中国の電気自動車スタートアップであるXpengが、新型電気自動車としてミッドサイズセダンのP5の正式な予約注文、およびその実際の納車を2021年10月以降からスタートすることを発表し、
ガチンコの競合車種であるテスラモデル3よりも150万円以上安いという、圧倒的な価格競争力によって、相当な販売台数を達成する可能性についてを、そのモデル3との電気自動車としての質を比較しながら、
特に現在Xpengが社運をかけて開発を進めている最新自動運転技術も含めて徹底的に解説します。
Xpengの成長率はテスラをも凌ぐ
まず今回のXpengに関してですが、現在最も注目されている中国の電気自動車ベンチャーの1つとなっていて、
2014年に設立されてからたった4年で、初の量産車であるクロスオーバーEVのG3の納車を開始させたという、爆速な成長具合を発揮しながら、
昨年である2020年の中旬から製造されている、フラグシップ電気自動車セダンであるP7の発売も開始し、
なんと発売を開始してから160日という短期間で、1万台目の生産を達成したということで、
このスピードはなんと、アメリカですでに電気自動車の量産を経験し、満を辞して中国に進出してきたテスラのミッドサイズセダンであるモデル3の、
中国市場における生産スピードよりも早いスピード感でありますので、
テスラをも凌ぐような、驚異的な成長スピードであることがお分かりいただけると思います。
そして、そのような現在絶好調であるXpengについて、今回新たに明らかになってきていることというのが、
G3とP7に続くXpeng第3の新型電気自動車として、P5のワールドプレミアが開催されたということで、
まずこちらのP5についてですが、ミッドサイズセダンというセグメントに該当しますので、
すでに発売されているフラグシップスポーツセダンであったP7よりも、一回り小さいサイズ感ということになり、
よりファミリーセダン的な使用用途として、さらに多くの購入層をターゲットに据えることができると思います。
航続距離もCd値もどちらも世界最高峰を達成
まずはじめにラインナップに関してですが、全部で6種類のラインナップが存在しますが、
このグレード別の命名規則というのは、その満充電あたりの航続距離の数値、
および、XpengのアルファベットであるP・E・Gの順に、オプションなどを追加設定し、
一番左側の460Gがエントリーグレード、そして一番右側の600Pが、今回のP5の最上級グレードということになります。
そして気になる満充電あたりの航続距離に関してですが、中国市場において一般的に採用されているNEDCサイクルという基準において、
エントリーグレードでも460km、最高で600kmというハイスペックな航続距離を達成してはいますが、
こちらのNEDCサイクルという基準は、実用使いにおいては全く参考にならない基準となりますので、
高速道路を時速100kmでクーラーをつけても達成可能であるというような、実用使いにおいて最も信用に値するEPAサイクルに変換してみると、
概算値とはなりますが、最低でも400km程度、そして最高500kmオーバーという、それでも質の高いスペックの達成を見込みことができます。
ちなみに、このNEDCサイクルとEPAサイクルの数値の変換の仕方に関してですが、
その自動車の航続距離に直結する空気抵抗の数値を示す、空気抵抗係数のCd値が小さければ小さいほど、このNEDCサイクルとEPAサイクルの数値の乖離が小さくなるという法則が、
様々な電気自動車を比較すると発見することができ、
そして今回のP5のCd値が、驚異の0.223と、そもそも世界最高クラスの空気抵抗係数の小ささを達成しながら、
同じくXpengのフラグシップセダンであり、そのCd値がより大きいP7については、そのEPAサイクルとNEDCサイクルの変換効率がおおよそ判明しているため、
これらを総合的に考慮した場合、おおよそのEPAサイクルにおける航続距離を算出することができます。
P5は273万円から購入可能という圧倒的なコストパフォーマンス
ただし、その電気自動車以外のスペックについては、
例えば、時速100kmまで加速するのにかかる時間はおおよそ7.5秒と、その加速性能には注力しないという姿勢を示してもいますので、
そのようなパフォーマンスカーを購入したいというユーザーに関しては、
ファミリーセダンである、今回のP5をオススメすることはできないとは考えられます。
しかしながら最も特筆すべきポイントは、その衝撃的な値段設定となっていて、エントリーグレードである460Gが16万元、
つまり、EPAサイクルにおける航続距離が400km程度を達成した電気自動車を、日本円に換算して273万円程度から購入することができてしまうという、
圧倒的なコストパフォーマンスを発揮することができていますので、
このようなスペックだけでも、今回のP5の人気を期待することができるのです。
電気自動車としての質はモデル3と完全に互角
ここからは競合車種であるテスラモデル3とを比較していきたいと思いますが、
まずはじめにラインナップについては、モデル3に関しては中国市場において、現在スタンダードレンジ+グレードというエントリーグレードと、
時速100kmまで加速するのにかかる時間が3.3秒という圧倒的な加速性能を秘めたパフォーマンスグレードの2種類しかラインナップしていないのですが、
P5については、搭載バッテリー容量を3種類ラインナップしながら、
さらに、XpengはP5よりもひとまわり大きいセダンとしてP7もラインナップしてもいますので、
今回のセダンタイプにおける多彩なラインナップという意味においては、Xpengの方により多くの選択肢が存在すると思います。
Model 3 P7
それでは、気になる満充電あたりの航続距離を見てみると、
NEDCサイクルにおいて、モデル3が最低でも468kmであるのに対して、P5も最低で460kmを達成していますので、
現状その満充電あたりの航続距離の長さで定評のあるモデル3と、全く遜色のないスペックを達成することができているばかりか、
その搭載バッテリー容量に関しても、どちらも50kWh台後半ほどと、同じようなバッテリーサイズを搭載、
つまり電費性能という指標を取ってみても、世界最高クラスの性能を達成するテスラと同等の電費性能を達成することができている、
故に、やはり今回のXoengの新型電気自動車セダンであるP5の電気自動車としての質の高さが、このことだけでも垣間見ることができるのではないでしょうか?
