000kmチャレンジでは13時間以上かかり、競合のテスラモデルY RWDに比べて2時間半以上も遅いタイムを記録しました。これは、EV未経験の方にとって驚きであり、そのような乗り物を購入することにためらいを感じるかもしれません。
トヨタのbZ4Xは、一定のEV性能を持っていますが、競合車種と比較すると長距離走行時のタイムに違いが出てしまう点が課題となっています。今後の改善が求められるでしょう。
トヨタのbZ4Xは、1000kmチャレンジで競合車種と比較して遅いタイムを記録したことや、充電残量表示の問題など、いくつかの改善が求められていました。これらの問題に対処するため、トヨタはbZ4Xのアップデートを行う予定を発表しました。
トヨタは、ノルウェーのEV関連メディアに対し、できるだけ早いタイミングでbZ4Xのアップデートを行う方針を示していました。今回、日本市場を含むグローバルでアップデートを正式に行うことが発表され、具体的には5月中に販売店で無償でアップデートが可能となる予定です。
ただし、bZ4Xに採用されている無線アップデートは今回のアップデートで適用できないことが判明しました。これにより、OTA(Over-the-Air)技術に関しては、トヨタがまだ十分な実力を持っていないことが示されています。
今後、トヨタはbZ4Xの改善に取り組むとともに、OTA技術の向上にも力を入れることが期待されます。これにより、bZ4Xが競合車種との差を縮めることができるでしょう。
今回のトヨタbZ4Xのアップデートでは、主に5つの変更点があります。
- 充電残量の%表示がディスプレイに追加されました。
- エアコンをONにした際の航続可能距離表示の減り方が緩やかになり、実測値に近づきました。
- 航続可能距離が0kmになった後のバッファー量を引き下げ、見た目の航続可能距離が増加しました。
- 充電残量80%以降の充電スピードが改善され、60分程度かかっていたものが30-40分程度に短縮されました。
- 一定期間でスペック通りの急速充電ができる回数制限が緩和され、概ね倍近い充電回数が許容できるようになりました。
これらのアップデートは、ユーザーの声を汲み取り、発売後約1年で実現されました。そのため、アップデートのスピード感には称賛が送られるべきです。しかし、一部の機能、例えば目的地を設定すると到着時の充電残量を表示する機能などは、まだ対応できていないと報告されています。
また、バッテリーマネジメントに関する機能については、ディーラーに赴かずに無線でアップデートが完了できるようになることが望まれます。これにより、ユーザーがさらに便利に利用できるようになるでしょう。トヨタは今後もユーザーの声を取り入れた改善を行っていくことが期待されます。
急速充電は1日4回?
今回のアップデートで特に注目すべき改善ポイントは、急速充電の回数制限の緩和です。日本のメディア向けには、これまでの2回の制限が倍の4回に緩和されていると説明されています。トヨタがその充電制限の詳細なロジックを追記したことで、具体的にどのようなアルゴリズムが用いられているかを理解することができます。
重要な観点は、電池ダメージ量という指標です。これは、パーセント基準での急速充電量の合計量から、1時間あたりのダメージ解消量に、急速充電器使用の間の時間を掛け合わせた数値を引いたものを指します。ある一定の閾値を超えた段階で、急速充電制限がスタートする仕様です。
例として、50kW級の急速充電器を使用した場合を考えてみましょう。30分充電で約35%分の電力量を回復し、次の充電までに2時間の走行時間があると仮定すると、1時間あたり2.9%のダメージ解消量に2時間をかけて、合計5.8%分が電池ダメージ量から差し引かれます。そして、アップデート前の電池ダメージ量の閾値である140%に到達する5回目の急速充電の途中で、急速充電制限がスタートします。
このアップデートによって、制限回数が緩和されたことで、bZ4Xの購入を検討するユーザーが増えることが期待されます。
