中国で発売されている電気自動車が、また一つヨーロッパ市場に導入されることが決定し、
今度はコンパクトハッチバックという、ヨーロッパで非常に人気のあるセグメントによって、今後販売台数を伸ばしてくる可能性が浮上してきました。
日本市場にとってはこれぞ求めていたEVであるが、、
まず、今回の中国製電気自動車に関してですが、
中国のGreat Wall Motorsという自動車メーカーが立ち上げている、電気自動車専門ブランドのORAから発売されたGood Catという車種となっていて、
実は中国国内においては、すでに昨年である2020年末ごろから発売がスタートしてはいたのですが、
こちらは、その電気自動車としての質が非常に高いだけでなく、その価格競争力に関しても非常に競争力が高いですので、
昨年時点においては、今後中国国内で、販売台数上位に食い込んで切るのではないかと推測していたのです。
しかしながら蓋を開けてみると、その販売台数ランキングはというと、概ね20位台を推移していますので、
その私の予測に反して、中国国内においてはそこまでヒット車種にはならなかった、ということになり、
その理由についてGreat Wall側によれば、
やはり中国国内においては、コンパクトハッチバックという需要がそこまで大きくなかったことが要因ではないかとしていますので、
今後は売れ筋のセグメントとして、新型車を投入してくることにはなりそうです。
中国製EVがまた一つヨーロッパに進出へ
ただし、確かに中国国内においてはそこまで需要がなかったかもしれませんが、
このコンパクトハッチバックというのは、国土の狭いマーケット、
特にヨーロッパ市場、そして我々日本市場にも人気のセグメントでありますので、
おそらく何処かのタイミングを見計らって、それらの市場に参入してくる可能性は十分あるのではないかとも推測していたのですが、
今回新たに明らかになってきたことというのが、
今回のGood Catを、ついにヨーロッパ市場にも展開することを正式に表明してきたということで、
直近で開催されていたドイツミュンヘンのモーターショー内で展示し、その内外装の質感の高さで話題ともなっていますので、
今回はこのGood Cat、ヨーロッパ市場の名称であるCat 02に関して、
その電気自動車としての質や価格競争力の高さなどについて、簡単に紹介していきたいと思います。
まず、ラインナップに関してですが、搭載バッテリーの容量によって2種類存在し、
中国市場で発売されている車両は、51kWhと63kWhでありますが、
そのミュンヘンのモーターショーにおいてアナウンスされていたスペックでは、
48kWhと63kWhというバッテリー容量でありますので、
おそらくエントリーグレードの搭載バッテリー容量に関しては、わずかばかりヨーロッパ市場向けに変更が加えられているように見受けられます。
そして、気になる満充電あたりの航続距離に関してですが、
欧州で一般的に採用されている欧州WLTCモードにおいて、それぞれ300km、400kmという航続距離となりますが、
こちらの航続距離の数値を、高速道路を時速100kmでクーラーをつけても達成可能であるというような、実用使いにおいて最も信用に値するEPAサイクルに変換してみると、
概算値とはなりますが、最大でも概ね350km程度となる公算であり、
例えば同じような62kWhというバッテリーを搭載している、我らが日本の日産リーフe+については、
EPAサイクルの航続距離が364kmとなりますので、
特にコンパクトハッチバックとしては、同等の航続距離を確保することができている、ということになりそうです。
しかしながら、今回のCat 02に関して最も特筆すべきなのが、その搭載バッテリーの種類となっていて、
こちらは本メディアにおいては幾度となく取り上げている、コバルトフリーのバッテリーであるLFPであり、
耐久性や安全性、そして安さという観点で強みを持ち合わせてはいるものの、
その航続距離に直結するエネルギー密度が低いという点がボトルネックとなっている、
つまり、バッテリーの容量にしては航続距離を稼ぐことができないバッテリーの種類、ということになるのです。
自社グループ傘下のバッテリーセル採用でコスト低減か
しかしながら、62kWhを搭載したリーフe+のEPA364kmという数値と、もはや同等の航続距離を達成している、
要するに、LFPバッテリーを搭載しながら、リーフのエネルギー密度と同等を達成してきてしまっている、
つまり、今回のCat 02に搭載されているLFPの質の高さ、
およびCat 02自体の電費性能の高さを伺うことができるのではないでしょうか?
ちなみに、そのCat 02のLFPバッテリーを供給しているのが、
まずエントリーグレードの方が、Gotion High-Techという、同じく中国のバッテリーサプライヤーであり、
特にLFPに強みを持ちながら、
世界最大の自動車グループであるフォルクスワーゲングループとタッグを組んで、ドイツ市場にバッテリー生産工場を立ち上げますので、
おそらく今後一気に勢力を拡大してくるバッテリーサプライヤーとして、注目に値すると思います。
そして、上級グレードに採用されるLFPについては、SVOLT製となっていて、
こちらのSVOLTという、全く同じく中国のバッテリーサプライヤーに関しては、
実はORAの親会社であるGreat Wall Motorsの傘下に所属しているバッテリーサプライヤー、つまり同じ系列で生産されたバッテリーとなり、
やはりより多くのバッテリーを搭載する分、その分よりバッテリーコストの低減を目指さなければならず、
よりコスト低減を期待できる系列のSVOLT製のLFPを、採用してきたのではないかと推測できますし、
しかもそのバッテリーパックレベルのエネルギー密度も、Gotion High-Tech製のLFPよりも質が高いですし、
この143.4Wh/kgというのは、
現在私自身が所有している、中国製のテスラモデル3スタンダードレンジ+に搭載されている、
中国CATL製のLFPである、125Wh/kgよりもエネルギー密度が高いということになります。
176万円からとは思えないインテリアの質感&先進性
そして、その値段設定に関しても、エントリーグレードでなんと176万円から購入することができますので、
2021年末までの導入を目指しているヨーロッパ市場向けについては、これよりも値段は上がるはずですが、
何れにしてもその質の高いLFPを採用しているからこそ達成可能なコストパフォーマンスの高さ、と結論づけることができそうです。
ちなみに、そのエクステリアについては、元ポルシェのデザイナーが手がけていることもあり、ポルシェに通じるところを感じながら、
インテリアについても非常にモダンであり、その質感もソフトマテリアルが多く採用されているそうで、
さらに、車両性能などの無線アップデートにも対応することができているという、
何れにしてもこのように、質の高い中国製電気自動車が、いよいよ一気に中国国内を飛び出して、
電気自動車戦争が勃発しているヨーロッパ市場に参入していますので、
いったい中国製電気自動車がどこまでヨーロッパで通用するのか、
今回のCat 02の販売台数の行方と合わせて、注目していきたいと思います。
From: ORA、Inside EVs(IAA IAA Mobility 2021 impression)、Push EVs(LFP Version)
Author: EVネイティブ
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