直近である4月度の我々日本市場における電気自動車の販売台数が公開され、その衝撃的な販売台数に驚愕するとともに、その電動化率が改善する兆しも見せるが、
その改善の仕方には大きな懸念も存在するということについて、徹底的に解説します。
世界ではEV中心戦略に各社がシフト中
まず、今回の我々日本市場に関してですが、新型コロナウイルスによる世界的な自動車需要の落ち込みを受ける前の、2019年度における自動車の販売台数で、
中国とアメリカに次いで第3位にランクインしているという自動車大国となっていて、
もちろんご存じの通り、世界最大級の自動車グループであるトヨタをはじめ、ホンダや日産など、世界有数の自動車メーカーが複数存在しているということもあり、
今後もこの自動車産業が日本を引っ張っていくものであると考えられているのですが、
現在世界的な脱炭素化の流れを自動車産業も受け、特に、走行中にCO2をはじめとする大気汚染物質を排出しないゼロエミッション車である電気自動車シフトが起こり、
例えば、トヨタと肩を並べ世界最大級の自動車グループを形成しているフォルクスワーゲングループに関しては、2040年までにグローバルで発売する1100万台もの車両を、
全て完全な電気自動車を中心とするゼロエミッション車に移行させ、
さらに、年間700万台以上もの車両を発売しているアメリカ最大の自動車メーカーであるGMに関しても、2035年までに、完全電気自動車を中心とするゼロエミッション車のみの販売に完全移行し、
さらに、北欧の自動車メーカーであるボルボに関しても、2030年までに、グローバルで発売する全ての車両を完全な電気自動車のみにするという方針を発表したり、
しかもその上、我々日本の自動車メーカーであるホンダに関しても、
2040年までに、グローバルで発売する全ての車両を、完全電気自動車、もしくは水素燃料電池車というゼロエミッション車のみにするという大方針を直近で発表したりと、
このように、世界的な電気自動車シフトに合わせて、多くの自動車メーカーが電気自動車の販売にフォーカスしている、
つまり、その投資を電気自動車に集中させている最中となっているのです。
本気のEVはしっかりと売れている
したがって、今年である2021年に入ってからというもの、ようやく各社から本気の電気自動車が発売されはじめてもいて、
例えばホンダに関しては、Honda eというコンパクトカーを発売してはいますが、その脆弱な電気自動車としての質もあってか、販売台数は伸び悩んではいるものの、
それでも来年である2022年の春には、電気自動車専用プラットフォームを採用した本気の電気自動車SUVが発売されますし、
さらにボルボに関しては、すでにXC40 Rechargeというミッドサイズ電気自動車SUVを発売しながら、
今年である2021年の秋にも、C40 RechargeというクロスオーバーEVを発売したり、
XC40 Recharge C40 Recharge
GMに関しても、Ultium Batteryという電気自動車専用プラットフォームを開発しながら、それを採用したHummer EVを皮切りに、
キャデラックブランドの大型SUVであるLYRIQなど、今後矢継ぎ早に電気自動車を展開し、
GMC Hummer EV Cadillac Lyriq
そしてフォルクスワーゲングループに関しても、すでにID.3やID.4、スコーダブランドのENYAQ、
アウディブランドのe-tronやe-tron GT、Q4 e-tron、ポルシェブランドからもTaycanなど、次々と電気自動車がラインナップされ、
Skoda ENYAQ iV Audi e-tron GT
最も重要なポイントというのが、そのどれについても成功を収めているという点であり、
やはり、ただ単純に政府主導で電動化という大方針が示されているから、自動車メーカーが電気自動車を発売しているのではなく、
質の高い電気自動車を発売すれば必ず結果がついてくるということが、同時に明らかともなってきているわけなのです。
EV販売台数が全く上がってこない日本市場
しかしながら、我々日本市場に関してはというと、そもそもその日本市場においては、今説明したような新型電気自動車がほぼ発売されておらず、
したがって、その日本市場の電動化率は極めて低迷したままの状況となっていて、
まず、直近である4月度の電気自動車の販売台数は2284台と、前年同月比で2倍以上の販売台数を記録することにはなりましたが、
その昨年である2020年4月というのは、新型コロナウイルスによるパンデミックによって、緊急事態宣言が発出されていて、その自動車の需要が極端に落ち込んでいた時期でもありましたので、
その販売台数を正確に比較することはできず、
実際問題として、新車販売全体に占める電気自動車の販売台数を表す電動化率を見てみると、驚愕の1.3%と、
つまり日本市場においては、いまだに100台に1台しか電気自動車が販売されていないという普及率に留まってしまっている、ということなのです。
EV=完全電気自動車+プラグインハイブリッド車
ちなみに、本チャンネルにおける電気自動車の定義に関してですが、
日産リーフやテスラをはじめとする、搭載された大容量のバッテリーに充電して貯められた電力のみで走行する、Battery Electric Vehicle、略してBEV、