ただし、その加速性能に関しては、時速100kmまで加速するのにP5は7.5秒ほどかかるのに対して、
モデル3の場合は、スランダードレンジ+でも5.6秒と、加速性能という観点でも妥協がありませんし、
さらにその収納スペースに関しても、モデル3はボンネット下にも収納スペースが存在し、合計して542Lというスペースを確保することができていますが、
P5については最大450Lと、同じようなサイズ感でありながらもやや見劣りしますし、
P7に関しては、ボンネット下に収納スペースが存在してはいますが、
P5については、現時点の情報においては、ボンネット下の収納スペースであるフロントトランクが存在するのかに関しては、明らかにはされていません。
ただし、先ほど紹介した、航続距離に直結する指標であるCd値に関しては、
モデル3が0.23という、すでに世界最高クラスで低い数値を達成していますが、
P5に関しては0.223と、つまりモデル3よりも小さいCd値を達成することができていますので、
やはりこの点からも、P5がモデル3をベンチマークとして、いかにその電気自動車としての質を高めようとしてきているのかが、一見して明らかなのではないでしょうか?
モデル3よりも155万円安いEVが爆誕
しかしながら、今回の比較で最も驚くべきは、その値段設定となっていて、
モデル3に関しては、エントリーグレードであるスタンダードレンジ+グレードでも25万元以上、
日本円に換算しておよそ428万円という、もちろんこれでも非常に競争力のある値段設定であり、
したがって、現在中国市場においても、その販売台数はトップ3にランクインしているくらいなのですが、
今回のP5に関しては、エントリーグレードである460Gの場合、驚愕の273万円からのスタートですので、
つまり、今回の中国市場におけるモデル3よりも150万円以上も安いという値段差を実現することになりましたので、
すでにこの時点においても、やはりP5の価格競争力は圧倒的、
もはや電気自動車としての質において競合車種であるはずのモデル3と比較するべきではないレベルの圧倒的な価格競争力を、
実現することができているのではないでしょうか?
ちなみに、その値段設定の格安さで注目すべきエントリーグレードの460Gに関しては、
LFPと呼ばれる、希少物質であるレアメタルのコバルトを一切使用しないバッテリーの種類を採用し、
このLFPバッテリーについては、その安定供給やコスト低減という観点で強みを持っているバッテリーの種類であり、
すでにフラグシップセダンであるP7のエントリーグレード、
さらにはクロスオーバーEVであるG3にも同様に採用してきているバッテリーの種類であるのです。
そして、そのLFPバッテリーについては同じく中国のCATL製のバッテリーセルとなっていて、
こちらに関しては、モデル3スタンダードレンジ+グレードについても全く同様に中国CATL製のLFPを採用していますので、
やはりそのコスト抑制がトッププライオリティであるエントリーグレードで、より安価に調達可能なLFP、
しかもそのLFPに強みを持っているCATL製を採用してきたのは、至極当然の流れであるとは感じました。
市街地走行時でも自動運転を拡大適用
そして今回のP5の電気自動車としての質以外の、特筆すべきスペックについてですが、
特に、最新の自動運転技術を搭載してくるという点となっていて、
Xpengに関しては、2025年までにレベル5の完全自動運転を目標に、競合メーカーと比較しても自動運転技術に関する大規模な研究開発費を投じて、目下開発が進められているのですが、
今回のP5に搭載される自動運転技術というのが、Xpilot3.5と名付けられた最新のハードウェアであり、
すでに発売されているP7に搭載されている、Xpilot3.0よりもさらに進んだ技術となっているのです。
そしてそのXpilotx3.5に搭載されるハードウェアというのが、
まずは何と言っても、現状量産されている電気自動車としては史上初めて、LiDARを搭載した車両となるということで、
こちらのLiDARというのは、レーザー光を照射し、物体に当たって跳ね返ってくるまでの時間を計測し、物体までの距離や方向を測定できるといった技術のことであり、
現状の自動運転技術においてよく採用されている、ミリ波レーダーとカメラによる検知というのは、
対象物までの距離計測は可能ですが、正確な形状や位置関係を検知することは、現状非常に困難なのですが、
それに対して、今回のLiDARであれば、先行車・歩行者・建物などの距離や形状、位置関係までも、三次元的に把握することが可能となりますので、
今までとは別次元の性能を発揮することができるのです。
したがって、現状テスラ以外の自動運転技術を開発するメーカーの多くは、
このLiDARを搭載した車両によって、人間側ではなく、システム側が、事故となった場合の責任の主体となる、レベル3自動運転以上の自動運転技術を採用するという方針を示していて、
