現在中国で開催中の上海オートショー内において、ついに2023年大本命EVであるBYDの小型EVシーガルの先行発売をスタート、
なんと航続距離400kmオーバーを達成しながら、日本円にして154万円からという驚愕のコストを達成してきたという最新動向を解説します。
まず、今回注目していきたい電気自動車というのが中国最大のEVメーカーであるBYDが発表してきたSeagull、日本語でかもめの存在であり、
ついに今回、現在中国国内で開催中の、海オートショー内において正式な発表が行われながら、
その先行発売もスタート、現時点において正確な納車スタートの時期は不明ながら、これまでのBYDの慣例でいけば、実際の納車がスタートするのは概ね6月中までにはスタートしそうですので、
いずれにしても、ついに本チャンネルが2023年最も注目するべきと主張していた、このシーガルの納車がスタートするのです。
それでは、なぜ今回のシーガルが2023年のEVマーケットにおいて最も注目するべきなのかについてですが、
なんといっても、BYDの最新テクノロジーを詰め込むことによって実用的なEV性能を達成しながら、そのBYDのラインナップの中でも最も安いEVとして発売、
つまり、そのコストパフォーマンスが最も秀でているわけですから、
これまでEVを購入しようと思っても、そのコストによって所有を断念していた中国人の中流層に対して、EVを早急することが可能、
EVシフトを本質的に拡大させるという観点で極めて重要なモデルとなる、ということなのです。
航続距離405kmで154万円から!
それでは、今回先行発売がスタートしたシーガルについて、特にEV性能についてを中心に概要を一挙にまとめていきたいと思いますが、
まず初めに、今回のシーガルについては全部で3種類のラインナップを採用してきているものの、
EV性能という観点では、30.08kWhというバッテリー容量と38.88kWhという、合計2種類のバッテリー容量のみをラインナップ、
特に38.88kWhバッテリー搭載グレードについては、上級グレードとしてほとんどのオプションを装備しているわけですが、
特に、その搭載バッテリーに依存する満充電あたりの航続距離に関しては、それぞれ305kmと405kmという航続距離を達成、
その一方で、こちらは中国CLTCサイクルが基準となりますので、高速道路を巡航しても達成可能な数値へと概算してみると、
概ね200kmから270km程度という航続距離にとどまる見込み、
他方で、この航続距離については、例えば日本で販売されている日産サクラを例に取ってみると、概ね120-130km程度であるとイメージしていただければ、
エントリーグレードであったとしても、サクラよりも明らかに航続距離が長いとイメージすることができると思います。
次に、充電性能についてですが、最大40kWという急速充電に対応することができているということで、
というのも、これまでシーガルのような小型EVについては、急速充電に対応されていない車種がほとんどであったということから、
日常の足として割り切ることができていた方にとっては、その性能でも良かったものの、
やはり、小型EVでも急速充電器を使用して中長距離を気兼ねなく運用したいという需要は極めて高かった、
よって、40kWであったとしても、急速充電に対応しているという点は、この小型EVセグメントにおいて極めて重要なポイントである、ということなのです。
そして、その急速充電性能に対応させるために、BYDについてはEV専用プラットフォームであるe-platform3.0を採用して、それに搭載される冷媒式のバッテリー温度管理機構を搭載、
また、その短距離EVとして致命的な中長期的なバッテリー劣化問題に対応するために、そもそもバッテリー劣化が少ないLFP系のバッテリーセルを採用しながら、
さらに、搭載バッテリーの保証期間についても、ファーストオーナーに関しては走行距離年数、無制限で適用できますので、
バッテリー劣化問題についても、安心して購入することができると思います。
また、その乗車定員については、ズバリ4人ということから、日本でいう軽自動車のような使い方が推奨されるわけですが、
まあ、日本でもトヨタヤリスやホンダフィットに大人5人も乗せる機会は稀でしょうから、4人という定員でも実用上大きな問題はないと思いますし、
なんといっても、そのサイズ感ついてが、全長3780ミリ、全幅1715ミリという、