本チャンネルにおいてはわかりやすさを重視するために、完全な電気自動車と表現していますが、
その完全電気自動車とともに、そのバッテリーと通常のガソリンエンジンも搭載して、両方を併用して走行することができるプラグインハイブリッド車、略してPHEVという2種類を、合わせて電気自動車と定義しています。
また、このプラグインハイブリッド車を電気自動車と含めるべきではないという類の反論が存在するのですが、
まず大前提として、現状ほぼ全ての国々における内燃機関車の販売禁止の規定において、そのPHEVも、完全な電気自動車とともに販売を禁止してはいないという点、
また、PHEVを購入することによって、自身のライフスタイルにおいて電気のみの走行しかしないことに気づき、その次の乗り換えで完全な電気自動車を選択するケースが増えているという調査結果が存在しているという点、
そして、その搭載されたバッテリーに外部から充電することができるため、
世界的な脱炭素化の流れを受け、今後加速度に高まる再生可能エネルギーで生成された電力を使用して、走行することができるということは完全な電気自動車と本質的には同じであるという点、
などという観点において、やはり中期的にはPHEVも、電気自動車として捉えても良いのではないかというのが個人的見解となります。
日産リーフが販売台数ぶっちぎりトップ
そして、気になる完全電気自動車の人気車種ランキングに関してですが、
まず1位に君臨しているのが、2010年の12月に発売をスタートしてから、10年以上首位の座を死守している、日産リーフとなって入るのですが、
その販売台数はというと、310台という低水準に留まってしまっていて、その日産リーフのみの販売台数の変遷を追ってみると、
このように、現行の第2世代のリーフが発売された2017年の9月から半年間ほどの絶頂期を境に、その販売台数は低迷の一途をたどっていますので、
特に日本市場の完全電気自動車の販売台数を牽引してきたリーフが低迷するということは、その日本市場の電動化率も低迷するということと同義であり、
よって、この直近の電動化率も低水準となってしまっているというわけなのです。
次に2位にランクインしているのが、105台という販売台数を売り上げた、ホンダのコンパクトカーであるHonda eとなっていて、
発売をスタートした、昨年んである2020年の10月度以降、ヨーロッパ市場と同様に、目立った販売台数を達成することはできていないものの、
個人的には、むしろよく100台も売ることができているという健闘を讃えたいと思い、
実際、エントリー価格で450万円程度からのスタートとなりますので、毎月100台しか売れなかったとしても5億円、
年間で、Honda eだけで60億円もの収益と考えてみると、少し違った印象になる方もいるのではないでしょうか?
そして、3位以降に関しては確定ではないものの、おそらくテスラのミッドサイズセダンであるモデル3となっていて、
こちらの表においてはモデル3のみの販売台数だけではなく、フラグシップモデルであるモデルSとモデルXの販売台数も含まれている数値であり、
しかもその数値は、輸入車のその他の項目から抜粋している数値でもありますので、正確な数値ではないものの、
基本的にはプラスマイナス5台程度の誤差と考えてもらって差し支えないかとは思いますが、その台数は62台と低水準に留まってしまっています。
しかしながらテスラに関しては、現在中国市場からの輸入に頼っている状況で、基本的にはその四半期の最終月に納車を集中させるという戦略をとり、
特にその四半期の最初の月である、1月、4月、7月、そして10月の納車台数は極めて少なくなる傾向にもありますので、今回の販売台数の低迷に関しては、全く気にする必要がないとは感じます。
ちなみに、マツダが発売しているMX-30に関してですが、
その販売台数は、なんと6台という衝撃的な数値に留まってしまっていますので、果たして一体その生産体制や販売体制がどうなってしまっているのか、
もしくは単に需要が全くないだけなのか、こちらに関してはその続報が非常に気になる部分であるとは感じます。
黒船モデル3が王者リーフの牙城を崩す
そして、今回の日本市場において個人的に最も注目しているポイントというのが、先ほども説明したテスラの販売台数となっていて、
こちらはみなさんご存知の通り、今年の2月中旬に最も人気の車種であるモデル3が、最大150万円以上という大規模な値下げを断行し、それによって、その販売台数が急増している状況となっているのですが、
特にその販売台数が急増が見込まれる最初の四半期が、現在の第二四半期となっていて、最も販売台数が上昇するのは、来月である6月度ということになりますが、
すでに多くの注文を裁くために、5月度においてもその納車が順次スタートしている状況でもあり、
つまり何が言いたいのかといえば、今月である5月度のテスラの販売台数にかなり期待することができるという点であり、
この5月度の販売台数が、ついに、この10年以上守られ続けてきた、日本市場のおける完全電気自動車の販売台数1位の日産リーフの座を奪うのではないかということで、
個人的には、5月度の販売台数を400台程度と予測していますので、
つまり、日産リーフの2020年5月の販売台数であった340台と同水準の販売台数であった場合、この販売台数を超えてくるのではないか、ということなのです。