今回のアップデートにおいて、主に変更された点は電池ダメージ量の閾値の引き上げと、1時間あたりのダメージ解消量の増加です。具体的には、元々の電池ダメージ量の閾値が140%から、今回のアップデートで175%にまで緩和されました。さらに、1時間あたりのダメージ解消量も、元々の2.9%からおおよそ11%に増加しました。
この結果、50kW級急速充電器を使用して、1回30分の充電を行いながら、急速充電のインターバルを2時間取る場合、充電制限が大幅に緩和され、5回目の充電セッションから12回目の充電セッションまで充電制限がスタートしなくなりました。
また、90kW級以上の急速充電器を使用した場合、電池ダメージ量がどのように溜まっていくかを計算すると、4回目の急速充電を開始して充電残量が41%に到達した時点で、充電出力が制限され始めることが分かります。ただし、トヨタは急速充電器の仕様によっては、この計算通りにいかない場合もあると指摘しています。
基本的に、高速道路を使用して長距離を走行するようなシチュエーションでは、3回目までの急速充電で充電制限を気にする必要はなく、4回目の急速充電で充電制限に引っかかるケースが出てくるという認識で問題ありません。このアップデートにより、急速充電の回数制限が緩和され、ユーザーにとって利便性が向上しました。
今回の充電制限のアップデートを受けて、トヨタbZ4Xで急速充電器を複数回使用した長距離走行を行う際に効率的な運用方法は以下の3点です。
- なるべく充電残量を0%に近づけてから急速充電を行う
- 充電残量が80%を超えたとしても、旅程が許す限り、90%程度まで充電し切る
- 旅程が許すのであれば、50kW級急速充電器の活用も検討する
特に目的地に最速で到着したい場合、以下の点に注意すべきです。
- 90kW以上の充電器の場合、充電残量10%未満、50kW級の場合、充電残量が30%未満までの充電は、電池ダメージ量に加算されないため、最大30%分のダメージを軽減できます。
- 1回目の急速充電までは、一気に走り抜けることで、充電中以外の電池ダメージ解消量を最大化できます。
具体的な運用方法としては、
- 出発前に普通充電で100%まで充電する
- 出発後、充電残量が0%に近づくまで制限速度マックスで一気に進む
- 90kW級以上の急速充電器を使用して充電時間を最短化する
その後、電池ダメージを考慮しながら、以下の選択肢を検討できます。
- 車速を落として電費を稼ぎ、充電回数を減らす
- 途中観光などで車両を長時間放置する場合は、電池ダメージ量を逆算して直前で急速充電をし切ってしまうことで、ダメージ解消の最大化が可能です。
これらの運用方法を実践することで、長距離走行時のトヨタbZ4Xの急速充電制限を考慮しながら、効率的な運用が可能となります。
電池の劣化や安全性に妥協はない?
確かに、今回のアップデートによりいくつかの疑問点や懸念点が浮上しています。
- なんちゃって200kW級急速充電器のカテゴリーについて: 3台以上のEVが同時充電するとシェアリングがスタートし、充電出力が低下する場合、90kWの充電と判断されるのか、それとも50kWの充電と判断されるのかが不明です。
- アップデート後のバッテリーの安全性や耐久性について: アップデート前の厳しい充電制限があったからこそ、トヨタのバッテリーの安全性を担保できていたと思われますが、制限が緩和されたことで、安全性や耐久性を維持できるのかが懸念されます。もし電池の劣化が進むようであれば、一部のユーザーはアップデートを避けるかもしれません。
これらの懸念点に対し、トヨタはユーザーの利便性を意識した開発を続けるべきです。また、今後のアップデートで、以下の改善が期待されます。
- 目的地到着時点での充電残量予測の精度向上
- AWDグレードにおける実電費の低さの改善
- 高速域での実電費の低さの改善
今回のアップデートは、特に長距離を走行するオーナーやレンタカーユーザーにとって朗報であり、多くのユーザーにとって運用面での大幅な改善が期待されます。今後のアップデートや開発により、トヨタが競争力の高いEVを提供し、EV戦争での立ち位置を向上させることが期待されます。
From: Toyota
Author: EVネイティブ