中国製モデル3のエントリーグレードが、バッテリーマネージメントシステムの無線アップデートによって、すでに納車されている車両の航続距離がさらにアップした可能性があり、
そしてこのアップデートが今後日本にもやって来る見込みともなっています。
中国製モデル3にアップデートが来ました
まず、今回の中国製モデル3のエントリーグレードであるスタンダードレンジ+に関してですが、
今年である2021年の2月から、我々である日本市場においても納車をスタートし、
私自身に関しても所有しているグレードとなっているのですが、
実はこのエントリーグレードには、LFPと呼ばれる、日本市場で導入されている全てのテスラ車の中で唯一採用されているユニークなバッテリーセルの種類を採用し、
そのLFPについては、より高い耐久性や安全性を確保することができるというメリットともに、
大きなデメリットとしてあげられるのが、そのエネルギー密度の低さであり、
つまり、そのエネルギー密度が低いということは、同じバッテリー容量を搭載していても、LFPの方が航続距離が短くなってしまう、
よって、特にそのLFPのシェア率が高い中国市場においては、あくまで短距離用の小型EVにのみ採用されていた、という背景があったのです。
そして今回、LFPバッテリーを搭載した中国製モデル3スタンダードレンジ+について、新たに噂されているのが、
テスラ側のバッテリーマネージメントシステムの無線アップデートによって、
その使用可能なバッテリー容量をさらに解放することで、実質的な満充電あたりの航続距離をさらに増やしてきたのではないか、ということなのです。
無線アップデートで使用可能バッテリー容量を開放
というのも、現在世界で最も多くの電気自動車をレビューしているであろう、電気自動車YouTuberのパイオニアでもあるBjorn氏が、
その中国製のモデル3スタンダードレンジ+を専用ツールで解読したところ、
その使用可能なバッテリー容量が、おおよそ2.8kwhほど増えているということが判明し、
すでにヨーロッパ市場においては、今回のBjorn氏以外にも複数のオーナーから、同様の報告が上がっているそうなのです。
ここまで聞いて、使用可能なバッテリー容量が増えるなんて、魔法ではあるまいし、そんなわけはないだろうと思った方もいると思いますが、
実はテスラに関しては、今回の中国製モデル3に関わらずほとんど全ての車種に対して、以前にも同様のアップデートを行っていて、
このテスラの改善のアプローチというのは、まずは一定程度の性能を達成した車両を爆速で市場に投入してしまい、
実際に世界中のオーナーが使用するデータを吸い上げて、その実地データから、より最適な改善案を導き出して、
そしてそのアップデートを、常時ネットに繋がれている全ての車両にOver the Air、無線によってアップデートしてしまう、というアプローチであるのです。
中国製モデル3SR+の航続距離アップ!
したがって、例えばアメリカのフリーモントの工場で生産され、我々日本市場にも導入されているモデル3についても全く同様に、
すでに昨年である2020年にも、そのバッテリーの安全性をしっかりと実地データから分析し、
それにしたがって、もともと温存していたバッテリーのバッファーをさらに開放し、
現在のロングレンジにおける、EPAサイクルで568kmという航続距離を達成することができているのです。
そして今回のLFP搭載のスタンダードレンジ+については、2.8kWh程度のバッテリーのバッファーを開放し、
およそ53kWh程度のバッテリーを使用することができるようになりましたので、
つまり、その満充電あたりの航続距離も、よりアップしているのではないか、ということなのです。
実際に、そのアップデート後のモデル3の航続距離テストを行なったBjorn氏のテスト結果を見てみると、
時速90kmで巡航し続けるレンジテストにおいて、アップデート前が408kmであったのに対して、
アップデート後が、なんと443kmと、
確かにその前提条件である外気温が、アップデート前の際の24度よりも低い20度であったという、一概に全てを比較することはできないものの、
それでも、そのバッテリー容量の実質的な増加によって、間違いなく航続距離が伸びていることがお分かりいただけると思います。
お買い得なLFP搭載モデル3の唯一の疑念とは
したがって、今回のBjorn氏のリサーチにおいて示されている、使用可能なバッテリー容量が3kwh近く増えていた場合、
私が所有しているLFP搭載のモデル3をはじめとして、すでに街中を走行している車両も、今後のアップデートによって、順次航続距離がアップするか、
もしくはヨーロッパ市場のように、すでに改善されているということになり、
現状のスタンダードレンジ+のEPA航続距離が407kmですが、
おそらくアップデート後の航続距離は、おおよそ430kmにまで達する公算であり、
もはやそのエネルギー密度で優れているフリーモント製よりも、より長い航続距離すら達成してしまった、
つまり、やはり現状のテスラ車においてお買い得商品であるのは、LFP搭載車ということになるのかもしれませんので、
特に我々日本市場において、該当の無線アプデートがすでに行われているのか、
それとも、今後のアップデートによって改善される点なのか、などに関しては、
わかり次第情報をアップデートしていきたいとは思います。
ただし、本メディアにおいては一貫して主張している、LFPバッテリーに対する疑念というのは、
その冬場におけるバッテリー性能の低下であり、
確かにテスラ側は、春先に行った無線アップデートによって、その低温化におけるLFPの性能悪化の問題は解消したと主張してはいますが、
そもそもそのアップデートが行われたのは春先に入ってから、
要するに、その肝心の低温下での検証は、私が自身のLFP搭載車を購入するにあたって調べまくった中においては、ほぼ存在していないということもあり、
この低温状態におけるLFP搭載車の航続距離や充電テストに関しては、
なぜ私がわざわざLFP搭載のエントリーグレードを購入したのかに関する最も大きな理由でもありますので、
私自身が人柱となって、今年の冬シーズンに徹底的にリサーチしていきたいと思います。
From: Bjorn Nyland
Author: EVネイティブ
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