【ホンダは全方位戦略から撤退へ】ホンダが2040年までのエンジン車撤退をさらに早める可能性を示唆

ホンダ

日本のホンダが、ヨーロッパ市場におけるハイブリッド車も含めた、全ての内燃機関車の販売を禁止するという方針を受けて、

現状の電動化のタイムラインをさらに前倒しする可能性を言及してきました。

電動化に懐疑的であったホンダ

まず今回のホンダに関してですが、現状日本メーカーの2番手につけ、世界全体で500万台以上の販売台数を達成し、

基本的にはアライアンスを結成せずに、新型コロナウイルスによる世界的なパンデミックの影響を受ける前の、その自動車販売台数ラインキングが第8位と、

非常に存在感を放っているのですが、

そのホンダに関しては、元々は電気自動車に対して懐疑的な立場を表明し、世界で全くと言っていいほど電気自動車を発売することなく、

ようやく昨年である2020年中旬から、欧州市場、そして我々日本市場において、初めての完全電気自動車となる、コンパクトカーセグメントのHonda eを発売しましたが、

特に我々日本市場における値段設定が、エントリーグレードにおいても450万円程度からと、コンパクトカーセグメントの車種としては高級車セグメントに該当し、

やはりその販売台数は、ヨーロッパ市場と日本市場のどちらも完全に低迷状態が続いている状況となってしまっているのです。

コンパクトカーEVという需要の高いセグメントに投入されたHonda e

したがって、特にヨーロッパ市場において年々厳しくなるCO2排出量規制の基準を、現状のハイブリッド車のみのラインナップでは達成することができずに、

その2020年度においては、なんとそのCO2規制の罰金を回避するために、

そのCO2排出クレジットを、電気自動車のリーディングカンパニーであるテスラから購入していた

つまり日本の自動車メーカーであるホンダのお金が、海外勢であるテスラに無条件で流出してしまっていたという、

非常にショッキングなニュースすら散見されてしまっていたのです。

経営陣の刷新によりEVに舵を切る

しかしながら、今年である2021年の4月から経営体制が刷新され、特に新たなトップである三部CEOが就任してから、

すぐに今後のホンダの、長期的な電動化戦略を発表し、

なんとあのエンジン開発で世界をリードしていたホンダが、その内燃エンジンを完全に捨てるという決断を下してきたということで、

こちらは以前も解説している通りですが、

まずは2030年までには、グローバルにおいて完全な電気自動車と水素燃料電池車という、走行中に排気ガスを一切出さないゼロエミッションカーの販売割合を40%にまで高めながら、

その5年後である2035年までには、新車販売に占めるゼロエミッションカーの比率を、倍の80%を達成し、

そして最終的には、2040年までには、ホンダから発売する全ての新車をゼロエミッションカーにリプレイスするという、

つまり後たったの19年以内には、ホンダの内燃エンジンの時代は完全終了するということを意味するわけなのです。

しかしながら、世界ではこの急速な脱ガソリン車の流れが、さらに加速度をつけて進んでいる状況ともなっていて、

特に直近における、2035年までにヨーロッパ市場全体のの新車販売において、

日本メーカーが得意としているハイブリッド車や、今までドイツメーカーが得意としてきたプラグインハイブリッド車も含めて、

内燃エンジンを搭載している全ての車両の販売を禁止してきましたので、

つまり、ホンダの2040年というタイムラインよりもさらに早く、各国が規制を強めてきているという状況すら、発生してしまっているわけなのです。

ただしホンダに関しては、そのヨーロッパ市場への依存度は、その他の日本メーカーと比較しても小さく、

特に2019年度におけるマーケット別の販売台数の比率を見ても、たったの数%と、やはり北米や中国市場がその販売シェアの中心となりますので、

仮に今回の2035年までの内燃エンジン車搭載車両の販売禁止が決定してしまったとしても、

ホンダについてはその規制に対応することは、そこまで難しいことではないと、楽観視することができるのではないでしょうか?

