【フォルクスワーゲン新型EV】ID.7セダンとクプラタバスカンが世界初公開!MEB+プラットフォーム搭載で700km航続距離も、中国市場での厳しい戦い続く【日本メーカーも試練の時】

ID.7

フォルクスワーゲンの新型EVとしてセダンタイプのID.7のワールドプレミアが正式開催、航続距離700kmという実用的なEV性能とともに、フォルクスワーゲンの新世代プラットフォームであるMEB+を初採用、

さらに、同じくフォルクスワーゲングループ傘下のクプラブランドも新型電動SUVであるタバスカンを発表、同じく新世代パワートレインを採用した初めての電動SUVでありながら、極めて洗練された内外装のデザイン性など、

フォルクスワーゲンの新型EVについてを解説します。

ID.7はMEBの改良版を初採用

フォルクスワーゲングループは、既存の自動車メーカーの中でEVシフトを積極的に進めており、2022年にはグローバルで57万2000台のバッテリーEVを販売し、世界3位の販売台数を達成しました。多彩なEVラインナップを持っており、MEBプラットフォームを用いた数々の電気自動車が展開されています。

フォルクスワーゲングループは、競争力を高めるためにMEBプラットフォームの改良を行う方針を明らかにしており、モーターやインバーターをはじめとするパワートレインの刷新を行うことで、よりパワフルで効率的なEVを展開する予定です。

さらに、バッテリー容量も大容量化し、100kWh級のバッテリー容量を搭載できるようにすることで、大型SUVなどにも対応できるようになります。これにより、EPA基準で500km程度の実用的なEV性能が達成されると予想され、フォルクスワーゲンのラインナップがさらに多様化することが期待されています。

これらの取り組みにより、フォルクスワーゲングループは今後もEV市場での競争力を高め続けると考えられ、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進めることが期待されています。

MEB+

フォルクスワーゲンが最新のMEB+プラットフォームを採用した初のEVとしてセダンタイプのID.7を発表しました。ID.7は中大型セダンに該当する車両サイズでありながら、全幅が1862ミリに収まっており、タイヤのキレ角を最大化することで取り回しの良さも期待できるとされています。

ID.7の目玉の一つが、満充電あたりの航続距離の大幅延長です。搭載バッテリー容量には、これまでの82kWhバージョンに加えて、上級グレードでは91kWh(ネット値で86kWh)の大容量バッテリーもラインナップされています。大容量バッテリー搭載により、欧州WLTCモードにおける航続距離が700kmに到達し、フォルクスワーゲンのフラグシップサルーンとして実用的な航続距離を達成しています。

この航続距離は、航続距離が重要視される北米市場や、洗練されたEV性能が求められる中国市場においても、最低条件を確保することができています。ID.7の登場により、フォルクスワーゲングループのEVラインナップがさらに充実し、多様な市場での競争力向上が期待されます。

航続距離だけでなく、ID.7の電費性能も注目に値します。例えば、テスラモデル3のロングレンジRWDグレードは、欧州WLTCモードで航続距離634km、バッテリー容量82kWhとなっており、ID.7とほとんど同等です。ID.7はモデル3に匹敵する効率性を達成しており、これは空気抵抗係数0.23の達成や最新型のパワートレインの存在によるものです。

また、ID.7の充電性能も向上しており、最大200kW級の充電出力に対応し、91kWhのバッテリー容量でも充電時間を30分以内に収めることができます。これにより、フォルクスワーゲンはベンチマークであるテスラと遜色ないEV性能を達成し、重要なマイルストーンとなっています。

ID.7は2023年秋に欧州と中国市場で発売が開始され、2024年前半には北米市場での発売が予定されています。一方、日本市場への導入は未定ですが、2024年末までにミニバンタイプのID.Buzzが発売されることがアナウンスされているため、日本市場への導入も期待できます。日本国内での発売は2024年末までに開始されると考えられます。

パサートやアルテオンを検討している方にとって、ID.7の動向をチェックすることが良い選択かもしれません。フォルクスワーゲンのID.7は、電費性能や充電性能の向上により、競争力のあるEVとして市場で活躍が期待されます。

クプラのEV第二弾は相変わらずデザインセンス抜群

クプラブランドからも、ID.7と同時に発表されたのがタバスカンというミッドサイズ級のSUVです。クプラはすでにボーンという小型ハッチバックタイプのEVを販売しており、そのユニークなデザインが注目されています。ボーンは2022年シーズンで31,000台以上の販売台数を達成し、フォルクスワーゲンID.3の兄弟車として大健闘しています。

今回発表されたタバスカンは、アウディQ4 e-tronと同じサイズ感のミッドサイズ級SUVで、フォルクスワーゲングループの電動SUVの兄弟車となります。タバスカンもID.7と同様に新型のパワートレインを採用し、後輪駆動グレードだけでなくAWDグレードもラインナップされています。AWDグレードの最高出力は250kWで、0-100km/h加速は5.6秒と、新型パワートレインのおかげで加速性能が向上しています。

航続距離は、82kWhのバッテリー容量で、欧州WLTCモードでRWDグレードが550km、AWDグレードでも520kmを達成しています。特筆すべきは、AWDグレードの電費性能がRWDグレードと比較しても大きな下落率を示していない点です。これはMEBプラットフォームの強みである、フロント側の誘導モーターとAWDシステムの制御面の効率性の高さによるものです。

日本市場では、ID.4やQ4にはAWDグレードが設定されていませんが、仮に設定された場合でも航続距離の短さからAWDグレードを避ける必要はないと考えられます。タバスカンは、クプラブランドの電動SUVとして、ユニークなデザインと高い性能を兼ね備えた魅力的な車種となっています。

タバスカンの最大の注目点は、そのユニークな内外装デザインで、大衆車ブランドであるクプラがスタイリッシュなエクステリアデザインを持っています。また、インテリアも非常にモダンで、プレミアムセグメント級の装備が充実しています。中国で生産され、欧州に逆輸入されるタバスカンの販売台数には期待が持てます。

フォルクスワーゲングループは、ID.7やタバスカンなどの新型EVを投入して欧州や北米市場でシェアを伸ばそうとしていますが、中国市場では厳しい戦いが続くでしょう。中国メーカーやテスラのソフトウェアの完成度に比べ、フォルクスワーゲンはまだ見劣りします。ソフトウェア面の完成度を高めない限り、高品質なEVを投入しても中国市場では通用しないでしょう。

一方で、日本の自動車メーカーは、中国市場で多くのEVをラインナップできていない状況が続いており、今後の動向に注目が集まります。2023年シーズンの日本メーカーの販売動向は、ますます見逃せません。

From: VolkswagenCupra

Author: EVネイティブ