【EV充電規格戦争】トヨタ日産ホンダもテスラ充電規格採用になります GMがフォードに続いてテスラ充電規格を採用するデカすぎるインパクトとは

GM

アメリカ最大の自動車メーカーであるGMが、なんとガチンコのライバルであるテスラとタッグを組んで全米のテスラスーパーチャージャーを利用可能にしながら、なんとCCS規格を捨てさりテスラの充電規格を採用するという方針について、

数週間前に同様の動きを発表していたフォードとともに、これから北米のEV市場にどのようなインパクトを与えるのか、特にトヨタやホンダへも大きな影響を与える可能性についてを含めて解説します。

GMがテスラ規格へ鞍替えするこれだけのインパクト

今回のGMは、アメリカ最大の自動車メーカーで、様々なブランドを擁しています。GMは、2035年までに全乗用車を電気自動車にするという方針を表明しており、既にシボレーブランドからコンパクトEVであるボルトを発売しています。

さらに、EV専用プラットフォームであるアルティウムプラットフォームを採用し、キャデラックやGMCからも新たなEVを発売しています。また、シボレーからは新型SUVのブレイザーEVとイークイノックスEVを発表しました。

そして、新たに明らかになったのは、GMがテスラの充電ネットワーク、スーパーチャージャーを利用するパートナーシップを締結したということです。これにより、2024年春までに既存のGMのEVがスーパーチャージャーを利用できるようになります。さらに、2025年から発売される新型EVでは、テスラ規格のNACSが導入されます。

この問題の核心は、GMがテスラの充電規格を採用したことにより、北米の充電規格戦争が一方向に傾いた理由です。その理由の一つは、その規模です。2022年に最も自動車を販売したのはGMで、次いでトヨタと提携したフォードが続きます。これらのトップ3メーカーがテスラ規格を採用することで、北米の標準規格として、テスラ規格の既成事実化が進む可能性が高まりました。

22年シーズンの全米販売台数はGM、トヨタ、フォードの順

また、充電ネットワークの設置ステーション数や設置充電器数にも注目すべきです。特に、急速充電に関してはテスラが圧倒的なリードをしています。これらの規模と販売数を見ても、テスラ規格が北米市場を支配していることは明らかです。

充電器数ではテスラが2番手Electrify Americaにトリプルスコアをつけてトップ

さらに、テスラスーパーチャージャーは、設置規模の経済性と設置コストの低さから高い収益性を実現しています。各地域での比較でも、テスラの設置コストが競合より低いことが明らかになっています。また、テスラは充電器を自社で製造しており、マージンを考慮する必要がないため、設置コストをさらに抑えることが可能です。これらの要素が北米の充電規格戦争において、テスラ規格が一方的な優位を得ている理由です。

ニューヨークでは競合よりも75%も設置コスト低減を実現

テスラは自社製のソーラーパネルと蓄電池を用いて、スーパーチャージャーの設置および運用コストを削減し、競争力を高めています。そしてGMとフォードとの提携により、スーパーチャージャーネットワークの利用率と収益性がさらに向上する見通しです。

スーパーチャージャー事業の粗利益は30%、利益率は10%を目指す

特に、GMとの提携は充電規格戦争の終焉への加速を意味します。GMは既に大手充電プロバイダー、EVgoと提携しており、以前から北米における充電ネットワーク拡充を推進しています。これにより、GMがテスラのスーパーチャージャーネットワーク規格を採用する可能性が高まり、それに伴い、EVgoが設置する急速充電器もテスラ規格を採用する可能性があります。

加えて、EVgoは多くの自動車メーカーと提携しているため、特に注目すべきはトヨタとの関係です。トヨタが北米でEVgoと提携しているので、トヨタもテスラ規格を採用する可能性があります。

このような状況を受けて、業界2番手のElectrify Americaも早期にテスラ規格を採用する可能性が高まっています。特にカリフォルニア州はテスラ車が多く、テスラ規格の採用が不可避となるかもしれません。その結果、日本発の充電規格であるチャデモ規格が廃止される可能性が出てきています。

現在カリフォルニア州のみ、チャデモとCCSのデュアルガン方式を採用

ホンダは北米市場での電気自動車開発においてGMのアルティウムプラットフォームを使用しており、GMとは直接的な提携関係はありませんが、北米での電気自動車(EV)開発の観点からは、テスラ規格の採用を考える可能性があると言えます。これは特に、2025年末に北米で発売を予定しているソニーホンダの電気自動車についても当てはまります。また、テスラ規格の採用は、日本市場でも可能性として考えられます。しかし、その価格帯の電気自動車を発売しても、独自の充電ネットワークがない場合、商品性に問題があると考えられます。このため、テスラ規格を採用し、日本でもスーパーチャージャーを利用する方が現状では理想的と言えます。

ソニーホンダは北米だけでなく日本でもNACSを採用するべき

また、今回のGMとテスラの提携により、GMのCEOであるメアリー・バーラは、充電インフラ整備にかかる投資を大幅に節約できると述べています。これにより、充電インフラの投資額の抑制とユーザー体験の向上という二つの観点から、日本でのテスラ規格の採用は理想的と言えます。

テスラとの提携によって充電インフラ投資の4億ドルの節約に

充電規格はEVのリセールバリューにも波及

最後に、フォードやGMなどの他の自動車メーカーにとって、テスラ規格の採用は2025年までの電気自動車の販売にネガティブな影響を与える可能性があります。その理由として、2024年春には、GMとフォードの電気自動車はすべてテスラのスーパーチャージャーを使用できますが、充電ポートは依然としてCCS規格であるため、充電アダプターを使用する必要があるからです。このため、ユーザーは2025年まで新しい電気自動軔を購入を控え、テスラ規格の充電ポートが導入されるのを待つ可能性があります。

アダプターはEVユーザーの充電体験を大きく低下させます

充電規格に関する選択は、EVの運用の利便性とリセールバリューに大きな影響を与えます。2025年に発売されるテスラ規格の充電ポートを採用した新型EVは、アダプターを必要とせず、その利便性が高まります。その結果、2025年以降のEVのリセールバリューは向上すると予想されます。

しかし、これはGMとフォードだけでなく、他の自動車メーカーにも影響を及ぼす可能性があります。テスラ規格への鞍替えが遅れると、それまでにCCS規格を採用したEVが市場に出てしまい、そのリセールバリューが悪化する可能性があります。

すでにGMとフォードがテスラ規格に鞍替えしたという事実は、充電規格戦争が終了したことを示しています。そのため、他のメーカーも早急にテスラ規格への鞍替えを検討するべきです。

日本の自動車メーカーにとっても、提携先のEVgoがテスラ規格を採用する可能性が高いことから、NACS規格の採用を進めるべきです。そうしないと、販売台数やリセールバリューに悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、テスラ規格への乗り換えが、北米市場での電気自動車の販売シェアを増やすための必須の戦略であると言えます。

NACSとCCS Type1のサイズ比較

From: GMEVgo(Toyota)EVgo(GM)EVgo(Nissan)CNBCEVAdoption

Author: EVネイティブ