【トヨタ200万円切り新型EV】電気自動車ニュース【トヨタ・ダイハツ・スズキ共同商用軽EVの実車公開

スズキ

トヨタがダイハツとスズキと共同で、商用向けの軽EVを2023年度中に販売スタートする方針を表明しながら、その実車を世界初公開してきました。

航続200km・200万円切りでホンダN-VAN EVに対抗

初めに、トヨタが子会社のダイハツと、資本提携しているスズキと共に新型の電気自動車の存在を発表しました。この新型車は、軽自動車セグメントと商用セグメントに該当します。

なぜなら、軽自動車セグメントは日本の自動車販売台数の約4割を占めており、非常に人気のあるセグメントだからです。そのため、このセグメントにおけるEVへのシフトは急務となっています。そういう背景から、2022年には日産と三菱から、それぞれサクラとekクロスEVという2つの軽EVが販売されました。これらは販売開始から1年経った今でも、EV販売台数のトップクラスを独走しています。

商用セグメント、特に軽バンと軽トラは、非常に強固な需要があります。軽バンは商用として郵便局などが最後の配達(ラストワンマイル)用の配達車両として広く採用されています。一方、軽トラは農作業に従事する人が少なくとも1台は所有しているなど、実用的なトラックとして利用されています。

軽バンと軽トラの運用方法を考慮すると、軽バンがラストワンマイル向けの配送車両として使用される場合、1日の走行距離は大体100km程度が一般的です。また、軽トラの場合も、自宅から農作業場所までの往復分や、作業で必要な資材の買い出しなどを考慮すると、1日100km程度走行する軽トラはほとんど存在しません。

つまり、軽自動車セグメントの商用車である軽バンと軽トラは、航続距離が短くなりがちな電気自動車と非常に相性が良いと言えます。

今回、トヨタがダイハツとスズキと共同で開発した軽自動車セグメントの商用EVについて、具体的な特徴を紹介します。

まず、バンタイプである軽バンです。これはラストワンマイル用の配送車両として、郵便物やフードデリバリーサービス向けの配達業務を担当します。三菱からすでに軽バンが発売されていますが、ダイハツとスズキが共同で開発した軽バンは、軽自動車市場で強力な販売シェアを誇る両社の販売ネットワークを利用することで、EVへのシフトが一気に加速する可能性を秘めています。

次に、そのEV性能ですが、現時点で搭載バッテリーの容量は公表されていません。しかし、満充電時の航続距離は約200kmと見込まれています。ラストワンマイル向けの配送車両では1日の走行距離が100km程度が一般的であることから、この航続距離は十分なマージンを持つものとなっています。

また、航続距離を伸ばすために搭載バッテリーを増やすと、車両価格が高くなり、車内スペースが犠牲になる可能性があります。そのため、今回の軽バンは、必要最小限の航続距離を達成することに焦点を当てています。

さらに、車内のレイアウトや使い勝手が制約を受けることは、これまで商用向けにガソリン車の軽バンを導入していた企業がEVに置き換える際に避けたい点です。この問題を解決するために、今回の軽バンはダイハツの人気商品であるハイゼットカーゴをベースに開発されました。その結果、ガソリン車のハイゼットカーゴと比較しても、車内レイアウトや使い勝手は同じに設計されています。これにより、EVへの導入を躊躇う理由はなくなり、軽バンのEVシフトを進める上で非常に重要な点となります。

さらにこの商用EV軽バンは急速充電にも対応しています。詳細な充電時間や出力はまだ公表されていませんが、一般的にこの種の車両では急速充電の頻度は少ないと想定されます。これは主に特殊なケースや緊急時に必要となるためです。ラストワンマイル用の車両では、日中の業務が終わった後に通常の充電器に接続し、翌日の出発時には満充電にするのが理想的な運用パターンとなります。そのため、軽バンを導入しようと計画している業者にとっては、急速充電は緊急時に利用する機能と考え、日常的な運用は通常の充電で対応する計画を立てることが重要となります。

その他にも、この軽バンには注目すべき特徴があります。その一つが、車内に100Vのコンセントが搭載されている点です。これは電気自動車ならではの機能であり、エンジンを始動させている間だけでなく、いつでも気軽に利用することが可能です。配送業務の休憩時間には、このコンセントを使用してパソコンで事務作業を行うこともできますし、また、休憩時間にカップ麺を作ったり、コーヒーを淹れることも可能です。

これらは、電気自動車だからこそ可能となる新しいライフスタイルを実現するもので、商用車両であっても非常に有用な機能となります。このようなユニークで有用な機能を搭載することで、トヨタはその洞察力を示しています。

最も気になる価格設定についてですが、補助金を含めて200万円切りを目指しているようです。現行のダイハツハイゼットカーゴは最安値でも約110万円から始まり、ほとんどのグレードが140-150万円程度となっています。この新型軽バンEVが200万円程度で提供される場合、その差額は約50万円になります。

電気自動車の大きな魅力は低いランニングコストです。通常充電での運用であればガソリンのコストと比較して割安で、夜間の安価な電力プランも併用すればさらに充電コストを引き下げることが可能です。また、メンテナンスコストも低く抑えられるという特徴があります。これらの要素を考慮すると、商用車両として毎日100km近く走行する場合、乗用車よりもトータルの所有コストを下げることが可能となります。

さらに、航続距離の範囲内での運行スケジュールさえ組むことができれば、車内スペースに変化はなく、スライドドアや車内コンセントも利用可能で、事業者にとって電気自動車を導入するメリットは大きいと言えます。

また、ダイハツのハイゼットカーゴは月間8000台以上を販売し、軽バンのトップセラーです。これに加えて、トヨタはピクシス、スズキはエブリイとして軽バンEVを展開し、ホンダも2024年にN-VANのEVバージョンを販売する方針を表明しています。日産も商用軽バンの導入が予想されており、軽バンセグメントの主要車種のほとんどがEVを設定することになります。

これらが示すように、トヨタ、ダイハツ、スズキの商用軽EVが市場に導入された時点で、日本の軽EVの大規模な普及が始まる可能性があります。また、これらの軽バンを基に軽トラックのEV化が進むと予想されており、軽トラックでもトップセラーのダイハツ・ハイゼットトラックのEVバージョンが2-3年以内に登場する可能性があります。

これらの動向を見てみると、サクラ、軽バン、軽トラという軽自動車セグメントでのEV普及が連続して起こる可能性があることがわかります。これは、日本のEVシフトにとって大きな前進となります。そうした意味で、2023年度中に発売開始予定のトヨタ、ダイハツ、スズキの軽バンについて、続報が待たれます。

From: Toyota

Author: EVネイティブ

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