テスラの主力商品であるモデル3とモデルYに関して、ブレーキキャリパーのボルトをしっかりと取り付けていない可能性があり、当局がリコールを発表してきました。
2021年初めてとなるマイナス材料に
まず、今回のテスラに関してですが、直近である2021年の第一四半期である1月から3月までの販売台数が、テスラ史上最高の18万台オーバーという数値を達成し、
しかもその上、中国市場においてちょうど第一四半期から納車をスタートさせた、ミッドサイズSUVセグメントという特に人気のセグメントに該当するモデルYの販売台数が、非常に順調であり、
最もフォーカスしたい中国市場の伸びについても、今後中長期的にも期待することができるということ、
さらには、今年である2021年中になんとか生産をスタートさせるとアナウンスしている、現在ドイツとアメリカテキサスに目下建設中である、
新たな車両生産工場兼バッテリー生産工場であるギガファクトリーが開業することで、そのグローバルの販売台数にさらに拍車がかかるのではないかという予測から、
つい最近まで、そのテスラに対してマイナスなニュースが一切話題にならないような、まさにテスラの独壇場とも呼べる時期が続いていましたし、
特に本チャンネルにおいても、いくどとなくテスラの功績を賞賛してもいました。
しかしながら、今回新たに明らかになってしまったことというのが、テスラの車両に対し、安全性への問題から大規模なリコールが発生してしまったということで、
こちらのニュースは久々に、テスラにとってのマイナス材料になってしまったかとは感じますが、
まず今回のリコール内容というのが、ブレーキキャリパーを固定しているボルトの取り付けが適切でなかった可能性があり、
それによって、タイヤの空気圧が急減圧してしまうリスクを抱え、したがって、最悪のケースではクリティカルな事故につながってしまう恐れがあるということで、
そもそも大前提として、今回のリコールがアナウンスされる前に、このブレーキキャリパーの不適切な取り付けによって何か事故が引き起こされたわけではありませんので、
この点については、予防的なリコールということにはなります。
また、その対象車種に関してですが、現在の売れ筋商品であるミッドサイズセダンであるモデル3とモデルYの両方が該当してしまっていて、
しかも、そのリコール対象となる車両の生産時期については、モデル3が2018年の12月から、2021年の3月までに生産された車両、
そしてモデルYが、2020年の1月から、2021年の1月までに生産された車両が該当するとしていますが、
そのリコールを指示した、アメリカ運輸省道路交通安全局であるNHTSAのリコール内容を見てみると、その対象台数が、モデル3とモデルY合計して6000台弱と、
その広範囲にわたる生産時期と比較して圧倒的に少ないリコール対象台数にとどまっていますので、果たしてこの台数で留まるのかは不明なのですが、
問題は、このリコールの対象の生産時期については、我々日本市場に輸出され、現在日本を走行しているモデル3も該当してしまっているという点が重要であり、
我々日本市場におけるモデル3の納車開始時期は2019年の9月でしたので、まさに今回のリコール対象の生産時期にがっつり当てはまっているということになりますし、
そのアメリカ国内で生産されているモデル3に関しては、昨年である2020年の12月まで納車を続けていましたので、
つまり、今年に入ってから納車されている、いわゆる中国上海で生産されているモデル3以外は、
基本的には例外なく全て、今回のブレーキキャリパーのボルトの取り付け不良の潜在的なリコール対象、ということになってしまうのです。
したがって、今回アメリカ市場においてリコールが出されたこの取り付け不良の可能性について、現在発表されている6000台弱もの車両の中に、
我々日本市場に輸出しているモデル3も含まれてしまっているのか、
そして、我々日本の当局に関しても、アメリカ市場と同様に、テスラに対して何らかのリコール作業を指示するのか、
さらには、現状のリコール対象車種台数である6000台弱という数字が、今後のリコール作業の進捗によって、さらに対象範囲が拡大する可能性も、
過去のテスラに対するリコールを見ていると、十分想定されますので、
特に最初の、我々日本市場を走行しているモデル3への影響についてを中心に、続報がわかり次第、情報をアップデートしたいとは思います。
安全性最高評価から脱落
そして、このテスラにとってはバッドニュースであったリコール問題と関連して、
そのアメリカ市場の車両の安全性を調査する機関であるNHTSAが、先ほどのリコールの対象車種であったモデル3とモデルYに対しての、安全性の評価の格付けを下げたという、
テスラにとってはさらなるマイナスなニュースとなっていて、
実はテスラに関しては、発売している全ての車種がアメリカ市場において最高の安全性を獲得している車種の1つに該当し、その最高評価である5つ星を獲得してもいますので、
実はアメリカ市場に限らず、私自身も含めて、そのテスラの安全性に魅力を感じて購入を決断している方も相当数いらっしゃいますので、
その安全性という観点も、テスラを語る上では外せないポイントなのですが、
実はアメリカ市場で、直近である4月27日以降に生産されているモデル3とモデルYに関しては、通常自動運転支援機能などで使用するために搭載しているレーダーが搭載されておらず、
したがって、NHTSA側は、そのレーダーによって使用することのできる安全性である、前方衝突警報や、車線逸脱警報、衝突回避ブレーキ、