From: 東洋経済オンライン

EV普及のカギを握るのは、ズバリ軽自動車

また、今回のホンダトップである三部CEOについては、7月中旬にも都内で報道関係者からの囲み取材に応じ、

そのヨーロッパ市場にで浮上している規制案について、

国際的な動向に合わせないと商売にならないので、当然合わせていくことになる

と発言し、

やはりその規制に、懸念を表明するのではなく、むしろ今後、そのような脱内燃エンジン車の規制が強くなっていったとしても、

その規制の前倒しに対応することができるように、ホンダ側も準備しておくという、

やはり今年に入ってからの経営陣の刷新によって、ホンダの電気自動車に対する真剣度を垣間見ることができると思います。

さらに、その三部CEOの、

とくにバッテリーへの投資は大きく、(EVの)生産台数によって必要量は逆算できるので、今は言えないが投資規模も分かる

という発言なのですが、こちらに関しても本チャンネルでは一貫して主張し続けていることですが、

いくらその自動車メーカーが、今後電気自動車に舵を切っていきますと主張したとしても、

本気で電気自動車を大量に販売するためには、搭載される大容量のリチウムイオンバッテリーを大量に供給できる体制を確保しなければならないという点であり、

実際に、世界の自動車メーカーの投資額とその生産キャパシティから、一体どれほどの電気自動車を販売する気があるのかは、火を見るより明らかとなりますので、

その自動車メーカーが電気自動車に対してどこまでシリアスであるのかは、まさに今回の三部CEOが指摘している通り、

バッテリーの投資額を判断材料にすることができる、というわけなのです。

三部社長

また、

日本でEVなどを広めていくうえでキーとなるのは軽自動車だろうなと見ている

という発言についても100%同意することができ、同様に以前も主張していましたが、

実は電気自動車というのはセカンドカーにおける運用方法がベストマッチとなっていて、

こちらは私の住んでいる大都会埼玉県を見渡してみれば一目瞭然でありますが、

基本的には通勤や買い物などの、一日長くても数十キロという日常使いという仕様用途がほとんどを占め、

それ以外の長距離を運用する場合は、ワンボックスカーなどのファーストカーが別に存在しますので、

確かに2021年現時点においては、未だにバッテリーのコストが下がりきっていませんので、

そのようなワンボックスタイプ、かつファーストカーとして実用的な航続距離を達成する電気自動車を、競争力のある値段設定で、

特に充電インフラ網が完全に発展途上国家の日本市場においては、

ファーストカーについては、当面はハイブリッド車であったりプレグインハイブリッド車の導入による、燃費性能の改善を推し進めながら、

特に軽自動車におけるセカンドカーとして電気自動車を推進していくことが、最も戦略的な電気自動車の導入の仕方となるのです。

三部CEOについても、

過疎地においてはガソリンスタンドの廃止なども進んでいるが、電気はどこでもある

と発言し、こちらも全く同様に以前から再三解説してはいますが、

すでに田舎に行けば、最寄りのガソリンスタンドまで往復数十キロなど割とザラですので、燃料補給のインフラという観点で、今後さらなる社会問題化は避けられないのですが、

電気自動車の唯一にして最大の強みというのは、自宅で充電することができてしまう

まさにみなさんが今手に持っているスマートフォンの運用の仕方と全く同様であり、

帰宅後充電プラグにプラグインして、翌朝の出発時には満タンで出発というような、

少なくとも内燃機関車のように、わざわざ燃料補給のためだけに時間を使うなんて煩わしい時間から、完全に解放されるわけなのです。

すでに地方のガソリンスタンドの経営は厳しい

ホンダの強みはエンジンではなくエンジニア

そして最後に、自動車メーカーとしては後発ながらも、エンジンの技術力で世界トップ企業に上り詰めたホンダが、

ここにきて脱エンジンへと舵を切ってきたことに対して、三部CEOは、

エンジニアもぼちぼちエンジンの終焉(しゅうえん)を迎えると分かっていた。その時期が早まり、いよいよきたか

ホンダの強みはエンジンではなくエンジニア。ガソリンエンジンに代わる次世代のパワーユニット開発でも十分戦える

と説明し、自社の強みを商品力ではなく、抱える人間の能力であると考えているという点は、

エンジニア出身の三部CEOだからこそ説得力があり、

それでいて、ホンダのエンジニアを、内燃エンジンから電気自動車の開発へと奮起させることができると思いますので、

何れにしてもこのような発言からも、ホンダがついに電気自動車に対して完全に舵を切ってきたことを確信することができましたので、

是非ともこの電気自動車市場における後発とはなりながらも、

先の内燃エンジン開発と同様に、技術力、そしてエンジニアの能力を結集して、この電気自動車戦争を生き抜いて欲しいと改めて感じることができたのではないでしょうか?

From: 日本経済新聞

Author: EVネイティブ