今回のXpengのP5に話を戻すと、そのライダーを、車両正面のエアカーテン部分に、左右1つずつ、合計で2つ搭載し、
さらに、12個もの超音波センサー、5つものミリ波レーダー、さらに5つの単眼カメラと、360度カバー可能な4つのサラウンドビューカメラ、
そして、三眼カメラを車両正面に1つ搭載し、
最後に、車内のドライバーをモニタリングすることができる車内カメラも1つ搭載するという、
より精度の高い自動運転を達成するために、ありとあらゆるカメラ、センサー、レーダー、そしてLiDARを搭載しまくっているのです。
そして、それによる今回新たに搭載されたXpilot3.5に関して、
現状発売されているP7に採用されているXpilot3.0との大きな違いというのは、
そのXpengの自動運転技術であり、ナビに目的地を設定すると、高速道路上において車線変更の提案やジャンクションの通貨などを含んで、
目的地のインターチェンジまで自動で行ってくれるレベル2自動運転の対象を、Xpilot3.0では高速道路上のみに限定されていたのですが、
今回のXpilot3.5に関しては、なんと市街地走行にも適用することができるようになるのです。
例えばテスラに関しては、アメリカ本国においては、その市街地も含めた全ての走行条件において自動運転を行うことができる、フルセルフドライビングのベータ版を配布していたり、
そもそも標準搭載のオートパーロットについても、ある一定程度は使用することができたりしますが、
今回のXpengについても、そのテスラに追随する形で、市街地走行においても自動運転を適用することができるようになったのです。
ただし、一点明確にしなければならないのが、先ほどから自動運転自動運転と申し上げてはいますが、
こちらは今だにシステム側ではなくドライバー側に責任の所在があり、事故を起こさないように常に監視をしていることが絶対条件であり、
これはテスラのフルセルフドライビングに関しても全く同様となりますので、
いわゆるレベル2自動運転というカテゴリーに該当するという点は、しっかりと認識しなければならないとは感じます。
真のモデル3キラーは海外進出も視野に
何れにしても、人などが存在しない高速道路上とは全く異なり、特に中国市場の市街地においては、
電動バイクやチャリンコなどがバンバンすり抜けて行ったり、
しかもその上、交通渋滞が慢性的に発生することによる、車両の強引な割り込みやすり抜けが頻発し、高速道路上の自動運転支援とはレベルが異なりますので、
このLiDARを使用したXpengの最新自動運転技術によって、どれほどの安定感、そしてどれほどの実用性を達成することができるのかについては、
実際のユーザーによるインプレッションに期待していきたいとは思います。
ただし、今回のLiDARを搭載したグレードというのは、550P、もしくは600Pの2つのグレードのみとなり、
その値段設定は、最上級グレードである600Pで23万元、日本円に換算して392万円となりますので、
エントリーグレードの460Gの値段設定である273万円と比較するとかなり高額とはなりますが、
それでもインテリアの質感もほぼフル装備、かつXpilot3.5が搭載され、
航続距離もEPAサイクルにおいて500km以上を達成可能と見込まれる電気自動車が、400万円以下で購入することができ、
なんとこの最上級グレードであったとしても、モデル3のスタンダードレンジ+よりも安く、
よって、現状の予約注文数の7割が、Xpilot3.5を標準搭載している550Pか600Pという上級グレードを選択しているともアナウンスされています。
ちなみにP5については、今回の正式な予約注文を受け付ける前の、先行予約を受け付けてからたったの53時間で、すでに1万台を超える予約注文を獲得したそうでもありますので、
おそらく現在中国市場で発売されている車両の中でも、最も先進的な自動運転技術を搭載しながら、日本円にして273万円程度から購入することができ、
今年である2021年の第四四半期、つまり早ければ10月ごろから納車がスタートする、Xpengの3車種目の電気自動車の実際の売れ行きを始め、
その実際のオーナーによる電気自動車としてのスペックの検証、
および、最新自動運転技術であるXpilot3.5による市街地走行の自動運転支援技術の精度の高さ、
そして今後の無線アップデートによる、自動運転の進化の進捗動向、
さらに、すでにG3とP7におけるヨーロッパ市場への輸出という海外侵略の動きが、
今回のP5についても同様に行われるかなどについても、非常に期待しながら注目していきたいと思います。
From: Xpeng
Author: EVネイティブ
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