そして、モーターをより早く停止させることのできるダイナミックブレーキングサポートという4つの安全性の項目を、そのチェックから外してしまったのです。
よって、アメリカの保険業界の調査機関であるIIHSに関しても、
モデル3とモデルYの安全性への評価を、今までの最高評価というカテゴリーから外すなど、様々な動きに発展してしまってもいて、
先ほども説明したように、私を含めて、車両を購入する際に、やはりその安全性のチェック項目というのは、その車両性能という観点と同様に重要視している方が多いですので、
この流れは現状では自然な流れであるとは感じます。
ただしテスラに関しては、このレーダーを外し、搭載されているカメラのみを使用して完全自動運転を完成させるという、Tesla Visionという新たな自動運転の方式を適用し始めていて、
テスラ曰く、今回の新方式であるTesla Visonにおいてでも、今回指摘されている3つの安全性についてはすでに達成可能であり、
唯一達成できていない車線逸脱警報に関しても、今後のソフトウェアの無線アップデートによって安全性を達成することができると主張してはいますので、
果たして今回のレーダーを廃止している最新の車両において、その以前のような安全性を達成することができているのかについては、
今後のNHTSA側の追加の検証実験などの続報を待ちたいとは思います。
私はモデルSの発火案件を追求し続けます
また、以前にも取り上げてはいるのですが、テスラは現在世界中で様々な争いを行なっている最中ともなっていて、
特に本チャンネルにおいて、そのテスラの姿勢に大きな疑問を呈していた、
初期型のフラグシップセダンであるモデルSにおいて、自然発火案件が相次いでいた問題を、
テスラが解決するために、無線アップデートによってその使用可能なバッテリー容量を減らし、しかもその充電スピードを大幅に制限してしまったのではないかという可能性が浮上し、
本チャンネルにおいては、現在その訴えを起こしている様々なオーナーの情報などから、やはりテスラが使用可能なバッテリー容量を制限していることが判明し、
特にその無線アップデートの仕方、その経営姿勢を問題提起してはいました。
ノルウェーでテスラがついに敗訴&賠償
そして今回新たに明らかになってきたことというのが、
ノルウェー市場において、その初期型のモデルSの問題をオーナーが指摘し、裁判となっていた件について、テスラ側の非を認め、
テスラ側に対して、今回問題となっている初期型のモデルSのオーナーに対して、13万6000クローネ、
日本円に換算して、なんと180万円もの支払いを命じる判決を下したという、テスラにとってはさらに試練のニュースとなっていて、
今回のノルウェー市場において2013年から2015年に発売されていた初期型のモデルSというのは、ノルウェー市場ではおおよそ1万台売れているそうで、
したがって、今回の判決によって、今後その1万人ものオーナーが同様にそのモデルSの自然発火問題を解決するために、
ソフトウェアアップデートによって充電スピードを意図的に制限していたという問題を裁判沙汰にするケースが増えてくる可能性が高いですので、
なんとノルウェー市場だけで最大で180億円規模の賠償にまで発展してしまうという、かなりの痛手となる可能性すら浮上してきているのです。
そしてこちらの初期型のモデルSの問題に関しては、このノルウェー市場だけでなく、本国であるアメリカ市場に関してもすでにNHTSAが調査中もなっていますし、
中国市場においても同様に係争中ともなっていますので、
このモデルSに関連するさらなる賠償問題についても、今後テスラを悩ませるタネになってくるのかもしれません。
様々な逆風にどのように対応するのかに注目
何れにしてもこのように、今年である2021年に入ってからというもの、快進撃が続いていたテスラに関しては、足元で様々な不安材料を抱えてしまっているということで、
まず冒頭紹介したリコール問題については、果たして現状の対象台数である6000台弱という台数で収まりを見せるのか、
さらには、その対象範囲が我々日本市場を走行するモデル3にまで影響してしまうのか、
また、レーダーを廃止してしまったことによって、その第三者機関による安全性の評価が、軒並み低下してしまった問題についても、
本当にカメラのみによって、以前の安全性の水準を達成することができているのか、
それと同時に、やはりノルウェー市場の判決において、テスラの強みである無線アップデートを利用して、テスラの都合のいいように、
つまり、バッテリー交換などというような判断をせずに、楽に発火問題に対処した結果、おそらくそのバッテリー交換以上の賠償金を支払うはめにもなってしまっていますので、
特に以前から繰り返し問題提起させていただいていた、この初期型のモデルSに関する意図的な充電性能制限問題に関しては、
早くテスラが、例えばバッテリー発火という安全性の問題と、その充電性能をしっかりと担保するという両方を達成できるように、
バッテリー交換に対応するなどの、より誠意を見せた対応が重要であると思いますし、
その誠意こそが、一部で盛り上がりを見せているバックラッシュを解決する本質なのではないでしょうか?
From: NHTSA、TechCrunch
Author: EVネイティブ
コメント
単刀直入に言わせてもらいますと、ミリ波レーダーも距離などの問題がありますが、テスラは過去にカメラの反射で死亡事故が起きてるので、コストだかてもレーダーは今のところは必要と思います
日本車好き内燃機関車好きなのですが
テスラも応援してます