【中国最新EV事情】日本メーカー反撃の余地なし、、 航続距離1032kmを達成した「Zeekr 001」 300万円台で買える2ドアスポーツカー「Neta GT」の実力とは
中国市場において、2ドアクーペスポーツカータイプのEVであるNeta GTの納車が、正式発表後たったの1ヶ月程度という爆速のスピードでスタートしながら、
航続距離1032kmを達成した、中国で最も航続距離の長いZeekr 001のスーパーロングレンジグレードの納車もスタートするなど、極めて魅力的な中国の最新EVについてを紹介します。
常識を超えるスピード感で進化する中国EVマーケット
中国市場は既に電気自動車の先進国であり、新車販売全体の4分の1がバッテリーEVに置き換わっています。そして、直近の上海モーターショーで展示された新型EVの数は膨大で、その中にはBYDのコンパクトEVシーガルのように、極めて高いコストパフォーマンスを持つモデルも存在します。
さて、今回初めて取り上げるEVメーカーとして、Hozon Autoが挙げられます。2014年に設立されたこのEVスタートアップは、NETA U、NETA V、NETA Sなどのモデルをラインナップしており、その中でも特に注目すべきは、NETA GTです。これは2ドア4シートタイプのスポーツカーで、日本を含む多くの市場ではまだ見かけることの少ない形状のEVです。その存在自体が、EVの車種バリエーションが増える一方で、とても喜ばしいニュースといえます。
NETA GTは、バッテリー容量が3種類で、後輪駆動(RWD)と全輪駆動(AWD)の2種類のモデルがあります。特に74.48kWhのロングレンジバッテリーを搭載したモデルは、中国国内の試験サイクルに基づく航続距離が最大660kmとなっています。
さらに、パフォーマンスに重きを置いたAWDモデルでは、最高出力が340kW、最大トルクが620Nmに達し、0-100km/hの加速時間がわずか3.7秒と、テスラモデルYパフォーマンスと同等の性能を持っています。これらの高性能なEVが中国市場に数多く存在していることは、非常に驚くべき事実といえるでしょう。
ホゾンオートのNETA GTは、その大きさや重量、そしてその内外装の設計と性能については、本当に注目すべき車両といえます。全長4715ミリ、全幅1979ミリ、ホイールベースが2770ミリというサイズにもかかわらず、2ドア4シートのスポーツカータイプという構造が特徴的で、トランク容量297Lとフランク容量50Lを確保しています。
その重量は1850kgと、内燃機関車のスポーツカーと比較しても重い方ですが、EVの特性としての低重心が操縦性にプラスに作用することでしょう。
また、17.6インチの大型タッチスクリーンやレベル2自動運転システム、12スピーカー、一面ガラスルーフなど、先進的で高品質な内外装も特徴です。
しかし、その質感や装備内容から想像すると、価格は高くなるのではないかと思いきや、驚くべきことに、エントリーグレードの価格は中国元で17万8800元、日本円に換算して約352万円からとなっています。そして、最高性能のモデルでも、日本円で約446万円と、非常に高いコストパフォーマンスを実現しています。
さらに驚くべきは、車両の発表から納車までのスピード感です。4月の上海オートショーで正式発表された後、わずか1ヶ月弱で納車を開始しています。このようなスピード感は、新型車の発表と実際の発売や納車がズレることが一般的な現在の自動車業界では、非常に特異な存在でしょう。
中国のEV市場では、魅力的な新型EVが次々に発表され、その都度ユーザーの関心が新型車に移っていくため、NETA GTのように発表後すぐに納車を開始する戦略が、これからも見られるかもしれません。
そして、このようなスポーツカータイプのEVが手頃な価格で提供されることにより、特に若者世代に新たな選択肢が増え、中国のEVシフトがさらに進むことを期待できます。
Hycan V09の特徴は、とにかくその航続距離と充電性能が魅力的です。750km以上の航続距離と、800Vシステムによる最大380kWの高速充電性能は、長距離を移動することが多いミニバンセグメントにおいて、大きな利点となります。
さらに、インテリアの豪華さも注目に値します。14.6インチのタッチスクリーン、助手席側に12.3インチのスクリーン、後席中央に吊り下げられた17.3インチのスクリーンと、車内はまるでホームシアターのよう。後席の子供が映画を見ながら移動できるのは、家族向けの車としては大きな魅力でしょう。
また、音響システムも最大1500Wの出力を持つ22のスピーカーが搭載されているのは、音楽や映画を楽しむ上で重要な要素です。さらに、すべてのガラスに遮音ガラスを採用することで、外部の騒音から車内を保護する静粛性が向上しています。
さらに、10℃から55℃まで対応可能な車載冷蔵庫や、車内から最大2.2kWの電力を供給可能なコンセントなど、生活利便性を高める機能も充実。中国でブームとなっているグランピングなど、アウトドア活動にも対応できる仕様となっています。
Hycan V09の2023年第四四半期の納車スタートを見越して、中国のミニバンEV市場は一層の競争激化が予想されます。それだけに、V09がどれだけ消費者から評価され、販売台数を伸ばせるかが注目されます。
吉利汽車のプレミアムEVブランド、Zeekrから発表されたZeekr 001の新バージョンについては、その航続距離の長さが注目に値します。その航続距離はなんと1032kmと、中国で最も長いということで、そのために搭載されたのが140kWhという超大容量のバッテリーです。しかし、この大容量バッテリーの搭載は車両のスペースや重量、エネルギー効率などの性能に影響を与える可能性があります。
しかし、この問題を解決したのが、中国のCATLが開発した最新のバッテリーパック、Qilin Batteryの採用です。このバッテリーパックはバッテリーセルの搭載方法を最適化し、エネルギー密度を大幅に改善しています。通常の100kWhバージョンのZeekr 001はエネルギー密度が176.6Wh/kgであり、すでに業界トップクラスですが、140kWhバッテリーのQilin Batteryは200Wh/kgと、中国の市販EVバッテリーとしては最高レベルのエネルギー密度を実現しています。
その結果、この新しい1032kmグレードのZeekr 001は、通常のグレードと比較して車両のサイズやラゲッジスペースを変更する必要がありません。車両重量についても、100kWhバッテリー搭載グレードと比較してわずか120kgしか増加しておらず、全体的にうまくパッケージング化が実現されています。
また、これらのバッテリー技術はZeekr 009においても活かされており、ミニバンEVとしては世界最長クラスとなる822kmの航続距離を達成しています。その結果、ミニバンEVの航続距離のベンチマークは、Qilin Batteryを搭載したZeekr 009の800km程度となるでしょう。
これらの話題から、EV市場におけるバッテリー技術の進歩と、それにより可能となる長距離航続がいかに重要であるかがわかります。そして、中国のEVメーカーがその先端を走っていることも伺えます。
中国の電気自動車(EV)市場は、技術進歩とモデルラインナップの多様性の点で非常に進んでいます。スポーツカータイプの高性能2ドアEVからミニバンセグメントのEV化、そして驚異的な航続距離1000kmを超えるEVまで、中国のEVメーカーはさまざまなニーズを満たす製品を提供しています。
これらの進歩は、日本を含む世界中の自動車メーカーにとって重要な参考点となります。これは、EV化のシフトが急速に進行している現代において、各メーカーが自社の製品ラインナップを見直し、新たな市場ニーズに対応するための戦略を練る必要があるからです。
そのため、日本のメーカーにとっても、中国のEV市場の動向をしっかりと把握し、その中で起きている革新的な変化を学ぶことは重要です。
From: Hozon Auto、Hycan、CNEV POST(Zeekr)
Author: EVネイティブ