そして、6月度のテスラの販売台数に関しては、900台程度と予測していますので、少なくともこの6月度に関しては、ほぼ確実にリーフの販売台数を抜く、
つまり、我々日本市場において最も人気の電気自動車は、アメリカ市場で開発され、中国市場で生産されているテスラのモデル3ということになる公算であるのです。
すでに中国製EVは日本に攻めてきています
こちらに関しては、個人的にはその事実以上にインパクトが大きい出来事になるのではないかと考えていて、
やはり日本の電動化を牽引し、日本人の電気自動車のイメージともなっている日産リーフが、ついに販売台数という指標においても、黒船であるテスラに完全敗北を喫する時が迫っているということであり、
繰り返しとはなりますが、現在のテスラモデル3というのは、アメリカの会社が開発し、中国市場で製造されている、
実はこのような、実際の製造国が中国市場であったという構造というのは、直近でアナウンスされた、佐川急便の小型配送トラックに電気自動車を導入するにあたって、
その製造を中国の自動車メーカーに委託したというニュースが思い出されますし、
その当時は、中国で生産されるものを採用するなんて佐川急便はけしからんと、ネトウヨたちがワーワー騒いでいらっしゃいましたが、
実はすでに日本市場に同様の黒船電気自動車は来航していて、
しかもその上、日本の電気自動車の人気車種ランキングで、1位となってしまうという現実が、もう間も無く訪れようとしている、ということなのです。
こちらは個人的には重要なことであると考えていますので再度繰り返しますが、
テスラのモデル3というのは、世界で最も売れている電気自動車でありながらも、その製造は中国市場で行われて、
結局このように、日本市場においていくら電気自動車を推進する必要がないと騒いだところで、外国の自動車メーカー、特に今回のテスラを始めとして、今後は中国の自動車メーカーたちも、
まさに黒船として一気に日本市場に参戦してくることは、もはやほぼ確定的な状況でもあり、
いざそのような状況に相対した時に、現状のような、モデル3に対抗することのできる車種が日本メーカーには存在しない、であったり、
さらに中国製の格安小型電気自動車が急に日本市場で発売されてしまっても、いまだに日本メーカーからそれに対抗するような、
電気自動車としての質が一定程度担保され、しかもそのコストが安いという小型電気自動車が開発されていませんでした、なんてことがあったら、
冗談抜きで今回のモデル3のように、一気にその日本市場を制圧されてしまう、
つまり、中国を始めとする外国で開発され、外国で生産されている商品にお金を落とさなければならなくなる、
しかもそれは、日本の最後の砦である自動車において、という現実を、そろそろ直視しなければならない時期に突入し始めているのではないでしょうか?
日本市場トップのEVは一生海外製EVかもしれない
私は常日頃からポジショントークはないと明言していますが、唯一のポジションは、日本人ということであり、
もちろん外圧によって切磋琢磨は重要であるとは思いますが、最終的には、日本のメーカーが勝ち残ってくれることが最も重要であると考えていますし、
逆にその最後の砦でもある日本の自動車メーカーが、この電動化革命によって、中国を始めとする海外勢に駆逐されてしまえば、我々若者世代にとっては、絶望的な未来が待ち構えていることと同義であり、
だからこそ、私はこのように、世界の電気自動車に関する情報発信をしているわけなのです。
このように、直近である4月度の電気自動車の販売台数や、その電動化率を見てみると、特にその電動化率で10%を達成している中国市場や、軒並み20%程度を達成しているヨーロッパ諸国と比較しても、
わずか1.3%という圧倒的低水準に留まってしまっているということ、
さらに、その販売台数を詳しく見ていくと、これまでは我々日本メーカーの電気自動車である日産リーフが、10年以上シェアトップを確立していましたが、
早ければ来月である5月にも、その首位から陥落し、アメリカの企業が開発し、中国市場で生産されているモデル3という黒船によって、いよいよ日本の電気自動車市場を席巻される公算ともなり、
さらにテスラに関しては、さらに売れ筋の商品になると見込まれる、日本でも人気のミッドサイズSUVであるモデルYの発売も計画されていますし、
そして、日本市場における真の黒船でもある、モデル3よりもさらに小型な車種である仮称モデル2の来航も控えていますので、
もしかしたら冗談抜きで、2021年の4月度をもって、日本市場における電気自動車の人気車種ランキングで金輪際、永遠に日本メーカーの電気自動車がランキング首位に上り詰めることがなくなるというような、
非常に厳しい未来が待ち受けているのかもしれません。
何れにしても、特に来月の前半にも発表される5月度の電気自動車の人気車種ランキングにおいて、テスラが日産リーフの牙城を崩すことができるのか、
また、私の個人的な予測値である、5月度のテスラの販売台数400台を達成することができているのか、などの続報に関しても、わかり次第情報をアップデートしていきたいと思います。
From: 日本自動車販売協会連合会
Author: EVネイティブ
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