まさに日本の小型車であるヤリスやフィット、ノートなどと同等のサイズ感ということもあり、
中国国内だけでなく、我々日本国内でも非常に取り回しやすいサイズ感に収まっている、
しかしながら、そのホイールベースについてはなんと2500ミリと、全長に対するホイールベースを広く確保できていますので、その車内スペースにも期待可能、
そしてこれは、電気自動車だからこそ可能なレイアウトである、ということなのです。
そして今回最も注目するべきが、その値段設定という観点、エントリーグレードについてが、ズバリ78800元からのスタート、
日本円に換算して、なんと154万円からのスタートと、BYDのEVのラインナップの中で、まさに最安モデルとなったわけですし、
特にCLTC航続距離で400kmオーバー、オプションもしっかり標準装備されている上級グレードであったとしても、ズバリ187万円からのスタートですから、
まさにこれだけでも、破格の値段設定であることがお分かりいただけると思います。
Seagull vs Bingo vs Dolphinの中華格安EV頂上決戦
それでは、今回先行発売がスタートしたシーガルに関して、本チャンネルにおいても以前取り上げていた、同じく小型EVとして非常に魅力的な、WulingのBingoと比較して、どれほどのコストパフォーマンスを達成しているのか、
および、日本でも間も無く発売される、シーガルよりも一回り大きいドルフィンとも比較しながら、
果たして今回のシーガルが、どれだけの競争力があるのか、どのような競争となっていくのかについてを比較していきたいと思います。
まず、シーガルの比較対象であるドルフィンについては、エントリーグレードをチョイス、
およびWuling Bingoについても、全部で5種類のラインナップであるものの、あくまでもEV性能に直結する2つのバッテリー容量のエントリーグレードをチョイス、
そして、その搭載バッテリー容量については、ドルフィンは44.9kWhバッテリーの1種類であることから、BYDについては、車種によってうまく差別化できていることがお分かりいただけますし、
ビンゴについても、エントリーグレードについてはさらに小さい17.3kWhをラインナップしていますので、
実は競合とはいっても、EV性能のバリエーションは多岐にわたっている、
よって、そのバッテリー容量に依存する航続距離という観点についても、ビンゴの場合は203km、
シーガルは305km、ドルフィンは420kmからのスタートとバリエーションは多い、ということなのです。
そして、最も異なるEV性能というのが、その充電性能という観点、
シーガルとドルフィンに関しては、急速充電に標準対応しているわけですが、
ビンゴに関しては、17.3kWhバッテリーに限って、急速充電に対応していないわけであり、
やはり、Hong Guang Mini EVを販売しているWulingだからこそ、エントリーグレードの性能を相当絞ってきていることが伺えるのですが、
すると、小型EVでも、中長距離を走行したいと考えているユーザーについては、ビンゴを購入するにしても、ロングレンジバージョンを購入しなければならない、
逆に、急速充電性能を必要としないという方でしたら、むしろビンゴのエントリーグレードを購入するのがいい、ということになると思います。
そして今回最も注目するべき、その値段設定を比較していきたいわけですが、
急速充電性能がないビンゴのエントリーグレードに関しては、ズバリ59800元からのスタート、日本円で117万円からのスタートと、まさに破格の値段設定、
ビンゴの強みというのは、その割り切ったEV性能とは裏腹に、中国の若者、特に女性やカップルにウケが良さそうな、非常にモダンなインテリアの質感、
個人的には、今回のシーガルのインテリアについても、クセのない、シンプルかつモダンなインテリアにまとめてきていると感じますが、
インテリアの質感で言えば、ビンゴに軍配が上がると感じますから、その値段の安さも含めて、
やはりビンゴに関しては、今回のシーガルの強力なライバルである、ということなのです。
ただし、トータルで考えたコスパの高さという観点では、EV性能だけではなく、その内外装や装備内容の充実度合いも比較するべきであり、
まず、シーガルに関しては、全グレード標準で10.1インチのセンタースクリーンが搭載、
ドルフィンについては、さらに大きい12.8インチが標準搭載されているものの、
ビンゴについては、センタースクリーンを選択することができず、
唯一、83800元からの最上級グレードのみ10.25インチのスクリーンが搭載されています。
さらに、その音響システムについても、シーガルは4つものスピーカーが標準搭載、ドルフィンについては6つのスピーカーとなりますが、
ビンゴについては、エントリーグレードについては2つのスピーカーしか搭載されていませんし、
スマホのワイヤレス充電機についても、シーガルについてはエントリーグレード以外の2グレードについては標準搭載されていますし、ドルフィンについては標準搭載となりますが、
ビンゴについては、全グレードで採用されていないなど、
その装備内容という観点では、シーガルよりも簡素化されている印象が強いです。
さらに、シーガルについては、これまで小型EVにおける弱点ともなっていた安全性能を高めるために、
高張力鋼の使用率を61%まで高めて、高強度のボディ構造を設計しながら、
さらには、エアバッグについても、運転席、助手席、およびサイドカーテンエアバッグという3つを標準で装備しながら、
上級グレードであればサイドエアバッグも追加されるという、ドルフィンと同様の装備内容となりますが、
対するビンゴに関しては、エントリーグレードについては、ドライバー側のフロントエアバッグしか搭載されていませんし、
上級グレードに関しても、助手席側のフロントエアバッグが追加されるだけですので、
その万が一の衝突安全性能という観点では、同じような値段設定ながらシーガルが圧倒しているわけです。
また、シーガルとビンゴを分ける最も大きなEV性能の差というのが、そのバッテリーパックの温度管理機構という観点、
シーガルについては、先ほども説明した通り、昇温機能も含めた冷媒式の温度管理機構を採用しているものの、
ビンゴに関しては、基本的には温度管理機構は搭載されていませんので、
そのバッテリーの耐久性という観点でも、やはりシーガルの方が圧倒するものと考えられますので、
これらの装備内容を詳しく精査してみると、やはり今回のBYDシーガルのコストパフォーマンスの高さを、イメージしていただけると思います。
やはりオススメはドルフィン?
ただし、おそらく我々日本市場についても、2024年以降に導入される可能性があるシーガルをどこまでおすすめできるのかという観点で、
個人的には、それでもなおドルフィンをお勧めしたいということで、
その決め手となるのが、なんといっても、ヒートポンプシステムの搭載有無、およびV2L機能という観点、
実は、今回のシーガルの最大の弱点というのが、BYDのEVでは標準搭載されていた、冬場における消費電力量を抑制可能な、ヒートポンプシステムを搭載することができないという点、
こちらは日常の足としてであれば、まあそこまで問題とはならないものの、
小型EVであっても中長距離を移動したいという需要に応えるためには、このヒートポンプがないと航続距離が大きく悪化してしまいますから、この点は非常に残念、
他方で、ドルフィンであればヒートポンプシステムは標準搭載されていますし、
V2L機能も搭載されていますので、ドライヤーなど車内で大電力を使用することも可能、
個人的にも、ドルフィンを購入する可能性がさらに濃厚になったとは感じました。
このように、今回上海オートショー内において正式発表されたBYDの最安EVとなるシーガルに関しては、
航続距離400kmオーバー、急速充電機能も実現しながら、それでいて154万円から購入することが可能、
ちなみにですが、BYDは慣例的に、先行発売時における値段設定よりも実際の発売価格を少し値下げしてくることから、
おそらくですが、実際の発売価格に関しては日本円で150万円を切ってくることが濃厚、
小型EVに待望されていた、エアバッグや高張力鋼の使用率強化という衝突安全性能も高めてきていることから、
2023年の中国国内においてスマッシュヒットを記録することは間違い無いでしょうし、
例えば、中国国内におけるトヨタヤリスの値段設定と同等を達成してきたことから、真に恐るべきは、内燃機関車のシェアをさらに奪われる日本メーカー勢、
そのシーガルについては、メディアだけではなく既存メーカーにも大きな激震が走っているのか、
中国最大手のフォルクスワーゲンの幹部が数多く、このシーガルの展示ブースに足を運んでいるそうですから、
いずれにしても、シーガルやビンゴという新型小型EVの存在によって、さらに中国国内のEVシフトが加速していく、
EV戦争を止めることはできない、ということですね。
From: BYD
Author: EVネイティブ